断熱材の厚みと性能
先日の品質チェックの報告で印象に残っていること。
それは、断熱にかける費用と、その効果について。
ご依頼者の考えを簡単に言うと、
「断熱材が厚いほど性能は良くなるが、厚くなるにつれてその効果は薄くなる。断熱の厚みと熱の逃げる量は反比例するので、グラフの角度が急になっている範囲の費用対効果は高く、投資する価値がある。」
というもの。
これは、全くその通り。
実際、断熱材の厚みと熱の逃げる量(熱貫流率)のグラフを書くと、右のようになります。
断熱材そのものの性能によってカーブは若干異なるものの、大まかなグラフの形状は変わりません。
グラフを見ると、断熱材の厚みが50mmまでのカーブがとても急で、50〜100mmまでのカーブもまだ傾斜があります。しかし、150mmを超えると緩やかなカーブになっていきます。
細かな値で言うと、断熱材の厚みを50mmから100mmに変えた時、省エネの割合は50%。
100mmから150mmに変えた場合には、同じく33%の省エネ。
150mmから200mmにに変えた場合には、同じく25%の省エネに留まります。同じ、「50mmの厚みを増やす」という場合でも、それが省エネに与える影響は違います。ちなみに、ほとんどの断熱材の価格は厚みとほぼ比例関係にありますので、断熱材だけの価格で考えると、50mmを100mmにするのも、100mmを150mmにするのも、コストアップの額は同じです。
ちなみに、現在販売されているマンションの多くは内断熱で、その断熱材の厚みは30mm前後。
グラフで分かるように、ほんのわずかに断熱材を厚くするだけでも、大きく省エネ性能が変わるレベルの厚みです。費用対効果が高いレベルであるにも関わらず、そこに投資しないのはもったいない。
しかし、内断熱の場合、断熱材を厚くすれば厚くするほど、家の中が狭くなってしまいます。断熱材を100mmにすると、両側で家の中が20cmも狭くなります。よって、内断熱での高断熱化・省エネ化は現実的に困難です。
極端な話、外断熱の場合に断熱材の厚みは、1mでも2mでもOK。しかしながら、グラフにあるように、厳寒地でない限り100mm前後がコストパフォーマンスの高い範囲でしょう。
木造の場合、壁の中が空洞なので、まずはそこを埋めることが大切。
一戸建てで、断熱材の厚みが55mmというような仕様は、断熱材よりも空気の方が多くてもったいない。
省エネには、断熱材のグレードを上げるという方法もありますが、断熱材の種類による差は、(真空断熱材を除けば)2〜3割がいいところ。厚みを2倍にすれば、5割の削減も可能ですから、厚みの変更の方が省エネには効きます。
誰しも、無限に家づくりにお金をかけられる訳ではありませんので、出来るだけ効果の高い部分からコストをかけたいものです。
品質チェック 最終報告
品質チェックの最終報告。
お引渡しが終わった後の新居にお伺いしての報告になります。
午前中に報告を行ったご依頼者とは、夏頃からのお付き合い。
ご依頼者は、アメリカに海外赴任されていた頃からインターネットで第三者チェックを探し、最終的にさくら事務所にご依頼を頂きました。
さくら事務所に決めた理由は、「施主側の立場による、第三者だったから」ということです。
世の中には、さくら事務所以外にも、建築中の工事をチェックする第三者機関はありますが、それらの多くは「施工業者から依頼を受けている第三者」
その立場は、「第三者であって、第三者ではない」という考え方をされていたご依頼者。
建築中の現場に入る時のことを考えると、間違いなく現場に入りやすいのは、施工業者からの依頼によるチェック。チェックの日程が合わなくても、チェック日を変更出来ます。
チェック依頼しているのが施工業者であれば、施工業者はチェックを受けて欲しいのですから、話は簡単。
しかし、私たちは建築主の方からご依頼を受けていますので、施工業者側に工程の変更をお願いするのは難しい現実があり、実際にそれをお願いしません。そのため、同時に複数の物件の着工があるときには、いつも人員の手配に苦労しています。
第三者チェックの業務件数を増やしたい場合には、施工業者側から依頼を頂く方が、建築主からご依頼を頂くよりも、ずっと多くの業務を請けることができるでしょう。
現場のチェックの内容としては、さくら事務所も、他の第三者機関のチェックも大きな差は無いのかも知れません。根拠としている仕様書や法律が同じためです。
しかし、同じ第三者のチェックであっても、決定的に違うのはこれまで述べたような、「立場」だと私も思います。
話が長くなりました。
物事を非常にロジカルに考えるご依頼者でしたので、施工業者選定の頃から、打ち合わせや質問の要点がはっきりしており、その後の進捗もスムーズでした。
