トラブル事例から学ぶ!リノベーション物件、購入の対策

  • Update: 2020-09-15
トラブル事例から学ぶ!リノベーション物件、購入の対策

リノベーション物件とは

都心では、一戸建て・マンション共に新築物件が高額になったこともあり、中古の物件を不動産会社が買い取り、修繕やリフォームをして販売していることも多くなりました。
その様な物件は以前、修繕・リフォーム済み物件と呼ばれていましたが、近年ではリノベーション・フルリノベーション済み物件と呼ばれています。

背景は

中古物件は、現状のままだと劣化や不具合が目立つことから、買主に悪印象を与えてしまいがちです。
「やっぱり中古は・・・」と嫌遠されて、買い手がつかない可能性が高いことから、現状に手を加えて綺麗にし、センスが良く味のあるリノベ物件という見せ方で付加価値を付け、価格を高くし売るというのが、リノベーション物件を扱う不動産会社の売り方になります。

現状は

そんなリノベーション・フルリノベーション済み物件ですが、実はリノベーションという言葉には法的な定義は無く、修繕・リフォームの範囲や内容はかなり曖昧で、売主業者の都合よく使われていることが多いのが現状です。
なんとなくリフォームした範囲が広いのでフルリノベーションとして販売しよう・・・
そんな感じです。

メリットとデメリット

リノベーション物件の良し悪しは次のとおりです。

メリット

  • 新築より安いので物件の選択肢が増える。
  • 元の状態と比べてきれいで不具合が直っている。
  • キッチン、洗面所、トイレ、浴室などの水まわりは交換されていることが多い。
  • 同じリノベーションの内容であれば買主自らリノベーションするより安いことが多い。

デメリット

  • 仕上げや設備は売主が決める。買主の要望通りではないことが多い。
  • リノベーションの詳細が記述されていることが少なく、どこを工事し、どこを工事していないのか、リノベーションした箇所の保証が明確ではない。
  • 目で見えない隠れている箇所はほとんど工事していない。中古の現状のままであることが多い。
  • リノベーションには、建築基準法や建設業法が適用されず、専門家でなくても工事することができるので、工事業者の良し悪しの差が大きい。

従って、リノベーション物件とは、見た目は良いものの、工事業者によっては新築と比べて施工不良が発生しやすく、また中古物件の隠れた劣化や不具合は分かり難く、保証も曖昧なことから、より慎重に検討をしなければ、失敗してしまいます。

トラブル事例3つ


弊社のホームインスペクション(住宅診断)では次のようなことがありました。

【事例1】預金を崩して直すことに。経年による床の傾き

床のフローリングは新しくピカピカになっていましたが、さくら事務所のホームインスペクションで、床の傾斜を計測したところ、部屋の中央に向かって、床が著しく傾いていました。
床下に進入(床下詳細調査)して状況を確認したところ、床を支えている根太のたわみが原因であることが分かりました。弊社では、診断結果として、1階での事象なので、床下から対処(改善)が可能なことを報告しましたが、売主の不動産会社は、自分たちのリノベーション工事とは関係がない部分の不具合なので、保証対象外として取り合いませんでした。
今回のご依頼者様は、予算に余裕があったことから、引き渡し後に自分の預金を崩して直すことを決断されましたが、予算ぎりぎりの購入の場合には対処できないため、生活に支障が出ていた可能性がありました。
傾斜は実際に生活をしてみないと気づけず、リノベーションした物件だと、見た目が綺麗なので、更に気づき難いものです。経年によるたわみは致し方ないものですが、今回のように対処が可能な傾きの場合でも、売主は保証対象外を主張して、改善してくれないことが多いです。

【事例2】壁を取り払った結果、耐震性が低下

広いリビングが魅力的、と木造一戸建てのリノベーション物件を購入しようとしている方から、耐震診断のご依頼がありました。さくら事務所で耐震診断を実施したところ、リノベーション前と比べ、構造上重要な壁が少なくなっていることがわかりました。
広い空間を確保するために、壁を取り払い、間取りを変更していたのです。壁を取り払った影響で、耐震性は著しく低くなっていました。結果として、売主である不動産会社は、設計事務所に建物の調査と補強を依頼し、補強後の間取りを買主に提案することになりました。
リノベーションの設計や工事は、建築士でなくても行えるため、部屋が広くなって使い勝手が向上し、見た目はきれいにリノベーションされていても、構造上の不具合があったり、耐震性が低くなるなど、安全性への不安を抱える物件が多く見受けられます。

【事例3】水回りが綺麗!だけど隠れた部分は・・・。

水まわりの設備を入れ替えて、見た目綺麗に生まれ変わったリノベーションマンション。
しかし、ホームインスペクションをご依頼されて、さくら事務所のホームインスペクターが訪問し、浴室にある天井点検口から天井裏の状況を確認したところ、外壁側のコンクリートの壁に、ひび割れと雨漏りの形跡が見つかりました。コンクリートの壁は建物の共用部分にあたるため、個人で直すことができません。
売主の不動産会社は、マンションの理事会と管理会社へ連絡し、これまでの大規模修繕時の履歴を確認をするとともに、補修を希望することにしました。
解体した際に隠れた部分のコンクリートのひび割れや雨漏りに気づいていても、共用部分であることから、そのまま放置されていることがあります。
売主が不動産会社の場合、契約で瑕疵担保責任を負う期間は2年と謳われていることが多いことから、安心と思いがちですが、実は保証の対象や範囲は曖昧だったり、明確に対象外であっても重要事項説明や契約時にしっかり説明がされてなかったり、重要度が軽くなりがちなことにも注意が必要です。

対策は

このようなトラブルやリスクを少なくするためには、引渡しまでに次のことをおススメします。

  • リノベーションする前の建物情報の取得
  • リノベーション時の設計・工事情報の取得
  • 既存部分の保証対象、保証内容の把握
  • リノベーション部分の保証対象、保証内容の把握
  • 見た目だけではなく、既存部分とリノベーション部分のチェック

それでも住みたいリノベーション

今回、いくつかの事例をご紹介しましたが、このストック型社会において、良質な中古住宅の取引が増えるのはとても喜ばしいことですし、運命の家と出会えたなら、手に入れて、理想のライフスタイルを送りたいという気持ちには大いに共感いたします。
だからこそ弊社では、リノベーション物件をご購入される皆様には、見た目の綺麗さに騙されず、隠れた部分の安全性や、保証内容にも十分に気を配って、リノベーション住まいを楽しんでほしいと思います。
さくら事務所では、工事現場を訪問してリフォーム・リノベーション工事をチェックするサービスを実施しております。
また、国家資格を持つ専門家が多数在籍。公平公正な立場でアドバイスする各種ご相談サービスも好評です。
詳しいサービス内容は無料でご説明しておりますので、充実したリノベーションライフをお送りいただくために、是非お気軽にご相談ください。