中古住宅にも瑕疵保証(保険)がある│保証期間や引き継ぎについて詳しく解説

  • Update: 2022-09-19
中古住宅にも瑕疵保証(保険)がある│保証期間や引き継ぎについて詳しく解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

住宅の購入を検討している人の中には、中古住宅を探している人もいるのではないでしょうか。

中古住宅は建築されてから一定期間が経っているため、欠陥が見つかることもあります。今後、中古住宅を購入する人は瑕疵保証の有無が重要になるでしょう。また、購入する前に屋根裏や床下などの場所を含め、欠陥箇所を隅々まで確認しておく必要があります。

さて、今回の記事では瑕疵保証と中古住宅の保険について解説します。記事の最後には住宅診断(ホームインスペクション)についても紹介しているため、最後までご覧ください。

中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)

中古住宅にも瑕疵保証はある

購入した住宅に何かしらの欠陥がある場合、買主は瑕疵保証を受けられます。瑕疵保証とは、引き渡し後に瑕疵があった場合に補修や交換をしてもらえるサービスです。中古住宅を購入後、買主は一定期間保証を受けられます。

ただし、新築住宅にある10年間の長期保証は付いていません。中古住宅は新築住宅と同様の保証を受けることができないため、契約約款の保証内容がどのようになっているか確認する必要があります。

中古住宅の保証としては、任意の瑕疵保険にも加入することもできます。

中古住宅の瑕疵保証

中古住宅の売買において、売主には契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)が課せられています。一般的な基準として、売主が業者の場合は2年、個人の場合は6カ月です。宅地建物取引業者が売主の際は、宅地建物取引業法により最低2年間の契約不適合責任が義務づけられています。

ただし、売主が個人であり宅地建物取引業者による媒介の場合は、数ヶ月と長くありません。一般的には3カ月と言われています。さらに、物件によっては保証が無いケースもあります。中古住宅を購入する人は、保証期間や補償内容を確認した上で、契約を結ぶことが望ましいでしょう。

任意の既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵保険)に加入することができる

中古住宅を購入する方は個人の売主や短い保証期間の場合に、既存住宅売買瑕疵保険(瑕疵保険)の加入の有無を確認するとよいでしょう。

瑕疵保険と瑕疵保証の違いとは?

瑕疵保険と瑕疵保証では、その内容が異なります。

瑕疵保証とは、引き渡し後の一定期間について瑕疵が見つかった場合に補修や交換などを行う、売主が独自に設けているサービスのことです。このサービスは、売主が宅建業者の場合に設けているケースが多く見られます。というのも、引き渡し後の安心を付加価値とし、販売促進のための戦略のひとつとしているためです。

一方、瑕疵保険は、専門の保険法人へ申請し、審査を経て保険契約を締結するというものになります。

瑕疵保険は最長5年の保証に加え、住宅の構造や防水性能の検査を実施してくれます。さらに、売主の業者が倒産した場合には保険法人が支払いに対応してくれるのです。買主は、業者が倒産した際にも安心して保証を受けられます。また、瑕疵保険は、保険会社と売主側である仲介業者や宅建業者などが契約を結びます。

買主は売主側と直接結ぶ契約ではないため、覚えておきましょう。

瑕疵保険の利用方法

売主が宅建業者の場合は、事業者が加入するため購入者は手続き不要です。売買契約時などに瑕疵保険の説明や書類への記載があります。また、引き渡しの際に保険の証明書を受け取る必要があるので、忘れないようにしましょう。

住宅に瑕疵が見つかった場合は、売主(事業者)に補修依頼をします。売主が倒産している場合は、保険法人に補修費用(保険金)の直接請求が可能です。保険の証明書を確認して連絡をとりましょう。

売主が一般の方(個人間売買)の場合は、検査事業者に補修依頼をします。売主が事業者の場合と同じく、検査事業者が倒産している場合は保険法人に補修費用を直接請求できます。

売主との間でトラブルが発生した場合は、「住宅紛争処理支援センター」に相談できます。「住宅紛争審査会」に申請して、「あっせん」「調停」「仲裁」を受けることも可能です(申請手数料1万円)。

ホームインスペクションを利用した方がお得?

