いま注目されている中古マンション。良質な中古マンションの流通は、ストック型社会において、とても喜ばしいことです。
しかし、中古マンションの多くが、建物に何かしらのトラブルを抱えていることも事実です。
今回は数多くの中古マンションをホームインスペクション(住宅診断)してきたさくら事務所のホームインスペクターが中古マンション購入時におけるチェックポイントをわかりやすく解説します。
見学・内見をする
はじめから中古物件をお探しの方、また、新築も検討したけれど、中古物件に魅力を感じられ、ご検討中の方。気になる物件があるのであれば、売主、不動産会社にコンタクトをとって、見学・内見をしましょう。
【見学・内見についてのチェックポイント①】見学・内見の申し込み
まずは見学・内見の申し込みをして日程を決めます。
中古の場合、新築と違って空部屋とは限りません。居住中のことも多くあります。
空部屋の場合は、即・見学可能であることもありますが、居住中の場合は、平日は夜、日中は土・日曜日のみ見学可、ということもあります。
予め居住の有無、いつ物件が見れるのか、聞いておきましょう。
【見学・内見についてのチェックポイント②】見れる時間は何分?
部屋(専有部分)の中の見学・内見ができる時間は30分から60分程度です。
居住中の場合は、30分も見れないこともあります。
但し、マンションの場合は、専有部分の部屋だけでなく、エントランスやエレベーターホール、駐輪場や車庫などの共用部分も確認する必要があることから、専有部分の見学・内見時間の他に、追加で1時間程度の見学・内見時間を見込んでおきましょう。
見学、内見時のチェックポイント【専有部】
専有部分とは、101号室、や202号室、など、実際に住む部屋・住戸の部分になります。
限られた時間の中で、可能な範囲で次のことを確認していきます。
【専有部チェックポイント①】図面と現実の確認
販売資料の間取り図と、現地の様子が合っているかどうか確認します。新築の場合は、設計図面を基に、間取り図を作成していますが、中古の場合は、設計図面が見つからないこともあり、不動産会社が見た目で作っているなど、実際と異なることがあります。
【専有部チェックポイント②】窓
窓を確認しましょう。どこについているか、また窓からの景色を確認します。
特に駅に近いところや住宅密集地は隣の敷地が見えたり、窓が近くて部屋の中が見えてしまうことがあります。また、道路や線路、学校や遊技場など、騒音の原因となるものがないか、見ておきましょう。
【専有部チェックポイント③】仕上げ、建具、設備
壁・床・天井の仕上げ、扉などの建具、水まわりの設備について、古さや好みなど、許容できる範囲か確認をします。また、売主、若しくは不動産会社へ、既に気づいている不具合、修理が必要や箇所がないかを確認します。修繕やリフォームに費用が掛かる場合は、資金計画を見直す必要がある場合もあります。
以上になりますが、短い時間では確認しきれなかったり、更に詳細な状況の把握には時間を要します。売主、不動産会社にはお礼と共にゆっくり見れる時間をいただくことをお伝えできると次回もスムーズに確認できます。
見学、内見時のチェックポイント【共用部】
マンションには住戸以外に、住人で共同に使用するエントランス、エレベーターホール、共用廊下・階段、ゴミ置き場。車庫や駐輪場などの共用部があります。
物件を探していると、どうしても専有部分にばかり興味が行きがちですが、こういった共用部分も日常生活では必ず使用する場所になり、見学・内見時には、そのマンションの管理や修繕の状況、トラブルなどの情報を得ることができる絶好の場所になります。次のことを確認しましょう。
【共用部チェックポイント①】破損や故障の有無
建物や設備などを見て、長期に放置されている破損や故障がないかを確認します。放置されている場合は、修繕積立金に問題があったり、管理組合や理事会が健全に機能してないことも考えられます。
【共用部チェックポイント②】清掃状況の確認
各箇所の清掃の状況を確認します。ゴミが散らかっている、など清掃が行き届いていない場合は、住人のモラル崩壊、管理が機能してないことが考えられます。
【共用部チェックポイント③】掲示物の確認
掲示板に貼られているものを確認します。トラブルが起きた際はまずは掲示板に貼り出して、注意や改善を促すことが多いからです。例えば、「夜は静かに!」などの張り紙がある場合は、騒音トラブルがある可能性が考えられます。
【共用部チェックポイント④】死角がないか
セキュリティを気にしている場合は、オートロックのシステム、防犯カメラ、また車庫や駐輪場やごみ置き場などに死角がないかを確認します。
マンション情報を資料で確認
マンションの場合、新築時からの現在までの履歴や修繕の計画があることが重要になります。それぞれの資料から次のことが分かります。
【資料チェックポイント①】建築確認申請・検査済証
検査済証がある場合は、当時の建築基準法に則って建てられている証になります。更に建築確認申請を受けた時期が昭和56年(1981年)6月1日以降の場合には新耐震基準の建物になり、きちんと修繕を行っていれば大きな地震があっても倒壊しない耐震性のある建物になります。検査済証がない場合は新耐震基準の建物であっても経緯や違法の内容によっては耐震性が不足していることもあります。
【資料チェックポイント②】設計図面・竣工図
設計図面・竣工図がある場合には、建物がどのように工事がされているか分かるため、共用部の大規模修繕や専有部分のリフォームがし易くなります。
【資料チェックポイント③】長期修繕計画書・修繕積立金
建物は新築時から劣化が始まり、その劣化を長期に放置すると、例えば防水性能が劣って雨漏りが起きたり、構造に不具合を抱えることなることもあります。マンションの場合、劣化を抑えたり、解消するために定期的に修繕を行うための長期修繕計画書を作成し、修繕のための費用を積み立てることになっています。長期修繕計画書の有無、修繕積立金が不足したり、滞納者などがいないか確認をします。
【資料チェックポイント④】管理規約
管理規約とは、マンションの区分所有者・住む住人全員が快適に過ごすための共同住宅のルールになります。所有関係、権利や義務などが記載されており、例えば、専有部分と共用部の区分けから、専有部分の遮音性能、またペットの種類や大きさなどを決めていたりします。見落としてしまうと、他の住人に迷惑を掛けてしまったり、後から知って生活し辛くなることもあります。
プロに相談するメリット~中古マンションは不具合や劣化が前提!~
以上に挙げたチェックポイントは、契約するまでに確認すべき項目の一部です。中古物件の場合、新築とは異なり、何らかの不具合や劣化があることが前提であり、そのため失敗やリスクは多くなります。それらを減らす為には、何度かは足を運んで見極めなくてはなりません。また同じ家族でも、見る人が異なれば、新たに気づくことも多くなります。
失敗やリスク、確認すべきことの負担を減らすには、プロを活用する方法があります。
中古マンションの場合、建物の劣化・不具合の他、一戸建てにはないマンション特有の専有部分と共用部のそれぞれの対処の違い、管理状況や、修繕計画の確認など幅広い知識と経験、技術力が求められます。
先に述べた用に、見学・内見の時間は限られています。もしプロに依頼をすれば、限られた時間の中でも、的確に、劣化や不具合を診断してもらうことができます。
さくら事務所は、建物の劣化・不具合にはマンションを専門とするホームインスペクター、管理状況や修繕計画の相談には、マンション管理を専門とするコンサルタント、売買などの契約に関することには、不動産コンサルタントがご対応します。ご相談の内容に応じて、専門スタッフが専門知識・技術を駆使してアドバイスすることが可能です。
楽しい中古マンションライフを送るために、その一歩として、是非、さくら事務所のサービスをご利用ください。