新築一戸建てとはいえ、工事中や完成検査でも不具合が発見されることがほとんどです。さくら事務所では、建ってからではわからない部分までしっかりと検査するために、新築の工事中から何回かに分けて行う第三者検査「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」というサービスを提供しています。
お施主様から施工会社の了承を得て、当社へ依頼がくることが通常の流れとなりますが、なかには新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)を拒否されるケースがあります。今回は、実際にあった事例を通して、新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)が拒否されるケースとその理由を詳しく解説します。
新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)が拒否された!よくある理由5つ
さくら事務所の新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)では、建築会社から設計図を共有していただき、検査ができる日時を連絡してもらい、検査を実施します。そのため建設会社の協力が不可欠です。
しかし建設会社や施工会社から、遠まわし、あるいは直接的に検査を拒否されることがあるのです。
検査を拒否される際によく聞く理由は、以下の5つです。
- 工期が遅れる
- 何かあったときに保証できない(検査員の怪我など)
- 現場監督の手間がかかる(追加で費用が発生する)
- 指摘されても必ずしも直すとは限らない
- 図面を渡せない
ここからはそれぞれの理由を、深堀りして解説します。
工期が遅れる
新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)を行うと、工期が遅れるというのは必ずしも事実ではありません。検査によって不具合が見つかれば、当然対応が必要になります。しかし検査をした結果、不具合が発生していなければ、工期に影響はないのです。
そもそも指摘事項があるからといって工期が遅れるのは、検査が原因ではなく、施工や管理状況が良くなかったからです。さらに指摘事項が妥当でなければ、施工会社の見解を示したうえで対応しない、という選択肢もあります。
すなわち「検査をしたら工期が遅れる」というのは、検査を拒否する正当な理由にはならないのです。
何かあったときに保証できない
何かあったときに保証できない、という理由については、新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)を拒否する理由にはなりません。なぜなら検査員の怪我について施工会社が保証する必要がないからです。それでも「怪我が心配」という理由で検査を拒否するのであれば、検査中の検査員の怪我について、施工会社の責任を問わない旨の書面を交わすこともできます。
現場監督の手間がかかる
現場監督の手間がかかるという理由で、検査を拒否されることがあります。検査を実施する上でに現場監督の手間がかかることは事実です。過去には15万円ほどの費用を請求された方もおられました。
新築検査における現場監督の手間は、大きくわけて以下の2つです。
- 検査に立ち会う手間
- 検査の段取りにかかる手間
一つ目の検査に立ち会う手間は、社内検査と新築工事中チェックを同日に行うことで追加の手間の発生を避けられます。それでも「手間がかかる」と言われた場合は、社内検査をやっていないのではないか、という疑問を抱かれても仕方のないことだといえます。もし現場監督の手間がかかることを理由に新築検査を拒否されたら「社内検査と同じ日で構いませんから」とお願いするといいでしょう。
二つ目の検査の段取りにかかる手間は、図面を送っていただく手間と検査日の連絡をする手間です。これは事実として発生する手間ですが、図面を送るのにそこまでの手間はかからないはず。メールに添付して送信してもらったり、クラウドでファイルを共有してもらえば終了です。図面を送る手間がかかることを理由に、検査を頑なに断られてしまうと、図面を用意できていないのでは、という疑念を抱いてしまいます。
また検査日の連絡の手間について、どの程度の手間を想定しているのかにも疑念が生じます。果たして、15万円もの手間がかかるのでしょうか。そのあたりをさらに突っ込んで質問してみるといいでしょう。
指摘されても必ずしも直すとは限らない
