自然災害に見舞われた1年・・・被災した空き家が近隣に及ぼす危険

  • Update: 2018-11-09
自然災害に見舞われた1年・・・被災した空き家が近隣に及ぼす危険

先日、大阪の繁華街で9月の台風21号で大きく損壊したままの空き家が放置されているというニュースがありました。

今にも崩れ落ちんばかりの屋根や外壁に、近隣にお住まいの方や通勤・通学で近くを通る方はさぞ不安かと思います。

ですが、地震や台風など多くの自然災害に見舞われたこの1年。このように被災したまま放置された空き家、実は日本全国にあるのではないでしょうか? 

自身の住まいが被災したとなれば、皆さんすぐに補修の手配をすると思いますが、近隣の空き家となるとやはり他人事でしょう。

ですが、実はそのような空き家は、放置しておくと近隣に思わぬ被害をもたらすことがあります。

今回はホームインスペクター(住宅診断士)が、被災した近隣空き家を放置した場合のリスクについて解説します。

1. 屋根などの破損した箇所から動物が入り込み、棲みついてしまうかも

台風や地震で破損した箇所や、屋根のずれた瓦などから小動物が侵入してくる可能性があります。

そのまま棲みついたり、そこで繁殖した動物たちが周辺の敷地や家屋に侵入してくるかもしれません。

また、その糞尿は臭いや衛生面でも近隣の方が大きな迷惑を被ることにもなるでしょう。

2. 積雪で倒壊!注意したいのは車庫やカーポート

昨年の冬も、雪の重みで倒壊した空き家が所有者不明のため代執行で取り壊されるニュースがありました。

空き家そのものにももちろん注意が必要ですが、あわせて気をつけたいのが車庫やカーポート。

片持ち屋根と呼ばれる片側だけで支えてある構造のものは、近年の積雪で倒壊してしまうケースが多数報告されています。

地震や台風で既に傷んでいるようなもの、明らかに経年劣化の進んでいるものは特に注意が必要でしょう。

3. 浸水被害を放置しておくと、シロアリが・・・

多数の台風により各地で浸水が起こった1年。

自宅ならまだしも、空き家で浸水していてもなかなか気が付かないでしょう。

「その建物の耐久性が落ちても自分には関係ないから問題ない。」と思うかもしれませんが、問題はシロアリの発生。

湿った土台などの木部を好むシロアリが発生すれば、近隣の住宅にも被害が広がる可能性があります。

4. 台風21号の際も大きな被害が!太陽光パネルやアンテナなどが強風で・・・

明らかに崩れ落ちそうな屋根や外壁などは近づくのを避けることもできますが、怖いのは飛来物。

台風21号の際には、強風で巻き上げられ、周辺に散乱した太陽光パネルの衝撃的な画像がニュースにもなっていました。

そのほかにも瓦やアンテナ、樋など建物に取り付けられていた付属物が、台風や地震などの影響で固定が緩んでいるかも知れません。

北風や強風で飛んでしまい、通行人に怪我を負わせたり、近隣の住宅を破損させるなどの被害が及ぶ可能性もあります。


いかがでしたでしょうか?

2015年に施行された空き家対策特別措置法により、市区町村は所有者に撤去や修繕を勧告、命令できるようになりました。

これまで実際に行政が解体に動くに至った契機は、やはり多くが市民の通報によるものだったようです。

近隣に放置されたままの空き家があれば、思わぬ被害が発生する前に、行政への連絡をおすすめします。

また、災害の多い年でしたので、見えないところで漏水や破損などの被害はなかったか、年の最後にご自宅の点検もおすすめします。

お気軽にホームインスペクター(住宅診断士)までお問い合わせください。