こちらの物件で採用された物で良かったものの1つが、温水コンセントと温水ルームヒーター。
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温水コンセント。 電気のコンセントではなく、温水が出てくるコンセントです。当然ながら接続しなければ、普段温水は出ません。 |
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温水コンセントに温水ルームヒーターを繋ぐと、温風が出てきます。 |
温水コンセントの温水は、屋外で作るので一酸化炭素中毒の恐れはありません。
また、給湯器とヒーターを循環するのはお湯なので、火災の心配も無し。温水は最大でも70℃前後ですので、普通のストーブの表面温度である200℃前後と比べてずっと低温で、やけどの心配も減ります。
暖房のパワーですが、これが意外とパワフル。
最大パワーよりもメリットが大きいと思うのが、ローパワーでの運転。
温水ルームヒーターには、風を送り込まない自然対流モードがあり、このモードであればガスや灯油ストーブでは得られない、ローパワー運転が出来ます。
新築時は、熱源は都市ガス。しかし将来、熱源のコストが変わった場合であっても、温水を作ることが出来れば電気でも、ガスでも、灯油でも、太陽熱温水器でもかまわないので汎用性があります。
午後にお伺いした品質チェックの最終報告のご依頼者は、当初の仕様よりも断熱材の仕様を大幅に良くしました。
6棟くらいの現場でしたが、他の物件の省エネ性能とは大きな差があります。
お風呂に基礎断熱を採用したため、お風呂があたたかいと喜んでいました。
また、これまで住んでいたところでは、ハイパワーにしても寒く感じた暖房機が、それ1台でだいたい家中まかなえてしまうと驚かれていました。(そのため、当初取り付け予定だったエアコンも、夏まで取り付けを延期するとか。)
断熱というのは、言葉も内容も地味〜〜〜かも知れませんが、効果を体感されると、その重要性を認識される方が多いような気がします。
悪意なき、基準不適合
ご依頼者の方と施工業者さんのところに赴き、品質チェックの打ち合わせ。
前回、問題のある筋かい取り付け方の図面を書いた業者さんです。
事前に修正後の図面を頂いており、構造部分はチェック済み。いくつか、アンカーボルトを追加して頂きました。
施工業者さんに聞いた話によると、これまでの物件において、金物の強度を計算する「N値計算」を行っていなかったとのこと。「やっぱりか」という印象です。
N値計算のように、「金物の強度をしっかり求めましょう」というように法律が変わったのは、2000年。
既に丸6年が経過していますが、未だにこれを知らない建築関係者が一部に居ます。耐震偽装ではなく、耐震無知。悪意なく、法基準を満たしていないケースです。
今回は、確認申請前に分かったので問題ありませんでしたが、完成後に金物不足が分かったとしても、直すのは大変です。
在来工法で、小さな施工業者さんにお願いする時には、N値計算を行ったかどうかを確認しておいた方が無難でしょう。
(在来工法でも3階建ては、N値計算よりも詳細な構造計算を行っているので、その結果をもらっておきましょう。)
手書きの平面図2枚で家を買う?
品質チェックの着工前の打ち合わせ。
今回が2回目の打ち合わせとなるご依頼者。
前回のお打ち合わせの段階では、平面図が2枚のみ。
建物の形も、仕様も分からない状態。
しかし、この段階でご依頼者は建物の請負契約を求められていました。
前回のお打ち合わせの段階でお伝えしたのは、平面図2枚での契約は早すぎるということ。
自分の買う建物の形も分からないのに、数千万円の契約を結ぶというのは、リスクが大きすぎます。
パソコンや自動車、冷蔵庫や洗濯機などを買うとき、最近ではインターネットでいろいろと調べ、各社を比較することが多いと思います。
自動車なら、大きさや排気量は当然のこと、燃費を気にする方もみえるでしょう。
燃費を気にしないとしても、購入する自動車の燃費はどの位なのか、知ってから買うことがほとんどだと思います。
では、住まいはどうでしょうか。
ひょっとしたら、家電製品や自動車よりも、調べることが少なく買っている人が多いのかも知れません。
家の冷暖房費が、年間いくらくらいかかるのか、購入する前に知っている人はほとんど居ないのではないでしょうか。
家の購入は、自動車や冷蔵庫の購入よりもずっと大きな金額の買い物。
トータルの額が大きいため、設計変更による見積もりの変動で、冷蔵庫やテレビの1〜2台、簡単に買えてしまうこともあります。