もちろん検査した結果を伝えた後、指摘したことに対して必ずしも対応するとは限らない、という点は問題ありません。なぜなら新築検査は第三者の検査であり、指摘した箇所をなおさなければいけない、という強制力は持っていないからです。
建築には明確に「OK」「NG」と白黒つけられるものもあれば、明確に「NG」と判断できないものもあります。はっきりと「NG」と断定できない部分については、建築会社さんや施工会社さん、設計士さん、現場監督さんそれぞれの見解、考え方の違いが出てきます。
そのため、新築工事の検査時に指摘した部分については、建築会社さんや施工業者さんの意見や第三者である当社のような専門家の見解を聞いたうえで、お施主様が納得することが大事です。
図面を渡せない
図面を渡せません、といわれることもあります。図面を渡せない大きな理由は、以下の2つです。
- 個人情報漏洩のリスクがあるから
- 社外秘の情報だから
一つ目の個人情報漏洩のリスクについては、検査会社と施主双方の了承が得られていればOKです。そのため、施主さんの了承が得られていることを理由に、再度お願いするといいでしょう。
二つ目の社外秘の情報だから、という点は、正論なので、仕方ないところがあります。社外秘で、という理由から図面が手に入らない場合の対応は、2つです。ひとつは図面がなくてもできる検査を実施する、ふたつめは社内検査に立ち会って検査していることを確認する、です。図面がないからといって全ての検査ができないということにはなりません。
拒否されたときの回避策
ここからは、新築検査を拒否されることを回避する以下の2つの方法を紹介します。
- なぜNGと言っているのか、理由を深堀りする
- 検査に入る会社の名前を伝える
なぜNGと言っているのか、理由を深堀りする
なぜ建築会社は新築検査を拒否するのか、という理由を深掘りして考えます。
先述した通り、工期の遅れに関しては、検査日を社内検査と同日にすることで解決できます。さらに指摘事項に対応しないといけなくなる点については、新築検査が原因ではなく、施工管理に問題があったためです。いずれも検査を拒否する理由にはなりません。
何かあったときに保証できないと言われても、そもそも検査員の怪我を施工会社が保証する必要はないため、その心配は不要、ということになります。それでも「何か」を理由に拒否される場合は、ひとつずつ「何か」について詳らかにしていき、解決の道を探りましょう。
監督の手間については、図面を送付したり検査日を連絡したりするのに、そこまでの手間はかからないと考えられます。この手間で費用を追加で請求される場合は、明細を出して説明を求めましょう。
検査に入る会社の名前を伝える
どのような会社なのかわからない状態では、施工者としても不安になるのは理解できることです。なかには、悪質な検査を実施する会社も存在するからです。大きな問題ではない箇所を、さも大きな欠陥であるかのように指摘される可能性もあります。施工会社よりも、第三者の意見は施主様に響きやすいのです。
そのため新築検査に入る前に検査に入る会社、当社であれば「さくら事務所」という名前を伝えます。施工業者さんの中には、当社のような第三者検査機関の話が共有されていることも多いので、過去に他の現場で検査実績があれば、施工会社も安心して新築検査を受け入れやすくなります。
検査に対する相手の不安を寄り添いながら解消しよう
自信をもって建てている建物に、第三者の検査が入ることに抵抗感を覚える人もいます。前向きに協力していただけない気持ちは理解できるものです。
どのような会社が検査するのかを明確にすることで、検査を受ける側の不安や疑問を解消できることがあります。検査を拒否されたからといって、高圧的な態度に出るのではなく「なぜ協力していただけないのか」「どのような点に不安や疑問を感じているのか」を確認し、疑問や不安をその都度解消・解決していくことが大切です。
検査に対する相手の不安を、相手の気持ちに寄り添いながら解消する姿勢を示すことで、お互いが歩み寄り、納得できる着地点を見つけやすくなります。
新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)を行うタイミングを決めるのは容易ではないため、さくら事務所ではまず、検査の説明や検査項目の最適な組み合わせを、当社の建築士が無料でアドバイスいたします。検査にベストなタイミングは、着工の2〜4週間前です。しかし着工後でも工事の途中から検査を受けることも可能なため、ぜひ無料相談からご連絡ください。いつでもご利用可能です。大切な家を守るための新築検査は、ぜひさくら事務所にお任せください。