【まるわかり】築30年マンションを購入する際に知っておきたいポイントを紹介!購入時の注意点も解説

  • Update: 2025-02-27
【まるわかり】築30年マンションを購入する際に知っておきたいポイントを紹介!購入時の注意点も解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

中古マンションを探していると、よく物件情報を見かける築30年ほどのマンション。

価格的には魅力的ですが、

「築30年のマンションって不具合はないの?」

「後何年住めるの?」

「手放す時に売れるか不安」

など気になる点や不安が湧き出てくるのではないでしょうか。

そこで本記事では、築30年マンションを購入するまえに確認しておきたいポイントを紹介します。購入時の注意点や物件選びに欠かせないサービスも紹介しているので、あわせて参考にしてください。

築30年のマンションはあと何年住める?

築30年マンションは築年数が経過していることから「あと何年住めるのだろうか」と疑問に思う方もいるはずです。まずは、築30年マンションに住み続けられる期間を、国が発表しているデータを紹介しながら解説します。

マンションの法定耐用年数は47年

マンションの多くは鉄筋コンクリート造住宅で、その法定耐用年数は47年です。そもそも耐用年数とは、減価償却費を算出するための数値です。減価償却資産(固定資産)の価値を耐用年数で割り、毎年の減価償却費を算出します。

つまり、鉄筋コンクリート造のマンションは通常使用では、少なくとも47年間は資産価値があると判断できます。法定耐用年数はあくまで減価償却のための指標であり、必ずしも47年で寿命を迎えるわけではありません。

管理状況次第では100年以上住める場合もある

国土交通省の資料「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」によると、鉄筋コンクリート造の建物は管理状況次第で100年以上使用できると報告されています。

たとえば、外装仕上げのメンテナンスを定期的に行うと、コンクリート自体の寿命を延ばすことも可能です。その結果、耐用年数よりも長い期間使用できる可能性は十分にあるでしょう。つまり、築30年マンションは管理次第で何十年も住み続けられるケースもあります。

築30年マンションに住み続けたあとに売れる?

結論から言うと、築30年マンションに住み続けたあと、売却できる可能性は十分にあるでしょう。

国土交通省の資料「マンションを取り巻く現状について」によると、2021年時点で築30年以上のマンション戸数は、およそ250万戸存在しており、マンションストック全体(約685.9万戸)の約36%にあたります。今後は1990年代の建設ラッシュ時に建てられたマンションが築30年目に差し掛かり、築30年以上のマンションの割合が増えていくと予想されています。

その一方で、築年数が経過したマンションほど、好立地な物件が多い傾向です。なぜならマンションをはじめとする住宅は、立地の良いエリアから建設されているからです。そのため築30年以上経過したマンションであっても、立地条件と管理状態が良ければ需要が見込めるでしょう。

築30年マンションで利用できる税制優遇

築30年マンションで利用できる税制優遇は、以下の通りです。

  • 住宅ローン控除
  • 不動産取得税の軽減措置
  • 登録免許税の軽減措置

それぞれの税制優遇について解説します。

住宅ローン控除

築30年マンションでも、住宅ローン控除(減税)を利用できます。住宅ローン控除とは住宅ローンを借り入れて住宅を購入・増築などを行った場合、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除する制度のことです。

令和4年度(2022年度)の税制改正で、控除期間は新築住宅等が原則13年、既存住宅が10年となりました。

既存住宅の場合、現行の耐震基準に適合することが要件となります。

・昭和57年(1982年)1月1日以降に建築された住宅

・昭和56年(1981年)12月31日以前に建築された住宅は、耐震基準適合証明書を取得

したがって、築年数が40年以下のマンションであれば確実に住宅ローン控除の対象となります。このほか、合計所得2,000万円以下、借入期間10年以上へ要件が変更されました。

出典:国土交通省|「住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後)」

中古マンションは既存住宅にあたるため控除対象の借入限度額は低いものの、税制改正で既存住宅の要件が緩和されたため、住宅ローン控除の活用で返済にかかる負担の軽減が可能です。

不動産取得税の軽減措置

築30年マンションを購入する際、不動産取得税の軽減措置を受けられます。不動産取得税とは、マンションをはじめとする不動産を取得した際に納付する税金のことです。購入の際に1回のみ納付します。

本来、不動産所得税は不動産を購入すると取得価格の4%を納税する決まりですが、特例の条件に該当する場合は税率や課税標準(課税対象となる金額)などが軽減されます。具体的には以下の表の通りです。

