9月9日は「救急の日」です。
救急医療や救急業務への理解と認識を深め、救急医療関係者の意識の高揚を図る目的で設けられています。現在、未だに新型コロナウイルスの猛威は下がる様子は見えず、コロナ感染者への対応で奮闘されている医療従事者の方々には感謝と長期化している中で疲労困憊しないようにただ祈るばかりです。
住宅・建築業界でも例年とは異なった異常な状況が続いています。建築資材の高騰と品不足、関係者のコロナ感染による現場離脱などが起きています。
今回、さくら事務所では救急に合わせて、新築一戸建て工事において当社に多く寄せられる、早急に対処すべきご依頼者さまからのSOSサインについてまとめました。
現場が止まっている
建て主や買主の感覚として、2・3日現場が止まっていることはあまり心配になりませんが、1週間も現場が止まっていると少し気になりだし、更に何ら動きがないとトラブルや異常が起こっているのではないかと心配になります。
最近の現場が止まっている原因としては最も多いのが職人不足があります。住宅業界では一戸建て住宅の取得希望者が増えて、供給が間に合わない状況が続いています。更にコロナ感染、濃厚接触者ともなれば、突然現場を離脱することになり、しばらくは現場に戻ることができません。
現場が止まった際のリスクとしては、工期の遅延、突貫工事、見落とし、防水前であればカビや腐食といったものがあります。現場が止まった原因。どのタイミングで止まったのか、再開の見通しなどを確認した上で対処する方法があります。
例えば、大工が工事の途中でコロナ感染により突然現場が止まってしまった場合には、部材や接合金物の取付状況を代わりの大工に詳細に伝えることは難しく、また工事の再開まで覚えておくことも困難なため、全数検査をしなければ、見落としが発生して構造に施工不良をきたすことになります。
基礎が完成してみたらアンカーボルトが斜めになっている
一般的に建物は四角形でできている。水平と垂直の部材で構成されてるという感覚があり、そうでないものをみると違和感を感じます。特に建物が着工して最初に出来上がった基礎から斜めのものが出ていればなおさらです。
原因としてはコンクリートを打設(流し込む)前にアンカーボルトを垂直に固定してないことが挙げられます。また打設の勢いでアンカーボルトが斜めになることもありますが、直後に直せば問題はありません。ひと手間を掛ければ簡単に回避できることです。
アンカーボルトには2種類あり、短いものは木構造の最下部材の土台を基礎に留めるためのもの。長いものは地震時に柱が抜けないようにするものがあります。アンカーボルトが斜めになると土台や柱と固定できないことになり、暴風や地震時に建物が揺れたり、被害が大きい時には破損するなどのリスクが伴うことになります。
基礎内部に溜まった水を処理せずに工程を進めている
木造の建物の場合、屋根・外壁の防水が完了するまでは、降雨があれば基礎内に雨水が浸入してしまうことは致し方ありませんが、本来水がないところに水が溜まっていれば心配になるのは当然です。特に木材が水に弱いことは誰でも知っていることなので、プールになっている状態を見れば誰でも心配になります。
水が溜まらないよう基礎に水抜き穴を設けている工事会社もありますが、外からの水の逆流や害虫の侵入などのデメリットもあり、最近では設けてないところもあります。その場合、ポンプで溜まった水を外に出す必要があります。
打設後のコンクリートにとっては水はひび割れ防止にもなりメリットもありますが、問題は金属と木材になります。心配のとおり、濡れている状態のまま床を貼ってしまうと湿気がこもり、床合板にカビが生えてしまうなど、濡れている状態が長期になると錆や腐食が生じることがあり、品質の低下や構造的な問題を抱えてしまいます。またカビが発生して変色することもあります。
断熱材の入れ方が雑
令和4年4月1日に住宅性能表示における省エネ性能の新たな等級が施行されました。政府・行政によるカーボンニュートラル・脱炭素社会への実現に向けた施策もあって、度々報道などから情報もあり、注目されている分野になります。ところが現場に行ってみると吹き付け断熱の厚みにムラがあったり、隙間があったり、ビニールが破けていたりなど明らかに雑としか思えないものを目にすることがあります。
原因としては、建材メーカーの施工手順はありますが、構造材のような建築関係法令などの施工ルールがない、工事中の中間検査の対象ではないなどもあって、断熱の重要性の認識が低く、施工の品質が向上しないなどがあります。
断熱材に厚み不足や隙間があれば本来の断熱性能が発揮できなくて、冷暖房の効率が悪くなるばかりか、結露が発生したり、ビニールなどの防湿層に破れや隙間があれば、断熱材の中で結露が発生することもあり、建物の構造と同様に慎重に正確に工事をする必要があります。
営業担当のレスポンスが遅い
上記のような現場の状況から心配事があったり、打ち合わせ内容の確認、変更希望などがあれば、度々営業担当へ連絡することがあります。ところが返事が遅い。約束を忘れてしまうなどの事があり、幾度もあれば不信感を抱くことがあります。契約や工事の着工までは頻繁に連絡を取り合い、打ち合わせもしていたのに着工すると対応が変わったという話は意外と多く聞きます。
以前の住宅建築では建物を作りながら現場での打ち合わせを行って仕上げを決めていくというやり方でしたが、現在では、着工前までに全ての仕上げを決めてしまい工事が始まれば基本的に打ち合わせはしないというところも少なくありません。顧客の新規獲得に集中するために効率よく業務をこなすためのやり方ですが、30・40物件を抱えていれば返事が遅くなるのは必然となってしまいます。しかも対応が遅くなれば現場も進んでしまい後戻りもできなくなるので更に心配な状況になってしまいます。
まとめ
以上が新築一戸建ての工事に寄せられる代表的な5つSOSサインになりますが、コロナ禍以前まではこのようなトラブルが無かったのではなく、それまでは潜在化していたものが、建て主・買主がリモートワークによって現場に足を運ぶ機会が増えて顕在化してきたものだと考えられます。その結果、トラブルであれば早い段階で現場の状況を正確に把握し、不具合に合った対処をしなければ、より大きな施工不良を抱えてしまうことになってしまいます。
現場の状況を客観的に知りたい、現場担当者以外に工事のチェックをしてもらいたい、専門家にアドバイスをもらいたいなど、工事に不安を感じる場合は第三者による現場検査「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」がおすすめです。
気になる方は、まずどんなことが不安か?今の状況でどんな点に気を付けるべきか、ホームインスペクターによる専門家相談も受け付けていますので、お気軽にお問合せください。