「新築マンションの内覧会って、どんな流れで、何をやったら良いの?」
初めて内覧会に行かれる方はどなたもきっと、このように思われるかと思います。
本記事では、これまでに数多くの「新築マンション内覧会(お披露目会)立会い・同行サービス」を行ってきた『さくら事務所のホームインスペクター』が、内覧会についての基本情報から具体的なチェックポイント、注意点やその他気にすべき点などについて深堀りして解説いたしました!
本記事で、内覧会についての基本的な事項はすべて押さえられます。当日つかえるチェックリストも紹介していますのでぜひ参考にしてください。
※『新築戸建ての内覧会』の《完全ガイド記事》についてはこちらの記事をご参照ください
【注意】「さくら事務所」と名乗り、新築マンション内覧会立会いなどを請け負う人物にご注意ください。詳細はこちら
< 目次 >
内覧会はマンションの仕上がりを確認する場
内覧会とは、完成した建物を購入者様が初めて見る場です。契約した通りの建物になっているか?選んだ設備や内装で出来ているか?など、仕上がりの程度を確認します。何か気になることがあれば担当者に伝え、不具合であれば是正の検討をしてもらえることも可能です。
傷や汚れは、引っ越しでつくこともあれば、生活しているなかのほんの些細なことでついたりもします。そのため、引き渡し以降に覚えのない傷がいつどこでついたのか、判断することは難しく、内覧会でしっかり見てもらい線引きをする事によって、区別できるのです。 内覧会時の不具合であれば無料で直せますが、引き渡し後になるとほとんどが有料になります。
また、仕上がり状態の確認だけではなく、そのマンションの住み方や暮らし方の注意点などについて売主から様々な説明を受けてしっかりと確認をすることも、内覧会における重要な目的の一つです。傷や汚れの確認だけに意識が向いてしまい、重要な説明を聞き流してしまうといったことがないように注意しましょう。
内覧会はプロに同行してもらうのもあり!
新築マンションの内覧会に慣れている方で、不具合をご自身で確認できる場合や、若しくはこうした不具合があっても気にならないといった方であれば、必ずしもプロの同行は必要ないでしょう。
しかし、新築マンションの内覧会自体が初めての方や、不具合の確認に自信がない方、出来るだけ不具合のない状態で新生活を始められたい方などは、プロの同行サービスを利用することで、安心しやすく、且つお披露目会でもある内覧会を楽しみやすくなるかと思います。
とはいえ、新築マンション内覧会に、プロの同行って必要なの?という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
確かに、ここ近年では新築マンションの施工品質は良くなっていると見られますが、不具合が全くないという状況でもありません。
例えば、浴室の排気ダクトからの空気漏れや、バルコニーの排水勾配不良、床鳴りや建具の建付け不良などは、新築マンションで今でもよく見られる不具合の代表的なものです。
こうした施工品質については、プロが効率的にチェックを行うことで、約1~2時間程度でそれぞれ確認をすることができます。
内覧会は、そのマンションの住み方を知るためのとても大切な機会です。必要に応じてプロの同行サービスを利用するなどしたうえで、是非有意義な時間にしてください。
マンション内覧会は「立ち会いあり」と「立ち会いなし」の2種類ある
マンション内覧会への参加方法は、ホームインスペクションなどの専門家が立ち会って建物に不具合がないかチェックしながら見てまわるパターンと、専門家の立ち合いなしで購入者自身が不具合チェックを行うパターンの2種類あります。
どちらを選択するかによって当日のやるべきことも以下のように変わるのです。
(1)売主や施工会社が立ち会うケース
