平屋の家を建てるなら押さえておきたい!特徴とデメリットへの対処法を解説!

  • Update: 2023-08-07
平屋の家を建てるなら押さえておきたい!特徴とデメリットへの対処法を解説!

平屋の家を検討していて、特徴やデメリットへの対処を知りたい方もいるでしょう。家は一度建てれば、その先数十年暮らすため、住みやすさは非常に重要です。
本記事では平屋の家の特徴や、デメリットへの対処法を詳しく解説します。平屋の家を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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平屋の家ってどんな家?

 

「平屋」とは、一階しかない住居のことを指します。すべての部屋が同一階層に配置されており、階段がないため、移動しやすいのが特徴です。二階建ての住宅と比べてより自由な構造にできる点もメリットで、たとえば庭を中心にしてU字型やI字型の家づくりが可能になります。

平屋はマンションの利便性と一戸建ての魅力を兼ね備えている、といえます。生活動線のなかに階段がないことにより、ライフステージが進行して年齢を経ても住み慣れた家でストレスを感じることなく生活を続けられるでしょう。

平屋の家のメリット

ここからは平屋の家にはどのようなメリットがあるのか、平屋の家の以下の6つのメリットについて、具体的にみていきます。平屋の家を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

  • 上下移動がなく足腰に負担がかかりにくい
  • 家族のコミュニケーションが自然に取りやすい
  • 修繕費用が抑えられる
  • 広い屋根裏部屋や高天井の空間が作れる
  • 地震や台風の被害を受けにくい
  • 広い屋根を活用して太陽光発電ができる

上下移動がなく足腰に負担がかかりにくい

平屋の家のメリットのひとつは、マンションと同じく、すべての部屋が一階に配置されている点です。平屋の家は二階への移動がないため、幼い子供や高齢者でも安全で快適な生活が送れます。

たとえば日常生活で不可欠な洗濯物を干す場合、上下移動がないため、移動負荷がなく、年齢を経ても負担なく生活できます。

子育て期から老後まで安全・快適に住めるのが、平屋の魅力のひとつです。

家族のコミュニケーションが自然に取りやすい

平屋の家は部屋がすべて同じ階にあるため、家族間でのコミュニケーションが自然に取れるメリットがあります。ひと声かければすぐに声が聞こえる距離感は、すべての家族が安心感を得られる環境といえます。

子供部屋が別の階層、たとえば2階にあると、子どもが部屋にこもったとき、なかなか声をかけにくいものです。しかし平屋の家は間取りを工夫することで、家族が集まるリビングを通る動線を組み立てることができるため、コミュニケーションがとりやすくなるでしょう。

修繕費用が抑えられる

二階建て以上の家とは異なり、平屋の家は高所での修復作業が必要ありません。そのため、家屋の修繕にかかる費用を削減できます。修繕の頻度や使用される素材、スペースの大きさによって差はありますが、30年という長い期間を考えた場合、場合によっては数十万円のコストダウンが可能です。

たとえばベランダがないことから、建築時の防水工事を削減できるほか、エアコン設置時の高所作業の削減といった二階建て時には発生する作業がありません。外壁の塗り替え作業も、二階建て住宅と比較してリーズナブルなコストで対応できる可能性があります。

広い屋根裏部屋や高天井の空間が作れる

平屋の家は二階がないため、屋根の形に合わせて天井を高く作れます。高い天井の部屋は、開放的な雰囲気になります。

また天井の高さを利用してロフトや屋根裏部屋を配置したり、大型の照明装置を設置することも可能です。

地震や台風の被害を受けにくい

地震や台風による影響は、建物が高くなるほど振動が増す傾向があります。そのため、平屋の家は災害への耐性が、二階建て以上の戸建てよりも高いとされています。日本は自然災害が頻繁に発生する地域であるため、平屋は古くからその環境に適応した住宅構造と言えるでしょう。

広い屋根を活用して太陽光発電ができる

平屋の家は、快適な居住スペースを確保する必要があることから、屋根の面積も増える傾向があります。そのため、広めの屋根スペースを活用し、二階建ての家よりも多くの太陽光パネルを設置できます。

太陽光パネルを設置することにより家庭のエネルギー効率が向上し、発電した電力を販売して収益を得ることができます。また建物の低さから、設置やメンテナンスが容易というメリットもあります。

平屋の家のデメリット

ここからは平屋の家の、以下の5つのデメリットを具体的に解説します。平屋の家に住むことを検討している方は、メリットだけではなくデメリットも理解して、家づくりの参考にしてください。

  • 広い敷地が必要
  • 水害に弱い
  • 建築コストが高い
  • 日当たりの悪い部屋ができる可能性が高い
  • 防犯性が低い

広い敷地が必要

住居を建築するときは用地の地区ごとに定められた建築制限、つまり建ぺい率と容積率の制約があり、これを守らなくてはいけません。
平屋の家は二階がないため、希望する家の広さを実現するには、それ相応の広い土地が求められます。
国土交通省が令和3年に公表した住生活基本計画(全国計画)では、誘導居住面積水準が以下のように定められています。

「世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準」
引用:住生活基本計画(全国計画)|国土交通省 p.28

誘導居住面積水準の計算方法は、以下です。

「世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準」

引用:住生活基本計画(全国計画)|国土交通省 p.28

上記の計算にしたがって、以下の家族のケースにおける誘導居住面積水準を算出すると、以下のようになります。

<条件>
3歳未満の幼児1人、3歳以上6歳未満の子ども1人、成人の夫婦2人の4人家族

<計算式>

上記(1)②の場合

25(㎡)×(2+0.25+0.5)+25(㎡)=93.75(㎡)

上記(2)②の場合

20(㎡)×(2+0.25+0.5)+15(㎡)=70(㎡)