とても魅力的な瑕疵保険ですが、利用には、検査事業者による建物検査をし、一定のコンディションや条件をクリアする必要があります。

この検査は瑕疵保険の適合性のみを検査するものですが、あわせて「ホームインスペクション」や「フラット35適合検査」「耐震診断」などを実施できる検査事業者もあります。特に中古一戸建てホームインスペクションでは、瑕疵保険の検査と比較すると、より幅広い検査事項で、より的確に建物のコンディションを知ることができるほか、瑕疵保険の検査をセットで行うと、現地の確認は一度で済ませることができ、その上建物の注意点や今後のアドバイスなどももらうことができるので、時間も費用も節約することができ非常にお得です。

ホームインスペクション(住宅診断)とは、中古住宅の売買に際し、雨漏りやシロアリ被害・建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが調査・診断をするサービスで瑕疵保険の適合検査範囲を含む全100項目以上の調査を行い、その費用は物件価格のわずか0.2%程度です。

もし瑕疵保険を利用されるなら、あわせてホームインスペクションも実施することを非常におすすめします。

国が指定している国土交通大臣に指定された法人をご紹介

以下が、国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社となります。

  • (株)住宅あんしん保証
  • 住宅保証機構(株)
  • (株)日本住宅保証検査機構
  • (株)ハウスジーメン
  • ハウスプラス住宅保証(株)

(株)住宅あんしん保証

中古住宅売買向けかし保険には、買取再販業者向け、仲介事業者向け、検査事業者向けの3種類があります。

以下が、各コースをまとめたものです。

引用元:住宅あんしん保証「中古住宅売買向けかし保険」

中古住宅売買向け瑕疵保険は3種類に分かれ、取引の形態に選択するものが決まります。この保険は選択する種類によって、保険の期間や金額が異なってきます。

例えば、売主が宅建業者の場合、保険期間2年間もしくは5年間のどちらかにします。長期間の保証を望まない買主は売主に対し、2年間の保険期間に加入できるように相談してください。一方、長期間の保証を受けたい人は、5年間の保険期間を設定してもらいましょう。

対象住宅の売主が宅建業者の場合は、瑕疵が見つかった際に補修する費用を確保したり、検査員による現場検査を受けられたりと複数のサービスを提供しています。

あんしん既存住宅売買瑕疵保険は買主と売主との間に起こり得るトラブルを防ぎつつ、双方にとってさまざまなメリットがあるでしょう。

住宅保証機構(株)

まもりすまい既存住宅保険には、宅建業者売主型、仲介業者保証型、検査機関保証型の3種類があります。

以下が、各タイプをまとめたものです。

引用元:住宅保証機構「まもりすまい既存住宅保険」

まもりすまい既存住宅保険は、検査と保証がセットになった保険です。この保険は、売買の形態等により3種類に分かれています。

売主が宅地建物業者の場合、保険期間を2年間もしくは5年間のどちらかを選択できます。また、保険金支払限度額も500万もしくは1,000万円のどちらかを選び、契約を結ぶことが可能です。長期間の保証を受けたい買主は売主と相談し、5年及び1,000万円の条件に加入できるようにしましょう。

まもりすまい保険は補修費用を保険でサポートを受けられ、第三者による検査を行っています。さらに、業者が倒産時に買主に補修費用の保険金を支払います。各契約者は、状況に適した契約を結べるでしょう。

(株)日本住宅保証検査機構

既存住宅かし保険にはJIO既存住宅かし保険(宅建業者用)やJIO既存住宅かし保証保管など、合計7種類のコースがあります。

以下が、各コースをまとめたものです。

引用元:日本住宅保証検査機構「既存住宅かし保険」

既存住宅かし保険は、JIOに登録された信頼できる宅建業者もしくは検査事業者が申し込める保険です。中古住宅売買において、この保険の対象部分に瑕疵があった場合に補修にかかる必要を保証してもらえます。

売主が宅建業者の場合、2年間もしくは5年間の保証と最大1,000万円の補償が受けられます。十分な保証を受けたい買主は売主に相談し、要望を伝えることをおすすめします。

