中古戸建住宅のメリット・デメリットとは?購入時の注意点も詳しく紹介

  • Update: 2023-04-13
中古戸建住宅のメリット・デメリットとは?購入時の注意点も詳しく紹介

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「新築戸建住宅を探していても、なかなか良い物件が見つからない」と悩む人は少なくありません。新築だけに絞ると物件数も少なく、希望に合う住宅を見つけるのは難しいでしょう。

そこでおすすめなのが、中古戸建住宅です。築年数が経過しているものの、安く購入できたり、新築のようにリフォームできたりするため、理想の住宅環境を整えられます。

本記事では、中古戸建住宅を購入するメリット・デメリットを紹介します。記事の後半では、中古戸建住宅を購入する際の注意点についても紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

中古戸建住宅のメリット

中古戸建住宅を購入するメリットは、主に以下の6つです。

  • 価格が安い
  • 完成している物件を見て選べる
  • 住みたい場所を選びやすい
  • リフォームで新築のようにできる
  • 水道負担金を払わなくて済む
  • 分譲の新築戸建より面積が広いケースがある

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

価格が安い

中古戸建住宅のメリット1つ目は、価格が安いことです。戸建住宅は、築年数が経過することで資産価値が減少すると言われており、一般的には約20年で建物の価値はなくなります。

そのため、同じエリアに建った新築戸建住宅よりも価格が安くなるケースが多い傾向です。予算が限られている場合は、中古戸建住宅を選ぶほうがより良い条件の住宅を見つけられるでしょう。

完成している物件を見て選べる

中古戸建住宅を購入するメリット2つ目は、完成している物件を見て選べることです。新築戸建住宅を購入する場合、住宅が完成する前に購入を決断するケースも珍しくありません。

しかし、中古戸建住宅の場合は、すでに物件が完成した状態であるため、外観や内装、設備などを確認したうえで購入できます。そのため、「想像していた物件とは違った」というような事態が発生することはないでしょう。

住みたい場所を選びやすい

中古戸建住宅を購入するメリット3つ目は、住みたい場所を選びやすいことです。物件を選ぶ際に新築戸建住宅だけに絞ってしまうより、中古戸建住宅も視野に入れたほうが選べる物件数が増えます。

例えば、新築戸建住宅だけだとエリアが限定されたり、学区や立地を優先して選べなかったりすることもあるでしょう。しかし、中古戸建住宅も候補に入れれば物件数が増えるため、理想の住宅に出会える可能性が高まります。

リフォームで新築のようにできる

中古戸建住宅を購入するメリット4つ目は、リフォームで新築のようにできることです。先述したとおり、中古戸建住宅は販売価格が安いため、余った予算をリフォーム代に回せます。

例えば、自分好みのデザインにしたり、最新の設備に交換したりすることで、新築戸建住宅のような空間を作れるでしょう。お気に入りの場所に建てられた中古戸建住宅を購入してリフォームを行えば、理想の住宅環境を整えられます。

水道負担金を払わなくて済む

中古戸建住宅を購入するメリット5つ目は、水道負担金を払わなくて済むことです。水道負担金とは、新築戸建住宅を購入する際に必要となる費用のことで、新しく水道を利用するときに納付します。

中古戸建住宅の場合は、すでに以前住んでいた人が納付しているため、新たに水道負担金を支払う必要はありません。そのため、住宅を購入した際にかかる初期費用を抑えられます。

分譲の新築戸建より面積が広いケースがある

中古戸建住宅を購入するメリット6つ目は、分譲の新築戸建住宅よりも面積が広いケースがあることです。新築戸建住宅を分譲販売する会社は、多くの住宅を建てて販売することで利益を上げられるため、最低限の広さの土地に住宅を建てることも珍しくありません。

しかし、中古戸建住宅の売主は個人であるケースが多いため、土地を分譲することは極めてまれです。そのため、広い土地に住宅が建っていたり、十分な駐車スペースが確保されていたりすることも多いでしょう。

中古戸建住宅のデメリット

修繕を必要とするケースがある

中古戸建住宅は一度人が住んでいるため、新築物件よりも劣化しています。物件によっては、住む前に修繕が必要なケースもあるでしょう。築年数ごとに必要とされる修繕費用の目安は、以下の表のとおりです。

表を見るとわかるように、防蟻対策は5年経過するごとに15万円必要とされています。築15年経過した中古物件であれば、防蟻対策以外に外壁・屋根、防水、設備の修繕も必要となり、総額で183万円の出費が予想されます。物件の状態によっては、更なる費用が必要となる場合もあるため、中古物件を購入する際はあらかじめメンテナンスの資金も用意しておくと安心です。

耐震性が低いことがある

中古戸建住宅を購入する際は、耐震性もチェックしなければいけません。住宅が建てられた年代(正確には建築確認の申請時点)によって適用された耐震基準が異なり、築年数が経過した物件ほど耐震性が低くなっています。

例えば、1981年(昭和56年)5月31日まで適用されていた旧耐震基準では、震度5程度の地震で倒壊せず補修して住み続けられる構造であれば問題ありませんでした。しかし、1981年(昭和56年)6月1日から適用された新耐震基準では、木造住宅の耐力壁の量や倍率を増やし、震度6強~7の地震でも倒壊しない、かつ震度5強程度の地震で損傷しない、耐震力を向上した住宅を建てる義務が生じています。
その後、1995年阪神・淡路大震災の被害を受けて、2000年(平成12年)6月1日に木造住宅の耐震性基準が改正されました。この2000年基準では、それまでの新耐震基準にはなかった、耐力壁の配置や接合部(柱や筋交いなど)、地盤に応じた基礎構造が、具体的に規定されました。
以上のことから、中古物件を購入する際は「どの年代に建てられた物件なのか」「耐震性に問題はないのか」といった確認が必要です。

