ホームインスペクションの費用相場を公開!依頼タイミングや負担者、導入効果も解説

  • Update: 2023-10-25
ホームインスペクションの費用相場を公開!依頼タイミングや負担者、導入効果も解説

不動産流通経営協会の調査で、既存住宅の購入にあたって何らかの建物検査をおこなった購入者は、既存住宅購入者の44.6%を占めており、とくに既存戸建て購入者では 54.5 %となっていることが明らかになりました。

このように身近な制度になりつつあるホームインスペクションですが、依頼を検討中の人が気になるのは、費用や、依頼タイミングについてではないでしょうか。

そこで本コラムでは、ホームインスペクション業界実績No.1のさくら事務所に所属の住宅診断士が、調査内容ごとのホームインスペクション費用の相場や依頼のタイミング、調査費を誰が負担するのか詳しく説明します。

ホームインスペクションとは

ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工の不具合などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの改修アドバイスまでサービスに含まれ、物件価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジすることができます。

ホームインスペクションは、構造上の安全性に問題がないかや、雨漏りの心配がないか等を目視可能な範囲で検査する「一次検査(基本調査)」と、壁や天井の中など目視では確認できない部分の破壊調査を含めた詳細な調査を行う「二次検査(詳細調査)」の2つに大きく分かれます。

中古住宅売買時に不動産業者に説明が義務付けられている調査は「建物状況調査」と呼び、ホームインスペクションと一色単にされることも多いですが、既存建物状況調査は、目視による最低限の検査を行う「一次検査」にあたります。

一方、我々がいうホームインスペクションは「二次検査」も含むものを言い、具体的な改修のアドバイスまで含む点や、その調査範囲の違いから、建物状況調査とは全くことなるものと言っていいでしょう。

 

既存建物状況調査

他にもリフォームやリノベーション時の工事チェックなど、住宅の性能向上のためのインスペクションや、内覧会への同行サービスを提供している会社も存在します。

費用の相場は「物件の種類」「検査の種類」によって変わる

ホームインスペクションの費用の相場は5~7万円です(一戸建ての場合「目視でできる基本検査」の場合がこの費用相場で、「目視では判断できない詳細検査」なら6~12万円程度)

要するに「物件の種類」「検査の種類」によって変わり、住宅の規模にもよりますが、マンションよりも一戸建ての方が検査箇所が多いため費用もかかることが一般的です。

ここからは、さくら事務所と他社のホームインスペクション料金を検査の種類ごとに紹介しながら費用相場を解説していきます。

新築一戸建ての相場

新築一戸建てでホームインスペクションを行う場合、下記のように2種類の方法に分かれます。

  • 新築工事中ホームインスペクション
  • 完成検査・内覧会立会いホームインスペクション

新築工事中ホームインスペクション

新築工事中ホームインスペクションとは、新築一戸建ての工事中でしか確認できない重要なポイントについて住宅診断士が検査を行うホームインスペクションです。完成時には隠れてしまう部分についても第三者の専門家として不具合の発見や適切な対処方法を提示できるため、施工不具合の発生を未然に防げます。新築工事中のホームインスペクションにかかる費用は、さくら事務所の場合、313,500〜731,500円(税込)です。金額は工事中に行う検査回数が増えると上がります。

他社のホームインスペクション価格も検査回数によって価格帯が変動し、相場は30万〜65万円程度です。ただし、さくら事務所の最上位コースである「プレミアムコース」は11工程での検査に加え、「床下詳細調査」「屋根裏詳細調査」といったオプション検査がセットになっています。

完成検査・内覧会立会いホームインスペクション

完成検査・内覧会立会いホームインスペクションとは新築工事完了時や建売住宅購入時の内覧会に住宅診断士が同行し検査を行うホームインスペクションです。さくら事務所では基本コース利用料が66,000円(税込)。室内(廊下や水まわりを含む全居室が調査対象)・屋根裏・床下など大きく分けて7箇所について、100以上の調査項目をもとに、内覧会での同行(立会い)調査を実施します。