出典:さくら事務所|2024年度(令和6年度)税制改正大綱決定!不動産市場への影響は

当初は2024年3月31日までの特例でしたが、2024年度(令和6年度)の税制改正により2027年3月31日まで延長されました。

登録免許税の軽減措置

築30年マンションを購入するときは、登録免許税の軽減措置も活用しましょう。登録免許税とは、国に登記や登録を申請するときに支払う税金のことです。マンションや土地などの不動産は、所有者を国に登録する必要があります。

したがって新築や中古マンションを購入した場合は自分の名義で登記をし、登録免許税を支払わなければいけません。なお、軽減措置の詳細は以下の通りです。

出典:さくら事務所|2024年度(令和6年度)税制改正大綱決定!不動産市場への影響は

マンション購入による登録免許税の軽減措置も不動産取得税と同様に、税制改正により2027年3月31日まで延長されました。

築30年マンション購入のメリット

築30年マンション購入には、以下のようなメリットがあります。

  • 新築と比べてお値打ちの価格で購入できる
  • 資産価値としての評価が下がりにくい
  • 管理履歴を把握できる
  • 現行の耐震基準で建てられている

築30年マンションには新築マンションのような真新しさはないものの、中古物件にしかないメリットを持っています。築30年マンションが持つ魅力を把握した上で、購入を検討してみてください。

新築と比べてお値打ちな価格

築30年マンションは、新築と比較してお値打ちの価格で購入できるのが魅力です。マンションをはじめとする住宅は築年数とともに価格が下がり、築25年ほどで約半額にまで下落します。

その後も価格は緩やかに下がり続け、築30年頃になると購入しやすい価格で販売されています。そのため、もし購入後にマンションを売却しても損が出にくいでしょう。お値打ちの価格で中古マンションを購入したい方は、築30年の物件も視野に入れてみてください。

資産価値としての評価が下がりにくい

築30年マンションは、資産価値としての評価が下がりにくいのもメリットのひとつです。中古マンションの築年帯別平均㎡単価 を見てみると、築31~35年を底値に築26年以上のマンションの単価は一定水準で推移していることがわかります。

出典:東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)

つまり、築30年マンションはお値打ちの価格で購入できる上、資産価値の安定した物件と判断できます。資産価値としての評価が下がりにくいと、その後の売却もしやすいでしょう。

管理履歴が把握できる

築30年マンションは、管理組合による管理履歴を把握できるのもメリットです。管理履歴とはマンションの修繕履歴や積立金の状況などをまとめたもので、耐震性や耐久性を判断する際の材料となる資料です。定期的に修繕されているマンションであれば、入居後も安心して生活できるでしょう。

あわせて「外壁の傷みを放置していないか」「エントランスなどの共有部分は清潔に保たれているか」などを確認しておくと、マンションの管理状況を把握しやすくなります。築浅のマンションは修繕履歴などがなく、管理が適切に運営されているかどうか把握しにくいため、築30年の物件だからこそ得られるメリットと言えます。

現行の耐震基準で建てられている

築30年程度のマンションは、現行の新耐震基準で建てられています。新耐震基準とは、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目的に、1981年6月1日に施行された耐震基準のことで、以前の旧耐震基準よりも厳格化されているのが特徴です。具体的な内容は以下の通りです。

旧耐震基準

新耐震基準

震度5(中規模)までの地震で倒壊・損傷しないこと

震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害は免れる

旧耐震基準と新耐震基準の定義

つまり、築30年程度のマンションであれば現行の耐震基準に適合するため、耐震性の高い住宅だと判断できます。

築30年マンション購入のデメリット

上記のように築30年マンションには手頃な価格帯などの魅力がある一方、デメリットがある点にも注意しなければいけません。具体的なデメリットは以下の通りです。

  • 大規模修繕の計画が進んでいる可能性がある
  • ランニングコストが高くなる可能性がある
  • 予期せぬ修繕を行わなければならなくなる場合がある

築30年マンションを購入する際は、デメリットを理解しておくと後悔のない住宅購入ができます。ここからは、購入の際に気を付けておきたいポイントを紹介します。

大規模修繕の計画が進んでいる可能性がある

築30年マンションを購入する際は、大規模修繕の計画が進んでいる可能性を考慮しておきましょう。大規模修繕は12~15年ペースで行われており、築30年マンションを購入するタイミングで実施される可能性があります。

大規模修繕を行う際、修繕積立金で賄いきれないと一時金徴収が行われます。引越し直後であっても徴収されるため、金銭的な負担が大きくなる点に注意しましょう。築30年マンションを購入するときは、あらかじめ大規模修繕のタイミングを確認しておくと安心です。

