共働き夫婦が一戸建て購入で失敗しないための必見ガイド

  • Update: 2024-11-22
共働き夫婦が一戸建て購入で失敗しないための必見ガイド

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

家族の新しい家を買おう!という幸せな関係を長く続けていくために、共働き世帯にとって大切な戸建ての選び方を不動産エージェントとホームインスペクター(住宅診断士)に聞いてみました。

一戸建てを探す前に大事なこと

まずは自分が住んでいる現在の家を基軸にして、購入目的を明確にしましょう。今の生活よりも質を上げたい、不平・不満に思っていることを解消したい、などといった住み替えの理由が大事な基準になります。そのうえで、エリアとしては、自身や家族の通勤、お子様の通園・通学といった生活圏内が最初の候補地になります。今住んでいる場所が第一希望で、予算が合わない場合は少しエリアを変えてみましょう。新しいエリアを候補にするときは、通勤の利便性と実生活を考慮して選びましょう。共働き夫婦は、忙しい日常の中で時間を効率的に使う必要があるため、駅からの距離や周辺の施設、教育環境も大切な要素です。また、転勤・転職で、仕事によって住む場所が影響されるケースも想定されます。勤務地の変更が想定される場合は特に、資産性も考慮しましょう。

間取り

一番大事なのは、事前に理想条件をしっかり可視化しておくことです。あいまいな状態で物件ばかりみていると、迷子になってしまいます。様々な家を内見するのは楽しいものですが、その結果、夫婦それぞれが好きな間取りやデザインに考えが引っ張られます。都心の限られた面積では実現できないから…とエリアを郊外に移したり、注文住宅がよい、と最初の条件からどんどんズレてしまうこともあり得ます。

共働き世帯は、時間の確保が優先課題ですので、駅から近い立地を考えると、三階建ての建売が主な選択肢になるでしょう。理想的な間取りや動線が作れなくても、家事の効率化は家電で解決できることも多いです。マンションよりも可変性が高いので、リモートワークや子どもの成長にともなって部屋を増やすことも可能です。ただ、駅チカ、都心の住宅は前面道路が狭かったり、間口が狭くて大型の家具、家電が入らないこともあります。事前に確認しましょう。

また、間取りの場所によって居住快適性にかなり差がある場合があります。例えば三階建ての三階は夏場にとても暑くなり、一階は冬場に冷えます。誰がどの部屋を使うのか、家族で話し合って想定しておきましょう。

耐震性

日本では耐震性が特に重要な要素です。新しい基準に適合した物件を選ぶことをお勧めしますが、旧耐震物件も選択肢として検討可能です。ただし、ピロティ構造や特殊な形状の建物、増改築されている建物などは耐震性が劣る場合がありますので、専門家の意見を参考にすることが重要です。また、災害リスクを事前に確認することで、安心して住むことができます。

災害リスクを把握しておくことはとても重要です。共働きですと、不在にする時間が長いので、より慎重に考えましょう。リスクを把握した上で、どの程度許容できるか納得できるようにしましょう。

住宅ローン

一般的には、年収の8倍くらいまでローンを組めますが、住宅ローンを組める金額=返済できる金額とは限りません。金利上昇など社会事情のほか、どちらかが働けなくなる可能性もあります。ペアローンを組んだ場合でも、なるべく片方の収入で支払える金額を設定しましょう。どちらかが働けなくなった場合に備える団体信用生命保険もあります。

また、ローン審査の前には互いの借入れ状況を確認しておきましょう。申告せず、審査時に発覚すると、不利な状況になります。携帯電話料金の滞納も引っかかりますので、個人信用情報に不安のある方は自分で照会しておきましょう。

維持費

マンションのような管理費・修繕積立金といった強制的に徴収される費用はありませんが、建物を自分で管理しなくてはいけません。毎月2万円ほど積み立てておくと安心でしょう。戸建ての場合、外壁塗装、屋根修理など修繕の出費は多額になります。購入前に、ホームインスペクションを行い、何年後にどのようなメンテナンスが必要でいくらかかるのか、事前に見積もり、資金計画を練っておくと安心です。建物のコンディションを知ることで、自分で維持していこう、という意識も高まります。正しいメンテナンスがされていれば、リセールバリューにも効いてきます。

まとめ

共働き夫婦が戸建てを購入する際には、いくつかの重要なポイントがあります。物件の選び方、間取り、耐震性、住宅ローン、維持費をしっかりと考慮することで、後悔のない購入が可能になります。それぞれの要素を丁寧に検討し、理想の住まいを手に入れることが、幸せな家庭を築く第一歩となります。

ホームインスペクター 田村 啓
監修者

さくら事務所 執行役員
プロホームインスペクター、二級建築士

田村 啓

大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。
建築の専門的な分野から、生活にまつわるお役立ち情報、防災の分野まで幅広い知見を持つ。多くのメディアや講演、YouTubeにて広く情報発信を行い、NHKドラマ『正直不動産』ではインスペクション部分を監修。2021年4月にさくら事務所 経営企画室長に、2022年5月に執行役員に就任。