2026(令和8)年度税制改正のポイントは? 要望から読み解く不動産関連の改正点

今年も2026(令和8)年度の税制改正の要望が出そろい、年末に向けて議論が進んでいます。税制改正は例年、不動産の売買や所有、マンション管理などに関連する改正点も多く、業界内外から注目されています。2026年度税制改正ではとくに、住宅ローン減税(住宅ローン控除)の延長や内容の行方が気になるところです。

この記事では、2026年度税制改正の概要やスケジュール、ポイントについて解説します。

目次

税制改正とは? 概要と2026(令和8)年度のスケジュール

税制改正とは、国や地方の財政状況や社会の構造変化などに合わせて、毎年税制を改正することを指します。不動産の売買や所有には税金が課されることに加え、税制は流通や長寿命化の促進などの役割も果たすことから、例年、不動産に関連する何らかの改正点が見られます。

2026年度税制改正は、おおむね以下のスケジュールで進んでいく見込みです。

  • 各省庁や業界団体などが税制改正要望を提出
  • 政府税制調査会が中長期的視点から税制の在り方を検討
  • 与党税制調査会が税制改正要望などを審議
  • 税改正大綱の公表
  • 税制改正大綱を閣議提出・閣議決定
  • 国税・地方税の改正法案を国会提出
  • 財政金融委員会または総務委員会の審議を経て本会議に
  • 改正法案の可決・改正案に定められた日から施行

8月末頃に税制改正要望が出そろい、10月から12月中旬頃にかけて審議されます。税制改正大綱が公表されるのは、例年12月15日前後です。

2026年度税制改正大綱は、2025年12月15日ごろに公表され、翌4月までに改正法案が成立する見込みです。

2026年度税制改正 不動産に関連する要望

2026年度税制改正要望のうち、不動産に関連する主なものは以下のとおりです。

住宅ローン減税(住宅ローン控除)の延長

出典:国土交通省「住宅ローン減税

住宅ローン減税は現在、2025(令和7)年までの措置です。ただこれまで住宅ローン減税は何度も延長されており、1972年から半世紀以上にわたって形を変えて継続してきました。

近年は住宅価格の高騰や金利上昇など、不動産を新たに取得する方にとって障害となり得る複数の懸念点があることから、国土交通省や不動産関連団体などは不動産流通促進のため住宅ローン減税の継続を要望しています。2024年・2025年には子育て世帯・若者夫婦世帯を優遇する措置もとられましたが、不動産協会はこの措置の維持も要望しています。控除率や控除期間に変更があるかどうかも注目されます。

新築住宅の固定資産税減額措置等の延長

現在、新築住宅は取得から一定期間、固定資産税が減額する特例措置がとられていますが、この措置は2026年3月31日までです。国土交通省は、この措置の延長も要望しています。

減額するのは固定資産税額の2分の1で、戸建てが3年間、マンションが5年間です。長期優良住宅の場合は、戸建てが5年間、マンションが7年間となっています。

新築住宅の固定資産税減額措置の他にも、2025年末や2025年度末までとなっている居住用財産の買換え特例や既存住宅のリフォームにかかる特例措置の延長も要望されています。

老朽化マンションの再生等の円滑化のための事業施行に係る特例措置の拡充等

老朽化マンションは昨今、急増しており、今後ますます増えていくことが見込まれています。2026年には区分所有法などが改正し、建て替えなどの再生が仕組み面で円滑化する見通しです。

これに伴い、区分所有者などの費用負担を軽減するため、国土交通省はマンションの敷地売却や権利返還手続きにおける所得税や登録免許税などの軽減の対象拡大および適用期限の延長などを要望しています。

まとめ

2026年度税制改正大綱は、12月中旬頃に公表される予定です。注目されるのは、住宅ローン減税の延長および控除率や控除期間、住宅性能等による控除額の差、子育て世帯等の優遇などの詳細です。大綱が発表され次第、本記事を編集してお伝えします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

執筆者

目次