瑕疵により基本構造部分等に不具合があった場合には、費用を保険金として事業者に支払います。また、売主が宅建業者以外であっても、既存住宅かし保険に加入することが可能です。宅建業者を含めた売主は安心して、中古住宅の売買を行えるでしょう。

(株)ハウスジーメン

既存住宅かし保険(宅建業者販売)は、宅建業者が利用できる保険です。中古住宅には、2年間の契約不適合責任が義務づけられています。この保険を利用することで、長期間の保証を受けることができます。

メリットとしては、リノベーション工事後でもリフォーム部分について保険の対象となる特約に加入できることです。また、隣接住居等への給排水管路からの損害も対象になっています。

分譲マンションを住む人は、給排水管路の事故に備え、加入を検討しましょう。

既存住宅かし保険(個人間売買)は、宅建業者以外の方が利用できる保険です。売主はこの保険を利用することで、構造や防水などに関する補修費用について長期的な保証をしてもらえます。

メリットとしては、引渡し前に検査できない場合や適合しない場合でも保険に加入できることです。また、買主が行うリォームについても保険の対象として追加することが可能です。既存住宅かし保険(個人間売買)に加入すると、多くの場面で補償を受けられます。

引渡し後にリォーム工事を行う方や分譲マンションに住む方におすすめします。

ハウスプラス住宅保証(株)

既存住宅売買瑕疵保険には、買取再販コース 仲介会社コース 検査会社コースの3種類があります。

引用元:ハウスプラス住宅保証「既存住宅売買瑕疵保険」

既存住宅売買瑕疵保険は中古住宅の売買において、売主が買主に負担する保証責任を補償する保険です。各事業者は3つの中から該当するコースを選び、契約を結びます。

契約後、保険の対象となる住宅や保険の対象となる部分に関して、標準保証書に基づき補償を受けられます。

買取再販コースの場合は宅建業者が売主になり、被保険者になります。買主は売主に対し、保険期間等の要望を伝え、手続きを進めてもらいましょう。

仮に売主が倒産した場合は、買主が直接保険金を請求することも可能です。既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、瑕疵により補修した費用を保険会社に負担してもらえます。

新築後10年未満の保証の引き継ぎ

購入を検討している中古住宅の新築10年保証期限が切れていない場合、一定の条件と手続きを済ますと、保証を引き継ぐことができます。

一定の条件としては、新築時に結んでいる瑕疵保険の契約内容に所有者変更の特約が付いていることと分譲主等の承諾を得ることの2つが挙げられます。買主は仲介業等に自らの要望を伝え、引継ぎが可能かどうか確認をしましょう。

しかし、10年の保証を引き継げるかどうかは売主や建てた会社のスタンスによって変わってきます。もし、引き継ぐことができなければ、中古住宅用の瑕疵保険の加入を検討しましょう。さくら事務所のホームインスペクションには、中古住宅用の瑕疵保険検査が無料でついてきます。

中古住宅を購入するならホームインスペクションを

ここまで、瑕疵保証と中古住宅の保険について解説しました。中古住宅においては、目視で見えない部分の欠陥が見つかるケースも少なくありません。買主は十分な保証を受けられることも大事ですが、未然に欠陥の部分を見つける対策を取りましょう。

以下には、築年数に対する瑕疵発生率をデータにまとめています。

築30年の中古戸建の場合は、約半数で傾きが起きています。また、新築戸建であっても20軒に1軒に傾きが発見されているのです。上記のデータからも含め、ホームインスペクションのご利用をおすすめします。

さくら事務所では、建物に精通した住宅診断士が丁寧にご依頼の住宅を調査いたします。また、ご依頼者様に正確な情報を提供しつつ、問題を解決できるようにアドバイス等のサービスをご提供します。ホームインスペクションを受けるべきなのか悩んでいる人は、お気軽に弊社にご相談ください。

ホームインスペクター 友田 雄俊
監修者

さくら事務所 執行役員
さくら事務所 プロホームインスペクター
さくら事務所 住宅診断プランナー

友田 雄俊

大手リフォーム会社にて、木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。
外壁塗装などのメンテナンス工事から、フルリノベーションまで幅広く手掛ける。
その後、株式会社さくら事務所に参画。