新築の住宅購入では、取引の最終段階において「施主(竣工)検査」というものがありますが、この検査において、当日何が行われ、立会いにおいて何に注意すればいいのかご存知でしょうか?
新居の引き渡し前の重要なイベントなのに、「舞い上がっていて気が付いたら終わっていた…」という方も少なくありません。
家は多くの時間を過ごす「大事な場所」。本記事では、
・施主検査についての基礎知識
・日程の決め方や、施工会社への事前準備
・当日確認をすべきポイント
・引き渡し前に指摘事項が直してもらえない場合の対処法
などなど、引渡しで失敗しないための必須チェックポイントを、初歩的なことから細かな内容まで、多数の施主(竣工)検査・内覧会に立ち会ってきたプロのホームインスペクター(住宅診断士)が網羅して解説いたします!ぜひ、参考にしてみてください。
施主検査の時に活用できる、チェックポイントはこちらからダウンロードできます
まずは「施主検査」を正確に理解しよう!
本題に入る前に、少し分かりづらい住宅業界の用語についておさらいしておきましょう。
施主とは?
施主とは、注文住宅や建売住宅において、建物の建設工事を施工会社・工務店・ハウスメーカーなどに依頼した注文(発注)主を指します。
注文主という言葉のややこしい所は、一般的に「商品を注文」する人というのは、商品が手元に届く購入者(お客様)となるのですが、住宅購入においての注文主はそれとは異なるため注意が必要です。
※最終的に住宅が引き渡されるお客様については、一般的に「購入者」「契約者」と呼びます。
施主検査とは?
これは、その名の通り「施主」による検査なので、施主が施工会社・工務店に依頼した建設工事の仕上がりのチェックをする確認作業になります。この検査は、建設途中に行われるものと、完成(竣工)後の引き渡し前に行われる2種類に分かれ、両方を含めて施主検査といいます。
※契約者様の目線の用語では、引き渡し前の施主検査と「内覧会」と呼びます
住宅は、工事現場で多数の職人の手作業により作られるため、施工不良があっても気づかれずに建物が完成することもあります。耐久性や耐震性に影響が出るような不具合や、建物の形状や壁の位置が図面と異なるなどの施工不良が気付かれないまま購入者様に引き渡されないよう、施主の目でしっかり検査しておく必要があるのですね。
竣工(完了)検査とは?
竣工検査とは、建設途中と完成後の2種類の施主検査のうち、完成後に行う検査のことをいいます(上述の通り、契約者様目線では「内覧会」となります)。
竣工検査は一般的に、工事を請け負った施工会社や工務店などが社内検査としてまず行い、その後、発注主である施主が行う流れになります。
施主検査・竣工検査における事前確認について
検査日程はいつがいいの?
検査日程は、引き渡し(代金決済)の2週間以上前の設定が理想的といえるでしょう。本来は、施主(竣工)検査で指摘した不具合を直してもらう日数を確保するために、遅くとも1週間前の実施が望ましいとされていますが、万が一の悪天候時などの予備日も含めて2週間以上前であれば安心できるといえるでしょう。
開始時間はいつがいいの?
