その建物大丈夫?新築マンションの正常な状態とは

  • Update: 2016-01-14
その建物大丈夫?新築マンションの正常な状態とは

時間が経ってから顕在化する不具合も

地盤や基礎、建物構造体に不具合が潜んでいた場合、建物を建設してからすぐに大きく傾くことは少なく、多くは数年経ってから建物に異変が起きて変化に気付きます。

ただ、それらの異変が実は新築当初からあったものに気付いていなかったのか、後から発生したものなのかがわからないということは珍しくありません。

「もしかしたら引渡しの時からこうだったのかも・・・」と迷っているうちに、実は問題となる事象が起きていて、不具合がどんどん進行してしまうということもあります。できるだけ建設当時の状態を把握しておきたいものです。

そこで、引き渡し前の新築マンション内覧会で、施工不良がないかどうかのチェックと合わせ、チェックしておきたい建物の正常な状態を確認するための主なポイントをホームインスペクター(住宅診断士)がご紹介します!

玄関ドアと窓の動かしやすさ

玄関ドア

万が一建物全体が傾くと、コンクリート壁に取り付けられた玄関ドアや窓は
建物の傾きにより変形しはじめ、動かしづらくなります。

ドアや窓は日常で頻繁に使うわりに、意外とどういう状態が標準かを覚えていないものです。
問題がない状態をしっかり把握しておかないと、実は動きがおかしくなっていても変化に気付けません。

ですから、内覧会時や入居してすぐなど、実際に動かしてみてスムーズに開閉が出来るかチェックしておきましょう。

なお、内覧会時、他の窓に比べてある部分の窓だけ動きが固いなら、その窓だけレールに砂が挟まっていたりレールが一部ゆがんでいるということもありますので、施工会社に点検・修繕を依頼します。

住戸内の床や壁の施工精度

水平器2

「内装」と呼ばれる室内の床や壁は職人の手作業で作られるため、1ミリの誤差もない完全な水平・垂直で仕上げるのは難しく一般的に「1メートルの距離につき3ミリ程度(3/1000)」の傾きは「許容施工誤差」と呼ばれ、見た目、生活、使用に支障はないとして、修繕を行うべきものとされていません。

また、3/1000を超える傾きでも、部分的に存在する傾斜で見た目にも機能的にも問題がないと判断できる場合は、修繕により表面の仕上げが汚くなることを避けるため、そのままの状態で引き渡されることも。

しかし、建物全体が傾き始めたときも、複数の床や壁で少しずつ傾きが発生し始めるため引き渡し後数年後に初めて床や壁の傾斜を調べると、その傾きが建設当初からあったものなのか、地盤沈下等により建物全体で起きたものなのか、判断しづらいことがあります。

そこで、建設当時に「各所が0~3/1000程度におさまっているか」を把握しておくと、
建物が建ったあとで徐々に傾いてきているのか、施工誤差で初めからあったのかがわかるというわけです。

なお、傾きを調べるには道具が必要です。
ホームインスペクター(住宅診断士)はレーザー水準器という機械を利用するため、傾きの大きさを数字で具体的に把握できます。

水平器

専門機材を使わず個人でチェックするなら、ホームセンターなどで売られている水平器を使うと
数値では把握できませんが、部分的に床・壁が傾いているかどうかわかるのでおすすめです。

建物は建ててから、時間が経つと顕在化してくる不具合もあるため、引渡しを受けるときの内覧会で施工状態をしっかり把握しておけば不具合事象に気づきやすく早期対応が可能になります。また、メンテナンスのためにも定期的に点検をしてみましょう!