「価格も立地も気に入った建売住宅。でも、住んでから不便さや不具合に気づいて後悔しないかな……」購入を決める前に、見落としがないか確かめたい方も多いのではないでしょうか。
建売住宅は、完成済みなら実際の間取りや使い勝手を見て選べるのが強みです。ただし、家具のない部屋の広さやきれいな内装だけでは、暮らし始めてからの不便さや施工の状態までは分かりません。
この記事では、建売住宅で後悔しやすい10の事例と、購入前のチェックポイントを解説します。暮らしに合うか、必要な性能があるか、施工に不具合がないかを分けて見ると、候補物件を判断しやすくなります。
建売住宅を購入して後悔する事例10選
実際に建売住宅に住んでみると不便だと感じたり、購入前に気付けば良かったと後悔したりするケースは珍しくありません。住宅を購入して後悔しやすいポイントは、主に以下の10点です。
①想定以上に間取りが悪い
②収納スペースが少ない
③窓の位置が暮らしに合わない
➃点検・メンテナンスがしにくい
⑤日当たりが悪い
⑥立地条件が悪い
⑦駐車場が狭い
⑧設備が使いづらく内装と外装のグレードが低い
⑨建物自体の性能が低い
⑩あとから欠陥や不具合が見つかる
それぞれの事例を詳しく解説します。
①想定以上に間取りが悪い
建売住宅を購入して実際に住んでみると、間取りの悪さに後悔する人もいます。完成済みの建売住宅は間取りが決まっているため、家族構成やライフスタイルに合うかを実物で判断する必要があります。
そのため、「家具を配置すると身動きしにくい」「窓や扉が邪魔で、好きな場所に家具を配置できない」といった不満が生じることがあります。
また、窓などの開口部や壁の配置バランスが悪いことで、生活動線や家族間のプライバシー、心地よさにも影響がでることも多いです。
②収納スペースが少ない
建売住宅に住んでみると、想像以上に収納スペースが少ないと感じる人も珍しくありません。家具や荷物がない状態では、部屋も収納も広く感じやすいものです。キッチン家電や食器、季節用品などを置いて初めて、しまう場所が足りないと気づくことがあります。
また、収納スペースが足りないとタンスや棚などを設置するため、部屋が狭くなってしまうといったデメリットも生じるでしょう。
③窓の位置が暮らしに合わない
窓の位置に後悔することも多々あります。
例えば「隣の家の窓と向かい合っている」「通行人と視線が合ってしまう」などプライバシーが守られない場所に窓がある場合、周囲の視線を気にしながら生活することになります。
窓の位置が悪いことで常にカーテンを閉めた生活になると、充分な採光や通風がとれません。窓の場所は間取り図ではわかりにくいため、現地で窓の位置や外部との視線の合いやすさなど、忘れずに確認しましょう。
➃点検・メンテナンスがしにくい
建売住宅でも、建物の状態に応じた点検・修繕を重ねて長く住み続けることは可能です。そのためには、床下・屋根裏や配管を点検できるつくりかも大切です。
しかし、点検・メンテナンスするための点検口が適切に設置されていない建売住宅も存在するため注意しましょう。
例えば水回りが2階にあるのに1階の天井に点検口がない場合、1階の天井から水が漏れてきても、容易に天井裏の配管の状況を確かめられません。 点検口がないことで、水漏れに気がつかず、木材の腐食が進むと耐震性能の低下にも繋がります。
点検口を付ける工事は、比較的容易にできることがあります。 点検口がない物件を検討する場合は、点検口を追加で設置してもらえないか相談したり、事前にメンテナンス方法について確認したりすることが大切です。
⑤日当たりが悪い
建売住宅を購入した後に、日当たりが悪いと気付く人もいます。内覧は晴れた日の日中に行うことが多く、日当たりが良いと感じる条件が揃っているのです。
しかし、別の時間帯に行くと日当たりが悪かったり、1階には日が入らなかったりといったケースも珍しくありません。
日当たりは室内の明るさや冬の暖かさにも関わります。湿気や寒さが気になる場合は、日当たりだけでなく換気や断熱の条件も合わせて見る必要があります。