開始時間は、外構(庭やカーポート等)や照明器具のない部屋などを見ることを想定し、できるだけ明るい時間帯の9時~10時の開始が目安と考えてよいでしょう。建物の内外をしっかりチェックすると、検査には建築士でも2時間程度はかかるため、季節にもよりますが、遅くとも13時までには開始しましょう。
ホームインスペクター(住宅診断士)による調査を行う場合は、しっかり時間をかけて調査を行うため、午前中スタートがマストです。
当日立会い者の確認をしよう
売主(不動産会社)または施工会社の担当者が立ち会うかを必ず確認しましょう。どちらかの担当者1名が立ち会うのが一般的。
内覧会で指摘した不具合の情報が、売主や施工会社の担当者に正確に伝わらないと、手直し工事を担当する職人さんにその情報が伝わらず、修繕し忘れてしまうことがあります。
なお、内覧会・施主(竣工)検査利用時は、建築士も一緒に訪問する旨を先方にも伝えておきます。
検査をスムーズに進めるための事前準備
<点検口>
点検口からは、床下や屋根裏・天井裏の水漏れ有無などを点検できるので、ここは引き渡し前にしっかり見ておきたい部分です。ドライバーなどの器具がないと開けられなかったり、高所で外しにくい場合もあるため、破損を回避するためにも作業に慣れた施工会社に開けてもらうのが望ましいでしょう。
なお、屋根裏・天井裏は高めの脚立が無いと見ることができないことがほとんどなので、売主や施工会社に脚立の準備を依頼しておくと良いでしょう。ホームインスペクター(住宅診断士)が立ち会う時は脚立も持参することが一般的です。
<水道・ガス・電気>
水道・ガス・電気については実際に使ってみないと検査が限られるため、実際に照明器具を点灯したり、キッチンやトイレ、洗面、浴室などで水を流すことがベストです。ただし、事前に依頼をしておかないと当日断られることもあるため、事前に依頼しておきましょう(工事が完了していればほとんどの場合は使えます)。
できれば給湯設備からお湯が出るかも確認したいところですが、ガスは入居タイミングでしか開栓できないことも多いので、ダメ元で「可能であれば使いたい」というリクエストをしておくとよいでしょう。
<仮設照明>
廊下やトイレの天井に埋め込まれたダウンライト以外は、引き渡し後に照明器具を取り付けないと、部屋に灯りがつけられないことが一般的です。部屋が薄暗いと、仕上げ表面の傷や汚れ、その他の部材の状態も見えづらいため、各室に仮設(簡易取り付けできる)照明器具を取り付けてもらえるかを事前に確認しておきましょう。
内覧会当日、天気が晴れであっても、日あたりがいい部屋以外は薄暗かったり、天気や時間帯により全室が見づらい可能性もあります。仮設照明を設置する予定がない場合は、施工会社に持ってきてもらえるよう事前にお願いするのも手段のひとつです。
施主検査当日の持ち物リスト
施主(竣工)検査は大切なイベントです。しっかりと準備し、万全の態勢で臨むことで、安心して新居に住むことができます。施主検査に行く際に持って行った方が良いものは、主に以下の10個です。
- スリッパ
- メジャー・巻き尺
- 懐中電灯
- マスキングテープ
- スマートフォンと充電器
- 手鏡
- フェイスタオル
- ペン・ノート
- 図面(とくに平面図・立面図)
- 季節に応じた服装
多いと思われるかもしれませんが、いずれも後悔のない施主検査にするために必要なアイテムです。ここからそれぞれのアイテムがどのように施主検査で役立つのか詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
スリッパ
新築の家の中を歩く際、靴を脱ぐのが一般的です。そのためスリッパを持参することで、清潔さを保ちながら快適に検査を進めることができます。一般的な室内用スリッパで問題ありませんが、選ぶなら、底が滑りにくい加工がされているものがおすすめです。
スリッパを持参することで、家全体のチェックがスムーズに行えます。場合によっては床に木くずやホコリが残っているケースがあるため、安全面からもスリッパを履いたほうがいいでしょう。ただし木くずなどの大きく固めのくずをスリッパで踏んでしまうと、床に傷をつける可能性があるため、事前にスリッパを持参してよいか、関係者に確認することが求められます。
