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作業着のホームインスペクターが、一流女性ファッション誌に掲載されるまで

黎明期からさくら事務所でコンサルティング事業&経営企画に携わるスタッフに、入社当時のことを話してもらいました!


経営企画室 辻 優子

さくら事務所経営企画室執行役員、宅建士・一級建築士・JSHI公認ホームインスペクター。一緒に人と不動産の関係を良くしてくださる人を猛烈に募集中の、HR担当です。二児と犬一匹の母。


創業6年目当時の様子

はじめまして。さくら事務所経営企画室の辻 優子です。

私は2005年からさくら事務所に在籍しており、これまでの間に2度ほど産休・育休を取らせてもらったりしております。入社した頃のことは昨日のように思い出しますが、いまやさくら事務所は創業20年超。入社したのは創業6年目のベンチャー黎明期で、今とはちょっと違う雰囲気でした。

 

ちなみに私とさくら事務所の出会いは、前職不動産会社に勤務しているとき。

当時は建築職だったのですが、販売の現場に行ったところ、ある営業スタッフが「この前契約のとき、さくら事務所という会社が立ち合いで来て、その人が自分のことをブログで褒めてくれてる!」と、自慢しに来てくれたことがきっかけでした。

『販売の担当者は、私(さくら事務所不動産コンサルタント)からの質問について、わからないものはきちんと確認して答えてくれ、非常に良い契約会だった』『次は内覧会に同行してチェックする予定』というような内容だったと思いますが、不動産や建築についてのユーザーエージェントの仕事があることを、初めて知りました。

 

でも、そのときは「へえー」くらい。すっかり、まるっと忘れていました。

それから数か月経った頃、たまに訪問する販売現場で購入検討者の方に質問を受ける機会が増えてきたのですが、どうしても「自社の物件を必ず選択肢として推さなくてはいけない」状況に。もちろん自社物件の建築に自信はありましたが、そもそもで「今買うのか」だったり「この場所なのか」だったりというところは提案することができないことがもどかしくなりました。

 

そんなモヤモヤした状況の中、ふと、夜、さくら事務所を思い出してホームページを見たんです。

当時は創業者長嶋による手作りで、見た目もカッコイイものではなかったけど、でも、スタッフの活動が見えて、何よりも「ユーザー」と「業界」への両方を良くしたい想いが伝わってくるものでした。(提供してるサービスもごくわずかで、業界論の情報が盛りだくさんなページ)

 

それを見ていたら、自分が何ができるかとかそんなの何も考えることなく、夜中に一気に履歴書を作ってメールで送ってたんですよね。採用情報とかなんにも載ってないホームページでしたが、ゲリラ的に送っちゃって。

面談に呼ばれ、当時社長だった長嶋や当時の役員と話をしましたが、「あれ?採用の話ってどうなるんだ?」と後で不安になるほど、この業界をどうしたいとかいう業界トークばかりした記憶が。

 

たしか「ごめん、履歴書ろくに見てないんだけどさ」からスタートし、帰るときに「一緒に仕事したい感じするな」と言われた記憶があります。キャリアがどうかよりも、一緒に誰とどうしたいかのところで、採用してもらった感じですね。

これは今も全く変わってない。HR担当として、さくら事務所の採用のポイントだと思っています。

 

さて、さくら事務所入社日で出社初日。どんな仕事をやるのかな~♪と胸を躍らせ、当時のオフィス・日本橋茅場町のビルに出社したところ、ヒトがほとんどいない。

当時の社員メンバーは不動産コンサルタント・ホームインスペクターだけで構成されていたので、ほとんどのスタッフが連日調査に飛び回っており、誰一人、新たに入ったツジにこれをやらせておいての指示もすることなく、出払っていたわけです。今では考えられない放置っぷり!

