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大下達哉
大下達哉の 「ドーシタ大下」

好き勝手に書いている日記です。技術系のネタが多くなるかも。
気楽にお付き合い下さい。
1977.3生まれ へび年 B型 うお座

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2005.2.25

見えない心遣い

品質チェックで、壁の下地の確認へ。

ここの担当の大工さんは、毎日片道60キロメートルくらいかけて現場に通っています。(雪の日は臨時休業にするとか)

品質チェックの最初の頃から、私たちのチェックに好意的で、現場に行くといつも手をとめてお茶タイム。建物にまつわる色々な話をしてくれます。
今回も30分以上、建物の話で盛り上がってしまいました。

床の合板は一般的にはクギ打ちですが、この大工さんはビス留め。
手間も時間もかかりますが、高さ調整が少し効くのと、強度が出るために毎回こうしているそうです。他にもいろいろ気を使っているところがあります。

でも、それらのほとんどは構造に関することなので、完成してからは分からないところばかり。分かるとしたら、数十年後にリフォームをして、構造体が見えるときでしょうか。

表面的なことではなく、構造のような建物の本質的な部分で、見えない心遣いをされている大工さん。
もう少しで大工さんの仕事は完了。
お伺いするのもあと数回ですが、よろしくお願いします!

2005.2.23

札幌日帰り(?)

早朝の羽田空港今日は建物の調査のため、早起きして札幌へ。

眠い目をこすりながらたどりついた、早朝の羽田空港はなかなかキレイです。
飛行機と電車の移動中に読むために本を1冊購入。

離陸後、本を数ページ読んだところで夢の中へ。寝ている途中にウーロン茶を頂いたことしか覚えていないまま、千歳空港に到着。

外の様子現場に案内していただき、早速調査へ。

建物には囲いがしてあり、中で暖房を焚いていますが、室温はマイナス 1.8℃。吐く息は真っ白。
それでも、風が無いため、外より温かく感じます。

お昼には、寒さのために遠くへ出かけることもなく、目の前の喫茶店で野菜炒めランチを。北海道でなくても食べられるような・・・。

昼食後、調査再開。午後からは外回りのチェックです。
チェックを再開してすぐに、大きな問題を発見。
う〜ん、これは。。。雪が降り込む足場の上で、一人、絶句。

予定より時間がかかりましたが、調査は終了。外の雪はどんどん強くなっているようです。
「早めの飛行機で帰ろう」と思い、札幌駅に着くと、空港に向かう電車が30分以上の遅れ。嫌な予感がします。

空港に着くと、カウンターは長い行列。電車に揺られること約30分。
予想は的中で、飛行機は大幅な遅延。欠航便も出ています。
それでも、早いのに乗ろうと、空席待ちをしていましたが、途中で東京行きは全便欠航が決定。

宿の情報を検索しようとバックからノートパソコンを開くも、PHSのカードが入っていません。携帯電話もバッテリー切れになっていまいました。

こうして、日帰りのはずが泊まりになったのでした。

翌朝の空港は見事な快晴!
昨日の雪がウソのよう。

滑走路もキレイに除雪され、飛行機は問題なく離陸していきます。
朝の千歳空港1 朝の千歳空港2

予定以上に長くなってしまった今回の調査。お疲れ様でした。

2005.2.22

新築時の資料

今日は朝から、既存一戸建ての建物チェック。築約25年の建物です。

既存一戸建において、調査の信頼性や内容を左右するのが、新築したときの図面や資料の有無です。特に、構造関係の資料があると大変助かります。
(不動産屋さんの店先にあるような間取り図には、寸法なども入っておらず、信頼性も低いので力不足です。)

今回は、構造に関する一部の図面が残っていたので助かりました。
図面があっても無くても、見られるところは全て見ます。

小屋裏の確認
小屋裏の確認
ファイバースコープカメラで床下の確認
ファイバースコープカメラで床下の確認
ファイバースコープカメラ
直径約6mmのファイバースコープカメラ。胃カメラにも使われていますね。
リモコンで、先端の方向を自由に変えることができます。
木材含水率の確認
木材含水率の確認
木材含水率の確認
サーモグラフィカメラで外壁の確認