メジャー・巻き尺
メジャーや巻き尺は、新築住宅の収納スペースや洗濯機スペースその他家具を入れるための寸法を確認する際に必須のアイテムです。
メジャーを選ぶ際は、ロック機能があるものをおすすめします。ロック機能があるメジャーは、測定中にテープが戻ってしまうのを防ぎ、建物に傷をつける心配が減るだけでなく、メモを取ることも可能であるうえ、安全に正確な測定が可能になります。
また部屋のサイズを測るために、長さが5メートル以上のメジャーがおすすめです。長さに余裕のあるメジャーにすることで、大きな部屋や長い廊下なども測れます。
メジャーや巻き尺を使って測定する際には、必ず正確な位置から測ることが重要です。たとえば壁の角から角まで測定する場合、テープがたるまないようにしっかりと張りましょう。斜めに測ると誤差が生じるため、水平に保つように心がけます。
懐中電灯
新築住宅の内部をチェックする際は、照明が十分でない場所や、細かい部分を確認する必要があります。懐中電灯を持参することで、薄暗い場所や狭い隙間、天井裏や床下など、通常の照明では見えにくい箇所までしっかりと確認可能です。
懐中電灯は、十分な明るさが確保できるものを選びましょう。LEDタイプの懐中電灯は明るく、省エネで長時間使用できるため、おすすめです。また照射範囲を調節できる機能があると、広範囲を照らすことも、特定の箇所を重点的に確認することもできます。さらに防水機能や耐衝撃性があるものを選ぶと、万が一の際にも安心できます。
マスキングテープ
マスキングテープは、住宅内の気になる箇所や修正が必要な部分を視覚的に明確に示すために役立ちます。粘着力が強くないため、壁紙をそれほど傷めずに目印をつけられます。またテープにメモを書くことも可能です。
たとえば壁の傷や塗装のムラ、床の傷など、修正が必要な箇所に気になることをメモし、マスキングテープを貼ることで、後で業者と確認する際に見落としを防げます。
マスキングテープを選ぶ際のポイントは、貼りやすく剥がしやすいタイプを選ぶことです。住宅の内装にダメージを与えないよう、適度な粘着力のあるテープが最適です。またテープの色は青やピンクなど目立つ色を選ぶことで、修正箇所がよりわかりやすくなります。
スマートフォンと充電器
スマートフォンは、施主検査を効率的に行うための重要なアイテムです。カメラで気になる箇所や不具合を写真に記録しておくと、施工業者と具体的な修正箇所を共有しやすくなるでしょう。
また、スマートフォンのメモ機能を使えば、検査中に発見した問題点や気付いた点をその場で記録できます。さらにチェックリストをデジタルで管理することで、見落としを防ぎ、効率的に検査を進められます。時には気になる箇所をリアルタイムでのウェブ検索を行えたりもできるでしょう。
充電器も必ず持参しましょう。長時間にわたる施主検査では、スマートフォンのバッテリーが切れることがあるためです。とくに新築住宅の施主検査では、全体のチェックに時間がかかるため、バッテリーの持参がおすすめといえます。
手鏡
新築住宅の内部を確認する際、目視だけでは見逃しがちな箇所を手鏡を使ってしっかりチェックできるようになります。
手鏡を利用する場面は以下のようなケースが挙げられます。
- 家具の裏側や収納スペースの奥
- キッチンのシンク下
- 床下空間
通常の姿勢では見えにくい箇所を手鏡を使って確認することで、塗装の不具合や汚れ、施工不良などを発見しやすくなるでしょう。
手鏡を選ぶ際のポイントは、持ちやすいサイズであることです。軽量で扱いやすい手鏡を選ぶことで、検査中に疲れにくく、長時間使用できます。鏡面が鮮明で歪みが少ないものを選ぶと、より正確に確認できます。
フェイスタオル
フェイスタオルは、住宅内外の細かな部分をチェックする際に便利です。たとえば、床や壁の状態を確認する際に、タオルを使って軽く拭くことで、傷や汚れの有無をより正確に判断できます。
フェイスタオルを選ぶ際は、吸水性が高く、やわらかい素材のものにすることで、細かなホコリや汚れをしっかりと拭き取り、傷つけることなく表面を確認できます。さらに、洗濯して再利用できるものを選ぶと、経済的です。
施主検査では、以下のような場面でフェイスタオルを活用できます。