 

でも、創業数年で、まだまだ「個人向け総合不動産コンサルティング」というものが広まっておらず、コーポレート機能みたいなものを持つよ何よりも、とにかく日々、私たちがご協力できる現場数を増やしていくことが命題の時期。

ちなみに、そんな歓迎の「カ」の字もなかった入社初日のオフィスでニコニコ迎えてくれたのは、広報PRマーケティングをたった一人で担当していた「ひとり広報室長」で現社長の大西 倫加でした。(当時の大西は、私同様のヒラ社員)

懐かしい日本橋茅場町のオフィスでの写真・・・

何をするか探すことが仕事の一歩目

他の建築系メンバーはホームインスペクション(住宅診断)が行えたので、依頼現場に毎日行って仕事してましたが、入ったばかりの私は建築士とはいえ、何をやっていいのか全然わからず、ただくっついていくだけ。そんなの、仕事じゃないわけで・・・

まずは、自分にできることから始めてみようと思って最初に手を付けた仕事が、「コラムを書く」こと。当時はまだインターネットも黎明期でしたが、さくら事務所のような資金も何もない会社を世に知ってもらうために、創業者長嶋と広報室長大西はWEBマーケティングにかなり力を入れていて、主力コンテンツが「住まい選びに役立つ専門家によるコラム」でした。

これなら今の自分にもできる!と思い、誰にも頼まれていないのに、とりあえず「マンション内覧会の日にやっておきたいこと」みたいなコラムの原稿を書いて、大西に添削をお願いしたのを思い出します。

やっと、ホームインスペクターになった!

黎明期ゆえ、とにかく現場で経験を積んでいく、いわゆるOJTという修行を経て、数か月経たないうちに、私もホームインスペクター(住宅診断士)として仕事ができるようになりました。

 

今や不動産売買のときにはホームインスペクションを入れる方が本当に多くなりましたが、十数年前はまだまだ「ホーム・・・イン・・?」と、一回で聞き取ってもらえないくらいの認知度。携帯電話の予測変換なんかも「インスペクション」というキーワード自体登録されてませんので、一文字ずつ打ってました。(今はさすがに「インスペ」でインスペクションが出てくる!)

 

転職したことを知人に話すときにも、何をやってる会社なの?と聞かれて、日本の不動産売買の背景から、欧米先進諸国では当たり前にホームインスペクションが行われていることを話したりしないと、理解してもらえないような状況でした。

 

でも、さくら事務所・ホームインスペクションの成長の手ごたえは間違いなくあり、大手新聞・テレビをはじめとするメディアの方々からも「これは広めていったほうがいい」とご賛同いただく機会が多かったので、歴史を変えていくメンバーの一人として活動できることが本当に誇らしかったです。歴史を変えていく仕事は、今もまだまだ続いています。

知られてないよね?からの一流ファッション誌掲載

やっとタイトルの話になるのですが、私はさくら事務所に入るまで「広報」とは、問い合わせを受けて対応したり、会社が何かを決めたらお知らせを流す仕事みたいな認識でしかありませんでした。

でも、創業者長嶋と、現社長で当時のひとり広報室長大西による「さくら事務所の広報PR活動」は衝撃的でした。

 

自分を住宅や不動産のプロと呼ぶのが恥ずかしくなるくらい、PR畑出身の大西のほうが建築や不動産の業界情報に精通し、不動産・住宅業界のあらゆるリーダーたちとの交流を持っていて。

自社サービスを売るのではなく、社会の課題が何かを深く知り、それをどうしていきたいからこのサービスをやっているのだと紹介することこそが、さくら事務所の広報PRでした。

実務面を担当するホームインスペクター・コンサルタントとして、知ってもらう活動は本当にありがたいものでした。サービスをご利用くださった方や現場にいらっしゃった建築・不動産業界の方はその場で私たちの活動を見て知っていただけますが、どうしても、その数はごくわずかでしたから。

 

でも、少しずつ広まりつつあっても、まだまだ【ホームインスペクション=建築士=おじさん=ちょっと怖そう=不動産会社と戦う気満々の人はぜひ使ってください!】みたいな印象はぬぐい切れていなかった時代で、女性ホームインスペクターは関西に1名、首都圏に私一人というごく寂しい状況でした。

前職は不動産会社社員で施工管理、営業、本社戦略部門など経験したのですが、そのときもいずれの部門でも女性は本当に少なかった。建築不動産によらず、2000年代初頭は今では当たり前の「女性の社会進出」を推奨されているような時代だったのです。

 

でも、ご利用される方の中には、女性お一人なので女性ホームインスペクターに来て欲しい方もおられましたし、女性目線でのチェックをご希望されるご家族などもおられました。

また、そもそもで建築・不動産のプロフェッショナルとして訪問させていただくにあたり、男性だから女性だからというのは関係しない仕事ですから(重量物を移動させるといったことはナイ)男女がいて当たり前にしたいと思っていました。これはひとり女性ホームインスペクターだった私だけでなく、広める役割を担う現社長大西も強く思ってくれていて。

 

