中古一戸建てのリフォーム・リノベーションは、各自の希望に沿った内装に変えることができるイメージがあり、夢が広がりますよね。
いざリフォームを行う際、見積もりには床や壁の仕上げ素材、ユニットバスやトイレ、洗面台、キッチンなど内部生活空間の傷みをリニューアルするための費用が含まれますが、きちんと診断しないとわからないような、建物の経年劣化や不具合に対しての修繕費用については想定されていないことがほとんどです。
しかし住宅を詳しく調べてみると、内装部分だけでなく、実は大がかりな修理・修繕費が必要な不具合が見つかる可能性もあります。
今回は、実際のホームインスペクション(住宅診断)事例をもとに、リフォーム・リノベーション実施後に発覚するとやっかいな修理費用がかさみやすい箇所についてホームインスペクター(住宅診断士)がご紹介します。
見えない雨漏りはリフォームの天敵
築17年の一戸建ての事例です。契約前、「金額はとてもお得だけど、本当に大丈夫か」と不安になった方からご依頼を受け、ホームインスペクション(住宅診断)で不具合を見つけました。
写真の通り、室内の壁には一般的な住宅にある多少の汚れが見られます。ただよく見てみると、壁の汚れの中に、染みのような薄い変色が。(天袋とその右側の壁上部)
詳しく状態を知るため、天井点検口からホームインスペクターが屋根裏内部に入ってみると・・・
写真からわかるように、上部柱部分に黒い変色がみつかりました。継続した雨漏りにより木材が長期的に湿り続けていると、表面にカビが生えたり、腐ってしまう恐れがあります。
もし柱や梁といった建物を支える部材が腐っていると、建物の耐震強度にも影響が出かねません。これらは大がかりに建物の一部を解体し、部材を入れ替えなくてはならないこともあります。
詳しく調査したところ、幸いこの建物では表面の変色だけで、木材の腐食はまだでした。これ以上傷みが進まないよう雨漏りを直さなくてはいけません。
このご依頼者様は、もともと「物件価格+リフォーム費用」として予算を検討していたそうですが、この雨漏りの発見により、屋根修繕費用をプラスして予算を再検討することになりました。
このように、中古一戸建てで雨漏りが見つかると、内装リフォームだけでなく、雨漏りの元を直す工事、また時には柱や梁の交換・補強などが発生することがあります。
費用は事例により異なりますが、さすがに数万円では済まず、少なくとも数十万円、多ければ数百万円かかることも!
契約前に建物のコンディションをしっかり把握
引き渡し後のリフォームで初めて建物の状態を調べることになる場合、予定のリフォーム予算を大幅に超える可能性を予め考慮しておく必要があります。
せっかく相談してきたリフォーム過度の見積もりオーバーを防ぐためにも、早い段階での調査、発見が必要です。契約前に調べられるのであれば、第三者の建築士やホームインスペクターに調査やホームインスペクションも検討してみましょう。