「この家には、あと何年住める?」「長持ちさせるには、いつ・どこをメンテナンスすればいい?」戸建てを購入するときも、今の家に住み続けるときも、家の寿命や修繕にかかる費用は気になるところです。
戸建ての寿命は、築年数だけでは決まりません。建物の状態に合わせて点検や修繕を続けることが、長く住むための大切なポイントです。
この記事では、耐用年数と寿命の違いに加え、メンテナンスの時期や確認したい箇所を解説します。さくら事務所の2026年版試算も紹介するので、これから必要な手入れや費用を考える参考にしてみてください。
日本の戸建て住宅の寿命は短いって本当?
「日本の戸建て住宅の寿命は短い」といった話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
戸建て住宅の購入を検討している方からすると、実際のところどうなのか気になるところです。
そこでまずは、日本の戸建て住宅の寿命について解説していきます。
戸建ての法定耐用年数と、実際の寿命は違う
「戸建ては20〜30年で寿命」と聞いても、その年数で住めなくなるわけではありません。法定耐用年数は、税務上の減価償却に用いる年数です。住宅用の建物では、構造ごとに次のように定められています。
| 構造・区分(住宅用) | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
| 木骨モルタル造 | 20年 |
| 鉄骨造などの金属造:骨格材の肉厚3mm以下 | 19年 |
| 金属造:骨格材の肉厚3mm超〜4mm以下 | 27年 |
| 金属造:骨格材の肉厚4mm超 | 34年 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
「税務上の年数」「取り壊された住宅の築年数」「その家に住める年数」は分けて考えることが大切です。建物は傷みだけでなく、住み替えや建て替えの都合でも取り壊されるため、解体時の築年数がそのまま物理的な寿命になるわけではありません。
研究で推計された木造住宅の平均寿命は約69年
2025年10月に発表された、小松幸夫氏(早稲田大学)・堤洋樹氏による「2021年における建物寿命の推計」では、木造専用住宅の平均寿命は68.95年(約69年)と推計されています。
2021年時点のデータを用い、建物がどれくらい残っているかという情報から、残存率が50%になる年数を推計したものです。「69年で住めなくなる」「築20年なら残り49年住める」と、個々の家にそのまま当てはめる数字ではありません。
中古住宅を選ぶときは、築年数に加えて、現在の傷みと修繕履歴を確認すると、その後の暮らしや費用を考えやすくなります。
木造住宅の「約69年」という数字の捉え方と、中古住宅を選ぶときの考え方は、こちらの動画でも解説しています。
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戸建て住宅の寿命を決める要因

戸建て住宅の寿命はさまざまな要因によって変わってきます。ここでは以下3つの要因別に住宅の寿命について掘り下げていきましょう。
- 住宅の構造
- メンテナンス
- 住宅性能表示制度
戸建て住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
住宅の構造
一口に「戸建て住宅」といっても、その構造は「木造」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」などが挙げられます。
構造ごとに劣化しやすい部分は異なります。寿命を考えるときは、材料の特徴と、劣化を防ぐためにどのような手入れがされてきたかを確認します。
構造別に寿命を考えるポイントを紹介します。
木造
耐久性の観点で見ると、木造住宅は湿気を防ぐことができれば、建物の寿命を大幅に延ばすことが可能です。劣化の要因は、主に腐朽が原因であるからです。
鉄骨造(S造)
鉄骨造の場合は、錆によって耐久性が低下する傾向にあります。しかし、基本的には耐久性が高く、極端に湿度が高いなどの問題がなければ長持ちしやすい構造です。
鉄筋コンクリート造(RC造)
RC造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた建物です。コンクリートの中性化や鉄筋の錆などで耐久性が低下する傾向にあります。しかし、物理的な耐用年数は非常に長い傾向にあります。
現代では、コンクリートや鉄筋の品質が向上していたり、防錆技術が進化したりしているうえに、施工品質も上がっています。そのため、一昔前と比べて、どの住宅構造も長寿命化していて、長く安心して住めるようになりました。
メンテナンス
戸建てを長く使うには、傷みが広がる前に見つけて、必要な箇所を直すことが大切です。屋根・外壁・水回りなどを点検し、雨漏りや水漏れが見つかったときは早めに対応します。
同じ築年数でも、外壁塗装や防水工事を続けてきた家と、長く手入れしていない家では状態が異なります。中古住宅では、「いつ・どこを・どのように修繕したか」が分かる工事記録や写真を確認すると、次のメンテナンスの参考になります。
住宅性能表示制度の「劣化対策等級」も確認する
住宅性能表示制度は、住宅の性能を共通の基準で評価する仕組みです。このうち「劣化対策等級」は、柱や土台などの劣化を遅らせる対策の程度を表します。

