住宅リフォーム推進協議会が3月に発表した「住宅リフォーム実例調査」によれば、対象のリフォーム工事を行った施主のうち、全体の約 8 割を50 歳代以上が占めていました。特に一戸建てでは、施主の39.1%が60歳代であり、60歳以上が半数を超えています。
将来介護が必要になったときのために・・・孫が遊びに来てくれるような広々したリビングに・・・等いろいろな動機があるようですが、そこにはシニアならではのリフォームの注意点やポイントも。
ここでは、専門家相談で多くのお客様にアドバイスを行ってきたホームインスペクター(住宅診断士)が「シニアがリフォームする際のポイント」を解説します。
1. そろそろ考えたいバリアフリー!手摺は「下地まで」がおススメ!
シニアのリフォームでまず考えたいのがバリアフリー対策。
いざ必要になったときじっくり検討できずに工事をすることにならないよう、早めのバリアフリー対策をお考えの方もいるでしょう。
室内の段差をなくしたり、引き戸への変更は早いうちがおすすめですがここで注目したいのが手摺。
健康なうちからあちこちにつけては、ぶつけたり生活の邪魔になることも。
リフォーム工事をするなら、必要になってから必要な箇所に取り付けられるように廊下や階段、トイレなどの壁にあらかじめ下地を入れておくといいでしょう。
下地さえ入れておけば手摺の取付けはあとから簡単にできます。実際に手摺が必要になったときに設置すれば、介護保険が適用になるケースもあります。
2. 孫も大事!でもまずは自分たちの生活を考えて!ヒートショック対策は早急に
「年末年始や夏休み、孫がもっと遊びに来てくれるように」というのもシニアの方のリフォーム動機に多いようです。
みんなでゆっくり過ごせるよう間取りを変えてリビングを広くしたい、という声もあるようです。
とはいえ、リフォームしてもお孫さんが遊びに来れる日は、年に限られたお日にちだけ・・・。
お孫さんが来てくれるときのことだけでなく、毎日を過ごす自分たちの快適性もきちんと考えましょう。
そこでまず考えたいのがヒートショック対策。断熱性能をアップさせることで冬暖かく夏涼しい環境づくりをめざすことをお勧めします。
最近のマンションで育ったお子さんは、特に古い一戸建てを寒いと感じる子もいるようです。自分たちの健康や快適性はもちろん、お孫さんたちも喜んでゆっくり過ごしてくれるでしょう。
特に冬場にヒートショックが起きやすい浴室には浴室暖房乾燥機もいいでしょう。
3. 今年は災害も多かった・・リフォーム詐欺や点検商法には要注意
台風や地震など今年は全国各地で多くの自然災害に見舞われました。また、災害に乗じて点検を行い不必要な工事契約をさせる点検詐欺のニュースも。
床下や屋根など突然押しかけて点検させてほしい、というような業者さんには特に注意しましょう!シニアはターゲットにされがちです。
ご自身ですぐに決断せずにご家族に相談することも大事ですが、新築時の施工会社や地元の工務店、住宅の調査会社でもいいので、日頃からすぐに相談できる相談先をもっておくことをおすすめします。
見やすいところに連絡先を控えておくのもいいでしょう。
4. 大事なのは補修が本当に必要な箇所の見極め
どの世代のリフォームにも通じることですが、まず大事なのが住まいの現状を把握して、補修が本当に必要な箇所を見極めること。
ちょっと気分を変えたい!きれいにしたら孫がもっと遊びに来るかな?というふんわりした動機で、長期的なプランもなく、見た目重視のリフォームをしてしまうのは危険です。
耐震性や断熱性など機能をアップさせ、住まいを長持ちさせるようなリフォームを目指したいものですね。
いかがでしたでしょうか?
シニアの方はもちろん、お盆や年末年始にご実家に帰省される方は、ご両親にお話されてみてはいかがでしょうか?
また、どんなリフォームも計画だけでなく、その計画通りの適切な施工が行われなければ意味がありません。
工事に不安を感じる方、第三者にチェックしてほしいとお思いの方は、建物のプロ、ホームインスペクター(住宅診断士)までお気軽にご相談ください。