2018年に創業したらくだ不動産株式会社は、不動産の売買仲介会社ながら「売上げノルマ無し」「個人のSNS推奨」「フラット組織」。それでいて創業以来右肩上がりの業績向上を成し遂げ、全国に仲間が増え続けている。およそ普通の不動産会社では考えられないスタイルで、なぜ業績・メンバー数ともに拡大し続けられるのか、らくだ不動産副社長の山本直彌に話を聞きました。【全3編:前編】
- 山本直彌
らくだ不動産株式会社 副社長執行役員・不動産エージェント
マンション・ビル管理、不動産仲介の経験を経て、マンション管理コンサルタント・不動産エージェントの業務に従事。これまでに500件以上の不動産仲介を経験。2023年にらくだ不動産・副社長執行役員に就任。
ーらくだ不動産は主に不動産の売買仲介の会社ですよね。いきなりですが、どうして売上げノルマが無いのでしょうか
たしかにいきなりですね(笑)。
はい、らくだ不動産は売上げノルマという概念を持っていません。不動産業界というと、あたり前のように「今月の売上はどうなんだ」みたいことを想像される方が多いと思います。今までの不動産業界ではそれがあたり前なんですね。でもそれは、誰の何のために毎月の売上げあげてるんですかって話なんですよね。理由を伝えられることもなく、ただ個人に売上げノルマが課せられて毎月そのために不動産を売り続けるという状況になってます。それがあたり前になっているから、お客様本位ではない売買契約を行って、とりあえず売上を達成するというようなことが、いまだに行われてしまってるんですね。そんな不動産業界では当たり前の風潮が、らくだ不動産にはありません。
らくだ不動産のエージェントは、お客様に家族や親友のようなアドバイスをすることを重視してるんです。友達から相談されたら、ウソをつかずに、本音でアドバイスするじゃないですか。もらえる仲介手数料が低いか高いか、みたいなことも考えないですよね。どんな相談であっても正直な姿勢であり続けるし、手を抜かないと思うんです。そもそも、不動産売買を前提にするのではなくて、「売るべきか」、「買うべきか」から一緒に考えると思うんですよ。「本当に売るの?別の選択肢もあるんじゃないの?」って。「売上ノルマ」があるとそうはいかないですよね。
らくだ不動産のエージェントは、お客様に家族や親友のようなアドバイスをすることを重視してるんですね。友達から相談されたら、ウソつかないし、本音でアドバイスするじゃないですか。もらえる仲介手数料が低いか高いか、みたいなことも考えないですよね。どんな相談であっても正直な姿勢であり続けるし、手を抜かないと思うんです。そもそも、不動産を売ったり買ったりすることを前提にするんじゃなくて、「売るべきか」、「買うべきか」から一緒に考えると思うんですよね。「本当に売っちゃうの?別の選択肢もあるんじゃない?」って。「売上ノルマ」があるとそうはいかないですよね。
ーめちゃくちゃ素晴らしいなと思ったんですが、でもそれで経営が成り立つんですか?
もちろん、私たち、らくだ不動産は営利企業なので評価の指標はあります。らくだ不動産の指標は、「人を幸せにした数=正直な取引の成約件数」です。
不動産エージェントが正直なスタンスで向き合って、それで不動産が売買されると、その人にとって絶対に良い取り引きになるんです。不動産売買は大きなお金が動くし、そのあとの人生にもすごく影響があるので、らくだ不動産はその想いをを大切にしています。
そのため、目標は「売上金額」ではなく「幸せにした数=正直な取引の成約件数」が指標なんです。
ーということは、売上は必ずしも必要ではない、ということでしょうか。
いえ、そんなことを言うつもりはないですし、営利企業がそう言ってたら逆に信用できないですよね。働く私たち自身が幸せでいないと他の誰かを幸せにすることはできません。よく「顧客第一主義」って言いつつ、売上げノルマが課せられてたりするじゃないですか。そうするとお題目になっちゃってて、いずれ売上のために取り引きするようになってしまうんです。「顧客第一主義」を掲げるなら売上ノルマという考え方を無くさないと。売上のためにお客様と向き合うようになってしまいますから。
顧客と真摯に向き合って本音でアドバイスするために大事なのは、ひとりひとりの個性や考え方なんです。会社主体だと結局売上目標の達成が最優先になって、担当するエージェント本人が本当に良いと思っている提案ができなくなってしまい、とにかく契約して売上を上げることが優先されます。それがまさに、不動産業界でいまだに両手取引や物件の囲い込みがなくならない原因です。
らくだ不動産は、担当するエージェントが本当に良いと思った提案をしています。そのために大切なのがエージェント個人のセルフブランディングで、例えばらくだ不動産のYouTubeに出演して自分の考えや市況の読みを伝えたり、X(旧Twitter)でエージェント個人が実名で発信したり、メディア様からの取材に「不動産の専門家」としてお答えしたりしています。自分で情報発信をしていくことで、自分の個性や考え方をより強められますし、それはお客様への提案にも活かされていきます。すごく良い好循環ですよね。不動産会社の中には個人のSNS発信を禁止する会社もあるんですが、それは、やはりリスクを恐れた会社主体の考え方になってしまっていることが原因だと思います。
ー不動産会社で実名・個人でSNS発信をしている会社は珍しいですね。でも、そうした状況って会社としてリスクではないですか。
だからこそ、らくだ不動産はメンバー間で率直に意見を言え年齢に関係なく高めあえるようにフラットなカルチャーなんです。いくら個性を大切にしているからと言って、例えば誰かを傷つけてしまったり、お客様のためになっていないような提案をすることは許されないですよね。そうならないように、メンバー同士、年齢・キャリア関係なく、「本当に顧客のためになっているのか」といったフィードバックしあえるカルチャーを大切にしています。エージェントのミーティングでは遠慮なく指摘し合っています。この前、一番年齢が若いエージェントが一回りも年齢が上のメンバーに「オフィスを全体的に整理した方が良い」って率直に意見を言ってくれました(笑)。本当に良いチームだと思います。