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繰り返される津波被害
日本は歴史的に繰り返し巨大な津波が繰り返す地域であり、近年で最大のものは2011年3月の東日本大震災(地震名:東北地方太平洋沖地震)ですが、その後も津波注意報、津波警報が発表されるケースはたびたび繰り返しています。 近年では、2024年1月1日に発生した能登半島地震は、東日本大震災以降となる大津波警報の発表がありました。石川県は、津波による犠牲者は2人としていますが、その後津波浸水区域内での少なくとも26人の死亡が確認されたという記事も発表されています( NHKニュース)。 2025年7月30日のカムチャツカ半島地震では、夏休み期間中に津波警報が発表され、1日半ほど継続した地域もありました。暑い夏の時期に長時間の避難を要し、熱中症で11人が搬送されたり、車での避難中とみられる転落死亡事故も発生してしまいました。 東日本大震災では渋滞中の車が津波にのまれ、多数の犠牲者が出てしまいました。 しかし、その後も津波警報等の発表のあるたびに、車による避難で大渋滞があることなどや、避難が進まないことなどが、毎回のようにニュースとして流れていることが現状です。 ここでは、そもそも津波注意報、津波警報、大津波警報とはどういったものか、どういった行動が求められるか、不動産にまつわる課題などを取りまとめました。
東日本大震災の津波震災遺構「仙台市荒浜地区住宅基礎」
津波注意報、津波警報、大津波警報とは何か?
津波注意報、津波警報、大津波警報とはどういったものでしょうか。まず、津波は地震以外の火山噴火等で発生することもありますが、その多くは震源が海底の地震によって発生します。 気象庁は、津波が発生する原因となる地震が発生した時には、地震の規模や位置の情報を基に沿岸で予想される津波の高さを計算し、地震が発生してから約3分(一部の地震については約2分)を目標に、大津波警報、津波警報または津波注意報を、日本全国の沿岸を66箇所に分けた津波予報区単位で発表します。 このとき、予想される津波の高さから、予想される津波の最大波の低い側から津波注意報(津波の高さ0.2m以上、1m以下)、津波警報(津波の高さ1m以上、3m以下)、大津波警報(津波の高さ3m以上)を発表します。大津波警報では、さらに津波の高さ5m(高さ3m以上)、10m(5m以上、10m以下)、10m超(津波の高さ10m以上)に区分されます。 ただし、巨大地震(規模がマグニチュード8以上のような地震)発生時には、即座に精度のよい地震の規模をすぐに求めることができないため、その海域における最大の津波想定等をもとに、巨大、高い、など数値を用いずに津波警報・注意報を発表します。
津波警報・注意報の種類(気象庁HPを参照して作成)
では、それぞれの発表ではどのような被害が想定され、私たちはどのような行動をとることが求められているのでしょうか。・津波注意報発表時
津波注意報では、海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆する被害が想定されています。 これに対して取るべき行動は、「海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れる」こととされています。・津波注意報発表時
津波注意報では、標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれる被害が想定されています。 とるべき行動は、「沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難」することとされています。 津波注意報とは異なり、陸域でも標高の低い所では津波が遅い、人は津波による流れに巻き込まれるという人的被害が発生します。・大津波注意報発表時
大津波注意警報発表時には、「巨大な津波が襲い、木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれる」被害が想定されています。 とるべき行動は、「沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難」とされ、行動自体は津波警報と変わりません。 しかし、想定される被害は「木造家屋が全壊・流失」するレベルに引き上げられており、より深刻な津波浸水被害が懸念されます。津波注意報、津波警報、大津波警報が発表された場合はどう行動すればよいか
・津波注意報では?
津波注意報では、海の中にいる場合には速やかに海から上がって避難、また海岸から離れるとあります。海中、海岸にいて海水浴や潮干狩り、磯遊び、マリンスポーツ、釣りをしている方のほか、作業をしている方は、海や海岸近くから離れましょう。 2023年12月3日、フィリピン近海で発生したマグニチュード7.6の地震では、日本の沿岸でも津波注意報が発表され、最大0.4mの津波が観測されています。しかし、津波注意報が発表されているさなかに、愛知県などでは波打ち際には釣り客が多く押し寄せていたというニュースもありました(津波注意報が出る中で海岸沿いに並んだ大勢の釣り人)。 大きな地震があった際には津波への警戒は理解されやすいですが、海外で発生して揺れを感じない「遠地地震」では避難行動が取られにくい傾向がありますが、人的被害に及ぶ可能性もありますので、求められている避難行動などを取ることが求められています。 津波は、海が深いほど速く伝わる性質があり、水深が浅くなるほど速度が遅くなる一方で、波の高さが高くなっていきます。海岸に押し寄せ引いていく普段の波とは異なり、水の塊が押し寄せてくるイメージです。 水深が浅いところで遅くなるといっても、沿岸の推進10mの地点でも時速36㎞と市街地の自動車並みの速度となります。津波から人が走って逃げ切れるものではありません。 津波から命を守るためには、津波が見えてから避難開始では間に合わず、津波注意報、また津波警報が発表されたら速やかに避難しましょう。
津波の伝わる速さと高さ(気象庁HP「津波発生と伝播のしくみ」より)
・津波警報・大津波警報では? 津波警報・大津波警報を聞いた際は、津波で避難をする必要がある地域から、すぐに避難を始めることが重要です。このため、海の近くに住んでいる際、引っ越す際はもちろん、できれば遊びに行く際なども、津波ハザードマップ等を見て、避難をする必要がある地域の中に行くのか、知っておくことが望ましいでしょう。 併せて、避難をする際の最寄りの津波避難場所となる高台等や津波避難ビルへの避難経路を確認しておきましょう。 津波は、川など低くなっているところに入り込んで押し寄せたり、狭くなっていく湾の奥などでは高さが高くなりやすい傾向もあります。津波から避難をする際は、”より遠くへ”ではなく、”より高いところへ“を意識して、近所に高台等がない地域では、津波避難ビルなどに避難しましょう。 津波避難ビルは、下の写真のような津波標識が掲示されていますので、大津波警報・津波警報を見聞きした場合には避難してください。
津波避難ビルの例(仙台市若林区)
津波から避難する際、車による避難は原則禁止とされており、徒歩での避難が基本です。しかし、最近では地域の高齢化や津波リスクの実情などを考慮して、自動車での避難を検討していきている地域も増えています。地域のハザードマップ等で、避難が必要なエリア、避難避難先だけでなく、ルートや避難方法についても確認をしておきましょう。 津波からの避難では、「避難は速やかに、逃げたら物を取りに戻らない」ということも重要です。北海道南西沖地震の津波避難では、「それこそパンツ一枚で高台に向かって走った人や、風呂上がりでバスタオルを羽織ったまま家を飛び出して逃げた人、ご主人と二人、まるで短距離競争のようにして走った人たちは、きわどいところで助かっている」 「反対に、亡くなった人たちのことについて生存者に聞いたところ、着替えの後、物を探していて逃げ後れたらしい人、車の鍵を探すのに手間取って逃げ後れたらしい人、歩いて避難したり、後れて車で避難したために、波に追いつかれたと思われる人たちの話」などが残っています(津波の恐怖−三陸津波伝承録山下文男(2005/3))。 速やかな避難と、逃げたら戻らないということの重要さがわかります。




