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【後編】「個人が自分の人生を豊かに生きる」時代の新たな“採用”と“働き方”のカタチとは

「まかない採用」「マインドフルフレックス」など、次々に独自の採用や働き方に挑戦しているさくら事務所。そんなさくら事務所では、応募者を「採用」「不採用」で判断しないケースも珍しくありません。人事にとっては難しい判断やマネジメントを迫られることも多い中、なぜそこまでして新しい採用や働き方の在り方を追求しているのでしょうか。さくら事務所の採用や働き方の考え方、目指す未来像について、採用人事担当執行役員の田村啓に聞きました。【前後編:後編】


田村 啓

さくら事務所 人事担当執行役員。さくら事務所、らくだ不動産の採用・人事を担当する傍ら、自らもホームインスペクターとしてYouTubeに出演している。
大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。
建築の専門的な分野から、生活にまつわるお役立ち情報、防災の分野まで幅広い知見を持つ。
多くのメディアや講演、YouTubeにて広く情報発信を行い、NHKドラマ『正直不動産』ではインスペクション部分を監修。
住まいと暮らしに寄り添うホームインスペクターであることを信条に、現在はインスペクターを育成するインストラクターとしても活躍。
フルタイム共働きで二児の父。さくら事務所で2回の育休取得。


理念から逆算した“さくら事務所がやるべきこと”

――採用や働き方についてうかがったところで、改めてさくら事務所が描く未来を教えてください。

田村:それはやはり、さくら事務所が掲げる理念の実現です。僕らの理念は、「人と不動産のより幸せな関係を追求し、 豊かで美しい社会を次世代に手渡すこと」。ただこの理念は羅針盤のようなもので、極めて抽象度が高いものでもあります。

では具体的にどうしていけばいいのか。そのキーワードが「好きなときに好きなところで好きな人と好きなことをできる」ことだと考えています。さらに、その選択肢も複数あることが理想ですね。そしてそのような状態を実現するために不動産業界のあるべき姿を考えると、好きな不動産を好きなときに売買したり、安心して不動産を売買できたりする環境を構築していくことが必要だと思っているんです。不動産は豊かな暮らしを支えるためのものであって、妨げるものであってはなりません。

不動産は、いまは「新築」であることに価値が置かれ、一般的に、買った瞬間に建物の価値が下がります。たとえば子どもが生まれ30歳のときに35年ローンで新築一戸建てを購入し、子どもが巣立った25年後くらいに売ろうとしても、そのときには建物の価値がゼロ、土地だけの価格になります。ローンの残債を売価が上回らなければ、自宅を手放すのに持ち出し費用が掛かってしまいます。これでは不動産が人生を支えているどころか、重荷になってしまうのです。

それが、不動産の価値が正しく評価され、もし買った値段で家を売ることができればどうでしょうか。家を売ることで次の家を買う原資ができ、躊躇なく次の暮らしに踏み出すことができます。そんな社会が実現すれば、いまのように「家を買ってしまったから環境を変えられない」という悩みから解消され、「好きなときに好きなところで好きな人と好きなことをできる」環境の実現に近づいていくはずです。

――「好きなときに好きなところで好きな人と好きなことをできる」社会の実現に向け、人事としてはどのようなことができるのでしょうか。

田村:これからの時代は、価値観が多様化する「個の時代」です。そんな時代では、個人のネットワークこそが物事を動かしていくと思っていて、だからこそ僕らは個人のリーダーシップやフォロワーシップを重視しています。そしてリーダーシップやフォロワーシップがあふれる個人がチームとして成果を出していくためには、やはり「好きなときに好きなところで好きな人と好きなことをできる」環境が実現されていることが重要だと思うんです。

だからこそ人事としては、「この人、なんかいいな」「また会いたいな」と思える人と一緒に仕事をしていきたいと思っています。たとえば一般的にこれまでの採用では、学歴や社歴といった“わかりやすい指標”が重視されてきました。短期間のうちに何度かの転職経験があると、それだけで転職活動では大きく不利になります。ですが、転職するにはそれなりの理由もあったはず。本来は学歴や社歴よりも、その方がこれから先の未来でどうありたいのかと思い、そこに向けてがむしゃらに目の前のことに取り組めているかのほうが大事だと僕は考えます。

