新築住宅の引き渡し前に実施される施主検査。施主検査は入居後のトラブルを防止するための重要なイベントです。住宅購入で後悔しないためにしっかりとチェックを行う必要があります。
とはいえ「検査と言われても一体何をチェックすればいいかわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
そこで多数の施主検査の経験を持つ、プロのホームインスペクター(住宅診断士)が選んだチェックポイントをリスト化しました。
今回は上記チェックリストの内容を大公開いたします!
ぜひ参考にしてみてください。
施主検査のチェックリスト【PDFダウンロード可能】
さくら事務所が作成したチェックリストはこちらからダウンロードできます。
施主検査のチェックリストは大まかに以下の構成で作られています。
1. 図面との整合チェック
2. 屋外(外回りチェック)
3. 室内のチェック
4. 天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
5. 各設備のチェック
ぜひ施主検査時にご利用ください。
※このチェックリストは、さくら事務所のホームインスペクターが検査する重要項目を抜粋し、ご自身でもチェックしたほうが良い項目を加えた施主検査専用のチェックリストです。そのため、ホームインスペクターがチェックする項目と異なります。
ここからはチェックリスト内の具体的なチェックポイントについて簡単に解説いたします。
①図面との整合チェック
施主検査でまず初めにチェックすべきポイントは図面との整合チェックです。
契約時にもらった図面と建物を見比べ、相違がないか、取付忘れがないかなどの確認をしましょう。
打合せした内容がきちんと反映されているかどうかは、ホームインスペクターなどの第三者ではチェック仕切れないポイントにもなりますので、とくに施主様ご自身で注意して見ることが重要になります。
具体的には以下の点をチェックします。
<ドア>
- ドアの種類に間違いはないか(引き戸、開き戸など)
- 開く方向が内側・外側、右側・左側で間違っていないか
<壁や窓、収納の位置>
- 収納が図面より小さいなどの変更がないか
- 窓の種類に間違いはないか(引き違い、上げ下げ、縦すべり窓など)
- 窓の取付高さやサイズに間違いはないか
<照明器具の位置と数>
- ダウンライトの数に間違いがないか
- 照明器具の位置は図面通りか
<コンセント・スイッチ等の位置と数>
- コンセント・スイッチの数と位置は図面通りか
- インターネット・電話回線が利用できるコンセントの位置は図面通りか
②屋外(外周り)のチェック
図面との整合確認を終えたら仕上がりチェックです。まずは屋外のチェックポイントから解説します。
屋外では仕上がり状況の確認と合わせて、隣地との境界部分の状況確認を行いましょう。
とくに隣地との境界で問題が残っていると後々トラブルに発展する恐れがあるので入念なチェックが必要です。
具体的には以下のポイントについてチェックすると良いでしょう。
- 外壁や基礎表面のひび割れや欠けがないか
- 外構工事に終わっていないところがないか(あったら完成時期を確認)
- 土地の境界が明示されているか
- 隣地所有者と共有物になっているものがあるか
- コンクリートに異物の混入や足跡がないか
③室内のチェック
続いて室内のチェックポイントを解説します。
室内でのチェックポイントは仕上がり状況の確認に加え、生活に支障がないか、怪我をする恐れがないかを見ると良いでしょう。
「ドアが開かない・閉まらない」、「床やカウンターなどのささくれで怪我をした」などのトラブルに遭うと楽しい新生活が台無しになりかねません。
そうならないためにも施主検査時に以下のポイントをチェックしておきましょう。
- ドア・窓・収納扉の開け閉めはスムーズにできるか
- 床下点検口から見える範囲で水漏れが起きていないか
- 床下内部に多数のごみがないか
- 歩くと床や階段から変な音がしないか
- 壁紙クロスに傷や汚れがないか、剥がれていないか
- ベランダの排水に異常がないか
- 照明は全て点灯するか
- 巾木がついているか
-
内装の細かな傷や汚れについては、どこまでがOKでどこからがNGなのかの明確な基準がなく、ホームインスペクターなどの第三者の主観で判断すべき内容ではないため、そこにお住まいになられるお施主様ご自身の目で見て気になるものがないかどうかをチェックされると良いでしょう。こうした傷や汚れについては、お引渡し後の保証対象にはならないということにも注意が必要です。
④天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
普段見ることのない天井裏にも不具合が潜んでいる可能性があります。
たとえば断熱材の未施工があると結露の原因になり、カビの発生や構造体の腐食の原因に繋がります。また、換気扇の配管の接合不良により小屋裏が汚染されるケースも考えられるでしょう。
これらの不具合に気づかず、生活を続けると目に見えないところで劣化が進んでいきます。気づいた頃にはより大きな問題に発展していることもあるでしょう。
手遅れになる前に以下のチェックポイントを抑えて、トラブルの芽を摘んでおきましょう。
- 点検口から見える範囲に雨染みのようなものはないか
- 断熱材の剥がれや未施工の場所はないか
- 換気扇などにダクト(配管)はつながっているか
注意!
