税制大綱2020発表!住宅・不動産市場への影響を長嶋修が解説

  • Update: 2019-12-13
税制大綱2020発表!住宅・不動産市場への影響を長嶋修が解説

令和2年度税制改正大綱が公表されましたが、相変わらず既存の延長線上の弥縫策に終始したものであると言わざるを得ません。

空き家対策や、中古住宅・リフォーム市場の活性化が急務となる中、特例に過ぎない新築住宅への固定資産税・登録免許税減税を続けることは空き家を生み出し中古流通不活性化となる結果を長年生み出し続けています。

低未利用地の活用促進に100万円の特別控除

取引コストが相対的に高いことがネックとなり利活用されていない土地の活用促進として「100万円の特別控除」ということですが、具体的な活用の道がなければいくら優遇し、たとえ取引コストがタダであっても、固定資産税などの負担も残り、具体的に有用な活用方法がなければ流通しないでしょう。

あくまで「売買」に焦点が当てられていますが「利用」に着目した方策案が欲しいところ。

そもそも低未利用地は国内に大量にあり、こうした方策も効果は限定的でしょう。

所有者不明土地等に課税

全国に大量に存在する所有者不明土地について、相続人に対し、その氏名や住所を申告させることができる制度を創設としていますが、これはそもそも「登記を義務化できない」ゆえの弥縫策。根本的な解決策が望まれます。

その他、住宅・不動産関連

●住宅について保存・移転・抵当権設定登記などの登録免許税軽減を2年延長

●長期優良住宅・低炭素住宅の所有権保存登記について登録免許税減税を2年延長

●新築や長期優良住宅の固定資産税優遇を2年延長

●新築の固定資産税優遇

などは、この減税が背中を押して住宅購入や長期優良・低炭素住宅建設が促進された根拠は希薄。適用された人のほぼ全員が「知らなかった」と答えるでしょう。

要は「あってもなくてもいい軽減税率」だと思います。毎年改正されほぼ恒久減税化しています。

来たる人口減少・少子高齢化。過去の踏襲ではなく、求められるのは新たなビジョン

わが国にはそもそも年間いくらの新築が必要で、どれくらいの建物解体が必要であるかといった住宅総量の目安すらなく「新築は景気のために必要だ」「空き家活用や中古流通も必要だ」と二兎を追う政策を長らく続けており、結果として新築は買ったそばから価値が落ち続け、周辺に空き家を増やすといったことを続けているのではないでしょうか。

本格的な人口減少・少子化・高齢化社会を迎えるにあたり、前年を踏襲し場当たり的な政策はいずれ継続不能となります。

これは税制改正だけで対応できるものではなく、都市計画や自治体の経営、不動産価格の維持といったビジョンやグランドデザインあってこそ。

戦後の高度経済成長期に形づくられた構造を根本的に見直す時期は、とうに過ぎているものを思われます。

こうした税制が維持できるものも、半分以上は国債で賄う現行の予算を組めているうち。

戦後のドッジラインのように、税収の範囲内で予算を組まざるを得ないといった事態になったとき、はたして税制の在り方はどうなるでしょうか。