とある投資家の依頼で、都内にある築30年のアパートを調査しました。土地は敷地延長の地形で割安感があり、建物価格はゼロ。メンテナンスもほとんど行われていないようで見た目はボロボロ。長く売れ残っていた物件です。しかしこれがなかなかいい物件だったのです。
コンクリートの基礎部分↓↓↓
大きな亀裂が入っていますが、これは基礎の表面にお化粧塗りされていた部分だけ。本体の基礎コンクリートには大きな問題はありませんでした。
外壁部分もこんなふうにのように、あちこちに亀裂が入っています↓↓↓
し かしこれも、モルタル部分に問題があるだけで、内部の防水シートで雨水は止まっているようです。水が内部にまで浸透していると、しかも長らく放置されてい るとそれはもう大変。特に木造の場合は手の施しようがない常態になっているケースがほとんどです。建物をぐるっとまわってみましたが、広い範囲での著しい 沈下ではなく、建物の周囲が部分的に下がっているところがあります。しかし、築年数から見てこのまま進行しさらに下がることはないと判断しました。
室内写真。建物に傾きがないか調べています↓↓↓
築 年数にもかかわらず、意外としっかりしたものでした。部分的な沈下により少しの誤差がありますが、建物が全体的に傾いているなどの問題は発見されませんで した。建物の傾きは「6/1000以上の傾斜または、高さが2m以上で3/1000が続く傾斜、3m以上の水平距離で3/1000勾配の続く傾斜」を、良 否の目安としています。
その他「継続していると思われる雨漏りの形跡」「著しい施工不良」「建物の著しい劣化や腐食や変形」「設備配管の著しい劣化、漏水」 などの大きな問題も発見されません。
浴 室は在来形式となっており、建物の柱や土台の上に防水を施し、その上からモルタルを塗りさらにタイルの仕上げをしている仕様になっていると思われました。 この施工方法の場合、防水が切れていても表面から発見しにくく、解体をすると木部が腐食していることが多く見受けられます。
本物件も例にもれずその可能性があり、状態が悪い場合は柱や土台が腐食している可能性もあるため、表面からはい防水が切れているという確認できませんが、余裕があれば浴室を解体して確認するのがおすすめです。
この依頼者は、さくら事務所の報告を受けて、一定の指値(値引き)交渉をしてこの住宅を購入されたようです。聞けばびっくりするような指値。この後行われるリノベーションの工夫次第で、とてもステキな物件に生まれ変わるでしょう。