新築住宅でも瑕疵担保責任期間の10年でホームインスペクション(住宅診断)は必要?

  • Update: 2020-03-05
新築住宅でも瑕疵担保責任期間の10年でホームインスペクション(住宅診断)は必要?

住宅を新築して引き渡しから10年間は、基本構造部分に関わる「瑕疵担保責任」が「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められています。
住宅にとって築10年は大きな区切りとなり、期限を超えて保証対象の瑕疵が発見されても損害賠償などの請求はできません。
なお「瑕疵担保責任」は2020年4月の民法改正によって「契約不適合責任」となり、その内容も変わることが決まっています。
ただし同じく改正される品確法では、担保責任期間は10年間のままで、また「瑕疵」という文言も新たな定義が設けられ残るとのことです。
今回は、新築住宅にとって10年という区切りがどれだけ重要なのか、またその重要なタイミングで実施するホームインスペクション(住宅診断)が効果的な理由について解説します。

瑕疵担保責任とは

「瑕疵担保責任」とは、住宅を新築した時点で明らかではない隠れた瑕疵(欠陥や不具合)が発見された場合、売主が買主に対して負わなければいけない責任のことをいいます。
もし引き渡し時に隠れた瑕疵が発見された場合、買主は売主の責任のもとに適切な修繕を求めるか、あるいは損害賠償を請求するなどの行動を起こせるわけです。
さらには瑕疵が重大なものである場合など、買主が購入した目的を達成できない場合には契約解除も可能となります。

民法改正で内容が変わる

2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わります。
改正以前は、売主に責任を追及できるのは「隠れた瑕疵」についてですが、「契約不適合責任」では隠れているかは関係なく「契約に適合しない内容」について問うことができます。
また売主に対して買主が請求できる権利の幅が広がるなど、売主側はより大きな範囲で責任を負担しなくてはいけなくなるのです。

新築住宅は品確法による瑕疵担保責任が適用される

新築住宅には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって瑕疵担保責任の保証期間が定められています。
瑕疵担保責任の保証期間は引き渡しから10年間で、またその対象となる範囲は「構造耐力上主要な部分等」と定められています。
品確法が定める「構造耐力上主要な部分等」とは次の通りです。

  • 構造耐力上主要な部分
    構造耐力上主要な部分とは、基礎や杭、スラブ、柱、など建物の荷重を支える基本的な構造部分のことをいいます。
  • 雨水の浸入を防止する部分
    雨水の浸入を防止する部分とは、屋根や外壁など雨水の侵入を防ぐために機能する部分のことをいいます。

10年目以降は瑕疵発見でも賠償請求権は消滅

瑕疵担保責任による損害賠償請求権は、引き渡しから10年の経過をもって消滅します。10年を過ぎて「構造耐力上主要な部分等」の瑕疵が発見されたとしても、売主に対して損害賠償を請求することはできません。
「構造耐力上主要な部分等」に関わる瑕疵は、建物にとって重大な影響を与える可能性があります。
例えば雨漏りがあった場合、構造部分が濡れて腐ることがあると耐久性は著しく低下し、地震の発生時には本来の耐震性を発揮できない可能性もあります。雨漏りなどは時間をかけて徐々に進行し、気づいたときには被害が拡大していたということも珍しくありません。
したがって、とくに「構造耐力上主要な部分等」に関わる瑕疵が存在する場合は、影響の大きさを考慮すると瑕疵担保責任が及ぶ期間内に発見することが重要なのです。
しかしこれらの瑕疵を日常生活で発見するのは難しく、まして専門知識の少ない人にとってはなおさらでしょう。
そこで効果を発揮するのが専門的な見地から、住宅の劣化状況や欠陥の有無などをチェックするホームインスペクション(住宅診断)です。
瑕疵担保責任の期限が切れる前に実施することで、重大な瑕疵が存在していても、それらを見落とすことを防げるかもしれません。

10年目はメンテナンス時期でもある

建物にとって10年という区切りが重要なのは、保証の期限が切れると同時にあらゆる部位でメンテナンスの必要性が高まる時期でもあるためです。
例えば屋根や外壁の塗装やコーキングなどは、10年程度を目安に塗り替えを検討する時期でもあります。外部の仕上げ材は、日常的に紫外線や風雨など外的な刺激を受け続けているため、経年とともに劣化が進行します。劣化の状況に応じて塗り替えなどのメンテナンスが必要となりますが、放置すると雨水が内部に侵入し雨漏りを起こすこともあるのです。
適切なタイミングで適切なメンテナンスを実施することが、建物の機能を長く維持するためには重要な作業となります。適切なメンテナンスとは、劣化の状況を見きわめ、その状況に応じた必要なメンテナンスを実施することです。
ホームインスペクション(住宅診断)は、劣化の状況からメンテナンスや改修が必要な箇所やタイミングなどを判断できます。
10年目という区切りで建物の健康状態を把握し、必要なメンテナンスを実施することで家族の安心と安全につながるでしょう。

区切りの築10年にホームインスペクション(住宅診断)はしておくべき!

住宅を新築して10年目は非常に大きな区切りとなるタイミングです。その理由をまとめると次の2点になります。

  • 新築住宅の瑕疵担保責任の期限は10年間
  • メンテナンスを検討する目安のタイミングが10年目

以上が区切りの10年を迎える前にホームインスペクション(住宅診断)の実施をおすすめする理由です。
まず瑕疵担保責任の期間内で対象となる瑕疵を見落とさないことが重要で、また瑕疵がないのであればそれはそれで安心の材料となります。「構造耐力上主要な部分等」に関わる瑕疵が存在し、10年を超えて発見されることはリスクでしかありません。そして建物の劣化状況を知ることで、本当に必要なメンテナンスや修繕を適切なタイミングで検討できます。
ホームインスペクション(住宅診断)は、区切りの10年目のカギともいえるこれら重要なチェックができます。
またホームインスペクション(住宅診断)が効果的といえるのは第三者の立場で実施する点です。
売主側が主導して行う点検などは、もし「構造耐力上主要な部分等」に関わる瑕疵が存在しても保証期限の10年を超えるまで先延ばしをされる可能性も考えられます。
利害関係のない第三者が主導して行えば、状況に応じた適切な処置を検討できるでしょう。
住宅を新築して重要な区切りとなる10年を迎える前に、ホームインスペクションの実施を検討してみてはいかがでしょうか。