住宅ローン審査が厳しいことがある

中古戸建住宅は、新築戸建住宅よりも住宅ローンの審査が厳しいことがあります。中古戸建住宅は建物自体の資産価値が低下しているため、金融機関が設定する担保価値が低く見積もられる傾向です。

建物の状況や住宅ローンの種類によっては、審査が通らないこともあるため注意しましょう。中古戸建住宅の購入を検討している場合は、事前に住宅ローンの仮審査を受けるといった対策が必要です。

設備の老朽化が懸念される

中古戸建住宅を購入する際は、設備の老朽化が進んでいないかチェックしておきましょう。中古戸建住宅は築年数が経過しているため、メンテナンスの有無や使用加減によって設備の老朽化が著しい場合があります。

特に、浴室やキッチンといった水回りは、傷みやすく老朽化が目立ちやすい場所です。中古戸建住宅の購入を検討している場合は、設備交換の必要性も確認しておくといいでしょう。

中古戸建住宅を購入する際の注意点

中古戸建住宅を購入する際の注意点は、以下の3つです。

  • 目に見えない箇所もチェックする
  • 築年数を確認する
  • 費用の概算を予めしておく

それぞれの注意点を確認しておきましょう。

目に見えない箇所もチェック

中古戸建住宅を購入する場合は、ホームインスペクションを利用してプロの視点から住宅を診断してもらいましょう。

さくら事務所と千葉大学大学院小林秀樹研究室の草処章一郎氏との共同研究によると、築30年の中古戸建住宅の約半数で傾きが発生していることが判明しました。新築戸建住宅でも20軒に1軒の割合で傾きが発生しており、築年数が経過するごとに傾くリスクが上昇しています。

また、新築時の段階でおよそ30~40%の割合で、補修を検討すべき箇所が存在することもわかっているのです。修繕が必要な箇所は築年数が経過することにより発生率が上昇し、築10年以上の物件は約60%だと言われています。

そのため、欠陥や不具合が多い中古戸建住宅を購入する場合は、ホームインスペクションを活用して事前に物件の状態を把握しておくことが大切です。

契約不適合責任(瑕疵(かし)担保責任)について確認する

中古戸建住宅を購入する際は、瑕疵担保責任について確認しましょう。瑕疵担保責任とは、購入した住宅が契約内容に適合しない場合、その責任を売主が負う決まりのことです。例えば「シロアリの被害を受けていた」「雨漏りがあった」などが瑕疵に該当します。目に見える不具合だけではなく、住み始めてわかる問題も瑕疵担保責任に当てはまります。

なお、中古戸建住宅における瑕疵担保責任期間は、契約ごとに定められます。一般的に設定される瑕疵担保責任期間は以下のように、売主が不動産会社(宅建業者)か個人かによって大きく異なります。
  • 不動産会社(宅建業者):2年
  • 個人:0〜2、3ヵ月

契約によっては、売主が瑕疵担保責任を負わないケースも見られるため、あらかじめよく契約内容を確認しておきましょう。

費用の概算を予めしておく

中古戸建住宅の購入を検討する場合は、費用の概算を予めしておきましょう。中古戸建住宅を購入する場合、建物の購入費に加えて諸経費が必要になります。必要となる諸経費は、主に以下の6つに分けられます。

  • 印紙税:契約書などを作成した場合に課税される
  • 仲介手数料:仲介業者に支払う手数料
  • 適合証明書(フラット35を利用する場合):機構の定める基準に適合していることを証明する書類
  • 登録免許税:土地や建物の売買による所有権の移転登記に必要な国税
  • 司法書士報酬:登記手続きを行う司法書士への報酬
  • 固定資産税等精算金:引き渡し日以降の固定資産税等は買主が負担

なお、築10年の中古戸建住宅を3,000万円で購入したときの概算は、以下のとおりです。

  • 印紙税:約35,000円
  • 仲介手数料:約1,008,000円
  • 適合証明書:約50,000円
  • 登録免許税:約105,000円
  • 司法書士報酬:約100,000円
  • 固定資産税等精算金:約100,000円

シミュレーション結果によると、諸経費だけで約140万円かかります。ここに建物の購入費も加わるため、買主にとっては大きな負担となるでしょう。そのため、住宅を購入する際は、概算を予めしておき、予算内におさまるかどうかを確認しておくことが大切です。

中古戸建のメリット・デメリットを正しく見極めましょう

中古戸建住宅を購入する場合は、メリットやデメリットを理解したうえで検討するのがおすすめです。中古戸建住宅は価格が安いものの、修繕やリフォーム費用が必要になるケースも少なくありません。そのため、中古戸建住宅の持つ特徴を把握したうえで、自身に合う物件を選んでみてください。

中古戸建住宅を購入する際は、ホームインスペクションを活用するのがおすすめです。さくら事務所では、精鋭のホームインスペクターがプロの目線で住宅診断を行っています。客観的なアドバイスも実施しているので、ぜひお気軽にご相談ください。

ホームインスペクター 友田 雄俊
監修者

さくら事務所 執行役員
プロホームインスペクター、二級建築士

友田 雄俊

大手リフォーム会社にて、木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。
外壁塗装などのメンテナンス工事から、フルリノベーションまで幅広く手掛ける。
その後、株式会社さくら事務所に参画。