※脚立にのぼって転落する恐れがある場合は無理をしないようにしましょう
※内部に入ると天井が抜けてしまう恐れがあるため、点検口からのぞくだけにします
⑤各設備のチェック
設備機器はトイレ、照明、お風呂など、日常生活を送るうえで欠かせないものが多数あります。
入居時にこれらが正常に作動しないと、大変なことになります。
以下のチェックポイントを参考に、一つひとつ確認していきましょう。
- 各設備のメーカー・品番は間違っていないか
- インターフォンのモニターカメラは人の顔を映せる確度か
- 換気扇に異音はしないか
- 水廻り設備の水は出るか、排水の詰まりはないか
- キッチンの収納は全てスムーズに動作したか
ひと通り検査が終わり、不具合やミスが見つかったら住宅会社のスタッフに修理を依頼しましょう。検査後の重要ポイントは、「依頼したら終わり」ではなく、しっかりと「自分の目で確認してから引き渡しを受ける」ことです。
以下の記事で検査後のポイントを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
https://www.sakurajimusyo.com/guide/20392/
職人さんや現場監督さんが一生懸命に作業してくれていたとしても、人がやる以上はどうしても一定割合でミスなどは発生してしまいます。万が一ミスが見つかった際は、建設的に対応を求めることが大切です。ミスが見られたり仕上げに乱れがあったとしても、冷静に住宅会社の担当者の方と話をすることを意識しましょう。
施主検査を実施するベストタイミングとは?
ここまで述べたように施主検査は室内外の傷や汚れのチェックを行います。そして不具合やミスが見つかった場合は手直しを依頼して引き渡しまでに直してもらう必要があります。
そのため施主検査は建物の内外部の状況がはっきりわかる明るさと、手直しスケジュールを加味した日程設定が必要です。
具体的には以下のポイントを目安に施主検査を実施すると良いでしょう。
- 検査日程:引渡し1〜2週間前(水や電気が使える状態になっていること)
- 検査時間:午前中(検査時間を想定し、9〜10時頃開始がオススメ)
- 天候:悪天候は避ける(外装チェックに支障が出るため)
間取りによっては窓が小さい、北側の部屋など午前中でも薄暗い部屋もあるでしょう。そのような部屋もチェックできるように仮の照明器具を取り付けてもらうと良いです。電気配線の通電チェックも兼ねられます。
一般的な住宅であれば2~3時間くらい検査に時間がかかるので、検査後には予定を入れない方が無難です。
施主検査時に必要な持ち物
施主検査時に必要なものは以下の4点です。
<最低限必要なもの>
- 図面(電気図面含む)
- 仕様書
- バインダー
- スマートフォン
図面と仕様書は整合チェックに欠かせません。また施主検査時の不具合を図面に書き込んでおけば場所と内容が一目でわかるのでオススメです。その場で書き込めるように図面をバインダーに挟んでおくと良いでしょう。
スマートフォンは不具合箇所の写真撮影や暗い場所を照らせます。施主検査時にとても役立つアイテムなので必ず持参しましょう。
上記に加え、あると便利なものは以下の通りです。大荷物になるため全て揃える必要はありません。あなたが必要と感じたものをピックアップして施主検査に挑みましょう。
<あれば便利なもの>
- 懐中電灯(床下や天井裏など奥まで見渡す際は懐中電灯の方が便利)
- スマートフォンの充電器、ケーブル(コンセントの通電確認に便利)
