「新築マンションの内覧会って、どんな流れで、何をやったら良いの?」
初めて内覧会に行かれる方はどなたもきっと、このように思われるかと思います。
本記事では、これまでに数多くの「新築マンション内覧会(お披露目会)立会い・同行サービス」を行ってきた『さくら事務所のホームインスペクター』が、スライド図解なども交えて内覧会についての基本情報から具体的なチェックポイント、注意点やその他気にすべき点などについて深堀りして解説いたしました!
内覧会についての基本的な事項はすべて押さえられるかと思いますので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
※『新築戸建ての内覧会』の《完全ガイド記事》についてはこちらの記事をご参照ください
< 目次 >
内覧会とは?まずは基本を理解しよう!
内覧会では何をするの?
内覧会とは、完成した建物を建主(建築工事を注文した業者)や購入者様が初めて見る場です。契約した通りの建物になっているか?選んだ設備や内装で出来ているか?など、仕上がりの程度を確認していきます。何か気になることがあれば担当者に伝え、不具合であれば是正の検討をしてもらることも可能です。
目的、重要性について
内覧会の大きな目的の一つとして、『工事による不具合』と『引き渡し以降の生活による不具合』を区別するための線引きの場という事があります。 傷や汚れは引っ越しで付くこともあれば、生活の中でのほんの些細なことでついたりもします。そのため、引き渡し以降に覚えのない傷をどこで判断することは難しく、内覧会でしっかり見てもらい線引きをする事によって区別をすることが可能になります。 内覧会時に不具合であれば無料で直すこともできますが、引き渡し後になると有料になることがほとんどです。
内覧会には2種類ある
①売主や施工会社が立ち会うケース
このケースは、『期間を設けて大規模な内覧会を行う場合』に多いのですが、売主や施工会社の主導で各種設備機器類の説明などが行なわれ、その後に一緒にまわって建物の状態の確認を行います。 気づいたこと気になることについて質疑応答があり、懸案や不具合については売主や施工会社がチェックシートを作成し、いつまでに回答や是正が行われるのか打ち合わせをします。
②誰も立ち会わないケース
このケースは、『戸数の少ないマンション、大規模な内覧会の期間外の場合に多い』のですが、購入者が自由に建物を見て、気づいたことと気になることを手渡されたチェックシートにご自身で記入します。ひと通り見終わったらチェックシートを売主に渡し、その場、若しくは後日にチェックシートへの回答がされる流れとなります。
※チェックシート例
新築マンション・内覧会の流れについて
ここからは、『①売主や施工会社が立ち会う』形式の一般的な内覧会についての流れをご紹介していきます。
- 【進め方の説明】
エントランスにある受付で部屋番号と名前を伝えると、売主担当から内覧会の進め方や流れの説明が行なわれます。 - 【契約をした部屋へ移動】
施工会社担当が紹介され、売主担当とともに契約したお部屋へ。 - 【室外設備の使用説明】
部屋の前に到着。まず廊下にあるメーターボックス内の説明。
終了後、いよいよ部屋の中に入ります。 - 【室内設備機器の使用説明】
部屋の中では、まず売主担当による各設備機器類の使い方説明や、各所の動作確認。
設備機器類の説明が終わると、ようやく内部の確認が始まります。 - 【室内のチェック開始】
各部屋をまわりながら気になる個所があれば、施工会社に伝え『内覧会シート(指摘シート)』というチェック用紙に指摘内容と指摘した場所を記載してもらいます。 - 【指摘事項と再内覧の確認】
1階のホールに戻り、売主担当と指摘事項の記入漏れがないか確認します。
ここでは再内覧会の日時を決め、内覧会シートにサインと印鑑を押すとチェックシートの写しをもらえます。(次回の再内覧会時にはこの写しを持ってきます) - 【共用部分の説明】
売主担当の誘導でエントランスドアの開け方や宅配ボックスの位置等を確認しながら、駐車場や駐輪場などの共用部分の説明を受けます。
※その後、たくさんある設備機器類のファイルを渡され、一つ一つ内容を確認する物件もあります。説明書がたくさんあるため意外と時間がかかります。70m2程度のお部屋の場合、概ね2時間程度を予定するとよいでしょう。
スライドで見る!3分でわかる新築マンション内覧会チェックのコツ