平屋で上記の広さを実現しようとすると、かなりの土地が必要になることがわかります。

水害に弱い

平屋の家は二階がないことから、二階建ての家よりも水害の影響を受けやすくなります。二階建ての家ならば、一階が水没したとき二階に避難できますが、平屋では不可能です。

上方向に逃げる、いわゆる「垂直避難」ができないため、平屋の家を建てるにあたっては、自治体が発行しているハザードマップを確認し、過去の災害履歴を調べたり、家を建てる予定の土地の海抜を調べたりする、といった事前調査が不可欠となります。

土地の海抜がマイナスである場合は、災害によって川が氾濫したとき、水没しやすい土地である、と判断できるため、平屋の家は避けたほうがよいかもしれません。災害時に土地が水没するかどうかは、川との距離も関係するため「避けるべき」と断定的な判断は個別にする必要があります。

自分の家を建てる土地が災害時にどのような状況になるかは、下記ハザードマップポータルサイトなどで十分に調べる必要があるでしょう。

引用:ハザードマップポータルサイト

建築コストが高い

二階建ての戸建て住宅と比較したとき、基礎や屋根の規模が大きい平屋の家は、工事費用や材料費が高額になる傾向があります。ただし平屋の家は階段や廊下といったスペースが不要となるため、全体の床面積を抑制することが可能です。建築費に関するデメリットについては、回避する方法がいくつもあるため、それほど影響はない、といえそうです。

日当たりの悪い部屋ができる可能性が高い

平屋の家を設計するとき出やすい問題点の一つが、建物の中心部にある部屋への自然光の導入が難しいことです。さらに周囲が二階建ての住宅に囲まれている場合、一階建ての平屋の採光は一層難しい課題となります。

十分な広い土地があり、平屋の家を建てても隣家との距離を保てて自然光を採光できるケースでなければ、採光できない部屋ができる可能性があることは認識しておきましょう。

ただし採光できない部屋は決してデメリットではありません。そもそも日差しが必要ない納戸にしたり、食料品のストックを保管したり、本や大切なコレクションの保管室にしたり、といった「日光を排除したいケース」の使い方があるためです。

防犯性が低い

平屋の家は部屋がすべて一階にあることから、二階建ての住宅と比較して外からの侵入箇所が増える、といったデメリットがあります。住む場所によっては、防犯サービスに加入するといった厳重な防犯対策が必要になるでしょう。

侵入しにくくするために雨戸をすべての窓に設置したり、格子をつけたりといった余分なコストが必要になる可能性もあります。地域によっては窓を開放しないほうがよい、といった事態になる可能性もある点は、認識しておきましょう。

デメリットへの対処法

ここからは上記のデメリットへの以下の3つの対処法を、具体的に紹介します。平屋の家を検討している方、すでに平屋の家を建てている方は、ぜひ参考にしてください。

  • 廊下を極力減らす
  • 中庭やトップライトを計画する
  • 窓サイズの調整やブラインドシャッターの導入

廊下を極力減らす

平屋の家を建てるとき、少しでもコストを下げたいなら廊下をできるだけ減らす方法が有効です。廊下を減らすことで建物自体の面積が少なくなることから、建設コストや家を建てるときの敷地面積を削減できます。

廊下を減らすことで壁も減らせるため、コストの削減効果が期待できるでしょう。

中庭やトップライトを計画する

平屋の家を建てるにあたり、設計上どうしても日当たりの良くない部屋ができそうな場合は、日当たりの良くない部屋に面して中庭を造ったり、天窓をつけたりする方法が有効です。

平屋の特性を生かして、中庭や天窓からの採光が可能になります。天窓の配置によって風通しがさらに改善されるため、温度調整機能も追加されるでしょう。

窓サイズの調整やブラインドシャッターの導入

平屋の家の防犯対策のひとつに「窓のサイズを調整する」ことが挙げられます。つまり人が侵入できない窓のサイズにすることで、新たな格子や雨戸を設置せずに防犯対策ができるわけです。

換気用の窓を作る際は、できるだけ人が入れないサイズにすることや、網戸を取り外せないように「はめ殺し」にすることがおすすめです。
窓を開放したい部屋には、ブラインドシャッターや面格子の設置を検討しましょう。

ブラインドシャッターとは、一般的なシャッターとは異なるデザインを持つ、主に住宅の出入り口の窓に取り付けられるシャッターの一種です。ブラインドカーテンと似ており、羽状の長細いスラットが縦方向に連なっています。

ブラインドシャッターは、シャッターが閉まっている状態でも、ブラインドの調節によりシャッターにすきまを開けることが可能です。

ポイントを押さえて自身にあった平屋の家を計画しよう

平屋の家は階段がないため、人生を通じて快適な暮らしを実現できるという大きなメリットがあります。一方で防犯面やコスト面、他に広い屋根や天窓の設置による雨漏りのリスクといったデメリットがあることも事実です。

平屋の家のデメリットを把握し、対策するためには建物の専門家による調査が有効です。

さくら事務所では、建物の完成後には外観からはわからなくなる欠陥や施工不良を工事中の調査によって発見できる「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」や中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)をおこなっております。

建物の専門家であるホームインスペクターが100以上の調査項目で、新築中古問わず戸建てのあらゆる空間(外周り、室内、床下、屋根裏・天井裏)を調査し、不具合の有無や不具合の対処法をアドバイスいたします。不具合があった場合は建物を建築した会社にその情報を共有し、対処法を確認いたします。

平屋の家を検討しているけれど、防犯面の対策や施工の不具合がないか知りたい方、平屋の家に住んでいる方で、長く快適に住むために家のメンテナンスを検討している方は、さくら事務所のホームインスペクションで、適切なアドバイスを受けたうえで対策・修理をすることをおすすめします。