このケースは、『期間を設けて大規模な内覧会を行う場合』に多いのですが、売主や施工会社の主導で各種設備機器類の説明などが行なわれ、その後に一緒にまわって建物の状態の確認を行います。 気づいたこと気になることについて質疑応答があり、懸案や不具合については売主や施工会社がチェックシートを作成し、いつまでに回答や是正が行われるのか打ち合わせをします。内覧会における多くの場合は、こちらのパターンとなります。
(2)誰も立ち会わないケース
このケースは、『戸数の少ないマンション、大規模な内覧会の期間外の場合に多い』のですが、購入者が自由に建物を見て、気づいたことと気になることを手渡されたチェックシートにご自身で記入します。ひと通り見終わったらチェックシートを売主に渡し、その場、若しくは後日にチェックシートへの回答がされる流れとなります。
※チェックシート例
マンション・内覧会の流れ
ここではは、「売主や施工会社が立ち会う」ときの一般的な内覧会についての流れを紹介します。
【マンション内覧会の流れ】
(1)進め方の説明
エントランスにある受付で部屋番号と名前を伝えると、売主担当から内覧会の進め方や流れの説明が行なわれます。
(2)契約をした部屋へ移動
施工会社担当が紹介され、売主担当とともに契約したお部屋へ向かいます。
(3)室外設備の使用説明
部屋の前に到着すると、まず廊下にあるメーターボックス内の説明をうけます。
終了後、いよいよ入室です。
(4)室内設備機器の使用説明
部屋の中では、まず売主担当による各設備機器類の使い方説明や、各所の動作確認をおこないます。
設備機器類の説明が終わると、ようやく内部の確認です。
(5)室内のチェック開始
各部屋をまわりながら気になる個所があれば、施工会社に伝え『内覧会シート(指摘シート)』というチェック用紙に指摘内容と指摘した場所を記載してもらいます。
(6)指摘事項と再内覧の確認
1階のホールに戻り、売主担当と指摘事項の記入漏れがないか確認します。その後、再内覧会の日時を決め、内覧会シートにサインと印鑑を押すとチェックシートの写しをもらえます。(次回の再内覧会時にはこの写しを持ってきます)
(7)共用部分の説明
売主担当の誘導でエントランスドアの開け方や宅配ボックスの位置等を確認しながら、駐車場や駐輪場などの共用部分の説明を受けます。
(8)書類の受け取り
たくさんある設備機器類のファイルを渡され、一つ一つ内容を確認する物件もあります。説明書がたくさんあるため意外と時間がかかることも。70㎡程度のお部屋の場合、概ね2時間程度を予定するとよいでしょう。
マンション内覧会のチェックリスト
内装 |
傷や汚れはないか |
間取り |
部屋の形状、窓の向きなどは図面と相違ないか、照明やコンセントの位置が合っているか |
床や壁 |
床鳴りや傾きなどの違和感がないか |
建具・水栓 |
サッシや窓の開閉・施錠はスムーズか、水栓のレバーハンドルの動作に違和感はないか、吐水量は問題ないか |
取り付け物の固定状況 |
ペーパーホルダー、カウンター、棚板などがガタついていないか |
給排水設備 |
排水して水漏れの心配がないか、時間が経っても染みてこないか |
換気扇 |
吸気・排気がスムーズできるか、大きな騒音・振動がないか |
バルコニー |
床に不自然な膨らみがないか、排水管に傷や穴がないか |
オプション |
契約したオプションが正しく反映されているか |
共用部 |
将来のメンテナンスと点検にかかる費用や周期はどれくらいか |
建設時の状態 |
新築時に見つかった不具合はあったか |
1.内装や建具の傷・汚れ
建設時に付いてしまった傷や汚れは、内覧会で指摘すれば無料で補修・清掃してもらえます。しかし、引き渡し日以降になると入居後についたものと区別できないため有料になってしまうケースも…。
人によって気になる程度にも差があるものなので、内装や建具に付いた傷や汚れは引き渡し前に自分の目で納得できるまでチェックすることをおすすめします。
2.間取り図との相違
とくに以下4つを点検しましょう。
・部屋の形状
・扉の向き
・収納内の棚
・照明やコンセントの位置
テーブルや椅子、ソファーなどの配置、部屋間の移動など生活をイメージしながら、その生活目線でチェックすることがおすすめです。
