2022年01月09日(更新日:2026年10月07日)

田村 啓

監修者:田村 啓

さくら事務所 取締役/プロホームインスペクター

大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。
建築の専門的な分野から、生活にまつわるお役立ち情報、防災の分野まで幅広い知見を持つ。多くのメディアや講演、YouTubeにて広く情報発信を行い、NHKドラマ『正直不動産』ではインスペクション部分を監修。2021年4月にさくら事務所 経営企画室長に、2022年5月に執行役員に就任。

【プロが解説】中古住宅の内覧時の注意点|中古戸建ての内見チェックリスト

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【プロが解説】中古住宅の内覧時の注意点|中古戸建ての内見チェックリスト

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「気になる中古住宅を内覧するけれど、どこを見ればいい?」「きれいに見える家でも、買ってから修理が必要にならないかな……」間取りや雰囲気だけで購入を決めてよいのか、迷いますよね。

中古戸建ての内覧では、水まわり・窓やドア・床や壁・外壁や基礎に加え、家具の置きやすさや周辺環境も確認しておきたいところです。売主が住んでいる場合と空き家では、当日確認できる範囲も変わります。

この記事では、住宅診断のプロが中古戸建ての内見チェックリストと、気になる箇所を見つけたときの対応を解説します。見学前の準備と、現地での確認にご利用ください。

中古住宅の内覧前に準備しておくこと

内覧には、間取り図・メジャー・スマートフォン・筆記用具を持参すると便利です。今使っている家具や家電の寸法を控え、現地で置き場所や搬入経路を測れるようにしておきましょう。

仲介会社には、売主が居住中か、水道・電気・ガスが使えるか、写真撮影や収納内部の確認ができるかを事前に聞いておきます。限られた時間を有効に使うため、家族で譲れない条件も整理しておきましょう。

チェックした結果は「確認できた・気になる・未確認」に分け、場所と内容を記録しましょう。確認できなかった項目を残しておくと、再内覧や専門家への相談で何を確かめるべきかが明確になります。

中古戸建ての内見チェックリスト|建物・設備の注意点

部屋を見て回るときは、次の項目を順に確認してみてください。傷みや不具合の有無だけでなく、入居後もそのまま使えるかという視点で見ると、修理・交換の予算も考えやすくなります。

① 水まわり|配管の水漏れと床の傷み

洗面台の配管の水漏れ
  • 洗面台やキッチンシンク下の収納内に、水染みや濡れている配管がないか
  • 洗面所・キッチン・浴室入口・トイレの床に、染みやふやけた部分がないか
  • 水を使える場合、流した水の量が極端に少なくないか、排水時に配管から漏れないか

収納を開けたり水を流したりするときは、売主・仲介会社の了解を得ます。設備が新しく見えても、収納の奥や配管まわりまで見るのがポイントです。汚れや傷みが気になる場合は、清掃で済むのか、修理・交換が必要なのかを購入前に整理しておきます。

② 窓・ドア|実際に開け閉めして確認

  • 引き戸が重い、ドアが枠にこするなどの引っかかりがないか
  • 窓やドアが最後まで閉まり、鍵をかけられるか
  • 閉めたドアが自然に開いてしまわないか

内覧では扉が開け放たれていることもあります。開いている状態を見るだけでなく、普段使う動作を試すことが大切です。動作不良は取り付けや調整の問題もありますが、複数の窓・ドアで起きている場合は、周辺のひび割れや床の傾きも合わせて調べたいところです。

③ 換気・給気口|開閉状態と周囲の汚れ

  • 24時間換気の給気口が閉じられていないか
  • 給気口の周囲や室内に、黒ずみ・カビ・強い湿気がないか

給気口は、外の空気を室内に取り入れるための開口部です。壁に丸形や四角形のカバーが付いているものなどがあります。給気口がある場合は、開閉状態も見ておきましょう。閉めたまま使っていると換気が十分にできず、湿気がこもる原因になります。閉まっていたら、普段の使い方を聞き、周囲の状態も合わせて確認します。

④ 壁・天井・床|染み・剥がれ・傾き

雨漏りが疑われる和室の染み
  • 窓まわりや部屋の隅に、壁紙の大きな剥がれや黒ずみがないか
  • 天井や壁に水染みがないか。特に上階のトイレ・洗面所の下も確認
  • 廊下や各部屋を歩いたときに、傾きや床の沈みを感じないか

染みや壁紙の剥がれは、水漏れや結露などの手掛かりになります。見つけた場所は写真と間取り図に残しておきましょう。歩いて違和感がないことだけで、床に傾きがないとは判断できません。気になる箇所は、原因と範囲を調べてから補修の必要性を考えます。

⑤ 外壁・基礎|ひび割れや窓まわりの隙間

窓周りのひび
  • 道路や敷地内の安全に立てる場所から、外壁と基礎の表面を確認する
  • 長いひび割れや、ひび割れが集中している箇所がないか
  • 窓と外壁の取り合い部分に、気になる隙間やひび割れがないか

ひび割れは、場所・広がり・周囲の状態をセットで記録します。内覧で見つけたひび割れだけで、建物全体の安全性や補修費用を判断しないようにしましょう。

⑥ 電気・給湯器|使える状態と電気容量

  • 通電している場合、照明のスイッチを入れて点灯するか
  • 家電を置きたい場所にコンセントがあり、数が足りているか、使いやすい位置か
  • エアコンなどの専用回路があるか、現在の契約容量で予定する使い方に対応できるか
  • 給湯器・ガスコンロの製造年や交換履歴、動作確認の可否