- 窓やサッシの清掃や状態確認
- キッチンやバスルームの水回りの確認
このように、フェイスタオルは施主検査を効率的に進めるための必須アイテムです。
ペン・ノート
ペンとノートは、新築住宅の内部を確認しながら気付いた点や修正が必要な箇所を記録するために必須です。こまめにメモを取ることで、後で施工業者と具体的な修正箇所を話し合う際に役立ちます。
ペンは書きやすく、速乾性のあるインクを使用したものを選びましょう。とくにゲルインクのペンは滑らかに書け、かつインクが滲みにくいためおすすめです。またメモを取る際に色分けができるよう、いくつかの色が1本になっているペンを用意すると便利です。キャップ式ではなく、ノック式を選ぶことで、キャップを外したりつけたりする手間が省けます。
ノートは、持ち運びしやすいサイズのものを選ぶと良いでしょう。A5サイズやB5サイズのノートは、バッグに入れて持ち運びやすく、また書き込みスペースも十分に確保できます。さらに、罫線が入っているノートを選ぶと、文字が揃いやすく、読み返す際に見やすくなります。
図面(特に平面図・立面図)
施主検査の際の図面、とくに平面図と立面図は、建物の構造や配置を確認するために必要です。図面を持参することで、現地での確認作業をスムーズに進められます。
平面図は各階の部屋の配置や寸法、ドアや窓の位置などを示しています。これを手元に持ちながら実際の建物と照らし合わせることで、設計どおりに施工されているかを確認できます。
立面図は建物の外観や高さ、窓の配置などを示したものです。外部から見た際のデザインや外装材の仕上がりを確認する際に役立ちます。
図面を持参する際のポイントは、見やすいサイズで印刷されたものを用意することです。A3サイズやB4サイズの図面は、詳細な部分まで確認しやすく、気になる点を書き込めるため、現場での使用に適しています。データ形式で持参する場合は、その場でメモを書き込めるようにタブレットに保存してチェックするのがおすすめです。
季節に応じた服装
施主検査当日は、現場の状況や季節に応じた適切な服装で行くことが重要です。新築戸建ての施主検査では、室内外を詳しく長時間にわたってチェックするため、快適かつ動きやすい服装が求められます。また季節によっては気温の変動が激しいため、脱ぎ着できる服装がおすすめです。
夏場の施主検査では、軽くて通気性の良い服装が適しています。熱中症対策として、帽子やサングラスも持参すると良いでしょう。室内外を行き来するため、涼しい室内と暑い屋外の温度差に対応できるよう、薄手のジャケットやカーディガンも用意すると安心です。虫刺されのリスクもあるため、長袖のシャツやズボンを選ぶことをおすすめします。
一方で冬場の施主検査では、防寒対策が必須です。暖かいコートや手袋、マフラーを着用し、寒さに耐えられるようにしましょう。とくに新築物件では、まだ暖房が設置されていない場合もあるため、十分な防寒対策が必要です。室内と屋外を頻繁に行き来するため、脱ぎ着しやすい重ね着も効果的です。
工事中における施主検査(竣工検査)のチェックポイント
①図面は注文内容がしっかり反映されているか?
工事途中で契約時の図面や仕様から内容を変更した場合、その都度、工事に反映されるよう図面を修正していきます。ところが、中には施工会社やハウスメーカーが図面に反映し忘れてしまう場合も。その場合、打ち合わせと異なる建物が作られてしまいます。
打ち合わせで変更したり新たに追加した内容については、必ず図面や仕様書に変更が反映されたかどうか、施工会社や設計担当者に確認しておきましょう。
②基礎コンクリートに問題がないか?
建設工事の最初に行われる基礎工事では、施工時は上に建物が載っておらず特に異変がなかったものの、完成までの数か月で建物の重みがかかり、大きなひび割れなどが発生することがあります。
髪の毛ほどの細いひび割れ(ヘアクラック)は心配ないことが多いですが、ひび割れの数が非常に多かったり、幅が0.5ミリ程度ある太めのひび割れがいくつもあれば、施工不良や設計通りの施工が行われていない可能性もあります。外から簡単に見て回れる場所ですので、歩行に危険がない範囲で工事中に確認しておきましょう。
③断熱材に隙間が無いか?