ランニングコストが高くなる傾向がある

築30年マンションは、ランニングコストが高くなる傾向があります。もう少し具体的に言うと、築年数が古くなると修繕積立金が増額される可能性が高いです。

修繕積立金は均等積立方式と段階増額積立方式の2種類があり、段階増額積立方式では築年数が経過するにつれて修繕積立金が増額します。たとえ均等積立方式であっても、修繕費の積立がうまくいっていなければ増額される可能性もある点に注意が必要です。

とはいえ、マンションにかかるランニングコストは、快適な暮らしを維持するために欠かせません。資産価値を維持するためにも、ある程度のコストは必須なので、極端に相場を下回る修繕積立金の物件を選ぶのは避けた方が無難でしょう。

予期せぬ修繕を行わなければならなくなる場合がある

築30年マンションは専有部分の劣化も進んでいる恐れがあり、予期せぬ修繕が発生する可能性があります。たとえば見た目ではきれいでも、いざ住んでみると設備の不具合や配管の詰まりなどが発覚する場合があります。

物件を購入した後に設備の補修が必要となれば、さらなる費用が必要となり金銭的な負担が大きくなるでしょう。築30年マンションを購入するときは、リフォーム履歴の確認や修繕費を余分に確保しておくと安心です。

築30年マンション購入時の注意点

築30年マンションを購入する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 管理状況をしっかりとチェックして購入する
  • 修繕積立金・管理費も考慮して物件選びをする
  • リフォームが必要な範囲を確認しておく

先ほども紹介した通り、築30年マンションを購入すると、あらゆる費用が追加で必要となるケースがあります。急な出費に慌てることのないように、事前に注意点を把握しておくといいでしょう。

管理状況をしっかりチェックして購入する

築30年マンションは、管理状況をしっかりとチェックしてから購入しましょう。先ほど紹介した通り、まずはマンションの管理状況を見極めることが重要です。

国土交通省が発表している「長期修繕計画作成ガイドライン」によると、定期的な大規模修繕を推奨しています。しかしガイドラインは法的義務が発生しないため、すべてのマンションで実施されているわけではありません。したがって快適な暮らしを実現するためにも、事前に管理状況を把握しておくことが大切です。

なお、管理状況を確認したいときは、仲介している不動産会社に連絡して修繕履歴を見せてもらいましょう。過去の修繕状況をチェックでき、しっかりと管理されている物件かどうかを見極められます。

修繕積立金・管理費も考慮して物件選びをする

修繕積立金や管理費の負担が大きいと入居後の生活に多大な影響を与える恐れがあるため、築30年マンションを購入する際はランニングコストをチェックしましょう。築30年マンションは大規模修繕の直後のケースも考えられ、積立の目減りによって修繕積立金が増額する可能性も否定できません。そのため事前に確認しておき、入居後のランニングコストを把握しておく必要があります。

なお、新築マンションにおける修繕積立費の平均は、月額約7,000円です。修繕積立金をチェックする際は、平均額とどれほどの差があるかを確認してください。

リフォームが必要な範囲を確認しておく

築30年マンションを購入する際は、リフォームが必要な範囲を確認しておきましょう。先ほども紹介した通り、築30年マンションは設備の故障をはじめ、予期せぬ修繕が必要となる場合があります。

そのため、マンションを購入する前に不具合箇所の有無をチェックして、リフォームが必要な場所を把握しておくといいでしょう。すると出費に備えておけるため、修繕時に慌てずに済みます。

メリット・デメリットや購入時のポイントを理解して後悔のないマンション購入を

築30年マンションを購入するメリットとデメリットを把握しておくと、後悔のない物件選びを実現できます。今回紹介した注意点を事前にチェックしておき、住み心地の良い築30年マンションを見つけてみてください。

なお、さくら事務所では「中古マンションホームインスペクション」「マンション管理インスペクション」を提供しています。

中古マンションホームインスペクションとは、建物に精通したホームインスペクターが第三者の立場から物件を調査するサービスです。専門家の目線で物件を調査するため、購入前に問題点を把握できます。

マンション管理インスペクションとは、管理状況を第三者の目線でチェックするサービスです。購入前の管理状況の把握によって、入居後の後悔を減らせます。

築30年マンションを後悔なく購入するには、さくら事務所のサービスをはじめとした第三者のプロの力を借りるのも有効な手段のひとつです。ぜひ興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

ホームインスペクター 鈴木 賢
監修者

鈴木 賢

築35年の中古マンションを購入し、自身の設計でスケルトンリフォームして住んでいます。
建築物定期調査報告や屋上防水改修、管理会社変更検討などマンションの理事会活動も行っており、設計監理者としてだけでなく、生活者としての視点も持ち続けて活動しています。