たとえば現在30アンペアの契約なら、家族で複数の家電を同時に使う暮らしに合うか検討します。契約容量の変更と、専用回路などの配線工事は別です。エアコンを増設する場合は、設置予定の部屋ごとに回路の有無を伝え、必要な工事と費用を電気工事業者に見積もってもらうと具体的に判断できます。

照明がつかない場合は、球切れか配線などの問題かを切り分ける必要があります。また、ガスが閉栓されている場合は、その場では給湯器やコンロの動作を確認できません。製造年だけで正常に使えると判断せず、未確認として残します。

⑦ 間取り・収納・窓からの視線|暮らすつもりで歩く

  • 家具・家電を置いても、通路や扉の開閉スペースが取れるか
  • 収納の奥行きや仕切りが、入れたい物に合うか
  • 玄関から居室、キッチンから洗面所など、普段の動きに無理がないか
  • 窓を開けると隣家の窓や道路から室内が見えないか

窓はリビングだけでなく、浴室・トイレ・脱衣所も確認しておきたい場所です。曇りガラスで閉まっていると隣家との距離に気づきにくいため、開けたときの視線や周囲の様子も見ておきましょう。

内見でプロがどこを見ているのか、動画でも解説しています。給湯器の年式や敷地の境界、水染み、床下・屋根裏の点検口、給気口など、見落としやすいポイントを見学前に確認してみてください。

複数のドアの不調や床の傾き、水染みなどが気になったら、その場所を整理してご相談ください。購入候補の中古戸建てについて、調査できる範囲や契約までの日程をご案内します。

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中古住宅の内覧では周辺環境・敷地も確認する

曜日・時間帯を変えて、音や帰り道を確認

休日の昼間は静かでも、平日は交通量が多い場所があります。通勤・通学で使う道、夜の街灯や人通り、周囲の音は、実際に暮らす時間帯も見ておくと判断しやすくなります。

近くに広い空き地や駐車場、工場跡地がある場合は、現地の建築計画の掲示や仲介会社からの情報も確認します。現在の日当たりや眺めが、将来もそのままとは限りません。

浸水などの災害リスクは、地図と現地を合わせて見る

物件の住所を国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトや自治体のハザードマップで調べ、洪水・内水・土砂災害などの情報を確認します。

現地では、周囲との高低差や道路のくぼみなども見ておきましょう。建物の基礎が高いといった外観だけで、浸水リスクを決めつけないことが大切です。

境界・越境・擁壁は、現地と資料を照らし合わせる

  • 境界を示す杭やプレートがどこにあるか、仲介会社に説明してもらう
  • 塀・屋根・樹木などが隣地との境界を越えていないか、取り決めの資料があるか
  • 隣地と高低差がある場合、土を支える擁壁にひび割れや膨らみなどがないか

塀がある位置が、そのまま境界とは限りません。境界が不明な部分や越境がある場合は、どのように確認・対応する予定か、契約前に資料と説明をそろえてもらいましょう。

擁壁の造り替えは大きな費用につながることがあります。気になる変状があれば、建物とは別に擁壁の状態や調査の必要性も検討します。

売主が居住中・空き家の場合で変わる内覧の注意点

居住中なら、収納・撮影の許可を得て確認する

売主が暮らしている家では、収納を開けたり室内を撮影したりする前に了解を得ます。家具や荷物で見えない壁・床は、チェックリストに未確認として記録しておきましょう。

売主への質問は、「リフォーム費用を考えたいので、修理や交換をした箇所、気になっている不具合を教えていただけますか」と伝えると、目的を共有しやすくなります。雨漏りや設備の故障、外壁・屋根の手入れなど、時期と内容を聞いておきたいところです。

売主自身も、床下や屋根裏の不具合には気づいていないことがあります。説明を聞くことと、建物の状態を調べることは、両方が購入判断の材料になります。

空き家でも、水道・電気・ガスが使えるとは限らない

水道の元栓が閉まっている場合は、勝手に操作せず、仲介会社に通水できるか依頼します。電気やガスも利用状況によっては、当日の動作確認ができません。

「使えなかった設備」は「問題がなかった設備」とは分けて記録し、いつ・誰が動作を確認するかを決めておきましょう。

再内覧は、確認しきれなかった項目を絞って依頼する

収納の寸法を測り忘れた、水が出ず配管を確認できなかったなど、判断に必要な情報が残ったら、仲介会社を通じて再内覧を相談しましょう。確認したい場所と内容を先に伝えると、売主との日程調整や準備も進めやすくなります。

家具で隠れていた壁や床は、荷物が移動した後に確認できる日程も相談します。周辺の音や夜道の様子は、室内の再内覧とは別に確認できます。

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内覧だけでは判断しにくい部分は、ホームインスペクションで確認

内覧で見つけた水染みや床の傾きなどは、見た目だけでは原因や範囲を判断しにくいものです。さくら事務所の中古戸建てホームインスペクションでは、建築士が第三者の立場で建物を調べ、購入判断や補修・メンテナンスに必要な情報をお伝えします。

購入の判断材料にするなら、ホームインスペクションは売買契約前に実施するのがおすすめです。売主の承諾と仲介会社との日程調整が必要なため、候補物件が決まったら早めにご相談ください。

地域や予約状況によっては、ご依頼から概ね3日〜1週間以内の調査も可能です。チェックリストで気になった箇所・未確認の部分と、契約予定日を添えてお問い合わせください。

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田村 啓

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大手リフォーム会社での勤務経験を経て、さくら事務所に参画。
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