さくら事務所には「希望する物件のホームインスペクション(住宅診断)をお願いしたいけど、売主さん・仲介さんに反対されて・・」というご相談を頂きます。建物の状況を契約の判断材料としてもらうため、契約前のタイミングをおすすめしていますが、思うようにインスペクションを入れられないという方もいらっしゃるようです。
先日、購入前にさくら事務所にインスペクションのお問い合わせをしてくださった方がその後の入居までの経緯をさくら事務所にご連絡くださいました。
今回は、ご了解頂いた上でメールの内容をご紹介します。
「売主にて実施予定なし、買主による実施不可」
さくら事務所に相談のお電話を下さった奥様は、リフォーム会社にお勤めの建築士でした。
中古住宅を探し始めて数ヶ月経った頃、気に入った物件が見つかり、買い付けの申し込みを入れることにしました。仲介さんにはもともと、買い付け申し込みをしたら契約前までにインスペクションをやりたい、ということは伝えていました。建築士の資格はお持ちなのですが、プロのインスペクションとリフォーム会社の現場調査では見る観点も違うだろうと思ったそうです。
ところが、この物件の不動産チラシには、建物状況調査に関する情報として「売主にて実施予定なし、買主による実施不可」の記載が。
※お送り頂いた、実際の図面の画像
買い側の仲介さんを通して売主さんにインスペクションをしたいことを伝えたのですが、売主側の仲介さんからの返事は「販売チラシにもある通り、インスペクションはダメです」というもの。
迷ったものの、内見をした時に室内が非常に綺麗だったこともあり、特に問題ないと判断し、インスペクションを諦めて契約することにしたそうです。
契約当日、インスペクション不可は売主さんの意向じゃなかった?
いざ、契約当日。
売主さんと一緒に重要事項説明を聞いていた中、インスペクション(建物状況調査)の項目になりました。
仲介さんが「今回は実施してないですね」とおっしゃったのですが、どうも売主さんはインスペクションのことを知らないようでした。なにそれ?といった表情をされていたので、仲介さんが「契約前の建物の調査のことです」とおっしゃり、売主さんは「ふうん。」という反応。
この時初めて、売主側の仲介さんが、売主さんにインスペクションのことを説明していないのだろうと気づいたそうです。
売り側の仲介さんにインスペクションをブロックされてしまっていたのです。
ただ、契約を当日に今さらその疑問を投げかけてややこしいこととになるのも避けたく、突っ込むことはできなかったそうです。
建築士でも見抜けなかった設備の不具合、その交換費用10万円!
重要事項説明の時に「設備保証は7日間、重大な瑕疵は3ヶ月間」と聞いていたので、引渡しの日に住宅設備などを一通り使ってみました。
特に問題ないと思ったのですが、一番心配な給湯器はガスの開栓が間に合わず。
引渡し6日後になんとか開栓して使ってみたところ、案の定、給湯器が壊れていました。すぐに仲介さんに伝えて売主さんの費用負担で直してもらえました。
ただ、気づけなかったのが、キッチンのディスポーザーの故障でした。
スイッチを入れて動いている音がしてたので安心していたのですが・・・
モーターは動いているもののディスポーザー本体が錆びて固着してしまっていました!その交換費用10万円!
きっとインスペクションをしておけば、この出費は防げたのだろうと思うと、「仲介ブロック」でインスペクションを入れられなかったのが悔しかったと綴られていました。
もちろん、売主さんにインスペクションを許可する、しないの自由があることはわかっているものの、仲介さんが売主さんにインスペクションを伝えず、そもそもインスペクションの存在を知らされていなかったのだとしたら・・・。ディスポーザーの交換費用の半分以下で、インスペクションができていたかもしれない、と悔しい思いをしたそうです。
今回、「感情の整理もつかないまま夢中で思いのたけをぶつけてしまってお恥ずかしいのですが、インスペクションを入れられずに悔しい思いをした。他の方がこんな思いをしないように」との思いから、さくら事務所にこの経緯をメールで教えてくださいました。
契約後のインスペクションでも、売主さんの契約不適合責任(瑕疵担保責任)に該当するケースもあります。もしインスペクションが契約前に実施できないような際は、さくら事務所にご相談ください。
少しでもリスクを下げるお手伝いをさせて頂ければと思います。