内装工事が進むと見えなくなる断熱材ですが、最も多い施工不良は「隙間」です。断熱材が外壁にくっついていない隙間があれば、そこから冷気が伝わりやすくなったり、室内の冷暖房の熱が外に逃げ出したりと、ちょっとした工事の雑さや施工不良により、建物の断熱性能が多いに下がってしまうことがあります。
そのほかにも、断熱材メーカーが指定する施工方法を守っていない工事現場などもあり、発注通りの断熱性能が満たされていないケースもありますので、工事中にしっかり確認しておきたいものです。
引渡し前の施主検査(竣工検査)のチェックポイント
引き渡し前の竣工検査の前では、施工会社や設計事務所も検査をしていますが、これらはあくまでつくり手側の検査です。ここでしっかりチェックができなければ、引き渡し後に後悔することになるため、使う側の視点に立ちしっかりチェックを行うことが大切です。
今回は、プロのホームインスペクター(住宅診断士)が内覧会同行・立会い時に実施しているチェック項目に加え、施主・契約者がご自身でもチェックしたほうが良い項目もあわせてご紹介しますので参考にしてみてください。
①図面との整合チェック
契約時にもらった図面と建物を見比べ、間違って施工されていないか、取付忘れているものはないかを確認をしていきましょう。
<ドアの開閉方向>
- 引き戸と開き戸が間違っていないか
- 開く方向が内側・外側、右側・左側で間違っていないか
<壁や窓、収納の位置>
- 図面より窓が小さくなって壁が大きい(又はその逆)場所はないか
- 収納が図面より小さいなどの変更がないか
- 窓は引き違い窓なのか、上げ下げ窓なのか、縦すべり窓なのか
- 足元までの掃き出し窓が腰高窓に変更されていないか(またはその逆)
<照明器具の位置と数>
- ダウンライトの数に間違いがないか
- 後付けの照明器具の取り付け位置が図面と大きく異なっていないか
<コンセント・スイッチ等の位置と数>
- コンセントや照明などのスイッチの数と位置に間違いがないか
- インターネット回線や電話回線の位置と数に間違いはないか
②屋外(外周り)のチェック
- 外壁や基礎表面のひび割れや欠けがないか
- 外構工事に終わっていないところがないか(あったら完成時期を確認)
- 土地の境界が明示されているか
- 隣地所有者と共有物になっているものがあるか
- コンクリートに異物の混入や足跡がないか
③室内のチェック
- ドア・窓・収納扉の開け閉めはスムーズにできるか
- キッチン・洗面所・浴室・トイレの水がきちんと出せて流れていくか、おかしな音はしないか
- 床下点検口から見える範囲で水漏れが起きていないか
- 床下内部に多数のごみがないか
- 歩くと床や階段から変な音がしないか
- 壁紙クロスに傷や汚れがないか、剥がれていないか
- ベランダの排水に異常がないか
- 照明は全て点灯するか
- 巾木がついているか
- キッチンの収納は全てスムーズに動作したか
④天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
- 脚立にのぼって転落する恐れがある場合は無理をしないようにしましょう
- 内部に入ると天井が抜けてしまう恐れがあるため、点検口からのぞくだけにします
- 点検口からライトで照らして見える範囲に雨染みのようなものはないか
- 断熱材が剥がれ落ちている場所はないか
- 換気扇などにダクト(配管)はつながっているか
- 見ることのできない屋根裏の写真を確認したか
⑤各設備のチェック
- 各設備のメーカー・品番は間違っていないか
- インターフォンのモニターカメラは人の顔を映せる確度か
- 換気扇に異音はしないか
施主検査(竣工検査)後のチェックポイント
竣工検査が完了しただけでは、実は安心できません。検査で見つかった不具合や施工不良などの指摘箇所がしっかりと直っているかどうかが重要です。下記の点に注意して、満足のいく形でお引渡しを迎えられるようにしましょう。
①指摘箇所はリスト化して漏れなくチェック
竣工検査では、そこで発見された不具合箇所などをしっかりと直してもらうことが重要になります。ただし、口頭だけでやり取りを行っていると、「言ったはずの指摘箇所が直っていない…?」ということが後で発生することもしばしば見られます。そのため、検査を行った際には必ず指摘箇所をリスト化して、議事録などの書面に残しておくことが必須です。売主や施工業者に作成してもらうようにしましょう。
