会社員生活に限界を感じ、沖縄で独立したマンション管理士が語る“独立のススメ”
マンション管理会社での約20年の勤務を経て、マンション管理のコンサルタントとして沖縄で独立を果たし、現在は業務委託のパートナーとしてさくら事務所にかかわってくれている山中行雄。「独立してよかった。後悔はまったくない」と話す山中に、独立のリアルについて聞きました。
- 山中 行雄
マンション管理会社で約20年勤務。都心のタワー型マンションから沖縄のリゾート型大規模マンションまで経験。東京、千葉、広島、沖縄など、様々な地域で管理組合運営業務に携わる。様々な地域で培った経験を活かしながら、管理組合運営の適正化の確保に向け、広い視野をもって中長期的にサポート。マンション管理コンサルタントとして独立後、2022年7月に株式会社さくら事務所へ業務委託契約のパートナーとして参画。
家族は猛反対、それでも貫き通した自分の想い
――山中さんはもともと、フロントとしてご勤務されてらっしゃったんですよね。
山中:私は新卒でマンション管理会社に就職し、管理組合の皆さまにアドバイスをするフロントマンとして20年ほど勤務していました。就職活動をしているときから「相談に乗って誰かの役に立てるような仕事」に興味があり、たまたま就職情報誌で見つけたマンション管理会社に入社したのですが、実際、マンション管理の仕事は自分に向いているものでした。
――それがなぜ「独立」という選択肢を選ばれたのでしょうか。
山中:これは会社員である以上、仕方のない側面もあるのですが、「マンション管理会社は組合に寄り添った提案こそが重要だ」と言われる一方で、現実にはルーティン化された仕事が非常に多いんですよね。また仕事の比重としても、管理組合のためというよりも、自分が勤めている管理会社に向けたものが大きくて、「より良くする」よりも「現状維持」に力点が置かれている。そんな状況に少なからずストレスを感じていました。
自分の経験値が増えていけばいくほど「もっとこういうサポートをしたい」との思いが強くなっていきました。ただそれが、会社の方針とは異なることもあったんです。また年齢を重ねていくと、必然的にマネジメントの役割も期待されます。そうした状況において、「このやり方で本当にいいのだろうか」「このまま管理会社で働き続けても、自分が求める仕事はできないんじゃないか」といった思いが段々と膨らんでいきました。
そんな悩みを抱えていたところ、ちょうど私が前に勤めていた沖縄でお付き合いのあった管理組合から、「うちのマンション管理を手伝ってくれないか」とのお声がけを頂いたんです。当時私は千葉にいましたし、会社の待遇自体には不満もなかったので少し逡巡しましたが、「自分の知識や経験を生かして、もっと管理組合に寄り添った形でサポートがしたい」との思いから、独立を決めました。
――転職は考えなかったのでしょうか。
山中:本格的に悩み始めたとき、すでに40歳を超えていて、自分の年齢や経験、適性を考えると「自分はマンション管理業界でしか生きていけないだろう」との自覚がありました。ただ、他社の状況もそれなりに知っているからこそ、どこの管理会社も似たような状況にあり、転職しても自分が抱える悩みは払しょくできないだろうと感じていました。ですから「独立」する必要があると考えたのです。
――「独立する」と言ったとき、ご家族からは反対されませんでしたか。
山中:収入も当面は会社員時代よりも下がる見込みでしたし、妻も娘たちも最初は「何血迷ったことを言っているの」「生活はどうするの」と猛反対でしたね。ですが「失敗するかもしれないけれど、もっとお客様に寄り添った仕事がやってみたいんだ」と思いを伝えて 、なんとか納得してもらいました。
沖縄にいながら東京の案件を請け負う
――そして沖縄で独立を果たされるわけですね。実際独立してみていかがでしたか?