午前中の建物チェックのあとは、品質チェックに。
基礎コンクリート打設前の、配筋検査です。

現場について確認すると、鉄筋上側のかぶり厚(鉄筋からコンクリートまでの距離)が少し足りませんでした。鉄筋が少し斜めになっているようです。

かぶり厚不足 型枠を外して治具で修正します かぶり厚が確保されました
かぶり厚が不足しています(基準法では、40mm以上必要です) 型枠を外して治具で修正します かぶり厚が確保されました。

品質チェックが終わる頃には、写真の総数は100枚を超えます。
数十年後、大きな改築が必要になったときに、これらの写真はきっと役に立つことでしょう。

2005.2.19

グラスウールの施工方法

今日は品質チェックで、断熱材の確認。
前回伺ったとき、建物の精度を確認しましたが、良い精度に仕上がっていました。

ご依頼者と待ち合わせた後、どんな感じに仕上がってるかな〜 と期待して行ってみると、あらら!断熱材の留め付け方法が全部間違っています。

誤った施工例 誤った施工例
柱の内側に断熱材が留め付けられています。 取り付け部分を拡大して見たところ。

日本で売られている一般的なグラスウールは、袋に入っており、両側に「耳」と呼ばれるビニールシートが2cmくらい出ています。正しい施工方法は、この「耳」を柱や間柱(まばしら)の上で重ね、ビニールシートを連続させなくてはいけません。
(ちなみに、このビニールシートは壁の中の結露を防ぐためにあり、防湿層(ぼうしつそう)といいます)

今回の物件では、グラスウールの「耳」が柱の中に入っており、ビニールシートが連続していませんでした。また、柱と柱の間隔に合わせて、グラスウールを切っていないため、室内側に膨らんでいました。

大工さんに、「これはマズいですよ。なぜこうしたのですか?」 と尋ねると、耳を重ねることも、その理由もご存知ない様子。しかし、このような事はたまにあること(本当はいけないのですが)なので、大工さんに正しい施工方法を伝えて全てやり直しです。

施工してあったグラスウールを全て取り外し、寸法を合わせながら再度取り付けていきます。
正しい施工にするため、私も服を着替えて工事に参加。

途中からは私だけでなく、ご依頼者も工事に参加。作業が終わる頃には、慣れた手つきで奇麗な仕上がりになっていました。
断熱材を取り付けるご依頼者
断熱材を取り付け直しているご依頼者(お施主さん)

断熱材修正前 断熱材修正後
before after
断熱材修正後 断熱材修正後
修正後の断熱材の様子1 修正後の断熱材の様子2

グラスウールのような繊維系断熱材の工事自体はそれほど難しいものではありませんが、本当に正しくやろうとすると、結構面倒です。現実的には、正しく施工されていない方が多いのではないでしょうか。

どんなにいい材料を使っていても、施工が間違っていては性能が100%発揮されません。
その材料にもいくつもの種類、メーカーがあり、工法も多数あります。家を作るというのは大変ですね。

長時間の工事、Sさん、お疲れ様でした!

2005.2.16

天候

昨日は暖かな日でしたが、今日の東京は雨が降り、外は寒いです。

雨が降って困るのが、建物の建築現場です。
例えばコンクリートを流し込む時に、雨が降っていると作業ができません。
水が加わることでコンクリートが必要以上に柔らかくなってしまい、必要な強度が得られなくなるからです。
(三上さんの日記にあるような、雨の日のコンクリート打設はいけません。「水を入れてもいいか?」と聞いてくる業者さんはもっといけません)

建築中の一戸建ての建築現場をチェックする、さくら事務所の品質チェックでは、基礎のコンクリート打設に立ち会っています。

今週、基礎コンクリート打設の立会い予定がありましたが、天候が悪いため延期になりました。
空調の完備された工場で作る工業製品と違い、建物は天候の変化がある屋外で、手作りするものです。

天候によって工事が長引くことをある程度見込んでおかないと、最終的な品質に問題が出ることがあるので、注意が必要です。

当初から無理のある工期では、品質に関わる問題が出るリスクがありますので、余裕のある日程が無難です。

2005.2.15

ゴミかリサイクルか

品質チェックのコンクリート打設立会いのとき、基礎屋さんのアイデアを見ました。それが、次の写真

コンクリートを型枠に入れて 表面を平らに均します
余ったコンクリートを型枠に入れて 表面を平らに均します

冷蔵庫で氷を作っているみたいです。これは何でしょう?

