雨漏り調査の方法とは?費用相場や失敗しない会社の選び方を解説

  • Update: 2022-12-22
雨漏り調査の方法とは?費用相場や失敗しない会社の選び方を解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

雨漏りが我が家で発生した際は、いち早く原因を明らかにして直したいですよね。しかし「どんな調査で雨漏りを見つけるの?」「どこに依頼したらいいの?」「修理費用相場はいくら?」など雨漏りの調査や修理は不明点が多く、不安に感じる方も多いでしょう。

そこで今回は雨漏りの調査方法や費用相場を徹底解説します。また失敗しない会社の選び方もあわせてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

雨漏りが発生する原因とは?

「雨漏り」とは、雨水が建築物のどこかから漏れ出し家の中に滴り落ちてくることです。家の中に水が侵入する原因に給水管の割れによる漏水や、気温差によって水蒸気が水に変わる結露などがあります。しかしこれらは雨漏りとは別物です。

屋根をつたって滴り落ちてきた雨が壁の欠損箇所から侵入してきた場合、その侵入箇所と内部でシミのできている箇所が離れているケースもあります。そのため建築知識があったとしても、雨水の侵入箇所を特定するのは非常に難しいです。

雨漏り調査の方法

雨漏りは目視で確認できるものと、そうでないものがあります。目視でわかるものは瓦のずれ・割れや外壁のひび割れなどです。

瓦や外壁が傷んでいないにもかかわらず雨漏りが発生している場合や、明らかな原因が特定できない時には、一般的に以下のような調査方法などがとられます。

  • 散水調査
  • ガス調査
  • 電気抵抗調査
  • 赤外線(サーモグラフィー)調査
  • 発光(発光塗料)調査

それぞれの調査にはメリット・デメリットがあることや、会社によって対応の可否も分かれるため、建物の状況や構造なども考慮したうえで採用される調査方法は異なります。

ここからは各調査について詳しく解説します。

散水調査

散水調査は問題のある箇所に水をかけて雨漏りの状況を再現し、浸入箇所をつきとめる方法です。

実際の雨漏りを再現する調査方法のため、原因発見の確率が極めて高いです。さらに木造、コンクリート造、鉄骨造など建物の構造による制約もなく調査ができます。

ただ、散水調査は時間と労力が必要です。すぐに雨漏りが発現する箇所なら良いのですが、雨漏り箇所が雨水侵入箇所から遠い場合は長い時で数日待つため、時間と労力がかかります。

また調査の都合上、雨が降っていないタイミングで屋根やバルコニーなどから水を撒くことになるので近隣への配慮も必要です。

ガス調査

雨漏り調査の方法の一つにガスを使用した調査があります。この調査方法は主にコンクリート造の建物に用いられる調査です。

人体に無毒な炭酸ガス、ヘリウムガスなどを雨漏り箇所から注入し、ガス検知器で雨の侵入箇所を特定します。

気体を注入するため目に見えない小さなひび割れでもガスが行き渡り、雨漏れ箇所の特定が可能です。

さらにガスは水分よりも素早く隙間に浸透するため調査時間が短く済みます。

ただしガスを注入する機械が必要なため、作業スペースが必要なのに加え、調査費用も割高になる傾向があります。

電気抵抗調査

雨漏り調査には電気の性質を利用した調査も行われます。その名も電気抵抗調査です。

建物の構造に使われるコンクリートや木材は乾燥状態では電気を通しません。この性質を利用して雨漏りで濡れた箇所に通電させて雨漏り箇所を特定します。電気を通して雨漏りを確認するので、建物を痛めず比較的安価に調査が可能です。

雨漏りによって流れ出たエフロレッセンスと呼ばれるコンクリート成分が電気を通すので、晴天時が続いた乾燥状態でも調査ができます。そのため鉄筋コンクリート造の建物と相性が良い調査法です。

対して鉄骨造などの鉄を多く使用している建物は、構造体が電気を通してしまうため、判別が難しくなります。

赤外線(サーモグラフィー)調査

赤外線サーモグラフィーは特殊な機材による撮影で雨漏り状況を調査する方法です。雨漏り箇所は水分の滞留により撮影面の温度が周囲より低くなります。この温度変化を赤外線で捉えます。

赤外線調査は調査時に天井や壁を壊すことなく行え、ほとんどの場合で足場等の仮設設置費用も不要です。 また目視調査や打診調査と違い、複数箇所で不具合があった場合でも同時に発見ができる可能性もあり、調査時間の短縮やその後の雨漏り修理や対策を取りやすくなります。

赤外線サーモグラフィー調査は、「高感度赤外線カメラ」という専門的な機材が必要なのですが、この機材は天気や撮影角度などが調査精度に影響するため専門知識と腕が必要です。

発光(発光塗料)調査

ブラックライトで照らすと鮮やかな光を発する発光塗料も雨漏り調査に用いられます。

この調査は雨水の侵入箇所が疑われる部分に水で溶かした塗料を流し込み、紫外線を当てた際の塗料の発光現象で雨漏りかどうかを見極めます。

発光調査の大きな特徴は複数の雨漏り箇所を見分けられる点です。

検査液には複数色のバリエーションがあり、紫外線(ブラックライト)を当てると発光してそれぞれ異なった色で見えるようになります。そのため、どの雨漏りがどこに被害を及ぼしているのかが、はっきりと見分けられます。

