新築住宅の引渡し前に実施される内覧会。内覧会は引渡しに先立ち建物の仕上がりを確認できるとても貴重な機会です。
だからこそ押さえておくべきポイントや注意点が多く存在します。
人生で最も大きな買い物と言われる住宅購入。失敗はしたくないと感じている方がほとんどでしょう。
そこで今回は内覧会の流れやチェックポイント、注意点を住宅診断実施件数累計60,000件超、ご依頼実績が業界No.1のさくら事務所スタッフがわかりやすく解説します。
この記事を読めば、内覧会でチェックすべきポイントが明確に理解できるので、引渡し後にトラブルが発生するリスクがぐっと抑えられるでしょう。
内覧会とは
まずは内覧会の概要を押さえましょう。内覧会とはどんな目的で行われているのか、当日の主な流れについて紹介します。
引渡し前の最終確認会
内覧会は竣工検査とも呼ばれます。名前の通り、引渡し前の最終確認が主な目的です。
内覧会では現場監督や不動産会社の担当者と共に仕上がり状況を確認し、図面通りに建物が作られているかをチェックします。
住宅は車などの工業製品と異なり、現場で職人が作業を行い作り上げていきます。そのため建物の仕様や設備に不具合が発生する可能性はゼロではありません。
内覧会のタイミングでしっかり確認して、修繕等の対応を依頼すれば、引渡し後のトラブルを未然に防ぐことができます。
夢のマイホームを実現するための最後の関門とも言えるでしょう。
内覧会の主な流れ
内覧会の主な流れは以下の通りです。
1. 事前に決めた日時に所在地へ集合
2. 内覧の進め方などの説明
3. 住宅、設備などの取扱説明
4. 完成検査(施工ミス等のチェック)
5. 指摘事項を売主、施工会社へ伝達
6. 修繕後の再確認日を調整する
7. 現地解散
このように内覧会では検査以外にも入居後、施主や買主が安全で快適に住むために住宅・設備などの取扱説明を合わせて実施するケースが多いです。
もちろん施工会社や売主によって内覧会の流れが多少変わる可能性があります。
内覧会は大きく分けて4つのステップで進んでいきます。
1. 内覧の進行説明
2. 各設備の取扱説明
3. 完成検査(不具合、傷等のチェック)
4. 再内覧会についての説明、日程調整
このように内覧会では検査以外にも入居後、施主や買主が安全で快適に住むために住宅・設備などの取扱説明を合わせて実施するケースが多いです。
もちろん施工会社や売主によって内覧会の流れが多少変わる可能性があります。
内覧会を行うメリット
引渡し前に内覧会を実施するべき理由は買主に大きなメリットがあるためです。 具体的には以下のメリットが挙げられます。
- 入居前に不具合を解消してくれる
- 家具・家電のレイアウトを確認できる
それぞれ詳細を見てみましょう。
不具合を解消してくれる
内覧会で見つけた不具合や傷は工事中に発生していることが明白です。そのため建築会社が責任を持って無償で対応してくれます。
対して、入居後に見つけた場合は引渡し前に発生したのか立証が難しくなるので、無償対応を断られる可能性があります。
不具合の内容によっては、見逃してしまうと建物の寿命を縮めてしまう原因になる場合もあるでしょう。
不具合を解消しておくことで、長期にわたって快適に暮らす準備が整えられる点は内覧会を行う大きなメリットと言えるでしょう。
家具・家電のレイアウトを確認できる
内覧会では家具や家電のレイアウトを確認できる点もメリットと言えます。
内覧会が実施されるタイミングは内部・外部ともに建物が出来上がっている状態です。
そのため室内であれば家具、家電など、屋外であれば倉庫などの設置スペースが具体的にイメージできます。
それぞれの配置を事前にイメージできれば、置き場所に悩む時間が省け、引っ越し後の荷解き作業がスムーズに進みます。結果、部屋の片付けが早く済むでしょう。
内覧会の持ち物
内覧会は手ぶらでも問題はありません。しかししっかりとチェックを行うためには準備しておくと良い役立つ持ち物があります。