サイコロ答えは、基礎に使われる鉄筋と地面との間にスペースを設けるコンクリート片(サイコロなどと呼ばれます)です。右の写真で、鉄筋の下に入っているのがそれです。

一般的な工事で、余ったコンクリートはミキサー車で工場に持っていってもらうか、現場で捨ててしまうことが多いようです。いずれにしても捨てています。

しかし、今回のケースのように、コンクリートを型枠に入れて整形しておけば、次の現場で使えるため、ゴミにはなりません。

サイコロ自体は高いものではありませんが、回数が多ければコスト削減にもなりそうです。無駄なゴミを減らしてリサイクルでき、コスト削減にもなる。とてもいいアイデアですね。

2005.2.14

スリーブの大きさにご注意

先日お伺いした一戸建ての内覧会には、エアコンの先行スリーブが設置されていました。とても良いことだと思います。

ここで、エアコンのスリーブについて、注意点を挙げたいと思います。
それは、スリーブの直径です。

最近、換気機能や除湿機能がついたエアコンが販売されています。これらのエアコンは、一般のエアコンの配管に加えて、換気機能や除湿機能のための配管が余分に必要です。

そのため、スリーブの大きさが、大きくなります。換気や除湿機能付きのエアコンを使うときには、最低でもスリーブの直径が65mmのものが必要となります。

スリーブ取り付け、または確認の際には、スリーブの直径にご注意ください。

2005.2.11

小さなことの積み重ね

鉄筋とスリーブの間が確実に確保できる支持具右の写真は、品質チェックの、配筋検査で見かけたものです。

筒のようなものは、スリーブといい、水道の配管やガスの配管が通る穴になる部分です。コンクリートを流し込み、固まった後にスリーブを取り除くことで、綺麗な穴になります。

この写真の施工で良いところは、スリーブと鉄筋の間に確実にすき間ができるように、プラスチック製の支持具を使っているところです。
鉄筋とスリーブが密着していると、その間にコンクリートが流れ込みにくくなります。しかし、この写真のような支持具を使うことで、そのようなトラブルを未然に防止できます。

「良い家を作る」といっても、急にできるものではなく、とても小さなことの積み重ね。
品質チェックでも、見ているのは金物を固定するビスの数や位置、配筋の間隔や長さなど、一つ一つはとっても、地味〜なことです。
その地味〜なことの積み重ねで、家の最終的な出来栄えが違ってきます。

今回の写真の配慮は、家が建った後には分かりません。
品質チェックでは、建築中の建物を第三者として確認することが主なサービスです。それに加え、建築途中に目にする、今回のような「作り手の配慮」をご依頼者の方に伝えることも、重要な仕事だと思っています。

2005.2.8

マンションも省エネ義務化へ 国交省が法改正案

国土交通省は今国会に提出する省エネ法改正案で、マンションなどの集合住宅の新築・増改築時に省エネ対策の実施と報告を義務づける方針を決めた。
建築主や管理組合は、外壁や窓の断熱化、空調設備の効率的な運用策などを3年ごとに国に報告しなければならなくなる。総延べ床面積が2000m2以上の建物が対象なので、大規模マンションだけでなく中規模のマンションでも報告が必要になる。

既存のマンションについては、外壁工事など大がかりな修繕をする時に省エネ対策の届け出を義務づける。新旧マンションともに対策が不十分な場合は、国が勧告する。
朝日新聞 2月6日の記事より抜粋

この件については、国全体の建物性能が上がるきっかけになるので、良いことだと思います。断熱化された部材の需要が増えれば、部材の価格も下がります。

文面を見ると、「外壁や窓の断熱化」とあります。
サッシは簡単に高断熱化できますが、今一般的な内断熱の場合、断熱材の厚みを増やすほど、室内が狭くなります。しかし外断熱の場合、断熱材の厚みがどれだけ増えても室内の広さは変わりません。

外断熱が採用されるのは良いことだと思います。しかし、「単に外側に断熱材を貼っただけ」というのも出てくるでしょう。

重要なのは、断熱だけでなく、換気、暖房、冷房、気密などをトータルで考えること。この辺りに詳しい技術者は本当に少ないと思います。

この分野の話は、一般の方が少し勉強するだけでも、建築関係者より詳しくなれることが多々ありますので、いろいろ調べてみてはいかがでしょうか。(先日京都に行った物件のオーナーさんも凄く詳しかったり)

2005.2.7

配筋検査

今日は朝1で、品質チェックの基礎配筋検査。
基礎に使われる鉄筋が正しく施工されているかの確認です。

事前に頂いていた工程表では、施工業者さんの鉄筋検査があるので、私とダブルのチェックです。

現場の近くに行くと、そのの前で立っている一人の方がみえました。
現場に到着すると、「あれ!?鉄筋が無い!?