最近はグループ会社のらくだ不動産において、「履歴書不要の面談」をはじめました。これは宅地建物取引士(宅建士)の資格証明書とらくだ不動産のPR動画の感想文を送ってもらい、書類選考は無しで1次面談に進んでもらうというものです。その1次面談の結果、私たちが「もっとお話を伺いたい」と思い、コンタクトしてくださった方も「この会社に所属したい」と思っていただければ、次の選考に進んでいただくことができます。その過程で履歴書や職歴書のやりとりはしません。

人事は大変。だがその分のやりがいがある

――理念を理念として掲げるだけでなく、その実現に向けて進んでいることがよく伝わってきました。ただ正直なところ、さくら事務所の採用や働き方は、人事としては労務管理やマネジメントが大変ではないでしょうか。

田村:正直な話、かなり大変ではあります(笑)。100人いれば100通りの働き方があるわけですから。でもやっぱり、それがやりがいでもあるんですよね。多様なスキルセットやマインドセット、人生の貴重な時間のうち当社に使っていただける可処分時間がさまざまな方、僕らにとっては宝そのものです。そのような方々にどうかかわっていただき、どのような仕事をしてもらうかで、チームの成果も変わってきます。

そんな中で人事は、中長期的な視野を持ったうえで「このような組み合わせがいいんじゃないか」と考えて実行し、場合によっては「これはもうAIに代替してもらおうよ」といった提案をすることも求められます。そんな重要なチャレンジを、人事であれば中心となって進めていくことができる。これってものすごく面白いですよ。これからの人事はどうすれば理念を体現できるチームがつくれるか、どうすればより高い成果が出せるか、「人」だけでなく、社内外・人か人でないか・できるかできないかを問わず、常に考えてチャレンジしていくことが大切だと思います。

――「定型の業務をしていればいい」といった人事ではないんですね。さくら事務所の人事とは、どうあるべきだとお考えでしょうか。

田村:まずはさくら事務所にかかわってくれるすべての人に対し、感謝の心を持つことが大事だと思っています。人生で一番貴重な“時間”をさくら事務所のために使ってくれているわけですから、人事としても、その方の人生が少しでも豊かになるような努力を怠ってはいけません。たとえその方が育児や介護といったライフステージの変化などにより十分な時間が使えなくなったとしても、僕らと一緒に大海原での航行を続けたいと希望してくれるならば、「どうすれば一緒に旅を続けられるのか」を常に模索していく姿勢を持ち続けることが重要です。

当然の話ですが、「何がベストなのか」の問いに決まった正解はありません。ケースバイケースでいろんな対応が求められます。たとえば僕らも年間を通しての採用計画を作るわけですが、この計画は年間を通してずっと見直し続けています。新しく入ってきてくださった方に対して、「この職種で入ってもらったけど、実はこんなこともできる。ではぜひこれをお願いしてみよう」などといった形で広がっていくので、それに応じてチームのあり方も変わるし、計画も変わるんです。

またさくら事務所では、いま所属してくれているメンバーの方も、その適正や希望などに応じてキャリアを切り開いていくことができます。実際、これまでオペレーションを担ってくれていたメンバーにWebマーケティングをやってもらってみたらめちゃくちゃ適性があることがわかったり、フロントデスクのメンバーがご家族の転勤に伴ってフロントデスクから経営企画になってさらに活躍してくれたりと、人の持つ可能性を僕自身がしばしば痛感させられています。ただその一方で、常にその方やチーム、会社のよりよい状態を求めて考え続けることが求められますね。

