軽量鉄骨造の防音性は低い?音に悩まされない対策や構造の特徴について解説!

  • Update: 2023-06-26
軽量鉄骨造の防音性は低い?音に悩まされない対策や構造の特徴について解説!

住宅の構造には木造や鉄筋コンクリート造など、さまざまなものがあります。その中のひとつが軽量鉄骨造。基本的な部分が金属で構成されていることから丈夫、頑丈なイメージが多いかと思います。

工場で生産されるため、品質も安定しています。その反面で防音性能や断熱性能についてはさまざまな意見があります。ただ、防音性能や断熱性能は対策をすれば性能の向上が可能です。

今回は軽量鉄骨の防音性に焦点を当てて特徴を解説します。記事内では騒音トラブルの回避法や手軽に防音性を高められる手段もご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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軽量鉄骨造とは?

軽量鉄骨造とは、鉄骨造の種類のひとつ。鉄骨造は主要な骨組みに形鋼が使われている構造をいいます。鉄骨造は軽量鉄骨造と重量鉄骨造に大きく分かれます。構造材に使用する鋼材の厚さが6mm未満のものが軽量鉄骨造です。軽量鉄骨造は戸建住宅、アパート、小規模な店舗などに多く採用されています。戸建住宅で「鉄骨造」といわれたら、多くは軽量鉄骨造です。対する重量鉄骨造はマンションなどで採用されて6mm以上の鉄骨を使用しています。重量鉄骨造は高層建築に向いており、頑丈な反面でコストは高い工法です。戸建住宅ではほとんど使用されていません。

軽量鉄骨造の防音性

どんな構造で建築されていても、自宅では静かに暮らしたいもの。外部からの騒音や振動が伝わってくるようでは静かな暮らしは望めません。軽量鉄骨造は戸建住宅やアパートで多く採用される構造です。この軽量鉄骨造の防音性はどの程度あるのでしょうか。実は木造と比較しても防音性に遜色はありません。それよりも外部環境や個人の感じ方による影響が大きいのです。ここでは軽量鉄骨造の防音性についてみていきましょう。

軽量鉄骨造の防音性は木造と同等

防音とは外部からの音を遮る「遮音」と、室内の音を外部に伝えない「吸音」の両方の性質を併せ持った性能を指します。

防音性は木造や軽量鉄骨造といった構造の種類よりも壁や床の厚さ、密度に左右されます。木造も軽量鉄骨造も構造は違えど、壁の構成や壁や床の厚さは似た造りです。そのため、防音性に大差はありません。

ちなみに重量鉄骨造は壁や床の厚さを厚くできるため、防音性は木造や軽量鉄骨と比べて高い傾向にあります。また鉄筋コンクリート造になると、壁や床の厚さに加えて緻密なコンクリートで固めることで、密度も比較的高くなります。その結果、鉄筋コンクリート造は他の構造と比べて防音性が高くなるのです。

ただし外部環境や個人の感度によっても左右される

ただし、防音性は外部環境や壁や床に使用された部材の性能に左右されます。周辺が静かな環境だと、わずかな音でもうるさく感じるもの。反対に周辺がにぎやかだと多少の音は気になりません。隙間が少なく施工が丁寧な物件や防音性能の高い部材を使用すると音が伝わるのを防いでくれます。音の聞こえ方は外部環境や部材の性能だけでなく、個人の感度によっても左右されるものです。同じ音が聞こえていたとしても、ある人には気にならなくても、別の人にはうるさく感じることもあるでしょう。

事前に抑えておきたい!騒音トラブルを回避する方法3選

騒音トラブルは、できれば巻き込まれたくないものです。住み始めてからではこうした騒音問題は解決できないこともあります。騒音トラブルは悩ましい問題のひとつ。これを解決する手段は事前のチェックに尽きます。購入前、賃貸する前のチェックでリスクは最小限に抑えられます。こうした騒音トラブル回避の方法を3つご紹介します

周辺環境をあらかじめ調査する

周辺に音を出す施設があるかは最初に調査する事項です。これは現地で確認できます。道路や電車の線路では騒音が発生しています。例えば幹線道路。運送会社のトラックなどが夜間も走行するので、24時間走行音が聞こえます。

また、踏切の警報機の音は意外と遠くまで聞こえます。線路の近くに立地している建物であれば振動が伝わることもあるでしょう。道路や鉄道だけでなく、隣家の生活音が気になることもあります。騒音の元をあらかじめ調査しておき、我慢できないほどの騒音であればその物件を候補から外すことも考えましょう。

日中・夜間それぞれの交通状況を体感しておく

近隣の道路や鉄道の交通状況を実際に体感しておくべきです。一度ではなく複数回、日中と夜間のように時間や曜日を変えて現地を見に行くとよいでしょう。休日は静かでも平日はにぎやかな場所もあります。昼間は交通量が少なくても朝晩のラッシュアワーでは交通量が多くなる抜け道もあります。騒音が時間帯や曜日によって変化する場所は意外と多いものです。一度チェックしただけで満足せず複数回足を運びましょう。