現場に立っていた方はガス屋さんで、ガスの配管を通すスリーブを入れに来たとのこと。
配筋がない!?
あれ!?配筋がない?

「月曜日には配筋終わってるって監督さんが言ってたから来たんだけど、これじゃ、入れられないよなぁ〜。はっはっは」
と笑っていました。

現場監督さんに連絡をとってみると、基礎屋さんの手配ミスで予定より遅れてしまったとのこと。連絡後すぐに、新しい工程表が送られてきました。

次回はバッチリの配筋をお願いします!

2005.2.3

京都

印南さんから連絡があり、急遽決まった京都での打ち合わせ。

のぞみに乗って約2時間半(雪のため到着は約10分遅れ)
地下鉄に乗り換えて、打ち合わせ場所の大学へ。

この大学を卒業した友達や、学生時代に一緒に研究を行った先生もいるが、来たのは初めて。

打ち合わせの内容は、外断熱の建物の冷暖房について。

東京や大阪の暖房負荷というのは、スウェーデン(ストックホルム)と比べると4分の1程度しかない。しかし、暖房負荷が少ないといっても、東京や大阪でも暖房は必要で、必ず考えておかなければいけない。

日本には夏があり、30℃を優に超えるほど暑く、湿度も高い。エアコンは必須だ。賃貸のアパートでも、エアコンが無ければ借り手が遠のいてしまう。

スウェーデンやドイツ、ヨーロッパの多くの地域では、夏は湿気が少なく日本ほど暑くもないため、冷房はあまり深く考える必要がなく、冬をいかに快適に過ごせるかが重要になる。

夏の冷房(除湿)と冬の暖房。ここに、日本の建物の難しさがあると思う。
でも、その難しさを考えるのが面白い。

建物の外側の性能と、性能に投じるコスト。
建物の性能を上げたことによって、どれだけ冷暖房設備を小さくできるか?その設備の寿命は?メンテナンス費用は?交換費用は?実現可能なのか?
考えることはたくさんある。

最終的にどのような形になるか分からないが、現時点でも建物の性能は、一般的に建てられているものと比べ2倍以上の性能。
20年や30年ではなく、もっとずっとずっと先を見た建物です。

この建物がきっかけとなって、日本の住まいの品質がずっと高いものになったいいなと思っています。

2005.2.2

古民家再生

築年数が経っている建物を直す場合、修繕に手間と時間がかかるため、新築するよりお金がかかることは珍しくない。

しかし、今日さくら事務所にみえた方は、約80年前に祖父が建てた建物を直して使いたいという。素晴らしいことだ。

改修してこれからも使える建物には、「古さ」という魅力や味わいがある。しかし、今建てられている建物で、50年後に改修する価値のある建物は、全体の何割だろう。

日本には、築100年を超える大きな木造建築が少なくない。法隆寺は1300年持っているといわれるが、正確には「持たせている」といった方がいい。これまでに大きな改修を幾度も行ったおかげで、現在の姿がある。何もしないで1300年持っている訳ではない。

東大寺 金堂(大仏殿)奈良の大仏で有名な、東大寺 金堂(大仏殿)も、それは同じ。
今残っているものは、約300年前に建てられた三代目。
この東大寺 金堂は、明治に大修理が行われているが、その時にかなり大きな補強を行われている。
それは、大仏の頭の上の屋根部分を支えるために、鉄骨製のトラスを使っているということ。しかも、その鉄骨はイギリス製。

先人が苦労して直してくれたおかげで、今の世代に引き継がれている。
日本の住まいは数の上では、もう十分。新しい建物を建てるときは、将来「直す価値」のあるものだけでいい。

安易に建て直すのではなく、古い物を改修して使う。そんなスタイルが広まっていってほしい。


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