――大変なことも多いかと思いますが、「仕事が大変だ!」などと思うことはないのでしょうか。

田村:単に年度の採用計画を遵守する、決められた枠の中で評価をするといった仕事よりは考えることも業務量も多くなりますし、大変なこともたくさんあります。だからこそ重要なのが、長期的な視点を持っていることなんだろうと実感しています。目の前の採用数字の達成に追われてしまえば、ひょっとしたら「やらなくちゃいけないことが多すぎる!」と思うかもしれません。でも、長期的な視野を持っているからこそ、「僕らはあそこに向かっている。いまはこのあたりのフェーズにいるから、タスク量は増える時期だな。これを超えればいまよりもっと強い会社になるし、チャレンジできる幅が広がる」とワクワクが止まらないんです

いろいろと偉そうに言ってきましたが、まだまだできていないこともたくさんあります。そこで僕らが目指す人事をより体現するために、いま積極的に採用人事を募集しています(採用人事の募集について詳しくはこちら)。チャレンジできる環境を求める方には、本当に楽しんでもらえる環境ではないかと思っています。

自分のキャリアも切り開いていける

――聞いているだけでも大変さとやりがいの両方を感じますが、採用人事として入社した場合にも、その後自分のキャリアを広げていくことができるのでしょうか。

田村:もちろんです!もちろん基本的には採用人事中心とはいえ、「私、こういうスキルセットもあるんです」「実は俺、こんなことがしてみたいんです」といった思いがあれば、キャリアがどんどん広がっていく可能性は高いですよ。僕らは、募集は単なる入り口に過ぎないと思っています。入り口がなければ入り方がわからないので一応は設けるものの、入ってみてほかにも自分が活躍できるフィールドがあれば、そこに行ったほうが本人のためにも、会社のためにもなりますよね。

たとえばいま人事をされている方の中には、「入社してからずっと人事しかしていません」という方も少なくないと思います。人事の専門としてすばらしいキャリアですが、「もっと別のことがしてみたい」と思ったとき、なかなか難しいのも事実です。さくら事務所では、これまで人事の経験しかなかったとしても、人事の枠を超えた経験ができる環境があります。

――ちなみに田村さん自身の目標はどのようなもので、そこに向かってどうキャリアを切り拓いてこられたのでしょうか。

田村:僕自身の人生の目標は、「生きづらさをなくし、誰しもが誰かに『生まれてきてくれてありがとう』と感謝される社会をつくること」です。その世界はさくら事務所が叶えたい世界と地続きにあると捉えています。

私は元々リフォームの技術営業をしていましたが、さくら事務所に所属してからはホームインスペクターや経営企画、防災サービスをつくったりYouTubeで配信したりといった業務を担当してきました。今は、採用人事だけでなくYouTubeの配信やグループ横断的に新しい取り組みを推進しています。さくら事務所では兼務=社内複業が当たり前なので、僕だけでなく、いろんなメンバーが複数の担当領域を持って業務にあたってくれています。

――人事以外の業務にもチャレンジされているんですね。新しい取り組みとは具体的にどのような事業なのでしょうか。

田村:さくら事務所は現在、「ホームインスペクション」「マンション管理コンサル」「らくだ不動産」の3つを柱として事業展開しています。ですが、自分たちが実現したい理想の未来から逆算していくと、まだまだ実現すべきことだらけ。たとえば人事と兼務している僕だからこそできるかもしれないと思っているのが、所属してくれているメンバーを社内外問わずに活躍できるフィールドを創っていくことです。

さくら事務所は、「いろんなスペシャリティを持った方がたくさん所属している会社」でもあります。その中には素晴らしいスキルを持っている方や志の高い方など、すでに活躍してくださっているけれど、いま活躍してくださっている領域とは別の活躍の場があって良い方、もっと多くの方に知っていただいて活躍できる方がたくさんいらっしゃいます。そうした方たちが自分の人生をもっと豊かにできるような機会をたくさん創っていきたい。社内外・正社員か業務委託かを問わず、そうした方たちに機会を創り、応援していきたいと考えています。

こんな挑戦を「面白そう」と感じてくれる方は、それだけでぜひお話してみたいですね。もし少しでもさくら事務所に興味を持っていただけた方は、お気軽にご連絡いただけると嬉しいです!

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