実際の戸建住宅で、自分たちで不具合を探すインスペクション体験を!
戸建調査の豊富な実績を持つさくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)を講師とした、実際の中古戸建での体験型研修。座学だけで行う研修とは一線を画し、床下・屋根裏も含めた実際の戸建住宅を目で見て、触れて、体感しながら、丁寧な解説で理解を深められるプログラムです。
「座学研修はできても、実際の戸建住宅での研修の機会がない」「マンションだけでなく、社員の戸建スキルを向上させたい」といった企業様の社内研修としてご好評を得ています。
今回、こうしたご要望をお持ちだった三菱地所ハウスネット株式会社様の社員研修を実施しました。研修会場はさくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)も実地研修を行う、築約40年の木造二階建ての戸建住宅。入社二年目のフレッシュな社員様6名と、引率の上司の方も参加されての「戸建社員研修」のレポートをお届けします。
スライドで見る戸建の不具合事例にインスペクションの重要性を実感
今回の研修に参加されたのは、入社二年目のフレッシュな社員様6名。配属先が離れた同期の面々が久しぶりのお顔合わせということで和む場面も。受講の皆さまは、実家が戸建であったり、実務で戸建を扱うこともあるものの…床下、屋根裏を含めて細かく調査する経験はあまりないとのこと。まずは座学からスタートしました。
研修講師はさくら事務所の田村啓と友田雄俊。今回受講の皆さまより、少し年長の若手インスペクターコンビです。まずは改正宅建業法など法律的な内容から。国交省のスタンスとインスペクションの位置づけ。建物状況調査の詳細を学びます。そして、実際の戸建住宅の不具合事例をスライドで紹介。雨漏り、シロアリ、漏水、木の腐食など。これまで目にしたこともない不具合写真にざわめきも起こりました。
特に皆さまを驚かせたのは、田村が説明した床下漏水の不具合事例。新築時から下水のダクトがつながっていないままお住まいのお客様も気づかずに数年経過。「何かにおうな…」と調査をすると床下が汚水でいっぱい。インスペクターが防護服とシュノーケルで潜り、ようやく原因がわかった!という事例です。「新築だから安心」と思ってはいけないと襟を正すエピソードでした。
秘密基地のような屋根裏はワクワクする!若手社員がインスペクターとフランクに談義
座学の前半を終えて、次は三菱地所ハウスネット様のチェック項目を使用して、実際に戸建を調査してみます。一階・二階・外…どこからチェックしてもいいので、チェックシートを基に不具合を自分たちで探す…という実習です。
床下の点検口を除くグループ、お風呂・水回りをくまなくチェックするグループ、和室の天井染みを見て「雨漏り?違う?」と相談するグループ。いち早く屋根裏へ上がったグループは、普段めったに見られない天井を点検口からのぞきます。
まるで秘密基地のような屋根裏は「ワクワクする」と受講の皆さまからも好評でした。インスペクターの研修センターとして活用していることもあり、この屋根裏はあえて断熱材の厚みを段階的に変えてあります。若手社員から白・黄色・ブルーなどの断熱材の中で「何色の断熱材が一番いいんですか?」「お客様から点検口のことを『あれは何ですか?』と聞かれたらどう答えるのがベストですか?」といった忌憚のない質問で盛り上がりました。
屋根裏で座りながら、断熱材や伝統的な工法について引率の上司の方を交えてインスペクターと笑顔でお話する場面も。若手社員の皆さまを筆頭に、実際の建物を見ながらフランクに交流できる機会も、座学では経験できない実地研修の魅力ではないでしょうか。
戸建調査の重要項目は傾き。1000分の6を体感。ビー玉は役に立つ?
実際の戸建住宅ではじめて細かく調査を経験した後は、チェック項目に沿って不具合があったかどうかの答えあわせ。雨漏りの染みはわかりやすかったこともあり、ほとんどの方が見つけられたようです。反対にわかりづらかったのは建物の傾きでした。
実際に講師と一緒にもう一度、建物をまわり、不具合を見つけていきます。外壁のヒビ、軒下の雨漏りなど細かく見ていき、居室ではオートレーザーを使って傾きを計測します。
品確法で「構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い」とされる建物の傾き「1000分の6」がどれくらいかを体感する板に乗ってみます。「言われてみれば…」「全然わからない」。受講の皆さまからはさまざまなご意見が。
講師の田村から「さくら事務所には、普通に立っているだけで1000分の3がわかるベテランインスペクターがいる」というお話に驚きの声も。ここで質問が!
「ビー玉を転がすのは参考になりますか?」
とてもいい質問です。答えは「ビー玉はあまり意味がない」とのこと。床は均一ではないので傾きとは関係なくさまざまな方向に転がります。100個くらいのビー玉を一度に転がして、一斉に同じ方向に転がった場合は傾きが疑われるそうです。
傾きは戸建住宅のインスペクションでとても重要な項目なので、実際に器具を操作しながら正確な計測方法や条件までじっくりと学びました。
後編では研修レポートの続きをお届けします。
「実際に床下に潜る調査体験」などの見どころをお楽しみに!
ご相談・お問い合わせフォーム
おすすめ関連コラム
-
2019/02/25
三菱地所ハウスネット様 研修レポート【前編】