中古住宅、あったか断熱リノベーションのポイントは?

  • Update: 2018-11-19
中古住宅、あったか断熱リノベーションのポイントは?

いよいよ冬がやってきました。

衣替えや防寒着の買い足しなど寒さ対策をされている方は多いかと思いますが、家の防寒対策はいかがでしょうか?

昨今の新築住宅は、高気密・高断熱があたりまえになってきていますが、中古住宅を購入された・あるいは購入される場合、冬の寒さ=断熱性能が気がかりかと思います。

今回は中古住宅の断熱リノベーションについて、基本的なところをお伝えします。

中古住宅の断熱方法

断熱の歴史はまだまだ浅く、建物の「省エネルギー基準」(=断熱基準)が初めて制定されたのは昭和55年(1980年)。よってそれ以前に建てられた住宅はほぼ無断熱と思われます。

また省エネ基準も平成4年、平成11年、平成25年と改正を重ねて現在の基準となっており、初期の基準では十分とは言い難いため、断熱性能にこだわって中古住宅を探すなら築浅の物件(~築15年程度)に的を絞る必要があります。

とはいえ、予算や立地条件から断熱性能が期待できない中古物件を選ぶ方も多いでしょう。その場合、どんな方法で断熱していくのが効果的・効率的か整理してみましょう。

まず住宅において、一番熱損失が大きい(熱が逃げやすい)のが窓です。よって窓の断熱性能を上げることが最も効果的・効率的な方法と言えます。

窓を取り換えるとなるとかなり大がかりな工事になりますが、もっと簡単に「内窓をつける」という方法があります。外壁や床を壊すこともなく、工期もコストも抑えられるので非常にオススメです。

次にやりやすい工事としては、屋根裏の断熱です。屋根裏がある場合、その空間に断熱材を敷き詰めるだけですので、比較的簡単に施工できます。

もちろん、壁や床の断熱までできればそれに越したことはありません。

その場合、床や内壁を剥がす必要があるので、例えば壁紙やフローリングなど内装仕上げをリフォームするタイミングで一緒に断熱工事を行うと効率が良いでしょう。旧耐震の建物でしたら、耐震補強工事と一緒に行うのもオススメです。

どんな断熱材があるの?

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最も一般的なものは、鉱物由来の無機繊維系断熱材「グラスウール」です。種類も豊富でコストパフォーマンスに優れており、建設中の住宅の壁や屋根裏に充填されている様子を目にする機会も多いでしょう。

布団や綿のような見た目から燃えやすそうにも思えますが、微細なガラス繊維、不燃材料で出来ており、実は防火・耐火にも一役買ってくれます。

外断熱工法などによく使われているのが「硬質ウレタンフォーム」や「ポリスチレンフォーム」などの発泡樹脂系断熱材。よく保温・保冷に使われる発泡スチロールもこちらに分類されます。

板状に成形されていて軽量で扱いやすく、水や湿気に強いのが特徴。しかし火気や紫外線には弱いので使う部位や施工手順には注意が必要です。

また硬質ウレタンフォームには「現場吹付け発泡」という工法もあります。

文字通り、断熱したい部分に原料を吹き付けて発泡させて断熱層を作る方法ですので、入り組んだ複雑な部位にも隙間なく充填でき、床下に潜って下から施工することも可能。

中古物件の断熱としても非常に有効な施工方法です。

そのほか、シックハウスやエコの観点から自然素材の断熱材を選ぶ方も増えてきています。古紙をリサイクルした木質系断熱材「セルロースファイバー」や、亜麻を利用した植物繊維系断熱材、調湿効果もある羊毛系断熱材などなど。

一口に断熱材と言っても千差万別。性能も特徴も異なります。

見えない部分なので工事業者まかせになりがちですが、それぞれの特徴を知って、自分の暮らしやポリシーに合うものを選んで、効果的に断熱・省エネしましょう。

あったかい家を見極める!

前述のとおり、省エネ基準は制定されていますが未だ義務化はされておらず、新築住宅の省エネ基準適合率は約5割にとどまっているそうです。必ずしも「築浅の物件=高断熱」とは言えないということですね。

また、図面では断熱材が図示されていても、施工の段階で欠損したり、指定の断熱性能を満たさないものが使われたり、という可能性もあります。

ただ断熱材が入っていれば良い訳ではなく、断熱性能を発揮するためには正しい施工方法や細かな基準があり、施工者の知識や技術、高い意識も要求されます。

つまり最終的には、個別の物件ごとの断熱状況を目視で確認するしかないということ。

できれば正しい知識を持つ専門家(プロホームインスペクターや建築士)に実物を調査してもらい、建物に合った断熱計画を立てましょう。

断熱することで、空調費を節約しながら夏も冬も快適に暮らせるようになり、温度差で生じる結露やカビの発生も抑えられ、おのずと家も人も健康を維持しやすくなります。

将来的には地球全体の省エネルギー・低炭素型社会を実現することにも繋がります。

「中古物件は寒いもの」とあきらめずに、ぜひ断熱リノベーションを実践してみてください!