⑥立地条件が悪い
建売住宅を購入した後に後悔するポイントとして、立地条件の悪さも挙げられます。家を購入する際、間取りや設備といった建物自体に目が行きやすく、周辺環境を把握しないまま購入を決めてしまう人もいます。
そのため、実際に住んでみると立地条件が悪く、生活しづらいと感じるケースもあるのです。
たとえば、物件情報などに「駅徒歩10分」と書かれていても、信号が多かったり坂道だったりすると10分では駅までつかないことがあります。また幹線道路や高速道路が近いと、夜間の音や大型車両が通る際の振動が気になるかもしれません。
建物の設備は交換できても、駅までの道のりや周囲の環境は変えられません。普段使う時間帯に実際のルートを歩くことが、購入後のギャップを減らします。
⑦駐車場が狭い
見落としがちなのが、駐車場の広さです。建売住宅の場合、居住空間を広くとるために駐車スペースを最小限にしていることがあります。
駐車スペースの幅に余裕がないと、ドアの開閉や乗り降りに苦労するでしょう。
図面のイメージ図は軽自動車のサイズ感で描かれていることもあるため、実際に車を駐車した時のサイズ感と異なる場合があります。
駐車予定の車両サイズと照らし合わせ、可能なら実際に駐車してみましょう。車が収まるかだけでなく、ドアを開けて乗り降りできるか、前面道路から無理なく出入りできるかまで確認します。自転車やベビーカーを置く場所も忘れずに見ておきましょう。
⑧設備が使いづらく内装と外装のグレードが低い
建売住宅を購入して実際に住んでみると、設備が使いづらく内装と外装のグレードが低いと感じる人がいます。
建売住宅はリーズナブルな価格で購入できることから、設備や内装、外装にコストをかけていないケースは少なくありません。
例えば、コストを抑えるために型の古い設備を設置していたり、壁紙や床材の機能性が乏しかったりすることもあるのです。そのため、生活をしていくうえで不便さを感じることもあるでしょう。
⑨建物自体の性能が低い
建売住宅に住んでみると、住宅性能が低いと感じるケースがあります。
例えば、以下のような事例が発生します。
<断熱性能の低さ>
断熱性能が低いと外部温度の影響を受けやすいため、快適な室内温度を維持できません。その結果、冷暖房の使用も多くなり、家計への負担も大きくなります。
<耐震性の低さ>
耐震性の低い住宅を購入してしまうと、大きな地震が起きたときに建物が変形したり、建て替えが必要なほど破損したりする可能性があります。そのため、多額の修復費用が発生する可能性もあるでしょう。
<防音性の低さ>
防音性の低い住宅を購入してしまうと、生活の質にも影響を及ぼします。例えば、2階の足音が1階に響いたり、生活音が他の部屋にまで届いたりすることもあるでしょう。
⑩あとから欠陥や不具合が見つかる
仕上がりはきれいでも、見えない部分にあった欠陥や不具合で悩まされているケースは多くあります。 特に注意しておきたいのは雨漏りです。
<雨漏り>
建物にとって湿気・水分は大敵であり、カビやシロアリの発生、あるいは構造部の腐朽などの原因にもなるきわめて深刻な事案です。 雨漏りは、表面化して所有者が気付くまでに時間がかかるケースも多く、発見したときにはすでに壁の中の柱や梁が水分で強度が弱まっていたり、断熱材が濡れてカビだらけだったりと、被害が甚大で大がかりな修繕工事になってしまったケースは少なくありません。
<その他の不具合や欠陥>
重要な構造である柱や梁、耐力壁などに配管を通す穴があけられていたり、天井や壁の断熱材に欠損があったりすることなども。
建売住宅によらず、多くの住宅が手作りのため、施工ミスが生じることはありえます。施工ミスが生じても現場監督がすぐに気がつき直せられればよいですが、昨今の人手不足を背景に、1人で何十棟もの現場を同時に抱えていることも。その結果、頻繁に現場に足を運ぶことができず、施工ミスを見逃してしまっているケースは少なくありません。
壁紙やフローリングの傷や汚れといったものは、現場監督でなくとも容易に気付けることから手直しされ、見た目が綺麗になっている家はたくさんあります。