そこで、広報室長大西は「ホームインスペクター」という職業を広く世に知ってもらうために、私・ツジを題材とした企画書をつくり、大手出版社さんに提案しに行ってくれました。

その提案先の媒体は、キャリア系雑誌とかではなく、まさかの世界的モデルなども登場する超一流有名女性ファッション雑誌。

 

提案書にネタとして使ってもらっていた私は、その媒体名を見てたまげましたよ・・・。

写真が残ってないのですが、一戸建ての床下や天井裏、マンションの地下ピットなど、あらゆる場所に入って調査する日々でした。

有名ファッション雑誌のカメラマンと記者さんがホームインスペクションに同行

結果的に、大西の企画書が見事編集部に採用され、さくら事務所以外にも不動産業界で活躍する女性に同行する特集記事が一流ファッション誌に掲載されました。

 

ホームインスペクターの仕事は非常に珍しかったのか、他の企業さまのインタビュー記事の倍の面積・2ページにわたって私の同行・インタビュー記事を載せていただきました。

さくら事務所のユニフォームを着て、脚立に上って天井裏をチェックしたり、壁の傾きを機械で計測したりといった写真と、どうしてこの仕事を選び、どんな仕事をしているのかなど。

ファッションのために雑誌を読む方に「ホームインスペクション」「住まいを建築士が調べるサービスがある」ということを知っていただく機会となりました。

 

ちなみに他の企業の方々はスーツ姿の写真でしたが、私はガッツリ、さくら事務所ユニフォーム(チノパン+さくら事務所のジャンパー)。

床下や天井裏をのぞきこんだり、脚立に上ったりのいわゆる「ガテン系」ってやつで。そのファッション誌をずっと愛読していた私としては「脚立に上る人が掲載されたのは初めてではないか・・・?」と、ファッション誌だけどユニフォーム姿であるミスマッチにそわそわしましたよ。(嬉しかったけど、読んだ方はどんな印象なのかなー?と思い)

ちなみにこんなことは二度とあるわけないと思い、掲載誌を数冊買い、家に置いてあります。掲載ページだけじゃダメなんです。表紙の一流モデルさんなど、本全部に対しての私の記事じゃないと・・・!(もう少し子供が大きくなったら自慢する気満々です)

 

ファッション誌以外にも大西は声をかけてくれて、その後もいろんな媒体の取材依頼をいただきましたが、前述のとおり当時の時代背景的に、女性の仕事にはこんなのもあるんだ!新しい仕事を切り開いていこう!という発信の意味もあり、この紙面掲載は私にとっても仕事をがんばる励みとなりました。

さくら事務所は皆、未経験からスタート

もとは不動産、建築の経験を生かそうとしてさくら事務所に入りましたが、実際のところは建築についても資格はあっても「業務未経験」の新人からのスタートで、さくら事務所で初めて携わる仕事を必死にやってきた17年です。今も、いろんなことの新米です。

 

でも、さくら事務所は入社当時もいまも、「横断的に仕事をする」「誰が手を挙げて携わってもいい」「皆がいろんなものを兼務していく」というスタイルで、広報PRマーケティングや、社内の仕組みを作る仕事もたくさん携わられてもらってきているので、さくら事務所という船のクルーとしては案内人・番頭はできてきているかな?と思っています。

職種として「●●職です」とか書けない(笑)さくら事務所ならではの状況です。

 

こんな風に、さくら事務所では、新しい自分を仕事を通して生み出していくことができます。

「さくら事務所は専門家じゃないととても応募できなさそう」「自分なんて無理じゃないか」といったお声をいただくことがあるのですが、私たちさくら事務所は、携わりたいと思ってくださった方と何ができそうかを考える会社なので、そういったご心配は無用です。

 

社長の大西と一緒に進めてきた「まかない採用」は、「さくら事務所が気になってしまう・・・」と少しでも興味を持ってくださる方に対し、ほんっとにゼロベースからご一緒できる方法を考えているのです。社員?業務委託?未経験のこれやってみてもらえそうかな?とか、先入観なしに採用チームで話し合って、カジュアル面談させてもらっているんですよ。

 

特に今、コンサルティング事業(ホームインスペクションやマンション管理組合向けコンサルティングなど)の仕事を一緒にやってくれる後輩がほしい!ので、さくら事務所が気になってしまう方がいたら、ぜひ、お声がけください!(最後はスタッフ募集の告知をしてしまった・・・)

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