新築マンション内覧会チェックポイント
- 間取り図との相違
部屋の形状、扉の向き、収納内の棚など間取り図どおりに出来ているか。照明やコンセントなどが間取り図どおりの位置に付いているかを確認します。テーブルや椅子、ソファーなどの配置、部屋間の移動など生活をイメージしながら、その生活目線でチェックすることがおすすめです。
- 床や壁などの水平垂直精度
スリッパを外して幾度か歩行をしながら違和感を感じないか。部屋の壁の入隅や出隅部分が近くの木枠などからの距離が上下で均一になっているかを確認します。いろんな方向から歩いたり、角度を変えて様子を見てみましょう。
- 建具や水栓などの動作
サッシや扉などの建具は開閉し、鍵が付いているものは施錠・開錠をします。水栓は水と湯をそれぞれ吐水し、レバーハンドルの動作や吐水量を確認します。使いやすさは人によって多少異なるので、実際の生活での動作を行って違和感があれば調整してもらいましょう。
- 取り付け物の固定状態
タオル掛けやペーパーホルダーなど壁に付いているもの。下駄箱や水まわりなどの収納についている扉。カウンター・棚板などの固定状況を確認します。ガタついていないか、隙間や緩みなどがないかを見て触って確認をします。
- 給排水設備などから水漏れがないか
吐水をしている際に水栓のまわりから水漏れがないか。排水後に水栓・排水下にある収納内部や周辺を見て水漏れや水染みがないかを確認します。水漏れが直ぐに表面には出ず、時間を掛けて染み出るものもあるので、時間を変えて2回見るとよいです。
- 換気扇などが正常に機能しているか
換気扇の吸気・排気口に手を当てて風が流れているかを確認します。また、気になる異音や振動などがないかも静かに聴くようにします。ON・OFFを何度か繰り返して違いを見てみましょう。 ⇒さくら事務所が「新築マンション内覧会(お披露目会)立会い・同行サービス」で使用する、オリジナルの内覧会チェックリストはこちら
当日持っていきたいもの
~当日持参したいもの~
- 間取り図の写し(間取りやコンセントなどの取り付け位置に間違いがないか確認するため)
- 長さ50cm程度の水平器(床や壁、棚等の水平垂直精度を確認するため)
- 脚立(小さいもので可、高い位置のものを確認するため)
- デジカメやビデオ(指摘個所を記録するため)
- メジャー(家具やカーテンなどの採寸に利用するため)
- スリッパ(靴下の汚れ防止のため)
- 懐中電灯・ライト(戸棚の中や部屋の隅、床下や天井裏のチェックのため)
- フェイスタオル(水やお湯を流し給水・排水機能のチェックの水を拭き取るため)
※詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ご参照ください。
⇒内覧会はこれがあると便利!
具体的なトラブル事例について
新築の分譲住宅の購入者は、アフターサービスして引き渡しから一定期間、定められた事象について売主に無料で不具合を直してもらえる権利があります。
それゆえ、不具合は引き渡し後でも直してもらえると思われる方も多いようですが、実際に引き渡しを受けた購入者の中には、気づいた施工不良を無料で直してもらえなかったケースもあります。
売主が対応すべき不具合をきちんと直してもらうためにも、契約した建物は引き渡し前にしっかりチェックしておくのがおすすめです。
【ケース①】 家具の設置後に気付いた不具合は直してもらえない?
「自分で持ってきた本棚のあたりの床が、壁に向かってものすごく傾いている気がする」と心配になっても、売主のアフターサービス担当者に“家具の重みで少し床が沈んでいるだけ。異常ではないので修理対象外”と回答される可能性も。実際に重い家具を置いたことで床が少し沈むこともあるからです。
もし引き渡し前に大きな傾きがないことを把握できていれば、家具の重みによるもので施工不良ではないと安心できるでしょう。
【ケース②】 期限切れにより無料で直してもらえない
入居当時から浴室換気扇の音が気になっていたところ、ご近所のお宅と比較したときに自宅の換気扇がおかしいことに気づかれた場合、売主に連絡をするとアフターサービス規準書に書かれた保証期間内の連絡(通知)であれば、無料で直してもらえる可能性があります。
しかし、売主への不具合通知がアフターサービス期限以降だと、原則として全ての修理が基本的に有料となってしまいます。
【ケース③】 使い方の問題とされ有料に?