有意義な内覧会とするためにこれから紹介する内容を参考に持ち物を揃えておきましょう。
必要な持ち物
内覧会での仕上がりチェックで必要な持ち物は以下の通りです。
- 設計図面
- 懐中電灯
- メモ、筆記用具
この3点があれば指摘箇所の記録や薄暗い場所の確認など基本的な検査は大方実施できます。
持っていくと役に立つ持ち物
対して準備しておくと便利な持ち物は以下の通りです。
- 水平器
- マスキングテープ
- カメラ
- メジャー
水平器は床が傾いていないかを確認できます。中にはビー玉を用意して床の傾きを確認する方もいますが、傾斜の具合によってはビー玉がうまく転がらないケースも考えられます。正確にチェックしたい場合は水平器を準備すると良いでしょう。
マスキングテープは不具合・傷の目印をつけるのに役立ちます。建築会社や不動産会社が準備してくれることが多いですが、家具や家電のサイズをイメージするのにも利用できるので、遠慮なく使えるマスキングテープを用意しておくことをおすすめします。
カメラは不具合箇所の記録に役立ちます。図面に指摘箇所を記入するだけでは直してもらった後に正確な位置を把握できない可能性があります。大きな不具合や傷はカメラで記録しておくと良いでしょう。
メジャーは窓位置、コンセントやスイッチなどの高さを確認できます。加えてチェックが完了したのちに家具や家電のレイアウトを確認する際にも役立ちます。
内覧会当日におすすめな服装
内覧会当日は屈んで床をチェックしたり、台や脚立に上って棚の上や点検口の中をのぞいたりと、さまざまな態勢になります。そのため内覧会当日は動きやすい服装で臨むのが賢明です。
また、冷え込む時期に内覧会が行われる場合は防寒対策が必要です。
例えば冬場はフローリングが冷たく足元から冷えてしまう可能性があります。足元が冷えないために底が厚いスリッパや厚手の靴下を用意すると便利です。
また引渡し前は暖房がついていないケースも考えられます。チェック中に体が冷え切ると集中力が欠けてしまいます。室温に合わせ調整できる服装を準備しておくと良いでしょう。
内覧会でのチェックポイント
先に述べたように、内覧会に実施する完成検査は施工ミスがないことを施主や買主のあなたにチェックしてもらい、トラブルなく引渡すことが目的です。
とはいえ建物の検査を行ったことが無い方にとって、何をチェックすべきなのかわからないことでしょう。
そこで内覧会でチェックすべき主なポイントをご紹介します。
マンションと戸建てでチェックポイントが少し異なるため、それぞれ分けてご紹介します。
マンションの場合
- 間取り図との相違
- 床や壁などの水平垂直精度
- 建具や水栓などの動作
- 取り付け物の固定状態
- 給排水設備などから水漏れがないか
- 換気扇などが正常に機能しているか
⇒新築マンション内覧会チェックリスト・チェックシートはこちらでご覧になれます。
戸建ての場合
戸建てのチェックポイントは大きく分けて以下の5つになります。
- 図面との整合チェック
- 屋外(外回り)のチェック
- 室内のチェック
- 天井裏(屋根裏)のチェック
- 各設備のチェック
戸建てはチェック項目がマンションと比べると多岐に渡ります。細かくチェックを行おうとするとチェックポイントが膨大になるため、多くの時間と労力が必要です。
そこで見逃すとトラブルに繋がりやすい重要なチェックポイントをご紹介いたします。
- 扉の開閉方向は合っているか
- 間取りは図面通りか
- 外壁、基礎のひび割れはないか
- 隣地や道路との境界は明確になっているか
- ドア・窓・収納扉の開け閉めはスムーズにできるか
- 床下点検口から見える範囲で水漏れ発生、ゴミの散乱がないか
- 照明、コンセントはすべて作動するか
- 水回り設備の給排水は正常か、水漏れや詰まりはないか
