新築戸建ての工事において4人に1人が抱えている不安とは?

  • Update: 2022-12-21
新築戸建ての工事において4人に1人が抱えている不安とは?

自分のこだわりの詰まった注文住宅というのは、構想段階ではワクワクが止まらないものの、実際に建築段階になると何かと不安になったりするものです。

当社では新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスという、建築段階から複数回、ホームインスペクター(住宅診断士)が現場に出向いて調査するサービスがあります。ありがたいことにこちらのサービスへのお申込みが、昨年の9月あたりから大きく増加しました。

今回、そこにはどういった背景があるのか、また、ご依頼者の方々はどういった不安を抱えているのか、調査を実施し、具体的な数値や事例と共に専門家が解説いたします。

新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)へのお申込み者数は昨対比2倍

先述したように、昨年の後半から新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)へのお申込みが増加しているという背景から、お申込み頂いた方の数を確認したところ、今年の11月のお申込み者数が昨年の同時期と比較して、約2倍もの数の方にお申込み頂いていることがわかりました。

申し込みに至った理由とは?

新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)の検査実施回数やタイミングはご依頼頂いたケースに依ってそれぞれ異なります。その最適な回数やタイミングを一般の方がご自身で決めることは容易ではなく、悩まれる方も多いため、当社ではご依頼していただく前にも建築士が直接ご相談にのっています。

その際に、悩んでいることや不安に思っていることなど、ご相談いただいた理由や背景を細かくヒアリングしたうえで、実施するとよい検査の組み合わせを決めるためのアドバイスを行っています。

そこで、実際にこの約1年間に当該サービスにお申込み頂いた方々108名のヒアリング結果を元に、お申込みに至った理由について調査しました。その結果をグラフ化したものが下記となります。

半数以上がそもそも「第三者検査の必要性を感じていた」

調査を行った結果、半数を超える約51%の方が「そもそも第三者検査の必要性を感じていた」という理由でお申込みに至ったことがわかりました。

これには、近年のSNSやYouTubeなどでプロ・一般問わず、多くの方々が家づくりについて発信しており、多くの方が住宅を建てる前にそういった情報をある程度収集してから家づくりに臨むケースが多くなっているという背景があることが予測できます。実際に当社のYouTubeなどをご覧になってお申込みに至ったという方も非常に多いです。

次に多かった「具体的ではない漠然とした不安を感じていた」という理由も、事前に情報や評判を目にしたからこそ生まれた不安だと考えられます。

コロナの影響などでおうち時間も多くなり、ネットでそういった情報に触れる機会が多くなったため、家を建てようと思っている方々の健全な家づくりへの意識の高まりを感じる結果となりました。

4人に1人は建築会社の対応に不安を覚えた

特筆すべきは、トラブルやトラブル未満のものを含む、不安な出来事を経験してお申込みに至っている方が25%もいるということです。つまりお申込みいただいた方の4人に1人は実際に何かしらの不安になるような出来事を経験しているということです。

新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)は、着工前や着工後でもお申込みいただけます。では、この25%の方々は家づくりのどのタイミングで、どのような不安やトラブルがあったのでしょうか?

ご依頼者さまからのSOS事例

施工会社の担当者との連絡がとりにくい

これはとてもよくご相談いただきます。担当者のレスポンスが遅かったり、質問したことに対して回答が判然としなかったり、担当者とのコミュニケーション上の不安から、着工前のタイミングでサービスにお申込みに至るケースが多いようです。

工期が遅れている

着工から竣工までの工期スケジュールは、当然予め施主側とのすり合わせを行ってから着工に移るわけですが、工事現場に行ってみると「この前見に行った時とあまり変わってない…」「明らかに工期スケジュールよりも遅れている…」などの工期に関するご不安を抱いている方も非常に多いです。

設計段階で打合せしたことが反映されていない

注文住宅において、自分のこだわりを細部まで実現できるというのはメリットのひとつと言っていいでしょう。ただそのこだわりが反映されていないということもしばしばあるようです。残念ながら議事録をしっかりととる施工会社はかなり稀です。場合によっては竣工後の発見では手遅れとなり、反映されないままになってしまうことも考えられます。

工期を通常の半分に短縮

多少の工期遅れというのは多くの現場で起きていることであり、それを引き渡し日に間に合うよう、なんとか遅れを取り戻そうとすることは決して悪いことではありません。ただし、このご依頼者さまの場合には、通常2カ月かかる工期を1カ月で進めるという提案を施工会社から受けていました。工期の極端な短縮は検査の未実施やヒューマンエラーを誘発しかねません。引渡し日に間に合ったとしても、後日重大な欠陥が見つかれば、そこから大きな改修を行うことになってしまう可能性もあります。

