施工不良が原因で現れる建物の劣化
中古住宅のインスペクション(住宅診断・住宅検査)を行っていると基礎のコンクリートが一部剥げ落ち、中のさびた鉄筋がむき出しになってしまっているようなお宅を見かける事があります。
放っておくとさびが広がり、ますます基礎がボロボロになってしまう危険があります。建物の構造に悪影響を与えてしまう状態ですが、実は通常の経年劣化ではそう簡単には起こりません。
これは建築工事の際の不手際が原因で起こったものなのです。工事に問題があるとこのような思わぬ大きな劣化を招く事があるので注意が必要です。
工事現場をチェックしよう
工事が進んでいくと隠蔽される部分は、施工途中でしっかりとチェックをすることが大切です。遠方や都合でなかなか立ち会えないという方は、ポイントとなるタイミングで施工途中の現場写真を撮ってもらうというのもいいでしょう。
完成してから基礎の不具合に悩まされることがないよう、施工中から品質を確認するためのチェックポイントを事例をもとにご紹介します!
基礎の鉄筋工事のチェックポイント
◇鉄筋の被り厚さ
コンクリートは鉄筋をさびから守るという効果があります。法律では鉄筋はコンクリートの中に何センチ以上埋め込むという決まりがあり、この埋め込み深さを「被り厚さ」といいます。
「被り厚さ」が大きく不足していると基礎表面にヒビが発生しやすくなる場合があり、鉄筋がさびてしまう事があるのです。冒頭に紹介した例はこの被り厚さが薄すぎたために起きたもの考えられます。
直接的には基礎コンクリートの劣化のし易さに影響をしますが、劣化が起こると構造にも悪影響を与えてしまいますので注意が必要です。
◇定着長さ、継手長さ
鉄筋を継ぎ足す部分では、鉄筋と鉄筋を一定の長さ以上重ね合わせる事が決められています。これが不足するとうまく力が伝えられず、本来の耐力が確保できません。構造上重要なポイントです。
◇補強筋
基礎の形状は複雑です。角があったり配管が通る穴があったり、またメンテナンスで人が通る穴(人通口)があったりします。
こうした部分には地震などの際に力が集中しやすいため、補強のため鉄筋を入れます。これに不備があると後でコンクリートにひび割れが起こる可能性も考えられます。
補強のための鉄筋は、鉄筋の数や種類が他の部分と違う事が多いため、施工忘れや間違いが起こりやすいポイントなので要チェックです。