3.床や壁などの水平垂直精度
スリッパを外して歩いたときに違和感を感じないか、部屋の壁の入隅や出隅部分と近くの木枠などとの距離が上下で均一になっているかを確認します。いろんな方向から歩いたり、角度を変えて様子を見てみましょう。
4.建具や水栓などの動作
サッシや扉などの建具は開閉し、鍵が付いているものは施錠・開錠をします。水栓は水と湯をそれぞれ吐水し、レバーハンドルの動作や吐水量を確認します。使いやすさは人によって多少異なるので、実際の生活での動作を行って違和感があれば調整してもらいましょう。
5.取り付け物の固定状態
タオル掛けやペーパーホルダーなど壁に付いているもの、下駄箱や水まわりなどの収納についている扉、カウンター・棚板などの固定状況を確認します。ガタついていないか、隙間や緩みなどがないかを見て触ってチェックしましょう。
6.給排水設備などからの水漏れ
吐水をしている際に水栓のまわりから水漏れがないか、排水後に水栓・排水下にある収納内部や周辺を見て水漏れや水染みがないかを確認します。目視だけでなく、手で触って確かめてみることも重要です。
水漏れが直ぐに表面には出ず、時間を掛けて染み出るものもあるので、時間を変えて2回ほど確認しましょう。
7.換気扇などの機能性
換気扇の吸気・排気口に手を当てて風が流れているかを確認します。また、静かな環境でON/OFFを繰り返し、気になる異音や振動などがないか判断しましょう。換気扇などの設備機器は、実際に動かせるように、事前に売主に依頼しておくことがポイントです。
8.バルコニーが正常か
最近のバルコニーは、摩耗に強く防水性も高い床材である「長尺シート」が用いられることが多いのですが、これが浮いていると隙間に水が浸入しやすく剥がれる原因になります。
また、排水管に傷や穴がないかもチェックしてください。中古マンションはもちろんですが、新築でも施工時に意図せずぶつかるなどして傷が付いてしまうことがあります。
9.オプションの相違
完成前に購入するタイプの新築マンションでは、設備や内装・間取りなどをオプションで変更できることが多いです。オプションを選択した際には、必ず事前打ち合わせ通りの変更がなされているかを実際に見て確かめてください。
相違があった場合でも、入居後の変更は工事の手間や追加料金が発生する場合がありますから注意しましょう。
10.共用部のメンテナンス
エントランス、駐車場、ポスト、エレベーターなどの共用部についても、気になることがあれば内覧会で確認できます。
特に、将来のメンテナンスはどうなりそうか、大規模修繕の時期はいつか、今後必要な工事と費用はどれくらいかをある程度事前に知ることができれば入居後も安心ですね。
11.建設時の建物の状態
地盤や基礎、建物構造体に不具合が潜んでいても、多くは数年経ってから建物に異変が起きて変化に気付きます。
そのため、内覧会では現状の不具合をチェックするのと同時に新築時における「建物の標準の状態」もセットで把握しておきましょう。
今後発生する異変について「当初から原因はあったのか」または「後から発生したものなのか」を見極める材料になります。
マンション内覧会で役立つ持ち物リスト
- 間取り図の写し(間取りやコンセントなどの取り付け位置に間違いがないか確認するため)
- 長さ50cm程度の水平器(床や壁、棚等の水平垂直精度を確認するため)
- 脚立(小さいもので可、高い位置のものを確認するため)
- デジカメやビデオ(指摘個所を記録するため)
- メジャー(家具やカーテンなどの採寸に利用するため)
- スリッパ(靴下の汚れ防止のため)
- 懐中電灯・ライト(戸棚の中や部屋の隅、床下や天井裏のチェックのため)
- フェイスタオル(水やお湯を流し給水・排水機能のチェックの水を拭き取るため)
※詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ご参照ください。
⇒内覧会はこれがあると便利!
