室内でも熱中症の危険があるほどの猛暑日が続きます。
エアコンを上手に使って過ごしたいものですが、電気代や、エネルギー問題、また室外機から吐き出される空気も影響するヒートアイランド等、心配も。
そこでここでは、自然エネルギーを上手に使った住まいの暑さ対策をご紹介します。
東京オリンピックの暑さ対策でも「打ち水」や「よしず」等、機械に頼らない暑さ対策が挙げられていますが、果たしてその効果は?
さくら事務所の専門家相談を担当するホームインスペクター(住宅診断士)が解説します。
エアコンと併用しつつ、毎日の暮らしに役立ててみてください。
東京オリンピックも活用?打ち水の原理
東京オリンピックの暑さ対策にも挙げられ、注目の「打ち水」。
お風呂の残り湯をみんなで集まって撒く等、イベントにしている行政もあるようです。
「打ち水」とは、水が蒸発する際、周りの熱を奪う力「気化熱」を利用して、気温を下げるもの。
アスファルトやコンクリートの道に水を撒き、水が蒸発する際に周りから熱を奪い、その表面温度を下げます。
道路に行うイメージがありますが、屋上のある戸建てにお住まいなら屋上に水を撒くのも効果があります。
マンションにお住まいの方はベランダに水を撒けば同じ効果があるでしょう。
このとき、日陰や朝や夕方などの少し温度が下がったタイミングに行うのがコツです。炎天下で行うとすぐに蒸発して湿度が上がってしまいます。
また、このように確かに温度を下げる仕組みは持っていますが、あくまでその効果は限定的といえるでしょう。
庭の緑化で温度を下げつつ、都市型水害も防ぐ
一戸建てをお考えの方やお住まいの方には、庭や外構の緑化も暑さ対策になります。
芝生などの植物や土壌は、照り返しを防ぐだけでなく、コンクリートやアスファルトに比べ、雨水などの水分を蓄える(しみこませる)力があります。
蓄えられた水が蒸発する際、先程の打ち水同様、その蒸発時の「気化熱」で地表の温度を下げるのです。
植物からの水分の蒸発時の気化熱の効果は、グリーンカーテンや屋上緑化でも得られます。
また、緑化による雨水浸透機能は雨水の流出を一定程度防ぐ効果もあるので、近年急増中のゲリラ豪雨等による床下浸水などの都市型水害の予防にも効果が期待できます。
自然がつくる庇、庭のシンボルツリーは落葉樹がおすすめ
庭に落葉樹を植えることもおススメです。
大きめの落葉樹は、生い茂る葉が木陰を作り周囲の温度を下げます。
落葉樹にすることで、冬は日が落ち、枝の間から室内に日射を届け、部屋を暖める効果も期待できます。
ただ、木陰を作るような大きな落葉樹の場合、家の雨どいに落ち葉が詰まってしまうこともありますので、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
そう簡単にチェックできる場所でもありませんので、落ち葉などのつまりを防ぎ、雨水のみを取り込む雨樋などへの交換も検討してみてもいいかもしれません。
自然のサーキュレーター、風を上手に取りいれる
窓を開ける際は、複数の窓の高低差を意識して開けるといいでしょう。
風の入り口と出口は、高低差があるとより通りやすくなり、空気も水平方向だけでなく、立体的に循環させることができます。
自然のサーキュレーターのような役割を果たすのです。
同じ高さ同士の窓を開けても、部屋の中の空気はあまり循環しません。
設備としては、風を通す「通風雨戸」もおすすめです。取り付け工事も比較的容易です。
可動ルーバーのものは、視線や日差しを遮りながら風だけを室内に取り込めます。
玄関ドアや勝手口に取り付けるものもありますので、ご検討されてみてはいかがでしょうか?
例えば、オーニングや庇、なければよしず等で厳しい直射を遮り、風だけを上手に取り入れられるといいですね。
よしずの取り付けフックなども売っていますので、気軽に使うことができます。
いかがでしたでしょうか?
これらはあくまで簡単なやり方やその仕組みをご紹介していますが、このように自然の力を上手に取り入れた住宅を「パッシブデザイン」とも呼んだりします。
新築住宅の計画を立てている方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、建物のプロ、ホームインスペクターに相談してみてもいいかもしれません。住宅の性能はなかなかあとから変えられませんので、断熱などの省エネの肝となる部分については工事中のチェックも必須です。
また、今回ご紹介した暑さ対策はあくまで補助的なものとし、エアコンを上手に使いながら快適に過ごしましょう。