| 賃貸住宅に住み続けている間は、毎月確実に家賃が家計から出て行き、手元には何も残りません。しかしマイホームを買えば、それはいつしか必ず自分のものになります。そこからよく言われるのが、「家賃はドブに捨てるようなもの」。
ところが、それを言うなら「住宅ローンの金利もドブにすてるようなもの」ということになってしまいます。例えば住宅ローンで3000万円を、金利3%・期間35年で借りた場合、総返済額は4850万円。頭金1000万円を入れて4000万円の家を買った場合は、トータルで5850万円を支払うことになります。この金利分1850万円が、同じく「ドブに捨てるようなもの」となってしまいます。
住宅ローンを利用してマイホームを買うということは、決して「表示価格」で買うのではありません。「金利まで含めた総支払額で買う」ということなのです。頭金1000万円、住宅ローン3000万円で買うマイホームは、4000万円で買うのではなく、5850万円で買うのだということです。
また現在の住宅市場には、決定的な問題・課題があります。日本の住宅は、新築のときに最もその価値が高く、買って住んだ瞬間にいきなり10%〜20%、場合によってはそれ以上にその価値が下がり、あとは20年〜25年かけて、その価値は限りなくゼロに近づいていくのです。
このことは、日本では圧倒的に「土地」に信用力があり、「建物」の本質的な価値を重要視する風潮や具体的な仕組みがなかったためです。
そういった状況でも、地価が右肩上がりを続けていた高度成長期には、たとえ上物(建物)の価値がなくなっても地価の上昇カーブがそれを上回っていたため、マイホームを買うことがまさに資産形成につながりました。小さな住宅から徐々に住み替えていく、いわゆる「住宅すごろく」が成立していたのです。
戦後の高度経済成長期はいわば「土地本位制資本主義経済システム」とでも呼べる、我が国特有の仕組みによって、地価がどんどん上昇し続けました。この仕組みは土地に信用力を持たせ、それをベースにお金がまわるというもの。当時は誰しも、「早く買わないと買えなくなってしまう」という危機感から、競うようにマイホームを購入したものです。
ところがやがてバブルは崩壊、一転して地価は下落し続けました。護送船団方式や終身雇用といった、我が国特有の経済システム・社会システムの終焉です。企業は自社の遊休地や工場などをどんどん売却し、「土地本位制資本主義経済システム」もその姿を消していきました。
現時点の地価は「上昇を始めた一部地域」「下げ止まった地域」「下落を続ける大半の地域」とに大別されています。上昇を始めた地域の背景には、小泉内閣が莫大な費用を投入した都市再生がらみ、マンションバブル、不動産が金融商品化したことによるREITやファンドの台頭といったものがあります。
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