また散水で使用する発光塗料は無色透明です。目で見ただけでは色が付いているとはわからず、紫外線ライトを照射した時だけ反応して光る液体です。そのため調査後は室内に色が残ることなく、いつも通りの生活が送れます。

雨漏り調査の費用相場

ここまで雨漏り調査の方法について紹介しましたが、それぞれどれくらいの調査費用がかかるのでしょうか。

それぞれの調査にかかる費用相場を一覧表にまとめましたのでご覧ください。

調査方法

費用

目視調査

0〜3万円

散水調査

5〜35万円

ガス調査

15〜35万円

電気抵抗調査

3〜10万円

赤外線(サーモグラフィー)調査

2〜50万円

発光(発光塗料)調査

5〜25万円

一覧表の通り、雨漏り調査にかかる費用は3〜50万円の間が相場です。調査方法や調査箇所の数によっても価格は変動しますが、おおむね50万円以内には落ち着くでしょう。

あまりにも相場とかけ離れている場合は相見積もりするなどして、相場の確認をすると良いでしょう。

雨漏り調査会社と修理業者の失敗しない選び方

雨漏り調査・修理会社の中には悪徳業者が潜んでいます。実は雨漏り修理の業界は悪徳業者が多い傾向にあります。なぜなら雨漏りは原因の確認が難しく、一般の方には判別しづらいからです。

間違って悪徳業者を選ばないためには以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

  • 調査記録を残してくれる会社
  • 口コミ・評判が悪く無い会社
  • アフターフォローと保証がある会社

それぞれ詳細をみてみましょう。

調査記録を残してくれる会社

良い業者かどうかを見極めるポイントに「調査記録が出る会社」が挙げられます。

雨漏り調査を行う会社は、雨漏り調査専門の会社以外に、外壁工事や屋根塗装を行うリフォーム会社などさまざまです。そして調査方法も会社によりさまざまで、中には簡易的な調査で済ます会社も存在します。

簡易に行う会社は、雨漏り調査の結果の報告書を出さず、そのまま修理工事に入る可能性が考えられます。

こういった会社は雨漏り調査の記録が残らないので、あとで雨漏りを繰り返してしまっても、原因が分かりません。雨漏りを修理するためには再度調査を行わなければならないでしょう。このようなケースはとても非効率ですし、修理するまでに時間を要してしまいます。

将来的なメンテナンスの参考資料としても役立つので調査記録が出る会社を選びましょう。

口コミ・評判が悪くない会社

雨漏り調査・修理に限らず言えることですが、口コミや評判は業者を選ぶ際に参考になるポイントです。

実際にサービスを受けた方の意見が掲載されているものとそうでないものでは安心感に大きな差があります。

ただし、悪質なケースでは口コミが捏造されている場合も考えられます。たとえば以下の例のように情報元が記載されていないような口コミは、実態がわからないので信用に足るものではないと言えるでしょう。

信用に足る口コミ:施工事例とともに口コミが載せてある
信用に足らない口コミ:お客様のコメントだけ載せてある

口コミは信用性が確認できれば非常に参考になる情報です。しかし、中には嘘である場合もあるため参考にする際は情報元などを確認しましょう。

アフターフォローと保証がある会社

雨漏り修理を行う際にはアフターフォローが受けられる会社を選ぶようにしましょう。

なぜなら一度修理をしたとしても別の部分から雨が侵入し、雨漏りを引き起こす可能性は十分考えられるからです。そのため定期点検を実施してもらい、必要に応じて適切なメンテナンスを実施してもらうなど、アフターフォローを引き受けてくれる会社を選んだ方が安心です。

また万が一雨漏りが再発した際に備えて、保証制度を提供している会社に工事を依頼した方が良いでしょう。保証は会社独自のものに加え、第三者の検査と保証がセットになった「リフォームかし保険」を活用するケースもあります。

リフォームかし保険の保証期間は5年間設定されているものが多いです。第三者目線での検査を行うことで施工の品質もチェックできるメリットがあります。ただし、リフォームかし保険に加入するためには費用がかかります。修理業者へ加入を希望する旨を伝える際に、どちらが保険加入費を支払うか話し合いをしましょう。

雨漏り状況に合わせた適切な調査方法を選択しよう

ここまでご紹介したように、雨漏りや水漏れは、建物の構造・建材の仕様・気候等の条件を総合的に考慮しながら対応していく必要があります。そのため、調査を行う際は専門的な知識や技能が求められます。

雨漏り状況に適した調査方法を行える業者へ依頼しましょう。

さくら事務所では雨漏り・漏水解決相談サービスを実施しています。建物に精通したホームインスペクター(建築士)が目視や非破壊検査機材を使用し、原因や被害状況を推定。多数の住宅診断経験に基づき、客観的な立場から補修方法や被害箇所の解体・復旧工事についてもアドバイスします。

サービス利用者には電話・メールで住まいの悩みを相談できるアフターフォロー付き。雨漏り調査後もあなたの住まいをサポートいたします。

ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

ホームインスペクター 友田 雄俊
監修者

さくら事務所 執行役員
プロホームインスペクター、二級建築士

友田 雄俊

大手リフォーム会社にて、木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。
外壁塗装などのメンテナンス工事から、フルリノベーションまで幅広く手掛ける。
その後、株式会社さくら事務所に参画。