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さくら事務所グループ社長を退任します。


大西 倫加

株式会社さくら事務所・らくだ不動産株式会社 代表取締役社長 CEO
Chief Executive Officer(最高経営責任者)
Chief Empowerment Officer(最高エンパワーメント責任者)


今年3月31日、27回目のさくら事務所設立記念日をもって、さくら事務所とグループ会社らくだ不動産、2社の代表取締役社長を退任します。

さくら事務所に創業者である長嶋修と会社の広報担当としてジョインして23年、社長交代のバトンを受け取って13年、らくだ不動産を設立し8年。

まばたきほどの間に人生を数回堪能できたような、変容と疾走の大冒険でした。

13年前の社長就任時に決めていたことが2つあります。

ひとつは、経営の目線、時間軸を伸ばし、10年程度で再び経営を継承、刷新すること。

企業理念を『人と不動産のより幸せな関係を追求し、豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと』とアップデートし、自分が去った後の社会の幸福を祈り、その意志を事業として受け継いでいくトライブをつくると決意しました。

もうひとつは、会社の底力、隠れた体力となる簿外資産を蓄積すること。

さくら事務所グループが理念と同じく社会に約束として掲げる『五方良し』を日々、愚直に実践し続けることで、ご依頼者さまや社会、トライブの仲間たちをどれだけひたむきに愛することができるか。

愛や信頼、応援という見えない絆を最高の資産として、こつこつ結い上げていきたいと願いました。

売上や利益や企業規模、純資産じゃなく、理念の追求と承継、私たち自身が愛を循環させる集団であることが目的で、それ以外は重要ではあっても手段のひとつと定義したのです。

日本になかったホームインスペクション(住宅診断)という職能をつくり、不動産取引の仕組みを問い改革する事業、

住人のほとんどが無関心だったマンション管理に資産性維持の重要性を訴え、ソフトハード両面で改良する事業、

囲い込みという不動産取引の悪習、情報の非対称性を是正する不動産エージェント事業、

いずれの事業でも当時の業界の慣行・常識に挑んだ非常識なベンチャー企業は、おかげさまでこの十数年、自他の予想をはるか上回る成長をさせていただき、

新しい働き方やパブリックリレーションの大きなアワード受賞など、仲間と事業を支えるバックオフィスにも評価をいただく機会が増えました。

これらはひとえに、ご依頼者さま、応援してくださる皆さま、現場で一人ひとり、ひとつひとつ『五方良し』という愛を、真摯に実践し続けてくれる仲間たちのおかげです。

そして今、社長就任時に掲げた通り、心血注いで愛してきた事業や仲間、ご依頼者さまたちを同じように愛し大切にすると約束してくれる、私の何倍も頼りになる後進たちに承継できること、

ご依頼者さま、YouTubeなどSNSにおいても、期待や信頼という大きな応援を寄せてくださる方々が広がり、冒険をともにしてくれるかけがえのない仲間たちが全国に拡大し、

数字以上の温度と手触りがある簿外資産に支えられていることに、言葉に尽くせないほどの感謝しかありません。

不動産業界の不都合な真実にインスペクションという一石を投じ、「業界の面汚し」とまで罵倒され営業妨害などを受けていた頃、

業界未経験で、ノーライセンスで、カリスマ性も専門知識もない若い女性が世襲でもなく社長を引き継いで大変じゃなかったですか、というご質問を取材などで幾度となくいただきました。

控えめに言って苛烈で、正直、何度「立ち上がれないほど身体を壊して倒れれば、もう辞められる」そんな情けない感情がよぎったかわかりません。

どれだけ時間を費やしても自分の力不足や器の小ささ、未熟さへの焦燥感は消えなかった。

理不尽な誹謗中傷に怒り、疲弊して離脱する仲間に自分勝手に失望し、一番無能な自分を恥じ、愛とはもっとも遠いところにいた経営者だったのに、

いつもいつも、昏く苦しい激情の波から引き上げ視座をあげてくれたのは、理念と未来を信じ、仕事に誇りを感じてくれる仲間たちや、何度も最上級のお礼や励ましの言葉をくださる、ご依頼者さまからの愛でした。

人生は壮大な思い出作りと伏線回収だとしみじみ感じますが、自分の弱さと徹底的に向き合う大中小の機会すべてが、本当に大切にしたいものは何かを問いかけ、仲間たちとの命の時間を深めてくれたと思います。

私という経営者が全霊を注ぐことは、自分の成果をあげようともがくことじゃなく、人に大成功してもらうこと。

仲間たちの、世界でたったひとり彼、彼女にしかできないこと、唯一無二の才能や本当の力や情熱を世に解き放つ。
そのことで、一人でも多くの人の幸福を最大化する。

身体に沁みるように習わせていただいた、この経営者としての最重要課題は、そのまま今も私の人生の命題となっています。

つくづく、経営というのは自分を試され、深く学ばされ、周囲からふんだんに育んでいただき、ありったけの愛で還元していくチャンスを誰より多く与えてもらえる、幸福な仕事です。

13年前におそるおそる引き継いだ時には、夢中で転がるように走り続けた過程では、気づきもできなかったことでした。

無謀なまでに信頼し、何一つ口を出さず私にバトンを託してくれた創業者にも、心から感謝しています。

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だからこそ、自分と他者を、社会を、深く広く愛する冒険であり、人生数回分と言えるほどの変容と成長ができる経営というチャレンジを、できるだけ若いうちに、たくさんの仲間たちに経験してもらいたい。

そんな会社まるごとの式年遷宮が何度も、いくつも、繰り返され続けることで、この先もずっと、事業体やサービスは変わっても、社会に新しい幸せを増やし、理想の世界を自らつくる、永遠のベンチャー、チャレンジャーであってほしい。

荒野を突き進むなら、一緒に。
そう望める仲間たちと出会えたことは、私の人生の僥倖でした。

冒険の続き、経営という操縦席には4月から、あたたかく強く愉快な、さくら事務所史上最高の経営チームが立ってくれることになっています。

後任チームは3月31日設立記念日の感謝イベントで発表させていただきますので、引き続き応援いただけると心強いです。

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「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」

今ほどふさわしい混迷の時代はないかと思う、ゴーギャンのこの問いに、人がその時点でもてる最上の愛でもがき続けてほしいし、私もそうし続けたい。

心から誇りに思う大切な仲間たちが、この先もずっと仕事とご依頼者と、仲間たちとの時間をうんと楽しみ喜び、自分を愛し続けられることを切に願っています。

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