②指摘箇所がいつまでに直る予定なのかを明確に
竣工検査を行って見つかった不具合箇所は、必ずしもその場ですぐに直してもらえるとは限りません。そのため、検査を行った際には「後で直しておきますね」という回答を受けることが多いでしょう。ただし、この「後で」がいつになるのかを明確にしておかないと、ズルズルと対応が遅れてしまうケースも珍しくありません。上記の通りリスト化する際には、指摘箇所一つ一つが「いつまでに」直るのか、その予定や期限を明確に設定しましょう。
③指摘箇所が直ったかどうかの再内覧会を設定
リスト化して期限を明確にした後は、それらが満足の行く形でしっかりと直っているかどうかをご自身の目で確認することが大事です。「直しておきました」という報告だけ受けて、いざ入居後に確認してみたら仕上がりに納得できなかったという場合、引渡し後では再度直してもらえることになるかどうか分かりません。後でトラブルになることを防ぐためにも、引渡し前に再内覧会を設定して、お互いに現地で改めて仕上がりを確認し合うことがベストです。ただし、再内覧会は希望しないと設定されないことが多いため、売主や施工業者に事前に相談しておいた方が良いでしょう。
④引渡し後に直すスケジュールは原則NG
指摘箇所を直すスケジュールを決める際、引渡し後に直すようなスケジュールは原則NGです。というのも、引渡しを受けるという事は「現状の仕上がりに納得しています」と表明していることを意味しますので、場合により直してもらえなかったり、直してもらえたとしても対応を後回しにされて中々直してもらえないといったトラブルになることもあるからです。「引渡しを受ける」ということの意味を理解することが重要ですね。
⑤それでも引渡し後に残工事がある場合は?
例えば、資材や設備の欠品等納期の事情、融資や引っ越し・新生活の事情などにより、やむを得ず引渡後に一部工事がのこってしまう場合もあり得ます。その際は、検査時に作成した指摘箇所のリストとは分けて、引渡し時の書類に添付できるよう「残工事リスト」として作成してもらいましょう。「何を・いつまでに・どうする」が明記されていることが必須です。
⑥経過観察に注意
指摘箇所も内容や状態によっては、「しばらく様子を見てみてください」というような結果になることもあります。いわゆる経過観察というものですが、この場合も「誰が・いつまで・どのように確認するのか」について事前に擦り合わせておくことをおすすめします。引渡し後のアフターサービスにおける定期点検や保証期間とも関係してくることが多いので、その内容と合わせて確認しておくようにしましょう。
また、以下の動画でも内覧会のチェックポイントについて、住宅診断のプロが詳しく解説しています。 気になる方はぜひご覧ください。
その他、よくある質問・疑問について
天気予報はチェックするべき?
いずれの天候でもチェックは可能ですが、豪雨だと窓が開けられなかったり、積雪すると外構が見えなくなったりするため、念のために確認しておくとベターです。交通トラブルで開催できない可能性があるような台風等の予報時は、代替日を確認しましょう。
気になることは、小さなことでも施主に確認!
施主は、契約内容と異なるものがあれば直してもらう権利を持っています。ですが、施工が間違っているのではないか、もう少し丁寧に工事してほしいと思う場所があっても、それがどのくらいおかしいのか比較する知識・経験がなく、聞けずに終わってしまう方もいます。
ですが、引き渡し(代金決済)後に「やっぱり気になる」と施工会社に伝えても、アフターサービス保証項目を除き、「工事完了を認めた」として、修理を拒否されることがありますので、気になることは内覧会・施主(竣工)検査時に遠慮なく質問しておきましょう。
発見されるよくあるトラブルケース
もう少し丁寧に工事できるのではないか・・・と施工会社に修繕を依頼しても、「こんなものです」と言われ、修繕を断られることがあります。
職人の手作りであるため、本当にそれ以上緻密に仕上げられない場合もありますが、中には、実はもっと丁寧に仕上げられるのに、施工会社担当者の個人の感覚で「この程度、いいじゃないか」と考え、あたかもどの工事でも普通であるように「こんなものです」と答えていることもあります。
※『欠陥住宅を防ぐ新築工事のチェックポイント』についてはこちらをご参照ください
場合によってはやり直しも可能?
