国や自治体が取り組もうとしている、全国の「空き家」問題。
先月、神戸市は来年度から利活用の見込みがない全ての空き家について、固定資産税の税制優遇を順次廃止する方針を固めたことを明らかにしています。全国で増加する空き家問題を前に、今後もこの流れは広まる可能性も考えられます。
空き家活用のビジネスではいろいろな取り組みがされていますが、本来ならまず「空き家を生まないこと」が一番の空き家対策でしょう。
将来的に空き家になる可能性のある住まいとして、多くの人が思いつくのが「ご実家」ではないでしょうか?
特に、都心にお住まいの方で今後実家に戻る予定がないという方は、将来実家が空き家になる可能性は少なくないかもしれません。
「実家の未来」「実家のセカンドキャリア(有効な第二の活用法)」について考え、検討してみてはいかがでしょうか?
目次
話し合いを先延ばしした結果、「とりあえず空き家」に
実家の今後を考える際に、選択肢にあがるのが「売却」「賃貸」「親族の誰か(自分含めて)が住む」の3パターンではないでしょうか?
ですが、「(今実家に住んでいる両親に)何かあったら考えよう」「本当に誰も住まなくなったときに考えればいい」と検討を先延ばしにしていると、いざというときに意見がまとまらずに「とりあえず空き家」になってしまう可能性もあります。
ですが、その「とりあえず空き家」の間に劣化が進行して、高額な修繕費用が必要になったり、将来的に思うような金額で売れなくなってしまうかもしれません。
「とりあえず空き家」の建物劣化リスク
建物は人の手が入らなくなると、劣化が加速します。
空き家の場合、気が付いたときには劣化が進行していて、いざ売却・賃貸に活用しようとしたとき、多額の修繕費用が必要になる事も考えられます。
シロアリはもちろんのこと、動物や植物が知らない間に被害をもたらしている事もあります。
植物の蔓が外壁のひびから外壁の通気層に入り込んでヒビを大きくしてしまったり、小動物が屋根裏に住み着き、糞尿で天井が抜け落ちてしまう、というような例もあります。
住んでいれば気が付くような不具合も空き家の状態になることで、知らずに進行してしまうリスクがあるのです。
「とりあえず空き家」の災害リスク
地震や台風等の自然災害で実家の付属物が破損・飛散することも考えられます。
近隣にお住まいの方への被害をもたらすかもしれません。ここ数年の台風被害では、崩れ落ちんばかりの外壁の空家が放置され、ニュースになったこともありました。
瓦などの飛来物が、通行人などに怪我をさせてしまう危険性もあります。
また、地震や台風の際、落下や損傷などの被害がなかったという方も 気がつかない間に瓦がずれて、そこから雨漏りしてしまっているケースも。
雨漏りを放置してしまうとシロアリやカビの発生で木材が劣化してしまい、 補修費用の負担が大きくなります。
「とりあえず空き家」の不動産リスク
不動産コンサルタントの観点からも、空き家にはリスクはあります。
まずは税制面です。
「特定空き家」に指定されると、住宅用地としての固都税の特例(200㎡未満:固定資産税1/6、都市計画税1/3)が受けられなくなってしまいます。また、一定の要件はありますが、相続日から3年目の12月31日までに売却(売買契約)しないと「空き家の3,000万円特別控除」が適用されません。
売却するにあたっても、「とりあえず空き家」にはリスクがあります。
例えば、ご両親がホームに入られ、その後お亡くなりになるような場合。空き家状態であった時間が長ければ、権利関係も複雑になり売却したくても売却できなケースもあります。
また、空き家は近隣トラブルの原因にもなります。いざ、売却しようとした際、測量などの隣地協力が必要な作業においてスムーズな協力が得られず、進められないということもあります。
適切なメンテナンスが長いことできず劣化が進行したり、台風等の被害から倒壊の危険性があるような場合は、行政が解体できる権限がありますが、その費用は所有者の負担となります。
実家の「とりあえず空き家」を避けるため、専門家の意見も活用を
「とりあえず空き家」のもたらすリスクはこのようにさまざまですが、実家の未来について、「両親が健在なうちにそんな先のことは話しにくい」というご家族もいらっしゃるかと思います。
家族それぞれがその家に対する思い入れも違うので、客観的に話をすることが難しいということもあるでしょう。
ですが、あらかじめ考えておかないことで、後々の活用が難しくなることがあります。大事にしてきた実家を親族の負動産にしないよう、あらかじめ話しあっておくことが重要です。
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