しかし、住み続けることに支障が出かねない大きな不具合は、目に見えない部分にこそ取り残されているものです。
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家具を置いたら部屋が狭い、冷蔵庫が入らない、駐車場でドアが開けにくい……。実際の購入者から聞いた後悔ポイントを、ホームインスペクターが動画でも解説しています。
建売住宅で後悔しないための購入前チェックポイント
気になる物件では、間取り図とメジャーを持参し、今使っている家具・家電の寸法と照らし合わせてみましょう。後悔しやすいポイントを、現地で確かめる項目にすると次のようになります。
家具の配置と搬入経路を確認する
- ダイニングテーブルを置いても、椅子を引いて座れるか
- ベッドやソファーを置いた状態で、ドア・収納を開けられるか
- 冷蔵庫・洗濯機の設置場所に、機器の寸法と必要な余白を確保できるか
- 玄関・廊下・階段の曲がり角を、大きな家具や家電が通れるか
- 家具でコンセントが隠れないか。加湿器・空気清浄機などの季節家電や、ベッド脇のスマートフォン充電まで想定して、使いたい場所にあるか
「置ける」と「運び込める」は別です。特に2階リビングでは、冷蔵庫やソファーの搬入経路まで見ておきましょう。吊り上げが必要な場合も、道路・電線・窓の条件によっては搬入できないため、購入前に配送・引っ越し業者へ寸法や図面を伝えて判断してもらいます。
収納は、しまう物と使う場所をセットで見る
収納の数だけでなく、奥行き・高さ・扉の開き方を見ます。玄関には靴やベビーカー、洗面所にはタオルや着替え、キッチンには食器と家電など、場所ごとに入れたい物を当てはめてみましょう。
食器棚などが付いていない場合は、設置費用も想定します。収納家具を追加した後の通路幅まで測ると、「収納を増やしたら部屋が狭くなった」という後悔を防ぎやすくなります。
洗濯物を干した状態でも、バルコニーを使えるか見る
さくら事務所のホームインスペクターが動画で紹介している経験に、物干しはあるものの、洗濯物が窓に当たったり、干した状態では通りにくかったりする例があります。物干し金物の有無だけでなく、普段使うハンガーの幅や家族の洗濯物の量を当てはめてみましょう。室内干しを考えている場合は、干す場所と通路が重ならないかも見ておきます。
日当たり・窓からの視線を時間帯を変えて見る
できれば朝・昼・夕方など時間帯を変え、特に長く過ごすリビングの明るさを確かめます。隣家の窓や道路からの視線が気になり、カーテンを閉め続けることにならないかも、室内から見ておきましょう。
通勤・通学ルートと、駐車のしやすさを試す
駅や学校までの道は、坂道・信号・歩道の有無も含めて実際に歩きます。夜の騒音や街灯、幹線道路沿いなら大型車が通る際の音・振動も確認したいポイントです。
駐車場は、自分の車で出入りと乗り降りを試すのが確実です。自転車を置いた状態や、チャイルドシートへの乗せ降ろしも想定しましょう。試せない場合は車両と駐車スペースの寸法を測り、未確認の点を残しておきます。
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耐震・断熱の等級を資料で確認する
「地震に強い」「高断熱」といった説明だけでなく、耐震等級・断熱等性能等級と、その根拠資料を見せてもらいましょう。
- 耐震性:耐震性:地震への備えを重視するなら、耐震等級2以上を目安に、等級3の物件も比較します。
- 断熱性:夏の暑さ・冬の寒さや冷暖房費を考えるなら、断熱等性能等級5以上をひとつの目安にします。等級だけでなく、窓の仕様や日射の入り方も合わせて見ます。
- 評価書:住宅性能評価を取得している場合は、設計図書を評価する「設計住宅性能評価書」と、施工段階の検査も行う「建設住宅性能評価書」のどちらを取得しているかを確認します。