明らかに雑な工事であったり注文と異なる仕上がりであれば、一部解体を伴うような工事でも、修繕依頼できることがあります。
ただし、工場で機械が作る製品とは異なり、職人の手作業で作られていますから、ほんのわずかな隙間などあまり細かいものまで「不具合」として修繕依頼してしまうと、修繕工事で余計目立ってしまうなんていうことも。
見た目もさほど気にならず、発注内容に相違がない、機能に影響がないようなものは、修繕しない方がいい場合もあることを知っておきましょう。
ホームインスペクターに依頼すれば、漏れなく調査ができる
ホームインスペクターに依頼すると、施主検査での不備や見落としを最小限に抑えられます。施主自身に建築に関する専門知識がない場合、仕上がりの細かい部分や建物の構造的な問題を見逃してしまうことが少なくありません。ホームインスペクターは第三者の立場から、客観的かつ徹底的に住宅の状況を確認します。
ホームインスペクターに依頼することで、見落としがちな問題を早期に発見し、長期的な視点で住まいの安全性や快適性を確保できるのです。ここからは、施主検査におけるホームインスペクターの重要性を解説します。
ホームインスペクターとは?
ホームインスペクターとは、住宅の状態を専門的に診断する専門家のことをいいます。新築戸建ての施主検査や竣工検査においては、建物の構造、設備、仕上がりなどを詳細にチェックし、不具合や修正箇所を指摘する役割を担います。
ホームインスペクターが豊富な知識と経験と専門的な機器を使用して精密な検査をおこなうホームインスペクションを実施することで、施主が見逃しがちな細かな部分まで調査できます。
ホームインスペクションとは、住宅診断とも呼ばれる検査で、購入前の住宅や新築物件の品質を確認するための重要なプロセスです。ホームインスペクションでは、建物全体の状態を評価し、潜在的な問題や不具合を特定します。
具体的には基礎、外壁、屋根、内部構造、電気設備、配管設備など、多岐にわたる項目をチェックします。ホームインスペクションの結果を基に、必要な修繕や改善点を明確にでき、施主は安心して新居を迎える準備ができるのです。
依頼する際の費用・相場
ホームインスペクションの費用は、依頼する範囲や地域、検査項目の詳細によって異なります。新築戸建ての施主(竣工)検査では、一般的に5万円から10万円程度が相場です。より詳細な検査を希望する場合や、特別な設備や技術を用いる場合には、追加料金が発生することがあります。さくら事務所では、基本コースを税抜き6万円で提供しています。
費用の内訳には検査に必要な専門機器の使用料、ホームインスペクターの技術料、報告書作成料などが含まれます。また検査の内容によっては、建物の構造や設備の状態を詳細に記録した写真や動画も提供されることがあります。専門家の調査に基づいた資料があることで、施主は後日確認や修正依頼を行いやすくなるでしょう。
施主検査時に実際に発見した不具合事例
新築戸建ての施主(竣工)検査時には、多くの細かな不具合が発見されることがあります。ここでは、さくら事務所のホームインスペクション時に、実際に発見された事例をいくつか紹介します。
ドアや窓の閉まり具合
ドアや窓の閉まり具合は、施主検査時によく見られる不具合の一つです。たとえば、ドアがしっかり閉まらない、窓がスムーズに開閉しないなどの問題があります。これらは日常生活において多大なストレスとなるため、発見したら早急に修正を依頼しましょう。
フローリングの床鳴りや傾き
フローリングを歩いたときに床材が擦れ合って音が鳴ったり、床が傾いていたりすることがあります。これらも重大な不具合です。床が平らでないと家具を安定した状態で配置できませんし、歩くたびに異音がする状況では快適な暮らしができません。これらの不具合は建物全体の構造に関わる可能性があるため、早急に対応することが求められます。
以上のような不具合は、施主検査時にしっかりと確認することで早期に対処できます。ホームインスペクションの実施により、安心して新築戸建てを受け取る準備が整うでしょう。
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