他社の費用相場は税込6〜7万円ほどで、金額については大きな差異は無いようです。

中古一戸建ての場合の相場

一戸建ての住宅診断相場

中戸一戸建てにおいてホームインスペクションをおこなう場合、さくら事務所の「中古一戸建てホームインスペクション」基本コース料金は66,000円(税込)です。さくら事務所のホームインスペクションの内容は、以下です。

  • 宅建業法に基づく建物状況調査
  • 100項目以上の調査項目があり、廊下や水まわりなどを含むすべての居室が調査対象となる住宅調査

またさくら事務所の戸建て住宅向けホームインスペクションは、「かし保険」や「フラット35」の現場検査(審査)も調査項目に含んでいます。

他社のホームインスペクションの費用相場は、10万円を超えるところもあります。さくら事務所のように、基本料金は60,000円ほどであっても検査項目が増えるたびに追加料金が必要になるところもあるようです。

中古マンションの相場

マンションの住宅診断相場

マンションのホームインスペクションをおこなう場合、さくら事務所の「中古マンションホームインスペクション」の基本コース料金は49,500円(税込)です。他社では44,000円(税込)でサービスが提供されているものの、さくら事務所と同じく、100㎡以内といった条件が設けられていることがあります。

単に価格で比較するのではなく「どのようなサービスが受けられるのか」を理解してホームインスペクションを依頼する会社を選ぶことが大切です。

新築マンション内覧会同行サービスの相場

内覧会同行サービスの相場

ホームインスペクションサービスを提供している会社のなかには、新築の内覧会に同行するサービスを提供している会社もあります。さくら事務所でも内覧会同行サービスを提供しております。さくら事務所の「新築マンション内覧会立会い(同行)」の価格は、100㎡以下の基本コースで49,500円(税込)です。100㎡を超える場合は、1㎡あたり550円(税込)で承ります。

他社の内覧会同行サービスは、44,000円(税込)でおこなっており、さくら事務所と同様に100㎡を超えると追加料金が必要なほか、水回り設備が多い場合にも追加料金が必要になるところもあるようです。

建物の築年数や規模によって料金は変わる?

建物の築年数や規模によって、ホームインスペクションの料金は変わるのでしょうか。もちろんサービスを提供する会社によっては、変わるところもあるかもしれません。さくら事務所のホームインスペクションは、築年数で料金が変わることはありません。面積など他の条件が追加された場合は、必ず事前にお見積りをさせていただきますので、ご安心ください。

ホームインスペクションの所要時間はどのくらい?

ホームインスペクションにかかる時間は、一般的な一戸建てでは約3~5時間ですが、床下や屋根裏空間にホームインスペクターが入って全体を調査する場合は、より多くの時間が必要になります。マンションの場合は専用エリアで2~3時間です。

建築の設計によって床下や屋根裏に入りにくい場合は、作業効率が変わる場合があります。また、物件ごとに指摘されるポイントの数も異なるため、調査にかかる時間にはばらつきがあることを理解しましょう。例えば、建物の面積が約100㎡(約30坪)の場合、およそ3.5時間が必要とされますが、4時間以上かかるケースもあります。

さらに設計上、床下や屋根裏へホームインスペクターが入れない場合は調査不能なケースもある点には注意が必要です。

オプション調査は依頼した方が良い?

オプション調査は依頼したほうが良い、といえます。なぜなら標準で提供されるホームインスペクションの調査よりも、さらに広い範囲の調査ができるためです。そして住宅の重大な欠陥や不具合の多くはオプション調査に含まれる床下や屋根裏から見つかっています。

床下を調査することでわかる不具合の例が、漏水や基礎のひび割れ、シロアリの害といったことです。

このことからも、ややコストが高くなっても長く快適に、安全に暮らせる住まいを手に入れるためには、オプション調査を依頼したほうが良いでしょう。実際、床下や小屋裏の調査オプションを申し込む方は、ホームインスペクションの申し込む方の約6割にのぼっています。

費用は誰が負担する?

