【新型コロナウイルス感染拡大による経済政策】
2021年度住宅ローン減税の見通しと利用時の注意点

  • Update: 2020-12-11
【新型コロナウイルス感染拡大による経済政策】2021年度住宅ローン減税の見通しと利用時の注意点

※本記事は2020年12月1日現在に報道された情報をもとにしており、政府の方針により2021年度住宅ローン減税の要件は変更になることがあります

住宅ローン減税(控除)とは

正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合、一定の期間に限りローン残高に応じて所得税や住民税から控除されるという制度です。
具体的には、年末時点のローン残高の1%にあたる、控除限度額が年間40万円(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅は50万円)までの減税を、通常、10年間受けることができます。
ここでは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、経済対策として政府が検討する2021年度の住宅ローン減税案と住宅購入時の注意点について解説します。

コロナ禍による経済冷え込みの対策で、延長と拡大が決定

2020年度は、2019年度10月からの消費税増税による消費落ち込みを防ぐための対策として、通常10年間の控除期間を3年長く適用する特例措置が設けられており、この措置は2020年12月末までに入居した物件が対象となっていました。
ですが、新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷への経済政策として、政府はこの特例措置の対象となる入居期限を2022年12月末まで、2年延長する方針を打ち出しました。
そのほかにも、減税が受けられる住宅の床面積の要件を緩和するなど、新型コロナ感染拡大を受けた負担軽減策として、2021年度は前年度より利用可能な物件が増えると考えられます。

住宅ローン減税の2020年度と2021年度案の主な違い

【2020年度】

  • 年末のローン残高の1%が対象
  • 2020年末までに入居する物件について、通常10年の控除期間を13年に延長する特例措置
    ※新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年9月末までの契約などを条件に2021年末までの入居者も適用
  • 床面積は50平米以上が対象
  • 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

【2021年度案】

  • 控除期間13年への特例措置の対象を2022年末までの入居に延期
    ※契約期限は新築一戸建ては2021年9月末、マンションは同年11月末
  • 床面積は従来の50平米以上に加え、40平米以上も対象
  • 床面積40平米以上50平米未満の物件の場合、所得金額が1,000万円以下であること

このように、特例措置が適用される期間の延長とともに、住宅ローン減税が受けられる物件の面積要件が緩和されたことが新たな違いです。

狭い物件で住宅ローン減税を受ける場合の注意点

2021年度に向けた税制大綱案では、従来は50平米以上とされていた利用可能な不動産の床面積の下限を40平米に引き下げるとされています。
従来は「両親+子供」といったいわゆるファミリーが住む集合住宅などを想定していたため、最低でも50平米以上となっていましたが、世帯構成の多様化、単身者層の増加などに合わせ、より狭い40平米以上の物件が対象とされるようです。
ここで注意したいのは、住宅ローン減税は、居住用の不動産に対する住宅ローンにのみ適用される制度であるということ。賃貸に出す目的の投資用不動産の購入については、住宅ローンを組むとしても利用できません。
従来より狭い住宅も減税の対象とすることから、2021年度の住宅ローン減税案においては、富裕層が居住用として住宅ローンを組んで購入したのちに投資用に転貸するといったケースが発生しないよう、40平米以上50平米未満のコンパクトマンションについては、所得金額1,000万円以下の方のみを対象とすることが打ち出されています。
居住用としての購入に加え、狭い床面積の物件では所得制限があることも留意しておきましょう。

中古住宅は「新耐震」が減税対象外のことも

中古住宅を居住用に買って住宅ローン減税を利用する際、物件が居住用であること、床面積が対象面積以上であること、入居時期が対象期間内であることなど以外にも、以下の要件を満たす必要があります。

  • 取得日における築年数が木造住宅で20年以下、マンションなど耐火建築物の建物で25年以下であること
  • 一定の耐震基準に適合する建物であること
  • 2014年4月1日以後に取得した要耐震改修住宅のうち、取得の日までに耐震改修を行うことを申請し、かつ入居するまでに耐震改修が実施されていること

ここで注意が必要なのが、木造住宅は築20年以下、マンションなど耐火建築物は築25年以下の物件というように、「構造種別とそれに応じた築年数」が要件になっているということ。
一般的に広く知られている「昭和56年」を境目とした建物の耐震性能「新耐震」「旧耐震」は住宅ローン減税には関係しないのです。
中古住宅の売買においては、建物が新耐震なのか、旧耐震なのかといったことを気にして購入される方も多いですが、新耐震建物であっても、木造住宅は築20年超、鉄筋コンクリート造等は築25年超だと、住宅ローン減税の対象にはならないことを知っておきましょう。

築20年以上の木造住宅で住宅ローン減税を受けるには

前述のように、築20年以下の木造住宅、築25年以下の鉄筋コンクリート等の耐火建築物以外は、「一定の耐震基準に適合する建物であること」を証明することで住宅ローン減税が利用できます。
この証明ですが、下記のいずれかを取得することで可能となります。

  • 耐震基準適合証明書の取得
  • 耐震等級1以上の建設住宅性能評価書の取得
  • 既存住宅瑕疵保険検査への適合

ここで注意が必要なのは、鉄筋コンクリート造の中古マンションです。分譲マンションの場合、管理組合という住戸の所有者団体による実施の許可を得る必要があることと、正確な耐震診断にかかる費用は通常は100万円単位となることから、耐震基準適合証明書の取得は容易ではありません。
対して、昭和56年6月以降に建築確認申請が行われたいわゆる「新耐震」の木造住宅については、建築士の耐震診断により現行法同様の耐震基準(評点)が確認できれば、「耐震適合証明書」の発行を受けることができます。
ただし、新耐震の木造住宅であっても、必ずしも現行法同様の耐震性の評点が出るとは限らず、特に、建築基準法が改正された2000年以前に建てられた新耐震建物については、評点が基準を下回る可能性があるため、住宅ローン減税の対象とならないケースは少なくありません。

そこで、築20年超の新耐震基準で建てられた木造住宅は、既存住宅瑕疵保険検査を受けることで、住宅ローン減税の対象となる可能性が出てきます。
昭和56年以降の新耐震基準で建てられた築20年超の建物は、既存住宅瑕疵保険検査においては耐震診断は必要なく、建物の劣化状況やその他の規定項目をクリアできれば、適合する可能性があるのです。
築20年超の新耐震基準の木造住宅は、劣化が少なければ、既存住宅瑕疵保険検査を受けることで住宅ローン減税の利用対象となる可能性があることを覚えておきましょう。
なお、旧耐震基準で建てられた木造住宅は、現行法同様の耐震性があるという結果が出ることはまず無く、また、現行法同様の耐震性があるという耐震基準適合証明書がなければ既存住宅瑕疵保険検査を受けることもできないことから、耐震補強工事により耐震基準を満たさない限り、住宅ローン減税の利用対象にならないとお考え下さい。

まとめ

新築住宅は、図面や資料等で得られる情報から住宅ローン減税の対象になる物件かどうかの検討がつくため、販売担当者などに質問し、住宅ローン減税の利用可否を確認しておきましょう。
中古住宅は、構造種別と築年数によっては耐震診断や瑕疵保険検査を受けないと住宅ローン減税が利用できる物件かどうかはわかりません。
中古住宅の購入検討時には、劣化状況や修繕費目安を把握するためのホームインスペクションの利用とともに、築年数に応じて耐震診断や既存住宅瑕疵保険の実施も早めに検討しておきましょう。