新築マンションの内覧会が大変多いのが、1月から3月にかけて。さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)も内覧会立会い・同行のご依頼をたくさん頂きますが、不具合がないかどうか、一つひとつ丁寧にチェックすることを常に心がけています。
内覧会で発見できる不具合に、見てわかるものとそうでないものがあるのをご存知ですか?
具体的にご説明する前に、まずは内覧会とは何を行うものなのかをご理解いただきたいと思います。
内覧会って何をするの?
内覧会当日はアテンドさん・施工会社さん・設備業者さんなど、いろいろな担当者が参加し、お客様へのお部屋や設備機器の説明などが行われます。
おおむね、以下のような流れで行われることが多くなっています。
(もちろん内容や順番が違う場合もあります。)
1. お部屋(専有部分)の確認
・設備機器などの説明
・不具合箇所の確認
・手直し後の確認日程を調整
2. 共有部分の確認
・インターホンやオートロックなどの説明
・駐輪場や駐車場の説明
・エレベーターなどの説明
3. 保険やオプションなどの打ち合わせ
・オプション内容や保険などの担当者と個別に打ち合わせ
細かく言いますと、1.お部屋(専有部分)の確認が「内覧会」と呼ばれるものです。もし不具合があれば引渡しまでに修繕してもらえる大切な機会ですので、購入される方が最も気にされるタイミングかと思います。
パッと見でわかる不具合&わからない不具合
一般の方でも気が付きやすい不具合としてあげられるのが、
①壁紙のスキマ ②床や壁などのキズ ③棚や扉のガタツキ などでしょう。
パッと目につく範囲で気になるところをピックアップするだけでも、10か所くらいは発見することが多いようです。
逆に発見しづらい不具合はどこにある?
では逆に発見しづらい不具合というのはどういうところにあるのでしょう?
例えば… ・換気扇の接続不良 ・キッチンの水漏れ ・食洗器のアース未接続 など、どれも普段は目にしない部分です。最近は内覧会での不具合確認が重要という認識が高まり、インターネット上にある「内覧会チェックシート」などを持参して確認する方も増えているようです。
しかし建物の根本的な性能に関わる不具合は、専門の知識を持ったホームインスペクターでないと発見できないこともあります。ホームインスペクション(住宅診断)で実際に見つかった事例をご紹介しましょう。
この写真は、エアコンの配管を通す穴から断熱材の様子を確認したものです。
どこが不具合か、お分かりになりますか?
正解は、「断熱材を施工するタイミングを間違えている」です。
でこぼこした乳白色のものが断熱材で、スプレーのように吹き付けるタイプですが、吹き付けるときに給湯器のガス管や給水・給湯管の上から吹き付けてしまっています。本来であれば、断熱材を壁に吹き付けた後に配管を施工すべきところを、順番が逆になってしまったようです。このままでは断熱能力の低下を起こしたり、配管の交換などのメンテナンスに大きな支障をきたしたりと問題を引き起こす可能性が高くなります。
プロに建築の知識を借りるのも手
こういう施工ミス、ちょっとした現場の確認不足で発生してしまいます。このようなケースは、チェックシートに沿って確認していたとしても、一般の方は見過ごしまうケースが多いようです。
建築の知識をもとにしないとなかなか気づかない事例は他にもたくさんあります。ご自身でしっかりチェックしつつ、専門家の力も借りると、安心して新居にお入りになれるのではないでしょうか?