新築住宅価格に影響する関税の真実!賢い購入で備える方法

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新築住宅価格に影響する関税の真実!賢い購入で備える方法

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「新築住宅の価格、なぜこんなに高くなったの?」と感じることはありませんか?実は住宅価格に影響する要因のひとつに「関税」があります。

特に輸入建材や海外製設備を多く使用する住宅では、関税の変動が価格に大きく影響することもあります。

しかし、多くの購入検討者はこの関税の影響について詳しく知らないまま契約を進めてしまうケースが少なくありません。本記事では、関税が新築住宅に与える影響を詳しく解説するとともに、関税の影響を最小限に抑えつつ理想の住まいを手に入れるための具体的な方法をご紹介します。

新築住宅の購入に関税が影響するのか?

関税は輸入される建材や住宅設備の価格に直接影響します。特に海外製の木材、金属材料、電気設備などに高い関税がかけられると、それらを使用した新築住宅のコストが上昇することになります。

例えば、北米から輸入される木材に関税が上がれば、木造住宅の建築コストに影響が出ます。また、ヨーロッパからの高性能設備や内装材も、関税の影響を直接受ける代表的な例です。

関税率の変更は国際貿易政策に左右されるため、住宅購入を検討する際には現在の関税状況と将来の見通しを確認することが重要です。建設会社や不動産デベロッパーはこれらのコスト増加を最終的に購入者に転嫁するため、住宅価格に反映されることが一般的です。

ただし、建築材料は多くの海外からの材料や生産地等が関係しているもので、関税率だけではなく為替の影響も受けやすい点に注意が必要です。

現に昨今の円安の影響は、関税以上に住宅コストを押し上げる要因となっています。また、住宅価格へ影響はありますが、単純に価格を上げるだけでは物が売れなくなる可能性もあるため、建設会社やデベロッパー側もコスト上昇の負担を受ける可能性もあります。

関税が新築住宅の購入に与える影響

関税の変動は、新築住宅の購入に様々な形で影響を与えます。主に以下の3つの側面から、住宅購入者が直面する可能性のある影響について解説します。

輸入建材や設備の価格上昇

関税の引き上げは、輸入される建材や住宅設備の価格に直接反映されます。例えば、高級タイル、特殊な断熱材、輸入キッチン設備などが対象となると、それらを使用した住宅の建設コストが増加します。

特に欧米や北欧からの高品質建材は関税の影響を受けやすく、価格上昇が著しくなることがあります。例えば、北欧製の木製サッシや、イタリア製の高級タイルなどは、デザイン性や機能性の高さから人気がありますが、関税の影響でより高価になる可能性があります。

また、為替レートの変動と組み合わさると、価格変動がさらに大きくなる可能性があります。同じ品質の住宅でも建設コストが予算を超えてしまうリスクが生じるため、注意が必要です。

輸入住宅については、今後の関税の影響もあるかもしれませんが、昨今の円安の影響が特に大きく、以前のような価格的なメリットが薄れています。ただし、デザインや断熱性能等の付加価値がある製品は高価格になっても相変わらず人気が高い傾向にあります。

輸入住宅の価格の上昇

輸入住宅や外国の建築様式を取り入れた住宅は、関税の影響を特に受けやすい傾向があります。例えば、北欧スタイルの住宅や米国式の大型住宅などは、専用の建材や設備を海外から輸入することが多いため、関税率の変動が直接価格に反映されます。

カナダ製の木材を使用したツーバイフォー住宅や、スウェーデン式の高気密・高断熱住宅などは、その建築方法や使用材料の多くが輸入に依存しているため、関税の影響を大きく受けます。

また、施工技術や設計ノウハウの輸入にかかるコストも増加する可能性があり、最終的な販売価格に上乗せされることになります。購入を検討している輸入住宅のメーカーに、関税の変動による価格への影響について確認することが重要です。

特に外国の建築様式やデザインを重視する場合は、関税の影響による価格上昇を織り込んだ予算計画を立てることをおすすめします。

資材の供給が滞る

関税の大幅な引き上げは、輸入建材の供給不足を引き起こす可能性があります。輸入業者が高関税の影響で取り扱いを縮小したり、代替品の開発が追いつかなかったりすると、特定の建材や設備の入手が困難になることがあります。

これにより建設工期が延びたり、当初予定していた仕様からの変更を余儀なくされたりするケースも発生します。特に人気の高い輸入建材や最新の住宅設備は、関税の影響で市場から一時的に姿を消すこともあるため、計画段階で代替案を用意しておくことが賢明です。

住宅等の建設で建築材料を選ぶ際には、国内のメーカーに発注することが多く、製品として海外から輸入しているものであれば原産国がわかりやすいですが、製品の加工や材料の一部を海外で生産している場合は、どこの国から来ているものかは購入する側からはわかりにくいのが現状です。そのため、事前に関税を考慮して選択することは難しいケースもあるかもしれません。