出典:「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」p.10を基に作成
通常の自然条件と維持管理を前提に、大規模な改修までの期間を延ばすための対策を評価しています。設備も含めて、その年数まで修理不要という意味ではありません。住宅性能評価書がある場合は、修繕履歴とあわせて確認しておくとよいでしょう。
戸建て住宅を長寿命化させるコツ
戸建て住宅を長持ちさせるためには、メンテナンスとリフォームを定期的に行わなければいけません。良い状態を少しでもキープすることで、住宅の寿命を延ばせます。つまり、住宅を資産として大切にすれば、長寿命化が期待できるでしょう。
ここでは、戸建て住宅を長寿命化させる3つのコツを紹介します。
- 部位ごとの周期で点検し、15年・30年を大きな修繕の目安にする
- 雨漏りや水漏れに注意する
- 保証や契約不適合責任の期間を確認し、期限前に点検する
順に見ていきましょう。
部位ごとの周期で点検し、15年・30年を大きな修繕の目安にする
さくら事務所では、15年・30年・45年を、外壁や屋根、設備などの修繕・交換を考える大きな節目として紹介しています。ただし、家のすべてを15年間そのままにしてよいわけではありません。
例えば、防蟻処理は5年ごとの計画例があります。設備や仕上げ材にもそれぞれ点検・交換の目安があります。メーカーの案内と実際の傷みを見ながら、早めに対応する箇所と、まとめて工事する箇所を分けると計画を立てやすくなります。
雨漏りや水漏れに注意する
戸建て住宅を長持ちさせるために特に注意が必要なのが「水の問題」です。雨漏りや水漏れリスクを軽減するためのメンテナンスは必ず実施しましょう。
雨漏りや水漏れ等が生じてしまうと家の中に湿気がたまってしまい、カビや木材の腐食や金属の錆などを招きます。
屋根や壁などの防水処理や排水設備などをきちんと点検・修理してください。
また、木造住宅の場合は、シロアリに気を付けなければなりません。湿った木材はシロアリの好物です。シロアリに柱や土台を食べられてしまうと、建物がもろくなってしまいます。家全体の安全に影響するため、防虫処理などのメンテナンスは重要です。
基礎のひび割れが気になる方は、幅や位置などの確認ポイントをまとめた記事も参考にしてみてください。
保証や契約不適合責任の期間を確認し、期限前に点検する
新築住宅では、構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、売主や施工会社などが原則として引き渡しから10年間の責任を負います。家全体のあらゆる不具合が、10年間無償で直るという制度ではありません。
新築で購入した家なら、9年目ごろは期限前の点検を検討する一つの目安です。不具合が見つかったときに、相談や対応を進める時間を確保しやすくなります。気になる症状がある場合は、その時期まで待たずに相談しましょう。
中古住宅の取引や設備の保証は、売主・契約内容などによって条件が異なります。売買契約書や保証書で、対象となる箇所と期間を確認しておくと安心です。
【自社試算】戸建ての修繕費は30年間で約1,193万円
戸建てを長く使うには、購入費だけでなく、その後の修繕費も見込んでおきたいところです。さくら事務所の2026年版試算では、築後30年間の修繕総費用は約1,193万円となりました。延べ床面積35坪の、一般的な新築建売住宅(木造2階建て)を想定しています。

| 30年間の費用区分 | 主な対象 | 試算額 |
|---|---|---|
| 外装・構造 | 防蟻処理、外壁・屋根、バルコニー | 906万円 |
| 水回り設備 | キッチン、ユニットバス、洗面台、トイレ、コンロ | 233万円 |
| その他設備 | 給湯器 | 54万円 |
| 合計 | 1,193万円 |
出典:株式会社さくら事務所「築後30年 戸建て修繕総費用(2026年版試算)」
1,193万円は30年間の累計であり、築30年目に一度に必要となる金額ではありません。30年で均等に準備すると、月々約3.3万円に相当します。工事費は一定の間隔で均等に発生するわけではないため、早い時期に必要となる修繕費も見込んでおくと安心です。
これは特定の住宅仕様を前提にした概算です。実際の費用は、住宅の大きさや仕様、劣化状況、工事時の価格などで変わります。中古住宅を買う場合は、新築からの累計をそのまま購入後の費用に置き換えず、修繕履歴と今の状態から、これから必要となる工事を整理することが大切です。
戸建ての状態とこれから必要な修繕を知りたい方へ

「築年数だけでは、購入してよいか判断できない」「どこから直すとよいか知りたい」。そんなときは、建物の状態を確認し、修繕の優先順位を考えるために、ホームインスペクション(住宅診断)を利用できます。
さくら事務所の住宅診断では、建物の劣化や不具合を調べ、今後の改修箇所や時期・費用を考えるためのアドバイスを行います。家の残り寿命を年数で保証するものではなく、購入や維持管理の判断材料を得るための調査です。
調査の内容は、中古一戸建てホームインスペクションのページでご紹介しています。
購入する家を検討中の方も、今の家に長く住みたい方も、さくら事務所の公式LINEをぜひご登録ください。
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