契約後に慌てることのないよう、契約までに出来るだけ多くのことを確認しておきたいものです。
分譲仕様・注文仕様
分譲住宅の内覧会(竣工検査)立会いへ。
この施工業者さんの建物は、これまでに品質チェックで、着工 〜 完成までを、何件も見ています。
お伺いした現場の担当者は、私たちのような第三者チェックが初めてだったため、最初は緊張された様子。
現場監督さんと話していると、工法の話になりました。
「うちの基礎はしっかりしていますので、配筋段階から見て欲しかったです」
と一言。確かに、この施工業者さんの基礎はどこの支店でも綺麗です。
(鉄骨造のハウスメーカーは、大抵、基礎が綺麗です。木のように現場で簡単に加工が出来ないため、基礎精度が悪いと建物が建てられないからという理由もあります。)
基礎の幅も他社と比べて広いものの、人通口付近の補強筋の形状から、かぶり厚不足が出やすいことを、品質チェックの現場で実感していましたので、それを伝えると、
「そうなんですよ。あの部分はちょっと現場で苦労します。お詳しいですね・・・」
というご返答。
その後も工法の話になり、施工業者さんのチェック体制について、
「職人さんが白、そして検査員の方が赤色のペンでチェックされていますよね。分かりやすくていいです」
とお伝えすると、
「なんでそんな色まで知ってるんですか!」
と驚かれていました。
着工から完成までを見届ける品質チェックでは、10回以上現場に足を運びますし、図面も当然見ていますので、1度現場を見ればほとんどの仕様は頭に入っています。
必然的に、各社の施工方法には詳しくなります。
チェックの結果、大きな指摘はなく、軽微なものばかり。安心しました。
この業者さんで、私が「良いことだな」と思うのは、断熱やサッシの仕様が、分譲でも注文でも変わらないこと。
サッシは全てLow-Eですし、1階などは防犯ガラスになっています。
断熱の仕様も同じ。つまり、基本性能が同じということです。
フローリングの種類やキッチンのグレードは、分譲と注文で違うかも知れませんが、それはあくまで表面的なもの。
建物の性能には関係ありません。
基本的な建物の仕様が、分譲でも注文でも変わらないというのは素晴らしい。
基本的なスペックを守るという企業姿勢だと思います。
大抵は、分譲と注文で断熱の種類や厚みが変わったり、サッシのグレードが落ちていたりしますから。
ブランドや会社名が同じでも、建物の中身は全然違うケースです。
分譲と注文で、大きく断熱やサッシの仕様が違うということは、そこに重点を置いておらず、こだわりも無いということでしょう。
性能にこだわりがあり、それを提供しようとしている業者さんであれば、断熱やサッシの仕様はどんな商品シリーズであったとしても、必ず一定の水準以上を守るはずなのです。
有意義な検査と、面白い大工さん
前回構造のチェックを行った、品質チェックの現場に、再び。
今回は、施工業者さんの構造担当者が立ち会って下さいました。
現場に入って、さっそくチェックを。
筋かいの追加はOK。スキップフロアの物件のため、1棟の建物でも、構造面では2棟で検討しています。その境部分の検討もOK
この物件は専用の金物を使った在来工法ですが、構造担当者はツーバイフォー工法(枠組壁工法)の技術委員の方であることから、構造には大変詳しく、質問に対する答えが明確で助かります。
今回の重要確認事項は、梁を貫通する排水管。
構造計算が行われている物件であるため、該当箇所の部材の計算書と照らし合わせながら確認します。
「ここのせん断力は、○キロニュートンで、この部材の貫通部分の断面積は、△△cm2あり、部材の耐力が上回っていますので、大丈夫です。」などという、分かりやすい解説付きです。
貫通部の位置は指定通り。梁の強度も十分で問題ありませんでした。
この物件には、表しとなるたすき掛けの筋かいがあります。
強度をあえて低く見積もってあるものの、構造的に必要な筋かいです。
その納め方について構造担当者と少し考え、大工さんにも意見を求めてみました。
すると、
「バーミヤンみたいに緑色に塗ったらいいよ!」
と、面白半分な答え。
しかし、面白い大工さん、これで止まりません。
「バ〜ミヤン♪ バ〜ミヤンったら、バ〜ミヤン♪♪」
と、自作の歌がチェックの間続きました。
こちらの大工さん、いつもなかなか面白い。
前回は、
「この間の物件でさ、図面に「ジャパニーズルーム」ってあったんだよ。何だと思う?
そしたら、和室だよ、和室!
なんだよそれ!素直に和室って書けばいいのにさ。
ジャパニーズルームじゃ、俺たち何作ればいいのかわかんねぇよ!」
とか、
「そういや、この間の物件はあれだったな。オール家電。」
それは、オール電化でしょ!