計画段階で、使用予定の主要な建材や設備の供給状況について、建築会社やサプライヤーに確認しておくことが重要です。

関税の影響を気にせず賢く新築住宅を購入するポイント

関税の影響は避けられない部分もありますが、賢い選択と計画によって、その影響を最小限に抑えながら理想の住まいを手に入れることは可能です。以下では、関税の影響を気にせず新築住宅を購入するための重要なポイントを紹介します。

国内製品を中心に選ぶ

国内で生産された建材や設備を優先的に選ぶことで、関税の影響を大幅に軽減できます。日本国内には高品質な建材メーカーが多数存在し、耐震性や断熱性に優れた製品を提供しています。

国産材を活用した木造住宅は、輸入木材を使用した場合と比べて関税の影響を受けにくく、価格安定性が高いのが特徴です。例えば、国産のヒノキや杉などを使用した住宅は、北米やロシアからの輸入材を使用した住宅よりも関税の影響を受けにくいといえます。

また、地元の素材を使用することで輸送コストも削減でき、環境負荷の低減にも貢献します。住宅メーカーや工務店と相談する際に、国内調達可能な素材の選択肢について確認することが必要です。

ただし、国内で生産する建設材料でも、製品にするまでに使用する材料の中には海外(特に中国等)から輸入しているものが含まれていることが多いので、純粋な国産材料というのは限られる可能性がある点には注意が必要です。

エネルギー効率の高い設備に投資する

初期投資は大きくなる場合でも、長期的に見ればエネルギー効率の高い設備への投資は賢明な選択といえます。高性能断熱材、二重または三重ガラス窓、高効率給湯システムなどは、月々の光熱費を大幅に削減できます。

例えば、高性能の断熱材を使用することで冷暖房効率が上がり、長期的に見れば光熱費の削減というリターンが期待できます。また、LED照明やヒートポンプ式の給湯設備など、エネルギー効率の高い設備を導入することで、ランニングコストを抑えられます。

関税の影響で輸入設備の価格が上昇しても、国内メーカーの高効率製品を選ぶことで、コストパフォーマンスを維持できることが多いです。また、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備は、関税の影響を受けにくい国内製品も増えており、自家発電による光熱費削減効果が期待できます。

初期投資と長期的なランニングコストを総合的に考えた「ライフサイクルコスト」の視点で設備を選ぶことが重要です。

自分に合った間取りとサイズを選ぶ

住宅の大きさや間取りを必要最小限に最適化することで、使用する建材量を抑え、関税の影響を軽減できます。無駄なスペースをなくし、効率的な動線設計を心がけることで、コンパクトながらも快適な住空間を実現可能です。

例えば、廊下や通路部分を最小限に抑えたり、リビングとダイニングを一体化させるなど、限られたスペースを有効活用する工夫をすることで、建築コストを削減できます。また、将来的なライフスタイルの変化も考慮し、可変性のある間取りや拡張可能な設計を取り入れると良いでしょう。

特に重要なのは、自分の生活スタイルと家族構成に合わせた適切なサイズの住宅を選ぶことです。将来的な家族構成の変化も想定しながら、長期的に住み続けられる間取りを検討しましょう。

また、メンテナンスや修繕のしやすさを考慮した設計は、長期的なコスト削減につながります。自分のライフスタイルに合った住宅サイズを選ぶことが、無駄な出費を抑える鍵となります。

税制優遇措置や補助金制度を活用する

日本政府や地方自治体は、住宅購入者向けの様々な支援制度を提供しています。住宅ローン減税、省エネ住宅への補助金、地方移住支援金など、これらの制度を活用することで、関税による価格上昇の影響を相殺できる場合があります。

例えば、省エネ住宅を購入する場合、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金などの制度が活用できる可能性があります。また、地方移住を伴う住宅購入では、移住支援金や空き家バンク制度などの支援が受けられるケースもあります。

特に断熱性能や省エネ性能の高い住宅を選ぶと、追加の補助金を受けられるケースも多いです。これらの制度は定期的に更新されるため、最新情報を収集し、資金計画に組み込むことが重要です。

住宅購入前に専門家に相談し、活用できる全ての支援制度について確認すべきです。税理士や住宅ローンアドバイザーなどの専門家のアドバイスを受けることで、最大限の優遇措置を受ける計画を立てられます。

まとめ

関税の影響を考慮した家づくりでは、計画的なアプローチが重要です。

ギリギリすぎない資金計画と、余裕をもった家づくりの動き出し・スケジュールを組むことが基本となります。特に大切なのは効率的な家づくりの進め方です。一人で悩んでいると無駄な時間を過ごして、その間が長くなるだけ価格変動も起こりやすくなってしまいます。

第三者の専門家に相談しながら進められれば効率的かつ、適切なタイミングでの判断ができ、結果的に時間もコストも抑えた家づくりが可能になります。

新築住宅でご不安な点がある方は、一人で悩まず専門家への相談をうまく活用するのも一つの手です。効率的・合理的な家づくりを心掛けることが、賢い住まいづくりの近道となります。

 

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ホームインスペクター 矢野 雅稔
監修者

矢野 雅稔

住宅の購入や維持管理には建築や不動産の多くの専門知識が必要になりますので、皆様に必要な情報を分かりやすくアドバイスすることで少しでもお役に立てればと思っています。

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