マンション内覧会を成功させるポイント
内覧会当日はできるだけ予定を空けておく
まずは売主に、2時間ほど部屋にいさせてもらえるよう事前に依頼しましょう。当日やることは部屋の内覧だけではなく採寸や各種手続きなども含まれるため、できるだけ多めに時間をとっておくのが理想的です。
その際、外が明るいほうが細部までチェックしやすいため開始時刻は15時より前がおすすめです。すでに15時以降で予約しても、希望すれば時間変更してもらえることがあるので諦めずに日程調整をお願いしてみてください。
温度調節しやすい服装で行く
特に冬の内覧会では、部屋がとても冷え込んでおり身体に負担がかかることが予想されます。室温に合わせて調整できる服装で参加しましょう。
フローリングの寒さ対策として、底が厚いスリッパや厚手の靴下を用意しておくと便利です。
遠慮しないで発言する
マンションの買主は、建築のプロではないためわからないことがあって当たり前です。対人関係や会社との付き合いを気にするあまり、言いたいことを遠慮してしまうのはもったいないと思います。
特に、間取りや設備、仕上げ材などが契約内容や打ち合わせ時と違う場合は、自分の許容範囲であっても「相手の勉強にもなる」と思ってはっきり伝えましょう。ここで「きれいだし、直すと面倒だから」と妥協してしまうと年数が経ってから後悔することになったり、売主・施工会社にとっても次の買主に同様のミスをして大変な問題に発展する恐れがあります。
遠慮せず発言することで、長い目で見れば売主・施工会社とのよりよい関係構築につながるのです。
神経質になりすぎない
微細な傷や汚れに気づいた場合はどうするか?「高額な買い物なので全てとことん直してもらう」という考えもありますが、補修のために人の出入りがあって新たな傷・汚れがついてしまい、いつまでも補修が終わらないということもありえます。
お子様との内覧会は飽きないよう工夫する
2時間の内覧会でしっかり仕上がり状態をチェックし、お子様と楽しく過ごすためには「おもちゃ・お菓子」「お手伝いしてもらうチェックポイント」などの準備をしておくと良いでしょう。
※詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ご参照ください。
マンション内覧会とアフターサービス
新築マンションの購入者は、アフターサービスとして引き渡しから一定期間、定められた事象について売主に無料で不具合を直してもらえる権利があります。
それゆえ、不具合は引き渡し後でも直してもらえると思われる方も多いようですが、実際に引き渡しを受けた購入者のなかには、気づいた施工不良を無料で直してもらえなかったケースもあります。
たとえば、『入居当時から浴室換気扇の音が気になっていたところ、ご近所宅と比較した時にやはり自宅の換気扇がおかしいことに気が付いた』というケースでは、アフターサービス規準書にある保証期間内の連絡(通知)であれば、無料で直してもらえる可能性が高いです。
しかし、アフターサービス期限がすぎると原則として有料になり、さらには期限内だったとしても「使い方の問題による不具合」と判断されると無料にならないことも…。
アフターサービスはすべての不具合に無料で対応してくれる訳ではありません。売主が負担すべき不具合を確実に対応してもらうためには、「アフターサービスがあるから入居後でも大丈夫」と考えずに内覧会で早期に指摘することが大切です!
マンション内覧会は、プロに同行してもらうのがおすすめ!
内覧会チェックポイントについてお話ししてきましたが、「こんなに自分でチェックできるか心配」、「見落としがありそう」といった不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方におすすめしたいのが、住宅診断のプロであるホームインスペクター(住宅診断士)に内覧会同行をしてもらうことです。
ホームインスペクターが、オートレーザーなどのチェックに必要な機器を持参し、お客様と確認しながら確認を行っていきます。ホームインスペクターは建物に精通したプロフェッショナルですので、売主や施工会社の説明の誤りやごまかしもしっかり判別します。
さくら事務所では、新築マンション内覧会を専門家が同行サポートするサービスをご提供しています。
1999年創業時から年間3,000件以上・累計58,000件超という確かな実績をもとに、今でも新築マンションの内覧会立会いで多数のご依頼をいただいております。
また当社は、工事事業者やデベロッパーなどとの利害関係を絶ち、徹底した第三者性と中立性によって売主・買主がよりよい関係を築けるお手伝いをいたします。
お困りごと、心配ごとに応じて、お気軽にお問い合わせください。