こうして、チェックは楽しみながらも、無事に済んだのでした。
チェック後の夜、構造担当者から頂いたメール。
PS
構造屋さんにしろお役所さんにしろ大体杓子定規
な方が多いのですが、本日は久々、真剣に意味
あるご相談のできる方にお会いできたとうれしく存
じております。
今後ともよろしくお願い申し上げます
こちらこそ、いろいろ納得の上で確認できましたし、大変助かりました。
今後ともよろしくお願い致します。
筋かいの角度
品質チェックの事前相談。
現時点では、確認申請前の打ち合わせの段階のご依頼者です。図面を持って来社されました。
図面を見ると、構造的に問題のある筋かいが見つかりました。それは、下の図面のどの位置でしょうか。
考えてみましょう
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答えは、筋かいの角度が急すぎる ということ。
筋かいの理想的な角度は、45度です。しかし、実際には45度に筋かいを入れるというのは難しく、これよりも急な角度になることがほとんどです。
筋かいは、あまり急な角度で入れすぎると、定められた強度を確保できなくなります。
押し入れの戸に、突っかえ棒を入れることを想像してください。
戸を閉めた状態で突っかえ棒を入れれば、突っかえ棒の角度が緩く、なかなか開くことができないでしょう。
しかし、押し入れの戸を半分以上開いた状態で突っかえ棒を入れたとしても、その角度が急すぎて、あまり効かないことが想像できるでしょう。
普通の建物において、筋かいを有効に働かせるためには、筋かいを入れる場所の幅と高さの比率を、1:3よりも緩くする必要があります。
建物の一般的な高さというのは、大体決まっていますので、筋かいを入れる場合には、900mmよりも広い箇所に入れるのが普通です。
900mmよりも短い距離の場所に筋かいを入れても、角度が急すぎて有効に働きません。
最初に示した図面では、590mmと770mmの部分に筋かいを入れようとしていますが、これを耐力に含めるのは、危険な設計です。
ちなみに、構造用合板のような面材の場合、600mmの幅から有効になりますので、770mmの箇所に面材を張れば、それは有効です。(特殊なものでは、500mmから有効です。)
今回の設計図面では、2000年に変わった法改正が守られておらず、ホールダウン金物の位置が不適切で、大幅に不足していました。
ご依頼者が、ホールダウンを入れる箇所について設計者に質問したところ、
「通し柱がある位置で、筋かいがたすき掛けに入るところ」
と説明されたそうですが、はっきり言って滅茶苦茶です。
そんな事は法律に書いてありません。金物の種類の計算(以後、「N値計算」)を行っていないのは間違い無いと思います。
このまま確認申請を出すのは危険なので、全て図面が揃い、事前にそれらの計算が行われたことを確認した後、確認申請を出す手順にしました。
しかしこれらの確認は本来、確認審査機関の業務。
確認審査機関によって、N値計算の結果求めてくるところと、全く提出が不要なところがあるため、法改正から7年目の今日でも、法律が守られていない物件が作られているという現実があります。
そういえば、先月何度も足を運んだ構造設計事務所で、こんな話を聞きました。
2000年以後の物件で、N値計算を行っていなかった引渡し済みの物件において、施工業者が所有者から裁判を起こされ、その構造設計事務所にヘルプを求めてきたというものです。
しかし、N値計算を行っていなかった施工業者が悪いのですから、そのまま帰ってもらったそうです。その後の結果は分かりませんが、まず施工業者が勝てる見込みは無いと思います。
「木造だから」と、構造を軽視している建築関係者が多いように感じますが、いかがでしょう。
エアコンの設定温度 18℃
神尾さんと、朝から都内で品質チェックの内覧会立会いへ。
1年以上前から、100回程度足を運んだこの現場もようやく内覧会。去年の今ごろは、まだ杭工事の段階でした。
工事の途中で水平・垂直を確認しているので、この内覧会では主に各部の調整具合のみ確認。それでも、2人で1日5件はややハード。
内覧会が終わった後は、高速道路に乗って西に移動。
品質チェックの最終報告です。
これまでの品質チェックで、最も省エネ性能が高い、この物件。
Q値(熱損失係数)は計算していませんが、多分、1.3 W/m2Kくらい。2×6の内側にウレタン充填+外張り20mm、サッシは木製または樹脂のLow-Eに熱交換付きの換気装置ですので、そのくらいの性能にはなるでしょう。
次世代省エネ基準の、2倍以上の断熱性能です。