アフターサービス期間内に無料で直してもらえるものは、普通に使っていたにも関わらず発生した「所有者に責任がない」不具合に限ります。
「普通に使っていたのにおかしくなった!」というものについて、売主が「これは建設時からの不具合とは認められないのでアフターサービスの対象ではありません」と回答されてしまうケースもあります。
新築時の状態を把握しておくことで、将来わかる不具合に備える
たとえば地盤や基礎、建物構造体に不具合が潜んでいたとしても、建物がすぐに大きく傾くことは少なく、多くは数年経ってから建物に異変が起きて変化に気付きます。
ただ、それらの異変が実は当初からあったものに気付いていなかったのか、後から発生したものなのかわからないということは珍しくありません。
「もしかしたら引渡しされた時からこうだったのかも」と迷っているうちに、実は問題となる不具合事象が起きていて、不具合が進行してしまうということもありますから、できるだけ建設当時の状態を把握しておきたいものです。
引き渡し前の内覧会で、施工不良がないかどうかのチェックはもちろんのこと「建物の標準の状態」もしっかりチェックしておきましょう。
※詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ご参照ください。
→【その建物大丈夫?新築マンションの正常な状態とは?】
その他注意点など
アフターサービスについて
アフターサービスとは、定期的に点検を行ったり、修繕を含めて困ったことや不具合については相談をお受けするものであり、その中に保証の対象があり、定めた事象については、特定の期間は保証の範囲で対応するというものです。
何でもアフターサービスで無料で対応するというものではありません。 また、引渡し前の内覧会時に建物について説明をしてもらい状態を把握することによって、引き渡し後に起きる事象について安心して対処ができるというメリットがあります。 トラブル回避、安心して住むためにも契約した建物は引き渡し前にしっかりチェックしておくのがおすすめです。
~内覧会当日はできるだけ予定を空けておこう~
- チェックのために、お部屋に2時間くらいいさせてもらえるよう、事前に売主に依頼
- 外が明るいほうがチェックしやすいため、開始は15時より前がおすすめ (希望すれば開始時間を変更してもらえることも)
- お部屋の内覧だけでなく採寸や各種手続等にも時間が掛かるので、多めに時間をとっておきましょう
~内覧会当日はこんな服装がおすすめ~
- 冬の内覧会はかなりお部屋が冷え込んでいることがあります。室温に合わせ調整できる服装を
- フローリングが冷たく足元から冷えてしまうことも。底が厚いスリッパや厚手の靴下をお持ちになると便利です
~設備機器のチェックポイント~
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- 水まわり・換気扇は実際に動かしてみて正常に動作するか確認できるよう、事前に売主に依頼しておきましょう
- 浴室天井の点検口からダクトが外れていないかなど、天井裏をチェックしてみましょう
~相手との関係はあまり気にしない!~
- 対人・対会社の関係を気にしているのであればもったいないのです!建て主、買主は建築の素人であり、担当となる相手はプロですから、遠慮をせずにいろいろと質問しましょう
- 間取りや設備、仕上げ材などが、契約内容や打ち合わせ時と違う場合は伝えるべきです。きれいだし、直すと大変な事になるから・・・これで“問題なし”と思うかもしれませんが、後で妥協したことを後悔することもあります。自分の許容範囲であっても相手の勉強と思って伝えてあげましょう
~細かいことはどこまで気にする?~
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- 微細な傷や汚れに気づいた場合はどうするか?「高額な買い物なので全てとことん直してもらう」という考えもありますが、補修のために人の出入りがあって新たな傷・汚れがついてしまい、いつまでも補修が終わらないということもありえます
~お子様と一緒の内覧会について~
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- 2時間の内覧会でしっかり仕上がり状態をチェックし、お子様と楽しく過ごすためには「おもちゃ・お菓子」「お手伝いしてもらうチェックポイント」などの準備をしておくと良いでしょう
※詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ご参照ください。
内覧会、プロに相談する利点って?
内覧会チェックポイントについてお話ししてきましたが、「こんなに自分でチェックできるか心配」、「見落としがありそう」といった不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ホームインスペクターがいれば、チェックポイントをモレなくチェック!
そんな方におすすめしたいのが、住宅診断のプロであるホームインスペクター(住宅診断士)に内覧会同行をしてもらうことです。
オートレーザーなどのチェックに必要な機器を持参し、お客様と確認しながら確認を行っていきます。ホームインスペクターは建物に精通したプロフェッショナルですので、売主や施工会社の説明の誤りやごまかしもしっかり判別します。