民法改正のポイント「契約不適合責任」、中古住宅売買はどう変わる?

  • Update: 2020-03-24
民法改正のポイント「契約不適合責任」、中古住宅売買はどう変わる?

購入した住宅に予想外の不具合があった場合、適用される法律が「民法」です。

民法では、売買や請負契約において目的物に問題がある場合の解決方法が定められていますが、近年大幅に改正され、2020年4月1日から施行されます。

売買や請負についての規定内容が大きく変わり、住宅に不具合があったときの対処方法が従来とは異なってきます。

改正民法では「契約不適合責任」が新設され、基本的にそのルールに従って解決していくことになります。

ここでは、民法改正で住宅の不具合についてどのような取扱いになるのか、主に中古住宅売買を中心に、契約不適合責任の内容や契約にあたっての注意点について簡単に解説します。

民法改正、「契約不適合責任」で中古住宅売買はどう変わる?

2020年4月1日、改正民法が施行されます。

これまでの民法は明治時代に作られた古いもので、現代の社会に合致していないという問題もあり、今回の改正にいたりました。

今回、売買や請負を含む条項が大きく変更されています。

住宅などの不動産取引で特に重要な変更のポイントが「瑕疵担保責任」の廃止と「契約不適合責任」の新設です。

これらは「契約対象に不具合があったときの責任」です。

購入した住宅に不具合があったとき、これまでは「瑕疵担保責任」によって売主に責任を追及することができましたが、今後は「契約不適合責任」がこれに代わります。

一生に一度、長く住み続けるための大切な住宅。

消費者としても不利益を受けないため、新しい「契約不適合責任」の内容を把握しておく必要があります。

契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは「目的物が契約内容に合っていないときに売主や請負人に生じる責任」です。

たとえば購入した住宅の基礎にシロアリによる被害や雨漏りがあった場合、相手に責任を問うことができます。

従来は「瑕疵担保責任」といって「目的物に傷があったときに買主や注文者が売主や請負人に追及できる責任」でしたが、改正民法ではこの瑕疵担保責任が「契約不適合責任」へと変更されました。

契約不適合責任は、引き渡された目的物が契約内容に合っていないとき、具体的には「種類、品質、数量」が契約内容と一致しないときに発生します(民法562条)。

引き渡しを受けた後に住宅の欠陥に気づいたら、契約相手に契約不適合責任を問えるものと理解しておきましょう。

契約不適合責任はどうやって追及するのか?

壁紙の下がカビ
では、実際に引き渡しを受けた住宅に「契約不適合責任」の対象となるものがあった場合、どうすればいいのでしょうか?

以下の4つの方法で責任を追及することができます。

契約不適合責任の追及方法① 追完請求

不具合の修補を求める方法で「追完請求」といいます(民法562条)。追完方法は、以下のとおりです。

買主が追完請求をした場合、売主は適切な方法を選んで追完できます。

・目的物の修補

引き渡された目的物に欠陥がある場合、相手に修理を要求できます。

たとえば住宅の欠陥が見つかった場合、追加工事などによって欠陥をなくし正常な状態に戻すよう請求可能です。

・代替品の引き渡し

代わりの品を引き渡すよう求められます。 

・不足分の引き渡し

数量が不足する場合には不足分を引き渡すよう求めることが可能です。 

契約不適合責任の追及方法② 代金減額請求

2つ目は代金減額請求です。目的物の不具合の状況に応じて、買主や施主は代金を減額するよう要求することができるのです。

ただし代金減額請求ができるのは、基本的に追完請求をしても相当期間内に追完が行われない場合に限られます。 

まずは修理を求め、対応してもらえないときに代替品を求める、といった順序です。いきなり「代金を減額してほしい」とはいえません。

もしも当初から代金減額請求をしたいのであれば、契約書において「不具合があれば追完請求せずに代金減額請求ができる」と定めておく必要があります。

契約不適合責任の追及方法③ 損害賠償請求

住宅の不具合によって買主が損害を受けた場合、損害賠償請求も可能です。

ただし損害賠償請求できるのは、売主に故意や過失がある場合に限られます。売主が無過失の場合、目的物に問題があっても損害賠償請求はできません。

契約不適合責任の追及方法③ 解除

目的物に不具合がある場合、買主や施主は契約を解除できます。

解除すると契約はなかったことになるので、支払ったお金は返してもらえますしまだ払っていない分は支払う必要がなくなり、引き渡しを受けていた住宅は相手に返還します。

ただし不具合が軽微な場合には解除できません。

解除するには基本的に「一定期間を定めて履行を催告」する必要がありますが、相手が明確に追完を拒否しているなど一定のケースでは無催告で解除できます。

契約の一部の解除も可能となっています。