いつまで経っても基礎から工事が進まない

同じ施工会社の新築住宅が3軒並んで工事が始まりました。そのご依頼者さまの物件は真ん中の物件でした。左右両側の住宅がどんどん完成に近づいていくのに対して、真ん中の自分の物件だけはいつまで経っても基礎コンクリートのまま…。さすがに不審に思い、担当の方に問い詰めたところ、業者に発注するのを忘れていたという驚愕の事実が発覚しました。このような事例は滅多にないことですが、実際にあったお話です。

なぜ新築工事において問題が起こるのか

では、なぜ上記のような問題が起こってしまうのでしょうか?理由については慢性的な要因と一時的な要因が関係していると考えられます。

慢性的な人手不足

工事現場における職人さんや現場監督さんの不足については、今に始まったことではありません。特に現場監督さんの不足については深刻であり、監督1人で20棟以上の現場を受け持っているということも珍しくありません。当社のインスペクターが現場に行って監督さんとお話をすると「実は僕、今日初めて現場に来たんですよ」という方も中にはいらっしゃいました。

「現場監督」という役職は本来、施工にミスがないか検査したり、適切なスケジュールで工事が進んでいるかの進捗などを含めた品質を管理するのがお仕事ですが、最近では、人を現場に手配し、必要な資材を納品するので手一杯という「段取り屋」になってしまっている現状があります。したがって、こまめな現場巡回がしきれずに、施工ミスや工期の遅延に気付けなかったり、施主との情報共有が後回しになってしまったりという状況に繋がってしまうのです。

一時的な資材の納期遅れ

新型コロナウイルスが流行してもう久しいですが、昨年は少し落ち着いてきた様子もありました。しかし、昨年の冬くらいから変異株の「オミクロン株」が流行し、再びコロナによる被害を受けることに。もちろん工事現場の職人さんたちも例外ではなく、1人が感染してしまうと工事自体がストップしてしまうということもしばしばありました。

そして、今年に入り、ロシア・ウクライナ戦争が始まったことで、さらに物流は混乱、輸送費や資材の価格は高騰し、建築業界にも大きな影響を与えることとなりました。本来必要な資材がなかなか入ってこない、または、当初の資材価格より大きく価格が上がってしまったなど、予定外のことが重なり、工期に影響が出てしまうという要因が考えられます。

トラブルに発展させないためにできること

新築住宅を建てるにあたって、着工前から竣工まで、トラブルなく進めるために、お施主さまご自身でできることももちろんあります。些細なことかもしれませんが、意外と大事なことなので、ぜひご参考になさってください。

監督とのコミュニケーションをこまめにとる

新築工事に関するお施主さまからのご質問において、意外と多いのが「監督さんに連絡ってしてもいいものなんですか?」「監督さんに話しかけてもいいんですかね?」といったコミュニケーションの部分に関するものです。

こちら、もちろんOKです。

現場のことに関しては、営業の方や設計の方よりも現場監督さんが一番把握しています。また、忙しい監督さんなら直のこと、こまめに質問したり確認したりしておいた方が遅れやミスの抑止力にもなります。

詳細な工程表を出してもらう

お施主さまの中には、着工から竣工までのスケジュール表である「工程表」をそもそももらっていないケースや、もらっていてもかなりアバウトであるケースも少なくありません。

きちんと詳細な工程表を予め出してもらうことで、元々の工程と今の工程を比べて大きな遅れがないかどうか、ご自身である程度確認することができるので、もし手元に詳細な工程表がない場合には出してもらうよう伝えましょう。

やり取りする時は、期限を明確に区切る

「担当者からのレスポンスが遅い」というのも多く頂くご相談です。そういった担当者とのやりとりに関しては「回答は●月●日までにお願いします」と一言付け加えるだけでも相手の対応は大きく変わってきます。

「すぐにでも返答がほしい」と思っていても担当者側は「1週間以内には確認しておこう」と考えているかもしれず、この感覚のズレというのはお施主さまにとって大きな不安やストレスになる可能性があるので、やりとりをする時は、できるだけ返答期限を明確に提示するようにしましょう。

まとめ

今回の調査で明らかになったように、家を建てる方の多くが不安を抱えており、元々第三者検査を入れることも視野に入れたうえで着工に臨んでいる方も少なくありません。

様々な背景から、新築住宅でも8割以上の割合で何らかの施工不良が発見されるというデータも出ています。もちろん職人さんたちもわざとミスしているわけではないものの、夢のマイホーム、あとから後悔はしたくないですよね。

なにか少しでも不安を抱えている方は、着工前でも工事中でも、ぜひ「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービス」をご利用ください。その際は「検査をしてもらうんだ!」という気持ちと共に「建築士の知り合いができるんだ!」と思って頂けると大変嬉しいです。あなたのその不安を、少しでも取り除くお手伝いをさせてください!