山中:独立してすぐに、昔からお付き合いのあった別の管理組合からも連絡が来て、当初頼まれていた以外のマンションの管理も担当させてもらえることになりました。そのため割と早い段階で、生活していけるだけの目途が立ちました。これは非常にありがたかったですね。そして仕事を始めたわけですが、「自分が思った通りに仕事ができる」というのは、こんなにストレスがないものなのかと痛感しました。
――その後、さくら事務所に業務委託のパートナーとしてジョインされたわけですが、それはどういった背景からだったのでしょうか
山中:1年ほどやっていくうちに、良い意味でも悪い意味でも仕事への慣れを感じるようになってきました。仕事の進め方がスムーズになったという面では良いのですが、一人で仕事をしているとなかなかほかの情報も入ってきませんし、自分自身の成長が鈍化しているような気がしたんです。
そんな中で、「今後もコンサルタントとして管理組合のお役に立っていくためには、最新の情報にアンテナを張り、吸収していく必要がある」との思いが強くなってきました。そこで「何かいい方法はないか」と調べていくうちに、さくら事務所の業務委託の募集にたどり着いたというわけです。ホームページなども見て、「ここでなら自分がやりたいように仕事を進められるいまの状態を変えることなく、自分がもっと成長していける」と感じました。雇用形態の面からも仕事の進め方の面からも、本当にピンポイントで飛びついた形です。
とはいえ私は沖縄在住なので、応募するときには「採用してもらえないだろうな」という思いも正直ありました。けれどそのときにはすでに「さくら事務所で働きたい!」という気持ちがかなり大きくなっていたので、「千葉に実家もあるし、『しばらく東京に滞在することになっても大丈夫』とアピールしよう」との意気込みを持って求人の応募ボタンを押しました。結果として、沖縄在住のままで仕事をさせていただけることになり、さくら事務所の柔軟性に感動したことをよく覚えています。
――さくら事務所としても、沖縄在住の方にご応募いただいたことが、「地方にお住いの方にどうすれば円滑に仕事をお願いできるか」を考えるきっかけの一つになったと思います。またご応募いただいたタイミングが2022年と、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンライン会議が広まったことは大きかったですね。
山中:リモートが普及したことは、さくら事務所との関係においてはかなり追い風だったと感じています。いまは沖縄にいながら、東京の管理組合さんとやり取りさせてもらうことが非常に多いです。もちろんマンション管理をするうえでは自分が実際にそのマンションの状況を見る必要があり、「すべてをリモートで」というわけにはいきませんが、リモートと併用することで何とか乗り切れていますね。また私にとって、東京出張は情報収集のチャンスでもあるので、楽しんで出張しています。
――いまはどういったスケジュールで働いていらっしゃるのでしょうか。
山中:基本的には、午前9時から午後2時までは沖縄で管理しているマンションの仕事をしています。もうすぐマンションの大規模修繕工事が始まるのですが、さくら事務所で学んだことも、工事を進めるうえで多分に生かせていると実感しています。その後は子どもを学校まで迎えに行き、仕事に戻ることもあれば、もうそのまま家で家事をすることもありますね。
――生活は会社員時代と変わりましたか。
山中:ガラッと変わりました。会社員時代には、ここまで家族との時間を持つことはできませんでした。娘たちが成長するのもあっという間でしょうし、このタイミングでこういう時間が持てて本当に良かったと感じています。精神面でも、会社員時代に感じていた「こういうことがしたいのにできない」といったストレスが大きく減りました。「自分は管理組合のためになる仕事ができている!」と、かなり前向きな気持ちですね。
会社員時代には、休日も「いつ会社から電話がかかってくるかわからない」とびくびくしていましたし、管理会社のための仕事を家に持ち帰り、イライラしながら仕事することもありました。そういったネガティブな思いから解放されたことのメリットは何物にも代えられません。妻からは「いつ会社員時代の給料を大きく超えてくれるの?」と冗談交じりに言われることもありますが、家族にとっても、自分が前向きに過ごして家族との時間もつくれるようになったことを、かなりポジティブに捉えてくれていると思います。
金銭的なことを正直にお話しすると、いまはまだ若干会社員時代のほうが高かったくらいです。ですが心身の充実と仕事の達成感、家族との時間を持てるようになったことなどを考えると、いまのほうが断然本当の意味で裕福な状態だと思います。
――管理会社に所属されている方の中で、「独立」を選ぶ方は多くはありません。山中さんのご経験から、独立に向いている方とはどのような方だと思いますか。
山中:やっぱりまず必要なのは、「管理組合に対しての想いを持っていること」だと思います。そして「これは本当に管理組合にとって良いことなのか」を考え続けられること。たとえその場では自分の考えを行動に移せなかったとしても、ルーティン化された作業に違和感を覚えていたり、疑問を持ちながら仕事をされていたりするような方は、自分の裁量で仕事を進められるコンサルタントに向いていると思います。
もちろん「独立」となると、コンサルタントとして求められる能力とは別に、自分で集客したり会社を大きくしていったりといった経営手腕が必要になってきます。ですが、まずは想いがなければ始まりません。いま「こんなことがしたいのに…」とストレスを抱えている人は、「独立」という選択肢を考えてもいいんじゃないでしょうか。
あとはいきなり独立するのではなく、まず「さくら事務所のパートナーとして仕事を請け負ってみる」ことも一つの選択肢だと思います。そうすれば、「案外独立してもやっていけそうだな」というのが実感としてわかると思います。
――独立を後悔したことはあるのでしょうか。
山中:ありません。実は前職を辞めるとき、上司に「たぶんこの会社を辞めたことを後悔する日が来ると思います」とまで言っていたんです。最初の2、3か月くらいは正直不安を覚えることもあったのですが、自分で積極的に動くようになってからはその不安もなくなりました。「とにかく仕事が楽しい」の一言に尽きます。
また不安を解消できたのは、さくら事務所に所属したことも大きいと思います。いろんな経験をさせてもらい、金銭的にもスキル的にも足りない部分を埋めてもらっているので、いまは非常に充実した生活を送ることができています。自分の状況に合わせて柔軟な対応をしてもらっているのは本当にありがたいですね。
――最後に、独立に興味がある方や悩んでいる方に向けて、メッセージをお願いします。
山中:独立した場合、一番の悩みは「どうやって顧客を獲得するか」に尽きると思います。ですから私としては、独立する前の段階で、ある程度「辞めてもやっていける」との算段を付けておくことが必要だと感じています。そのためには、会社員時代から管理組合と密にコミュニケーションを取り、「会社ではなくあなたにお願いしたい」と言われるくらい深い信頼関係を構築していくことが欠かせないでしょう。
ですが、そんな風に信頼関係を築き、管理組合さんに対して熱意を持って接している方はたくさんいらっしゃると思います。いま満足していないなら、会社の枠を飛び出して挑戦してみることを、私は強くお勧めします。応援しています!
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