気密性能(C値)は、実測値で0.4cm2/m2でしたので、こちらは次世代省エネ基準の12.5倍。断熱性、気密性どちらも優れた躯体性能です。
この性能まで来ると、冬は問題なく、夏の遮熱対策が非常に重要。
物件の中には、先に来ていた安彦さんとご依頼者が2人で談話中。
お子様が生まれたばかりなので、奥様は実家に里帰り中です。
建物の中は、玄関からほんのりあったか。しかし、エアコン(全館空調)の設定温度は18℃でした。
持ってきた放射温度計で、床や天井の温度を測ってみると22℃ほど。床と天井の温度差は0.5℃もありませんでした。床暖房はありませんが、床が冷たいということはありません。
エアコンの設定温度18℃と、室内の床・天井面の22℃との温度差、4℃はどこから来ているのかというと、照明や冷蔵庫、テレビなどの内部の発熱や、人体からの発熱、太陽の日射です。
省エネ住宅を勉強している方のために簡単な計算方法を。
太陽が沈んだ、夜の状態で計算です(つまり、日射量を無視)
Q値が1.3W/m2K・床面積が100m2の建物の室温を、1℃上げるために必要なエネルギーは、
1.3W/m2K × 100m2 × 1K(温度差) = 130W
つまり、室温を4℃上げるためには、520W(=4×130)必要であることがわかります。
家電による内部発熱は一般住宅の場合、床面積1平方メートル当たり4ワット程度。つまり、4W/m2。
床面積を100m2とすると、内部の発熱は 4W/m2×100m2= 400W
大人1人の発熱量は、100Wほど。そのうち、潜熱(説明省略)が4割だとすると、実質的には60Wとなります。大人2人だと、120Wですから家電による内部発熱400Wと合わせると520Wとなり、つじつまが合います。
ちなみに、室内の発熱量が同じであっても、建物の断熱性能が不十分で、次世代省エネ基準ギリギリ(2.7 W/m2K)の場合、室温の上昇は2℃にもなりません。
この建物は、取り壊されるまで、ずーっと高い省エネ性能を持ちつづけます。私の予想では、年間の冷暖房費は全館空調でも5万円ほど。
次世代省エネ基準が新しくなったとしても、間違いなくクリアできます。次世代省エネ基準の、次の次の基準でもクリアできるでしょう。20年は先取りの性能だと思います。
石油やガスの値段が上昇して、エネルギーの単価が高くなればなるほど、施主にとってはメリットのある建物です。
初期投資にかかった費用も、長い年月では回収できるでしょう。それ以上に、快適性のメリットが大きいかも知れません。
この建物は、住まいの省エネに関して、よく学ばれたご依頼者の努力の結果だと、私は思います。
大工さんの自分の家
菊地さんと、朝から品質チェックの内覧会立会いへ。
内覧会立会いといっても、ご依頼者がみえるのは、午後3時頃から。
しかし、その時間からの確認では、終盤に暗くなってしまうために事前にチェックです。
指摘事項に大きなものは無し。軽微なものは、現場監督さんにその場で直して頂きました。
近くにあるラーメン屋で昼食をとった後、車で南下。
大泉までは良かったものの、環八で渋滞。
次の品質チェックの現場に着くのが予定より遅くなってしまいました。
この現場は、先月に構造チェックを行ったところ。
まだ全て直っていないとは思いますが、確認できるところだけでも済ませます。
筋かいの金物の修正、OK!外周部の釘の打ち増しも確認。
しかし、大工さんから大きな問題を教えて頂きました。
現場に入っていた図面や、私がもらっている図面と、役所に提出している図面に相違があり、筋かいがこれから数本追加となるというのです。
ありゃりゃ。しかし、このような事は、過去にも他の現場で何度かありました。次回確認するとします。
現場の大工さんは、56歳。
3人の子供が居て、長男は春から高校1年生。
真ん中が小学生、そして末っ子は6歳だということ。
つまり末っ子は、50歳の時の子供という訳です。
「子供の運動会で走るのが辛くてね。
子供じゃなくて孫みたいなもんだよ」
そう言っていた大工さんは、何だかとても嬉しそう。
今でも子供3人と一緒にお風呂に入っているのだとか。
かなり賑やかそうな入浴です。
「お風呂の湯がほんの少しだけで済んじゃうよ!」
と笑っていました。確かにそうでしょう。
大工さんの悩みの種は、今住んでいる家の増築。
子供部屋をどのように確保しようか、悩んでいるそうです。
これまで多くの大工さんに聞きましたが、自分の家を自分で作っているのは少数派。
大抵は、「いつまで経っても終わらないから」などという理由で、知り合いの大工さんに作ってもらっているようです。
仕事が大工さんなのですから、自分で作れそうなものですが、何だか不思議な感じがします。