ホームインスペクションの費用を誰が払うのか、というのは、実は明確には決められていません。

ホームインスペクションは、買主を欠陥住宅のリスクから守るために作られた制度のため、基本的には買主が負担することが一般的です。

稀に不動産会社や売主が費用負担してインスペクションを行うこともありますが、その場合に不動産会社が指定するホームインスペクション会社を利用しているケースもあり、どうしてもお手盛りというか、客観的なチェックになりにくいという側面があります。

売主と利害関係のないインスペクション会社が、買主側の立場にたってインスペクションを行うことが、信頼のおける調査には必要です。

ホームインスペクションのベストな依頼タイミングは?

住宅購入の流れの中でホームインスペクションの依頼タイミングとして最適なのは、ズバリ「申込後〜契約前」の段階です。

もちろん、ほかのタイミングでも依頼はできます。しかし適切なタイミングを図ることで引き渡しまでのスケジュールに影響することなくホームインスペクションを行えます。

では、どうしてこのタイミングが効果的なのか、順を追って詳しくみていきましょう。

依頼タイミングを理解するには住宅購入の流れを把握しよう

ホームインスペクションの依頼タイミングを理解するために、住宅購入の流れを押さえておきましょう。

住宅購入の流れは取引や売主によって多少違いがありますが大まかには以下の流れで進みます。

 1. 物件見学

 2. 申し込み

 3. 契約

 4. 内覧会

 5. 引き渡し

 6. 入居

一般的に申し込みをすると、一定期間内は優先して条件交渉や契約が行えます。また、名実ともに物件が自分のものになるのは、引き渡しの段階です。各段階の中でホームインスペクションに適した段階を探してみましょう。

ベストな依頼タイミングは申込後〜契約前

ベストな依頼タイミングが申込後から契約前の段階である理由は以下のとおりです。

  • ホームインスペクションの結果(修繕費用など)を資金計画に組み入れられる
  • 万が一、大きな問題が見つかった場合には無条件で引き返せる
  • 申し込みをしているため、原則として他の方に買われる心配がない

このタイミングでホームインスペクションを依頼できれば、修繕費用の負担を売主と交渉したり、修繕費用を考慮した資金計画を立てたりできます。

万が一居住できないほどの問題が見つかっても、この段階であれば金銭的な負担もほとんどなく申込をキャンセルできます。

また、申込金を支払って申し込みをしているため、他の買い手候補に物件を横取りされる心配もありません。

これらの理由から申込後から契約前が最適な依頼タイミングといえます。

そのほかのタイミングでも依頼は可能

申込後〜契約前がベストと言いましたが、ホームインスペクションは、ほかのタイミングでも依頼可能です。

契約後、早いタイミングで依頼を行えば、不具合が見つかっても引き渡しまでに修繕を済ますことは十分可能です。また、このタイミングであれば内覧会同行サービスとあわせての利用もできます。

引き渡し後の依頼でも遅くありません。新築住宅や不動産会社が売主の中古住宅の場合は、売買契約書には引き渡し後一定期間内に見つかった不具合は売主が補修の責任を負う旨の条文があるからです。

より詳しくホームインスペクションの依頼タイミングについて知りたい人は、以下のコラムもあわせてお読みください。

【参考コラム】ホームインスペクションのベストタイミングはいつか?

