冬場は中古住宅の性能を体感できる季節!?内覧時のチェックポイントを解説

  • Update: 2020-01-31
冬場は中古住宅の性能を体感できる季節!?内覧時のチェックポイントを解説

中古住宅の購入を検討していながらも、冬場は寒さもあって、物件の内覧を避けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は中古住宅の住宅性能を体感するためには、冬から春先の寒い時期が適しているともいえるのです。
今回は、寒い季節に内覧する中古住宅のチェックポイントについてお伝えします。

夏・冬など極端な気候の季節が中古住宅の性能を判断できる

中古物件の住宅性能がどの程度のレベルにあるか体感するには、春や秋の比較的過ごしやすい季節より、真夏や真冬など気象条件が極端な時期の方が判断しやすいと考えられます。住宅性能の中でも、断熱性能や冷暖房設備は、「必要な時期」に体感してチェックすることが出来ない場合、住んでからはじめて気が付くということも・・・。
1年を通して過ごしてみないと、実際の住環境を把握することは難しいものですが、物件購入前にできることとして、真冬から春先、真夏など住環境に大きく影響がある季節を活用してチェックすることも大切です。

冬場のチェックポイントは?

1年の中でも、冬場は住宅の断熱性能が大きく影響しやすい季節です。冬に中古物件を内覧するときに、どのような部分をチェックするべきかご紹介していきましょう。

室内の体感温度

冬場は、無暖房状態での室内の温度を体感してみましょう。一般的には誰も住んでいない家なら、冬場に室内温度が低くなっているのは当然のことです。
しかし、断熱性能がしっかりしていれば、温度が低いとはいえ、ある程度の室温が保たれていると考えられます。たとえば、内覧中に足元から断続的に冷えを感じるという状況であれば、床下の断熱が不足している可能性があります。滞在中にどの程度の冷えを感じるか、いくつかの物件と比較すると判断しやすいかもしれません。

窓の仕様


断熱性能は、壁・天井・床の断熱材の性能だけではなく、窓(サッシ)の性能も大きく影響します。ガラスの仕様や窓枠素材の違いによっては、熱伝導率(熱伝導による熱の移動のしやすさ)に差がでるため、外部気温による室内気温への影響も違うのです。ガラスが一枚の単層ガラスのサッシより、ガラスに比べて熱が伝わりにくい『空気』を二枚ガラスの間に封入した複層ガラスサッシの方が断熱性能は向上します。
また、枠がアルミなど金属製の場合は、金属が熱を伝えやすい素材であるため、冬場は窓枠そのものが冷えてしまい、室内で暖められた空気に触れることにより窓枠からガラス面への結露の原因となります。
一方、窓枠が樹脂製や木製の場合は、熱を伝えにくい素材であるため、冬場の冷えた温度の影響を受けにくく、結露が起きにくい素材であるといえます。
このように窓(サッシ)は室内の温熱環境に大きな影響を与えるものですので、物件にはどのような窓(サッシ)が使われているか、しっかりチェックしておきましょう。

日当たり


一般的に、日当たりが良い物件が好まれるものですが、日当たりの良い「方角」にも注目してみましょう。東や南の方角の日当たりが良い場合、冬場は晴れた日には暖かな日差しが入り込み、室内環境も良好であると考えられます。
しかし、西の方角の日当たりが良い場合は注意が必要です。冬場に暖かな日差しが入ることはメリットになるのですが、夏場は西日が強すぎるということに繋がる可能性もあります。窓の大きさや日当たりの程度にもよりますが、1年を通しての住環境とその対策も考慮しておきたいですね。

冷暖房機器の仕様

内覧する物件の冷暖房機器が、どのような仕様になっているかチェックしましょう。エアコンだけなのか、ガス配管や床暖房が備えてあるかなど、確認しておきます。冷暖房が適切な配置であるかどうかは、住む地域の気候に左右されますが、特に冬の暖房機器については、十分なのか不足するのか事前にチェックしておきたい部分です。
暖房の設定温度や体感温度は個人差がありますので、万が一住んでから「寒い」「暖房が足りない」となった場合には、どのような対策が可能かも想定しておくと安心ですね。

空き家では室内の温度は下がるので暖房を運転してみる

物件の内覧をするときは、一定期間は空き家になっていることが多いため、特に冬場は室温が低くなりがちです。可能であれば、実際に暖房機器を運転させて、どのくらいの時間で暖かくなるか試してみることもおすすめです。
暖房機器の種類にもよりますが、断熱性能がよい住宅ほど、室内が暖まる時間も早くなる傾向がありますので、物件ごとの断熱性能を比較するにはよいかもしれません。

室内の温度で極端に冷える場所をチェック

一般的に、北の方角に配置されている部屋は、冬場に寒くなりがちです。特に浴室や脱衣所など水まわりが北側に集中し日当たりも悪い場合、このエリアが極端に冷えてしまうことがあります。リビングダイニングなどと極端に温度差があると、ヒートショック(家の中の急激な温度差により血圧が大きく変動することで失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼすことです。)になる可能性がありますので、健康に不安を抱えている方や高齢者の方などは、室内温度の変化もチェックしましょう。

冬場は日当たりがよいと室温の維持に効果的

上述でも日当たりについて触れましたが、日当たりというと「日差し」のことをイメージする方が多いでしょう。しかし、冬場は日当たりによって「熱」も加えることができるのです。「パッシブソーラー」という用語を耳にしたことがあるかもしれませんが、パッシブソーラーとは、自然の力を利用した太陽熱のことです。太陽熱や太陽光を効果的に取り入れ活用することで、冬場は室温の維持と消費電力の削減が期待できます。

リノベーションで暖房効率を上げる方法


希望の条件に合い、気に入った中古物件が見つかったとしても、断熱性能が不足していることもあるでしょう。このような場合は、物件をリノベーションすることで暖房効率をアップする方法があります。

断熱改修をする

窓(サッシ)を2重サッシにする、樹脂サッシに交換するなど、窓の性能を変えることで断熱性能を向上させることが可能です。少し手を加える範囲は広がりますが、外壁や屋根の断熱材を見直し改修することで、より断熱性能はアップし暖房効率も改善されます。

暖房機器を増やす

既存の暖房機器に床暖房やガス暖房などを加えて、暖房効率を改善します。特に、床暖房は足元から体を温めてくれるため、室温を極端に上昇させることなく、体感温度を上げてくれる効果が期待できます。近年は、積雪地域のように冷えやすい地域以外でも採用されることが多くなっています。


いかがでしたか。今回は冬場に中古物件を体感するチェックポイントなどについてご紹介しました。春や秋などとは違って、チェックすべき視点が変わり、温熱環境などの大事な観点から物件を判断することができますので、冬場の内覧もおすすめです。特に暖房効率などは冬場でなければ体感することができませんので、ぜひ試してみましょう。
また、専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を実施することで、改善点やリフォーム・リノベーション時の改修方法などのアドバイスをもらうことも検討してみてはいかがでしょうか。