より詳しくチェックポイントを知りたい方は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://www.sakurajimusyo.com/guide/20392/
内覧会での注意点
内覧会を迎える際に、押さえておきたい具体的な注意点がいくつかあります。
- 内覧会当日は前後に予定を入れない
- 可能な限り複数人の目でチェックする
- 気になる点は遠慮せず伝える
- 遅くとも引き渡しの2週間前までには行いたい
- お子さんと一緒に行く際はあらかじめトイレの場所を確認
上記ポイントを押さえておけば、引渡し後に不具合が残るリスクを大幅に抑えられます。 それぞれについて詳しく解説します。
内覧会当日は前後に予定を入れない
内覧会当日は前後に予定を入れないのが賢明です。
理由はスケジュールに追われて、内覧会に集中できない可能性があるためです。
内覧会は一般的に1〜2時間程度の時間で設定されます。先にも述べたように時間内に取扱説明も含まれることがあります。そのため検査に十分な時間を割けなくなる可能性もゼロではありません。
また、あなた自身のスケジュールも後が詰まっていては、慌ててチェックしなければならなくなり、不具合を見逃してしまう可能性があります。
内覧会当日は事前に多めに時間を設定してもらうようお願いをし、内覧会前後にはご自身の予定を入れないなどの配慮が必要です。
可能な限り複数人の目でチェックする
内覧会では限られた時間内でさまざまな部分の不具合を確認することになります。そのため、家中の全ての箇所を1人でチェックするのは至難の業です。できれば2人以上で内覧会に参加し、協力してチェックを進めていきましょう。
スケジュールの都合などで、チェック時間が取れないことがわかっているケースも考えられます。
そんな時は、あらかじめチェックする箇所を分担しておくなどして、スムーズにチェックを行えるように準備しておきましょう。
工夫次第でチェック漏れのリスクを抑えられます。
気になる点は遠慮せず伝える
内覧会で気になる点を見つけた場合は、遠慮せずに伝えましょう。
理由は気になった点が不具合かどうかを自身で判断するのは難しいためです。「このままで大丈夫なのか?」と心配に感じた点は、遠慮なく売主や施工会社に伝えましょう。先方が「修繕が必要」と判断すれば対応してくれますし、不要な場合はその理由を説明してくれるはずです。
ただし、内覧会は引渡し後に問題なく住めるかどうかを確認する場です。神経質になりすぎて、「傷がついていた部分は全部交換をして欲しい」や「指摘が多いから減額してほしい」など過度な要求をしないよう注意しましょう。
遅くとも引き渡しの2週間前までには行いたい
施工不良などを発見し、修繕を行う必要が発生した場合、引渡しまでに対応してもらわなければなりません。
基本的には指摘を受けた現場監督は、すぐさま職人を手配して修繕を依頼します。修繕に必要な部材が手元にあれば、数日で終わる可能性はあります。ただ、メーカーから取り寄せが必要な場合は材料の取り寄せだけで1週間程度かかることもあるでしょう。
土日や祝日でメーカーなどが対応できない期間があったり、たとえば冬季は雪の影響で交通が止まり運搬に日数が多くかかったりという出来事が重なると、手直し完了に2週間以上かかることも珍しくはないのです。
引渡しまでに修繕が間に合わない場合、入居後に修繕を行わなければなりません。入居後の修繕は家具や家電などが設置されているので、傷や汚れを付けないよう、シートをかけるなどの養生作業を行います。また、引き渡しを受けるためには代金を支払うことになりますが、「すでにお金を払ってしまってるから、ちゃんと直してくれるか不安」という考えもよぎったりします。実際、引き渡し以降の売主や施工会社の対応があまり良くなくなったという経験をしている方は少なからずいるのです。