騒音トラブルの記録がなかったか確認しておく

騒音トラブルの有無も重要です。騒音が原因で大きなトラブルになることも少なくありません。理想は近所に住んでいる人に直接聞いてみることです。とは言っても、いきなり話しかけるのも気が引けるでしょう。それに実際に聞いても教えてくれるとは限りません。手っ取り早く過去の騒音トラブルについて確認するには、不動産会社の担当者に聞いてみると良いでしょう。場合によっては不動産会社の担当者が近隣の人と面識があり、聞き取りを行っている可能性があります。担当者を介して情報を仕入れるのもひとつの手段です。

誰でも対策可能!住宅の防音性を高める方法3選

住宅の防音性を高めるのは、何もリフォームが唯一の解決方法ではありません。もっと簡単な方法でも防音性を高めることは可能です。中には個人で容易にできる方法もあります。

騒音は振動として空気中や建物を伝わっていくため、これらを伝わらないようにするのがポイントです。

ここからは手軽に住宅の防音性を高める方法を3種類ご紹介します。

壁に防音シートを貼る

壁に防音シートを貼ると騒音をかなり抑えることができます。壁が薄い、施工が悪いなどの理由によって騒音が伝わってしまう物件もあるもの。

防音シートは貼るだけでも効果を発揮します。この防音シートは外からの音をシャットアウトするほか、中の騒音を外に出さない効果もあるのです。子どもがいる家庭、室内で楽器を演奏する可能性のある人は検討の余地があるでしょう。

床にカーペットやマットを敷く

床にカーペットやマットを敷くのも効果的です。床は歩けば振動します。振動が音となって主に下の階に伝わります。振動を伝えないようにする手段がカーペットやマットです。防音性の低い床であってもカーペットやマットでかなり緩和されます。小さなお子さんは難しい面もありますが、さらにスリッパをはいて生活すればさらに効果的です。カーペットやマットはお手頃な価格で販売されている商品もあります。床への防音対策として簡単にできるため手軽に始められる防音対策方法のひとつです。

背の高い家具を間仕切り壁面に置く

背の高い本棚やクローゼットといった家具を壁面に置くと防音対策になります。家具の分だけ音を遮る壁が厚くなり、音や振動が伝わりにくくなるからです。また、生活スペースが壁から離れることで騒音も聞こえにくくなります。新たに家具を買って据え付けるのもよいですが、今持っている家具を隣家との壁に移動させるだけでも効果は十分です。具体的には、クローゼット、タンス、本棚のように奥行があり、家具内に品物が詰まっているものがよいでしょう。

軽量鉄骨造のメリット

「軽量鉄骨の防音性はわかったけど、それ以外に特徴はあるの?」と感じている方もいらっしゃるかと思います。もちろんメリット・デメリットがそれぞれ存在します。まずはメリットについてみてみましょう。

軽量鉄骨造の代表的なメリットは以下の通りです。

  • 品質が安定している
  • 耐震性能が高い

それぞれ詳しく解説します。

品質が安定している

軽量鉄骨造の建物は主に工場で生産されるため、品質が安定しています。現場での工程を少なくでき工期短縮も可能です。建設現場では部屋を載せたトラックが到着する光景が見られます。工場生産し現場での作業が少ないため、現場ごとの施工精度のばらつきも少ないのが特徴です。

耐震性能が高い

耐震性が高いことも軽量鉄骨造の特徴です。鉄は粘り強さ、つまり靭性が高く大きな地震でも損傷しにくい特性があります。靭性の高い鉄骨を多く利用しているため、高い耐震性能を発揮できるのです。その反面、鉄は木材と比べて重量があるため、地震によって建物が受ける力が大きく、地震の揺れが大きくなる傾向があります。

軽量鉄骨造のデメリット

一方、軽量鉄骨造にもデメリットがあります。それは通気性や断熱性が低いこと。湿気がこもりやすく、結露が発生しやすくなります。軽量鉄骨造は構造材である鉄骨が熱を伝えやすいため、室内の気温が外気温に左右されやすい構造です。ただし、これらのデメリットは断熱材や防音材を適切に使用すれば解決できます。木造などの構造と遜色ない性能も可能です。設計や採用する部材によって性能が左右される構造といえます。

軽量鉄骨造は品質の安定と高耐久が売り!重視したいポイントを明確にして後悔ない住宅購入を!

軽量鉄骨造は工場で生産されることから品質が安定しています。また、地震にも強いことから人気の構造です。その一方で設計や材料によっては断熱性や防音性に難があることもあります。多くの住宅やアパートで採用されながらも一長一短のある構造です。安定した品質や耐久性を重視するなら軽量鉄骨造はおすすめです。断熱性や防音性を重視するなら、断熱材や防音材の性能をチェックする必要があります。重視したいポイントを明確にして後悔のない住宅を購入しましょう。