地震大国、日本。この国で暮らす誰もが、「揺れない家」「地震に強い家」に住みたいと思っているはずです。住宅選びの際に耐震性能をチェックするのは、もはや常識。
しかし、よく考えてみてください。地震が起きた時、住宅よりも先に揺れるのは……?
そう、「地盤」です。地盤が揺れることで住宅が揺れるというわけですね。つまり、住宅の耐震性能がいくら高くても、揺れやすい地盤の上に立っているようでは、あまり意味がないのです。
では、地盤が揺れやすいかそうでないかは、どう調べればいいのでしょう。
新築住宅を建てようと考えて下調べをしていらっしゃる方は、こう思うかもしれません。「家を建てる時には地盤調査を行う義務があるから、大丈夫なのでは?」と。
確かに、地盤調査は必須です。厳密に言うと、新築住宅を建てる際には瑕疵保険への加入が義務付けられており、その瑕疵保険が地盤調査を義務付けています。
「地盤調査」も「ハザードマップ」も不十分!?

ここで行われる地盤調査とは、どのようなものなのか。一般的には、「スウェーデン式サウンディング試験」「ボーリング調査」という種類の調査が行われています。
スウェーデン式サウンディング試験では、建物周辺の四隅に重りをつけた鉄の杭を打ち、地盤の硬さにばらつきがないかを確かめます。
たとえば、どこか一端の地盤が柔らかい場合、この上に建物を建てると地震も何もないのに傾いてしまうことがあります。これを「不同沈下」と呼びますが、この不同沈下のリスクを減らすための調査がスウェーデン式サウンディング試験なのです。
一方のボーリング調査では、ボーリング孔と呼ばれる穴を掘り、その穴に重りを落下させて、地盤の硬さを測定します。同時に、土のサンプリングを行い、地質を調べます。つまり、これらの調査では、建てる住宅の重さに対して地盤が耐えられるかどうかはわかるものの、実は、「揺れやすいかどうか」までは調べられないのです。
では、ハザードマップはどうでしょうか。任意の地域の地震災害リスクを調べることができ、参考にする方は多いでしょう。
ところが、2016年4月に発生した熊本地震では、建物が建っている場所の地盤によって住宅の被害が大きく異なるという現象が確認できました。さらに、全壊した建物が多い地域と被害が比較的小さかった建物の多い地域が隣り合っており、道を一本挟んだ距離であっても地盤が異なり、揺れやすさも異なっていたということがわかったのです。
しかし、ハザードマップや揺れやすさマップでは、「道を一本挟んだ距離」のようなピンポイントの広さの地盤についての情報は得られません。つまり、ハザードマップや揺れやすさマップで得られる情報だけでは不十分ということなのです。
揺れやすさを調べるには「微動探査」

そこでおすすめしたいのが「微動探査」です。微動とは、自動車や電車など交通による振動、河川や海などの流れによる振動など、人間が感じることのできないわずかな揺れのこと。敷地内に専用の微動探査機を4台置き、数十分間そのまま放置することで地盤の微動を計測します。これにより、その土地の地盤の揺れやすさを調べることができるというわけです。具体的には、地震の際に地盤がどのくらい揺れるかを示す「表層地盤増幅率」、どういった地震で建物が共振しやすくなるかを示す「地盤周期」、どの深さにどのくらいの硬さの層があるかを示す「地盤構造」といったデータが得られます。
「そんな調査方法があるのに、なぜあまり知られてないのか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実はこの微動探査、羽田空港の建設など国家プロジェクト級の建設案件やビルなどの大規模建築物を建てる際には以前から活用されていました。それが近年の技術革新によって費用が抑えられるようになり、個人住宅の建築時にも使われるようになってきたのです。
さくら事務所では、この微動探査を活用した「【建物×地盤】地震対策トータルアドバイス」というサービスを木造一戸建ての住宅に対して導入しました。微動探査でその土地の揺れやすさを測定し、この結果をもとにホームインスペクター(住宅診断士)がマイホームを地震から守るための方法をアドバイスします。土地を購入する前の段階でも、新築住宅の設計中、工事中でも利用可能です。また、中古住宅の購入を検討している場合に、既に物件が建っている土地の調査をすることもできます。
強い地盤で震度5が計測された地震が起きたとして、「揺れやすい」地盤では、その震度が6強~7になることもあるというデータがあります。「揺れにくい」住宅で暮らすには、まず「揺れにくい」地盤を選ぶこと。ぜひご利用ください。