このような状況では施工会社だけでなく、すでにお住まいのあなた自身も気を使うためストレスを感じてしまうこともあるでしょう。やはり不具合をすべて修繕した上での引渡しが、気持ちだけでなく、お金や権利といった面でも安心できるでしょう。
以上のことから内覧会は修繕に要する期間を見越し、引渡し日の2週間以上前に行うのがオススメです。
お子さんと一緒に行く際はあらかじめトイレの場所を確認
内覧会に小さなお子さんと一緒に行かれる際は、あらかじめ、トイレの場所を確認しておくことをお勧めします。
マンションも一戸建ても、お部屋の中のトイレは使える状態に施工されていますが、引き渡しまでは契約者の所有物ではありませんので、使用を禁じられています。(未使用で引き渡すため、もちろん工事関係者も使えません)
子供はトイレに行きたい!と感じるのがギリギリのタイミングであることが多く、どこで用を足せるか施工会社や売主に確認しているうちに「もう我慢できない~!」となりかねません。
マンションは共用部分にあるトイレを内覧会のときだけ開放していることが多いため、現地に到着したら場所を確認しておきましょう。一戸建ては仮設のトイレが現場にないことも多いため、事前に営業担当者や施工担当者に建設地に仮設のトイレがあるかを聞いたり、近くにトイレを使わせてもらえる公園や施設があるかを確認しておくことをお勧めします。
なお、「お子さんの目が離せずにチェックができない!」という方は、ホームインスペクターに機能面の専門的なチェックをご依頼いただくと便利です。
トイレ以外のお子さんと一緒に内覧会を楽しむためのポイント・注意点を以下のページにまとめていますので、ご覧になってみてくださいね。
https://www.sakurajimusyo.com/guide/9249/
稀に内覧会を実施しようとしない業者がいる
内覧会は引渡し後のトラブルを防ぐために行われる貴重な機会です。そのため内覧会は行われるべきなのですが、「うちでは特に行っていません」とそもそもで引き渡しまでのスケジュールに入っていなくて話も出ない会社もあります。
また、工事が終わるのが引き渡し時期ギリギリになることから、内覧会が物理的にできない(やろうとすると引き渡し日=代金決済を延期するしかないが、事業者としては決済日を遅らせたくない)ことから、実施されないケースもあるようです。
ですが、工期を理由に省略して良いものではありません。
施工時に発生していた傷や不具合なのに、入居後だとそれを証明するのが難しくなるからです。
完成日や引渡し日が近いのに内覧会の案内や説明がないときは、遠慮せず売主や施工会社へ確認してみましょう。
住宅診断士に同行を依頼して内覧会をさらに有意義に
新築住宅の内覧会は戸建てやマンションの契約者に対して、完成物件の仕上がりを確認してもらうために実施する、とても意義のある機会です。
しかし売主によっては建物の取扱説明を行うケースがあるため、内覧会はタイトなスケジュールで進むことになります。
新築住宅の8割には大なり小なり施工ミスがあると言われています。これらのミスを限られた時間内で物件の仕上がりを確認しなければなりません。そのためチェックポイントを理解し、集中して仕上がり確認する環境を整えることが重要です。
新築住宅の内覧会は多くの人が初めて経験することです。上記のポイントを押さえつつ、完璧にチェックを行うのは至難の業でしょう。
限られた時間の中でこれらのチェックをこなせるか不安な方は、インスペクションと呼ばれる住宅診断の専門家に依頼をするのがオススメです。
さくら事務所では建物に精通した住宅診断士が水漏れ、基礎の状態、確認しにくい床下や屋根裏の状況などを確認し、新築住宅の施工不良を診断します。
内覧会当日には診断結果と補修のアドバイスもお伝えするので、適切な対処方法を施工会社に依頼できる点も、インスペクションを活用する大きなメリットです。
ご興味がある方はぜひお気軽にご相談ください。
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