2025年4月以降に着工する原則すべての新築住宅では、省エネ基準への適合が義務化されています。ただし、基準を満たすことと、自分が求める快適さは同じではありません。建売住宅全体をひとくくりにせず、候補物件の性能を比較することが大切です。
広告の「耐震等級3相当」という表現だけでは、第三者の住宅性能評価を取得しているかまでは分かりません。評価書がない場合も、どの計算・資料に基づく説明かを聞くと判断材料になります。
また、制震ダンパーを付けたことだけで耐震等級が上がるわけではなく、吹付断熱を使ったことだけで建物全体の断熱性能が決まるわけでもありません。設備や材料の名前より、建物全体でどの性能を確保しているかを押さえましょう。
出典:国土交通省「令和7年4月1日から省エネ基準適合の全面義務化などが施行されます」/住宅性能評価・表示協会「住宅性能評価」
建具・給排水と、見えない部分の状態を確認する
きれいに仕上がっていても、建具の調整不足や配管の接続不良などが隠れていることがあります。内覧では、売主・仲介会社の了解を得たうえで実際に動かせるものを動かして確かめることが大切です。
- 玄関ドア・室内ドア・窓・収納の扉や引き出しが、引っ掛からず開閉できるか
- 水を流せる場合は、キッチン・洗面台などの排水と、収納内の配管まわりに漏れがないか
- 給湯器や浴室の湯張りなど、使える設備が正常に動くか
- 床下・屋根裏に点検口があるか。点検やメンテナンスができる位置か
水道・電気・ガスが使えず試せない設備は、未確認の項目と、動作を確認できる日を記録しておきます。床下・屋根裏への進入は無理に行わず、専門家による調査を利用しましょう。
ホームインスペクションで施工の不具合を調べる
さくら事務所が2025年に実施した新築戸建てホームインスペクション1,370件の調査結果では、部位別の不具合指摘率は開口部等で47.7%、外壁仕上げで31.9%でした。新築でも、完成した建物を実際に調べることで見つかる不具合があります。
※当社の調査対象1,370件における部位別の指摘率です。新築住宅全体の割合や、不具合の重大さを示すものではありません。各部位の割合は合算できません。
大切なのは、不具合の有無だけで購入を判断するのではなく、内容と補修の必要性を把握し、必要な対応を引き渡し前に売主・施工会社と整理することです。
完成済みの建売住宅なら、購入判断に使える契約前の調査がおすすめです。契約済みでも、引き渡し前の内覧会で調べれば、補修箇所を施工会社と共有できます。売主の承諾と日程調整が必要なため、契約・内覧会・引き渡しの予定日が分かった段階でご相談ください。
調査できる範囲は建物の状態やコースによって異なり、床下・屋根裏への進入調査などはオプションとなる場合があります。住宅性能評価とホームインスペクションは目的が異なり、通常の目視調査で耐震・断熱等級を認定するものではありません。
指摘された不具合は、補修後の確認まで予定に入れる
不具合が見つかったら、状態が分かるアップと、場所が分かる引きの写真をセットで撮ります。床鳴りなど写真では伝わりにくいものは、音や動きが分かる動画で残しましょう。売主・施工会社とは、補修内容・完了予定日・確認方法を共有します。「直しておきます」で終わらせず、引き渡し前に直ったことを確かめるところまで予定に入れましょう。
「これは直す必要がない」と説明された場合は、その理由や判断基準も聞き、メールなどで記録に残しておくと認識の食い違いを防ぎやすくなります。
引き渡しまでに完了しない項目がある場合は、対応する人・期限・作業内容を書面で整理します。
建売住宅の「実物を見て選べる」メリットを生かそう
建売住宅には、価格や入居時期の見通しを立てやすく、完成済みなら実際の建物を確かめて選べるメリットがあります。後悔事例を知ることは、建売住宅を避けるためではなく、自分に合う物件を選ぶための準備です。
注文住宅との違いや向き・不向きを比較したい方は、建売住宅と注文住宅の違い・選び方もご覧ください。
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