ホームインスペクション当日の流れ

続いてホームインスペクション当日の流れをご紹介します。

大まかには以下の流れで進みます。

 1. 調査の流れを説明

 2. 外周の調査

 3. 室内調査

 4. 床下・屋根裏調査

 5. 調査の報告

まず物件に到着すると、依頼主様や物件所有者様にご挨拶と当日の流れや所要時間などをご説明し、簡単な打ち合わせを行います。

打ち合わせ後に最初に行うのが外周の調査です。一戸建てであれば屋外に面する基礎や外壁仕上げ、屋根といった部分を調査します。

その後、室内の調査です。室内調査は室内の状態や設備が中心ですが、一戸建てのオプションで床下や屋根裏調査がある場合は床下の確認や屋根裏の調査をします。

調査が終わると、当日の調査内容のご説明をして終了です。 ホームインスペクション当日の流れについては以下のコラムもあわせてお読みください。

【参考コラム】ホームインスペクションの診断項目と当日の流れ

ホームインスペクションの導入効果

インスペクションを実施する買主のメリットは、おもに以下のことが挙げられます。 安心して取引を進められる 購入後のコスト管理がしやすい また、売主・買主双方にとっては、瑕疵保証保険の利用ができるというメリットも挙げられるので、順番に解説していきます。

安心して取引を進められる

買主にとって、インスペクションを実施する最大のメリットといえば、取引における安心を担保できることでしょう。なぜなら、入居後に不具合や欠陥が見つかることはリスクでしかなく、その不安を事前に解消できれば円滑に取引を進められるためです。 また、中古住宅の保証には、統一された基準がありません。そのため、契約によっては、トラブルが発生しても十分な保証が得られない可能性があります。しかし、契約前にインスペクションを実施し、問題点を洗い出しておくと、欠陥のある物件を回避することも可能になります。 よって、専門家が第三者の立場から行う検査により、潜んでいるリスクを把握できることが、安心で安全な取引につながるのです。

購入後のコスト管理がしやすい

インスペクションを実施しておくと、購入後に必要な予算がある程度わかることから、コスト管理がしやすくなります。 というのも、インスペクションの実施によって建物のコンディションを把握できるようになり、機能が不足する部分や修繕が必要な部分が顕在化できるためです。また、劣化状況を知ることで、その後のメンテナンスも計画しやすくなります。 購入費だけでなく、その後に必要なコストプランを立てられることは、インスペクションを実施した物件ならではの優位性といえるでしょう。

瑕疵保証保険の利用ができる

インスペクションを実施すると、瑕疵保険を利用することが可能となります。 瑕疵保険とは、取引後の瑕疵(重大な不具合や欠陥など)によって生じた損害について、保険金が支払われる保険制度のことです。取引後に発生する瑕疵は、売主や買主のいずれの立場にとってもリスクとなり得ます。 しかし、瑕疵保険に加入しておくことで、その補修にかかった費用を保険金で賄えるようになるのです。保険の対象となる瑕疵には一定の範囲が定められているものの、経済的なリスクに備えられることは大きな安心材料となります。 そして、この瑕疵保険へ加入するには、事前検査としてインスペクションを受け、必要とされる基準に合格しなくてはなりません。 つまり、インスペクションの実施によりコンディションを把握できるうえ、さらに瑕疵保険への加入で経済的な備えができるという、より安全な取引が可能となるわけです。

安心を買うために

国土交通省で定められた既存建物状況調査に基づいた基本調査(目視でできる調査)の内容は、サービス提供会社でそこまで大きな差はありません。

どのような機材を用いて検査するのか、報告書にどこまで丁寧に記載してくれるのか(報告書の品質はとても大切です)、プラスアルファの不安に応える相談・検査をしてくれるのか、などによって異なります。

調査費用は安いに越したことはありませんが、インスペクションというのは不動産という高額な買い物をするにあたり「安心を買う」ものですので、しっかりと信頼のおける診断をしてくれないと利用する意味がありません。

「これまでの実績や利用者の口コミはどうか」
「調査してくれるインスペクターの経験や専門性は確かか」
「報告書の充実度」
「売主と利害関係のない第三者性があるか」

など、料金面と合わせて、安心を提供してくれる、信頼のおけるインスペクション会社を選ぶようにしてください。

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