断熱材に関する不具合は普段生活していても、目に見える形では不具合が生じない事がほとんど。しかし、空調で利用するエネルギーを無駄に使いするだけでなく、結露やカビの発生などが起こるケースもあるのでしっかりとチェックをしておきたいところです。
新築一戸建ての内覧会立会いの事例をもとにチェックのコツをご紹介します。
階段下の断熱材の設置忘れの事例と理由
<事例1:階段下の断熱材の設置忘れ>
階段の下の様子。チェックしてみると断熱材の設置が有りませんでした。せっかくの断熱材も室内をきれいにぐるりと包むように設置しなければ有効に機能しません。
基 本的に1階の床下の断熱材は、床板の裏に張り付ける様な位置に施工されます。しかし階段の下は階段があるためそもそも床が必要ないので、下地の骨組みや合 板が無い事があります。そうすると断熱材を張り付けるものが無いため断熱材を張り忘れてしまうことも。最近は土台の上全面に合板を敷く工法が多いため、施 工忘れはあまり見受けられなくなりましたが、それでもたまに断熱材の施工を忘れているケースが見られます。
<事例2: 押入床の断熱材の設置忘れ>
和室の押し入れの下の様子。こちらも断熱材の設置が忘れられていたケースです。
和 室の床に使われる畳は、畳の芯の部分(畳床)がスタイロフォーム等の断熱材になっている物が多く使われています。その為、畳の下には床下断熱材を施工しな い仕様になっている事が結構あります。押入の床下断熱材の施工忘れはこのケースの時に、畳の下だけ断熱材を入れないでおくはずが、つい隣の押入の下も入れ 忘れてしまっていたのです。
<事例3:吹抜けの壁の断熱材の設置忘れ>
こちらは小屋裏。室内が吹抜けになっており、その吹抜け部分に面した壁の断熱材が抜けていたケースです。
最 近では建物の断熱材は「家全体を隙間無く包む様に施工する」という考え方が常識になっていますが、一昔前までは断熱材は「外壁や1階の床、小屋の天井に施 工する」という感じで、どちらかというとその部位に断熱材を施工しておくという感じだったのではないかと思います。しかし、実際の建物はきれいな箱型では なく出っ張りやヘッコミがありますから、床下外壁天井裏に断熱をしても隙間が出てしまう場所があるのです。
断熱材の施工忘れのが多い場所
上 の図は断熱材の施工忘れが見られる場所をまとめたものです。断熱材の施工忘れは内覧会の際に確認できるものもありますが、建物が完成した後では確認がもう 出来ない箇所が多いためなるべく工事中にチェックをしたいものです。ご心配な方は工事中に設計者や第三者機関等に工事のチェックをしてもらうという方法も ありますのでご検討されてみると良いかもしれません。
断熱施工が適切でないとどうなる?
実はこれらの場所は、断熱材の設置忘れ箇所の指摘で高い割合を占める箇所になります。建物形状や工法・仕様により設置を忘れてしまうケースが多いようです。
内覧会の時に気が付かなくても住んでいて明らかに気が付く不具合が生じれば、後日業者に修理を要請する事も検討できるでしょうが、中には住んでいても気付きにくかったり、気が付かないといった不具合も存在します。
特 に床下や小屋裏で見つかる不具合のほとんどは調査を行わなければずっと気が付かれずに、そのままとなってしまう事がほとんどでしょう。しかし、カビなどの 被害が顕在化した段階では構造へのダメージも大きい可能性が高く、補修費用も割高となります。省エネと家計節約のためにもぜひチェックしておきたいポイン トです。
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