- マスキングテープ(一般的に住宅会社のスタッフが用意する。用意するならば、目立つ色(青や赤色)がオススメ)
- メジャー(家具や電化製品などのサイズを確認するのに便利)
- 手鏡(直接覗きにくい部分が確認できる)
- ティッシュ/ウエットティッシュ(換気扇の吸い込みチェック)
- 手提げ袋(検査時の持ち物を入れておく)
- 厚さ対策(水分やタオルなど)や寒さ対策(カイロやブランケットなど)
施主検査時のよくあるトラブル
施主検査時のよくあるトラブルに一般の方と専門家の認識の違いが原因のものが挙げられます。
「もう少し丁寧に工事できるのではないか」と施工会社に修繕を依頼しても、「こんなものです」と言われ、修繕を断られるケースがしばしばみられます。
たとえば床の隙間などを見つけると、気になってしまう方が多いのではないでしょうか。しかし実際には床材が膨張、収縮するためにわざと開けているケースもあります。
こういったケースの場合、無理やり隙間を埋めようとすると床材が反ったり、割れたりする可能性があります。
「こんなものです」と修繕を断られた際は、理由や根拠を説明してもらい、説明内容が理解できたものに関しては施工会社の指示に従うと良いでしょう。
ホームインスペクションを依頼する場合は、上記のようなトラブルがスムーズに解決できます。たとえば、現場立ち合いにホームインスペクターが同行していれば、施工会社の担当者が言っている説明内容が妥当なものかどうかを一緒に聞けます。また、同行しなかった場合も相談すれば、専門家としての見解を示し、セカンドオピニオンを確認できます。
こうした現地でのやり取りがご心配であれば、必要に応じてホームインスペクションなど第三者のサービスのご利用をご検討されると良いでしょう。
参考コラム:新築のホームインスペクションは無駄じゃない!理由を住宅診断士が徹底解説
また以下の動画でも、内覧会のチェックポイントについて、住宅診断のプロが詳しく解説しています。 気になる方はぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=-Fh8UHZTr2o
施主検査はチェックリストを活用して入念に実施しよう
今回ご紹介したチェックリストはお施主様でも簡単にチェックでき、かつ重要なポイントをまとめたものです。
当チェックリストを参考に施主検査を行えば、トラブルの芽を事前に摘み取れます。ぜひご利用してみてください。
ただし、このチェックリストを持ってしても、施主検査の限られた時間内で完璧にチェックを行うことは容易ではありません。
なぜなら建築知識がなければ、不具合や施工不良の状態の見極めやその後の対応の判断が難しい箇所も存在するためです。
また施主検査は内覧会の一環として行われるケースがほとんどです。その際は検査の他に、各設備の取扱説明や引渡しに関する連絡などを施工会社さんや売主さんから受けます。結果、検査に時間を割けず、見落としが発生する可能性も十分考えられるでしょう。
このような理由からホームインスペクターなど第三者のプロにお任せすることによるメリットは非常に大きく、さくら事務所にお任せいただければ創業20年以上の蓄積されたノウハウを活かし、安心して引渡しを迎えられるようにいたします。
「しっかりチェックできるか心配」「見落としがあると怖い」など不安を感じた方は、さくら事務所所属のプロが検査を実施する「新築一戸建てホームインスペクション(完成検査・内覧会立会い)サービス」をご活用ください。